2025.03.06(木)大会

【第108回日本選手権20km競歩】谷井孝行ディレクター(競歩担当)統括コメント



2月16日、第108回日本選手権20km競歩を神戸市六甲アイランド(兵庫)において開催した日本陸連は、競技終了後に強化委員会の谷井孝行競歩担当ディレクターがメディアに対応し、世界新記録が誕生した男子、日本新記録が誕生した女子ともに、両レースの総括を行いました。
谷井ディレクターによるコメントの要旨は以下の通りです。


■谷井孝強化委員会ディレクター(競歩担当)

男子は、山西利和選手(愛知製鋼)が1時間16分10秒の世界新記録を樹立する歴史的な大会となった。また、女子の藤井菜々子選手(エディオン、ダイヤモンドアスリート修了生)についても、(世界大会で)メダルを狙って戦えるような記録が出すことができた。レースのコンディションも、非常に天候に恵まれる形となった。気温や風の影響を大きく受けることのない良いタイミングでレースが行えたと思っている。
特に、山西選手に関しては、昨年のパリオリンピックに出場できなかったわけだが、その間に海外へ出て、国際大会に出場したり、イタリアのマッシモ・スタノ選手と練習したりしてきたなかで、今までに経験できていなかったところへの視野が非常に広がったのではないかと考える。そのうえで山西選手独自の考え方を突き詰めていったことで、競技力をさらに高めることとなった。今日のラスト5kmのペースアップは、これからの国際大会を照らし合わせてみても、十分に勝負ができる素晴しい内容であったと思う。展開としても、3分50秒前後の安定したペースのなかで細かな駆け引きを行い、そこからペースを上げるべきところでしっかりとペースを上げられる、そういった国際大会でも順位を取れるようなレース展開ができていた。

2位の丸尾知司選手(愛知製鋼)に関しても、山西選手と同じく、パリオリンピック出場は叶わなかったわけだが、自身が武者修行として海外へ飛び出し、海外選手と一緒にトレーニングに取り組んできた。そういったなかで今までの枠組みから抜けだして、新しい自分のスタイルを確立することになったと思う。この2名に関しては、日本国内にとどまらず、海外に出て、自分自身で取り組みを見つけてきたことが、この大会に向けて非常にいい流れをつくったと思っている。

3位の吉川絢斗選手(サンベルクス)は、今年度が社会人1年目。昨シーズンは、夏のホクレンディスタンス等でも10000m競歩で記録を出していたし、合宿などを見ていても、非常に安定した練習ができていたので、私としても密かに期待をしていた選手だった。

ハイペースとなった今回のレースにおいて、しっかりと自分自身のレースをつくることができていた。今大会は、上位3選手もそうだが、入賞ラインの選手たちほとんどが自己記録を更新してきた。東京世界選手権に向けた思いのなかで、それぞれがベストのパフォーマンスをしてくれたと感じているが、この大会のために来日した国際審判員からのジャッジをしっかりと受け、そして、このハイペースで駆け引きが行われるなかで、吉川選手がしっかり順位を取ってくることができた点は、高く評価している。




女子20km競歩については、藤井選手が1時間26分台という、海外の大会でもメダル獲得に可能な記録を出すことができた。藤井選手も、パリオリンピックは、春先に故障した影響もあり、準備が十分でないなかレースに臨むこととなり、非常に厳しい結果に終わっていたわけだが、そのなかで今回しっかりとしたフォームでゴールしてくれた。それは、ここまでの期間で、自分自身が課題と向き合って取り組んできたことの結果であると思う。練習の段階から、(1km)4分20秒のペースで押していくというところを明確に持って取り組むことができていると聞いていた。その結果が形となって現れたことは非常によかったと思う。

2位の岡田久美子選手(富士通)は、今回の東京世界選手権に向けて強い思い入れを持っていると思うが、今大会では、セカンドベストをマークし、しかも、6年ぶりの1時間28分台ということで、本人にとっても非常に手応えのあるレースになったと思う。この記録をしっかりと、自分自身の取り組みに砕いていくことによって、さらなる飛躍がまだできると期待している。「年齢は関係ない。まだまだ伸びる」ということを見せてくれたレースだった。
3位の梅野倖子選手(順天堂大)については、昨年10月の全日本競歩高畠大会において1時間32分台の自己記録で優勝を果たしていたが、今回、それをさらに1時間31分台へと塗り替えてきた。レース展開を振り返ってみても、非常に安定したペースとフォームでレースを進めてフィニッシュを迎えている。まだ、大学4年生。ここからさらに伸びしろというものを見守っていきたい。
全体を通して、非常に恵まれたコンディションのなかで、それぞれが力を発揮してくれたと思う。各選手が東京世界選手権への思いが強いことは、前日会見などを見ても強く感じたし、そのなかでしっかりと結果を残した選手たちは本当にすごい。ここで代表選手に内定した山西選手と藤井選手に関しては、世界選手権までの期間に出場する大会や、練習の取り組み等でしっかり準備ができるよう、強化においてもしっかりサポートしたい。選手たちが万全の状態で東京世界選手権のスタートラインに立てるように努めていきたい。




※本稿は、2月16日の日本選手権20km競歩終了後に行われた囲み取材の要旨をまとめたものです。発言内容が正確に伝わることを意図して、一部、実際のコメントに編集を加えています。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト


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