2025.03.24(月)大会

【第109回日本選手権35km競歩】谷井孝行ディレクター(競歩担当)大会総括



第109回日本選手権35km競歩は2025年3月16日(日)、石川県能美市において、第49回全日本競歩能美大会とともに行われ、無事にレースを終えました。男子35km競歩では、勝木隼人選手(自衛隊体育学校)が派遣設定記録を突破する2時間24分38秒で優勝し、東京2025世界陸上日本代表に即時内定。女子35km競歩では、この種目に初めて挑戦した梅野倖子選手(順天堂大学)が参加標準記録を突破する2時間46分53秒というタイムで、日本選手権初優勝を飾りました。競技終了後に、日本陸連強化委員会の谷井孝行ディレクター(競歩担当)がメディアに対応し、レースの総括を行いました。
谷井ディレクターによるコメントの要旨は以下の通りです。


■谷井孝行 強化委員会ディレクター(競歩担当)

総括に入らせていただく前に、今回、このような悪天候のなかで、選手はもちろんのこと役員の皆さんなどいろいろな方々のご支援があって、無事にレースが行えた。まず、このことに深く感謝したい。また、最後まで諦めることなく歩いた選手に対して敬意を表したい。

男子35kmで優勝した勝木隼人選手(自衛隊体育学校)については、高畠での第108回日本選手権35km競歩、先月の第108回日本選手権20km競歩(神戸)と、歩型に難があってペナルティエリアに入る結果となっていた。しかし、この1カ月のなかで、そこに対して真摯に取り組み、今回は1枚もレッドカードをもらわず自分のレースをつくった。このことを高く評価したい。この悪天候のなかでは、自分の力の把握とペース配分がしっかりできていないと、レースをつくることはできない。そういう意味でも、「何ができて何ができないのか」に向き合いながらレースを進めていくことができていたと思う。2位の丸尾知司選手(愛知製鋼)は、(35kmだけでなく、20kmやさらに短い距離においても)ずっと好調を維持してきている選手。35km競歩については、前回(日本選手権35km競歩)の高畠においても後半が一つの課題にはなったものの派遣設定記録(2時間26分00秒)を突破し、今回、再び派遣設定記録をクリアした。しっかり粘るところを粘りながら、勝負をしてこられたのではないか。この悪天候のなかで、自分の力を出すことができたのではないかとみている。3位の髙橋和生選手(ADワークスグループ)についても、おそらく本人のなかでは、もっと良い順位や記録を求めていたと思うが、勝負をしてくることができていた。また、これら上位3選手に加えて、4位の石田昴選手(自衛隊体育学校)までが派遣設定記録を突破している。悪天候のなかで、どの選手も、自分の力をしっかり出せたのではないかと評価している。



女子35kmでは、梅野倖子選手(順天堂大学)が初挑戦ながら参加標準記録(2時間48分 00秒)を突破して優勝した。彼女は終始、安定したペースを刻み、また、しっかりとしたフォームで歩けており、非常に良いレースができていた。20km以降の後半については、本人も心配していたところではあったと思うが、自分自身で「どのペースであれば、後半まで押しきっていけるか」をコーチと相談しながら進めていくことができていて、それが成果として現れたのではないかとみている。しっかり20kmのスピードを生かせていけたと思うし、この悪天候のなか、初挑戦でここまでの記録を出せたことで、本人も35kmに対する自信を深められたのではないかと思う。



<質疑応答>

Q:勝木選手のフォームの改善について
谷井:そこは、チーム(自衛隊体育学校)としての話になってくるが、まず、これまでの課題として、振り出しは低いのだが、蹴り足に高さがあることに関して、前後の(足の)動きを意識するように修正してきた。まだ自分自身の力を使ってフォームを意識しての動きになっている状況だが、今後、この動きを自分のものにして推進力に生かしていくことができるようになれば、さらなる飛躍を期待することができると考えている。

Q:梅野選手の35km競歩での強さを、どうみるか?
谷井:今回、レースを見て一番に思ったのは、フォームの安定感。疲れてきたところに対してフォームの乱れが出やすい選手たちがいるなか、梅野選手に関しては終始安定したフォームを維持できていた。そこが魅力だと思うし、また、距離を苦にしないペース配分で歩けていたところは、今後の35km競歩で有力な選手になっていけると考えている。今回の35kmについては、20kmに取り組んできたなかでの挑戦だったと聞いている。さらに20kmのベースを高めていくことで、この35kmについても飛躍していけるのではないかと思う。また、35kmの練習をしていくことによって、さらにベースが高まっていく側面もある。今、持っている20kmのスピードを、さらに生かしてほしいなと思う。

Q:丸尾選手が2種目で世界選手権出場を目指している点について、どう考えているか?
谷井:今後、当人そして専任コーチと相談しながら決めていくことになる。こちら(日本陸連強化委員会)の方針もお伝えし、しっかり話し合ったうえで決めていければと考えている。しかしながら、本人がしっかり勝ち得た権利。尊重しながら進めていこうと思っている。

Q:丸尾選手側の了承が得られたら、35km競歩/20km競歩の両方、もしくは片方の出場ということになるのか?
谷井:今現在の段階で、丸尾選手は内定を取れているわけではないので、ここで「こうですよ」とお伝えできる状況ではない。そのあたりは慎重に進めていきたい。

Q:女子20km競歩でも出場権を得られる可能性のある梅野選手についても同じか?
谷井:梅野選手は、20km競歩に関してはワールドランキングでの順位による(東京2025世界陸上の参加資格を得られるかによる)ので、そういったところも含めて考えていきたい。

※本稿は、3月16日の日本選手権35km競歩終了後に行われた囲み取材での要旨をまとめたものです。発言内容が正確に伝わることを意図して、一部、実際のコメントに編集を加えています。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト


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