2025.02.15(土)選手

【日本選手権20km競歩】前日会見レポート/山西利和、古賀友太、濱西諒、藤井菜々子、岡田久美子、柳井綾音



第108回日本選手権20km競歩が2月16日、9月に日本で開催される東京 2025 世界陸上競技選手権大会および5月に韓国で開催されるクミ 2025 アジア陸上競技選手権大会の日本代表選手選考会として、兵庫県神戸市の六甲アイランドにおいて開催されます。

大会前日となる2月15日の夕刻には、注目選手を招いての記者会見が、神戸市内のホテルで実施されました。会見は、男子と女子に分けての2部構成で行われ、第1部には男子20km競歩に出場する山西利和(愛知製鋼)、古賀友太(大塚製薬)、濱西諒(サンベルクス)の3選手が、また、第2部では女子20km競歩に出場する藤井菜々子(エディオン、ダイヤモンドアスリート修了生)、岡田久美子(富士通)、柳井綾音(立命館大学)の3選手が登壇。ここまでの経過や現在の体調、今大会の目標やレースに向けた思いなどを述べたのちに、メディアからの質問に応えました。各選手のコメントは、以下の通りです。

【前日会見コメント(要旨)】

第1部:男子20km競歩


◎山西利和(愛知製鋼)

目標は優勝。タイムも、展開次第では狙っていきたいなと思っている。ただ、優先順としては、まずは順位。(優勝して)世界選手権(代表に内定する)というところかなと思っている。
トレーニングで取り組んできたことは、去年1年、本当にいろいろな経験をさせていただいた。(海外転戦やマッシモ・スタノ選手<イタリア>と一緒にトレーニングするなど)今までの日本の枠組みの中での練習以外にも触れることができ、そこで得たものを持ち帰って、自分なりに消化をしてきたつもりである。具体的に言うと、繋ぎの日の練習のペースとか、ロング(長い距離の)の練習のペースとか。そういうところを一つ一つ取り組んできて、けっこう変わったかなと思っていて、ざっくり言うと、今までよりは速くなっているかなという部分はある。ただ、基本的な考え方は、おそらく変わっていなくて、ベースの部分を上げてきた。そしてベースが上がっていった結果、レースペースが一段上がっていく、今までのレースペースだったところの余裕度がさらに上がっていくというような手応えがある。明日はそこが出せればと思っている。

<自国開催の世界選手権に、どんな思いをもって迎えようとしているか? の問いに>
東京オリンピックのときは、やむを得ないことではあったが、競歩は札幌での開催となった。暑さを考えてのことだったので、それに関してどうこう言うつもりは一切ないのだが、今回の世界選手権は、時期が少しずれて9月になったことで、東京での開催が可能になった。東京で歩けるということは、すごく嬉しいし、ありがたいなと思っている。なかなか海外の世界選手権まで足を運んでいただくのは難しいけれど、「東京だったら行けるよ」という人は、たぶんたくさんいると思う。普段、オリンピックや世界選手権があっても、なかなか直接見るのが難しい方々に見ていただけることは、僕の中でもポジティブなポイントかなと思う。

<前回は失格という悔しい結果になった。この1年を経て、過去の日本選手権と比較して何か違いはあるか?>
結構違うのかな、と。今までは「これを失ったら終わりだ」という思いでやってきたが、(前回で)失ってしまったので…(笑)、「ここからだな」という感じで、今までとはまた違うフェーズというか、違う区切りのなかで臨めるのではないかと思っている。「この1回1回、1日1日、1年1年、そういった1回きりの勝負を味わうことができたらいいんじゃないか」と考えるようになっている。そういう意味で、これまでとは違うかなという印象で、まだなんとなく「行けるじゃないかな」という気持ち。自己ベスト(1時間17分15秒、2019年)を出してから、けっこう時間が経っている。いろいろな経験をさせていただいたなかで、そろそろ次のステップに進めたらいいなと思っている。



◎古賀友太(大塚製薬)

明日の目標は、派遣設定記録(1時間18分30秒)を切って優勝すること。今の時点で、まだ切っていないので、それを切ることを第一として、そのなかで勝ちきるような勝負強さ…オリンピックを経験して、さらに必要だなと思ったので、順位にこだわっていければと思っている。
トレーニングのなかで強化してきたことは、「これを一つ挙げるなら」というよりも、全体的にまんべんなく強化するところをやってきた。スピードだったり、持久力だったりのほか、歩型も、柔軟性も、まだまだ足りていないので、全体的に、チャートを広げるようなイメージで取り組んできた。
今年は、阪神淡路大震災から30年。風化させてはいけないという思いがあるし、また、(昨年1月1日に起きた)能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市(石川県)の復興も進んでいない。私たちの歩きを見てもらって、見ている方に、元気や勇気などを感じてもらえるように明日は頑張りたいと思っている。

<自国開催の世界選手権に、どんな思いをもって迎えようとしているか? の問いに>
昨年、オリンピックを経験して、ぎりぎりながら入賞できたが、まだまだトップのメダルラインとかと比べると、力不足を感じるところがあった。特に疲れてくる終盤の歩きや、そこでのペースアップや我慢強さなどで、まだまだ及ばないなと実感し、そういうところの課題を埋めるための練習をやってきた。今年が、東京での世界陸上ということで、もちろん自国開催というところで出たいという思いは強い。(2021年の)東京オリンピックのときは補欠止まりで、正選手にはなれなかった悔しさもある。国内の注目度も、自国開催ということでより上がると思う。もっと陸上を盛り上げていきたいという思いもあるので、今回(の世界選手権出場)に懸ける思いは強い。



◎濱西 諒(サンベルクス)

明日の目標は、シンプルに、派遣設定記録を突破して優勝すること。ただ、展開次第では、臨機応変に行かなければならないと思うので、第一としては、しっかりと順位を取ることを考えている。
昨年、パリオリンピックに出場したが、いざ、世界に出てみると、自分の弱いところ、課題点が浮き彫りになったので、この大会に向けては、そういうところを埋めることに時間を多く費やしてきた。具体的に挙げるとするならば、繋ぎの練習の質を上げるに取り組んだほか、国スポ(国民スポーツ大会)で失格してしまった反省から、主に身体の補強トレーニングにも注力してきた。そういったところを、どこまで発揮できるかわからないが、明日のためにやってきたことをしっかり出せればいいなと思っている。

<自国開催の世界選手権に、どんな思いをもって迎えようとしているか? の問いに>
今回の世界選手権にしろ、東京オリンピックにしろ、自国で、そうした主要な国際大会が開かれるというのは、そうそう人生のなかで何度もあることではない。そういう数少ないチャンスを狙えるところで競技ができているというのは、非常にありがたいことだと思っている。また、競歩が注目される、引いては陸上競技が注目される大きなチャンスでもあるので、多くの皆さんに足を運んでもらえるような大会になったらいいなと考えている。また、陸上競技としてもそうだが、自分自身にとってもチャンス。そういうチャンスをつかめるように、明日はしっかり歩きたい。


第2部:女子20km競歩


◎岡田久美子(富士通)

明日は、参加標準記録(1時間29分00秒)を突破して、確実に、世界選手権の出場に繋がるようなレースができたらいいなと思っている。パリオリンピックが終わって少し休養を取り、「あと1年頑張るかどうか」というところをしっかりと考えたうえで、練習を再開した。この日本選手権に向けては、身体の使い方や技術面を磨いて、少しリズムアップやテンポアップができるような歩きを目指して取り組んできている。

<昨年の経験を踏まえて、どう今年に繋げてきたか、の問いに >
パリオリンピックは、新種目であった男女混合競歩リレーに出場し、男子選手(川野将虎:旭化成)の力を存分に借りて、8位入賞を果たすことができた。3回目のオリンピックだったこともあり、その結果に満足してしまうようなところもあって、その後は、東京世界選手権に向けて本当に頑張れるのかとかなり悩んだ。覚悟を決めるまでには少し時間がかかったが、「やるか、やらないか」をしっかり選択してからは、中途半端になることないように。この数カ月は準備してくることができている。支えてくださる皆さんのおかげで、今年、34(歳)になる年で、こうやって若い子たちと挑戦していけるのはすごくありがたいこと。残り数レースになるかもしれないが、感謝の気持ちを持って、自分の力を最後まで発揮して、競技を締めくくれたらと思う。

<明日、目標を達成するために、ここが鍵になるなと思っているところは? の問いに>
明日は(派遣設定記録である)1時間28分00秒や(参加標準記録である)1時間29分00秒を切らなくてはいけないので、どんな天候になるにしてもスローペースにしてはいけないと思っている。この3人でしっかりと、設定ペース(1km)4分25秒とかを守っていくことを意識していきたい。また、やはり後半、10kmを過ぎてからきつくなってくるので、そこでしっかりペースを守り、粘って記録を切っていけたらと思う。

<応援してくださる皆さん伝えたい、「私のここを見て」を>
もうずいぶんベテランになったので、そうアピールできることは多くない(笑)のだが、ベテランなりに粘りたいと思っているので、これまでと変わらずに応援していただけたらありがたい。



◎藤井菜々子(エディオン、ダイヤモンドアスリート修了生)

明日のレースでは、自己ベスト(1時間27分59秒、2024年)を更新して、世界陸上の内定を決めることを目標にしている。ここまでの経過としては、昨年、パリオリンピックまでの準備期間が本当にうまくいかず、2カ月ほど練習が完全に止まっていたので、オリンピック後は、まずは身体を休めたが、それ以降はしっかりと技術の修正などに取り組み、とにかくじっくり練習を積んできた。ここまで非常に充実した期間を過ごしてきたので、明日はそこをしっかり発揮できるように頑張りたい。
オリンピック後は、悔しさがすごく残っていたので、2週間ほど休んで、すぐ練習を再開した。そのなかで、「悔しさというものが、本当に自分をこんなにも動かすんだ」ということを感じることができ、そういう部分では、「本当にいい経験だった」と自分の中ではそう言いたいところだが、そこまで心の整理はついていないという状況である。しかし、気持ちはすでに4年後に向いていて、ここまで順調に進めてくることができている。1時間28分を切る練習はしてきたので、順当に行けば、自己ベスト、1時間27分台をしっかり出せると思う。

<明日、目標を達成するために、ここが鍵になるなと思っているところは? の問いに>
去年、17km地点から大きく失速してしまった反省がある。そこまでは(1km)4分20秒前後で刻んでいたのだが、そこから4分30秒近くまで落ちてしまったので、今年はそこを克服したい。最後の5km…15kmからが自分の勝負で、そこをしっかりキープできれば、かなりいいタイムが目指せるのではないかと思っているので頑張りたい。

<応援してくださる皆さん伝えたい、「私のここを見て」を>
見ていただきたいのは、最後の5km。どこまで踏ん張れるかをしっかり(笑)見ていただき、応援していただければ、それを力に変えて頑張ります!



◎柳井綾音(立命館大学)

今回の日本選手権では、学生新記録(学生記録:1時間28分03秒、渕瀬真寿美、2009年)を目標に、まず東京世界陸上を、内定できるような歩きをしたいと思っている。この大会に向けては、まず、10月(全日本大学女子駅伝)と12月(全日本大学女子選抜駅伝)に、立命館大として目標にしてきた駅伝があり、そこでチームの一員として走りのほうを強化し、その体力を生かして1月から競歩の練習に入り、質を重視した練習に取り組んできた。

<昨年の経験を踏まえて、どう今年に繋げてきたか、の問いに >
私自身は、昨年、3回、世界の大会(世界チーム競歩選手権、世界陸連競歩ツアー・ラコルーニャ大会、パリオリンピック)に出場したが、そのすべての大会で、世界との差を身にしみて感じた。自信があった体力も、世界では通用しないということがわかったので、そこからは体力強化に力を入れてきた。走りに取り組むことで体力をつけるやり方は、自分は今までもやってきたことだが、競歩選手ではあまりない方法。ただ、ほかの選手とは違う方法で強くなろうという思いで取り組んできた。

<明日、目標を達成するために、ここが鍵になるなと思っているところは? の問いに>
昨年は、8kmくらいで(上位争いから)離れてしまった。私は、10kmでも20kmでも、8kmあたりで一度きつくなってしまう。しかし、そこをさえ粘れば、後半は伸びていくと思っているので、まずはその8kmでしっかり粘りたい。

<応援してくださる皆さん伝えたい、「私のここを見て」を>
注目していただきたいのは、レース展開とかとはちょっと違うのだが、最後に「アヤネスマイル」が皆さまに届けられるようにすること(笑)。笑顔でゴールできるよう頑張りたい。


大会は2月16日、兵庫県神戸市の六甲アイランドに設けられる1周1kmを周回する甲南大学西側20kmコースを舞台に、10kmで実施されるU20選抜競歩大会との併催で行われます。

日本選手権男女の部は、前述の通り、東京世界選手権およびクミ・アジア選手権の代表選考会を兼ねての開催です。東京世界選手権の日本代表については、本大会のレース終了時点で日本陸連が独自に設定する20km競歩の派遣設定記録(男子:1時間18分30秒、女子:1時間28分00秒)を突破した最上位者(優勝者)1名が即時内定。また、派遣設定記録をクリアして本大会で2・3位の成績を収めた場合は、内定を除く選考基準において最も高い優先順位に置かれることとなります。男子は即時内定および派遣設定記録をクリアしてのメダル争いが、女子では派遣設定記録を見据えつつ、まずは参加標準記録(1時間29分00秒)を目指しての上位争いが、それぞれ見込まれており、ともに熾烈な戦いが繰り広げられることになりそうです。

当日の日程は、日本選手権男子20km競歩が午前8時50分にスタート。続いて、その20分後の午前9時10分に日本選手権女子20km競歩が出発するタイムテーブルとなりました。また、併催のU20選抜競歩は、男子10kmが11時10分に、女子10kmが12時10分にスタートします。

レースの模様は、今年も日本陸連YouTubeチャンネルで、ライブ配信を予定しています。解説を務めるのは松永大介さん(富士通)。現役時代、攻めのレースを身上にスピードウォーカーとして活躍し、2016年リオ五輪では同種目における日本人初の入賞(7位)を達成した松永さんが、自国開催の世界選手権代表を目指して、「#限界で競え世界を歩め」に挑む選手たちの熱い戦いをナビゲートします。

ライブ配信のアクセス先やエントリーリスト、タイムテーブルなどの情報は、日本陸連公式ホームページ内に設けられている競歩の特設サイト「Race walk Navi~競歩ナビ~」を参照いただくと便利です。大会情報のほか、今年も実施中の応援メッセージキャンペーンへのアクセス方法や、現地観戦ガイド、代表経験を持つ出場予定選手のTMI(Too Much Information:プチ情報)を公開する企画なども掲載。日本選手権歴代優勝者や、競歩の歴史やルールを知ることもできます。観戦のお供に、ぜひ、ご活用ください。

◎競歩特設サイト「Race walk Navi~競歩ナビ~」
https://www.jaaf.or.jp/racewalking/



文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

【LIVE配信】

■2025年2月16日(日)8:50 競技開始予定



【スケジュール】

08:50 男子20km競歩 スタート
09:10 女子20km競歩 スタート
10:08 男子20km競歩 フィニッシュ予想/優勝者インタビュー
10:38 女子20km競歩 フィニッシュ予想/優勝者インタビュー
11:10 U20選抜 男子10km競歩 スタート
11:59 U20選抜 男子10km競歩 レース終了予定
12:10 U20選抜 女子10km競歩 スタート
13:04 U20選抜 女子10km競歩 レース終了予定


【解説】

LIVE配信解説者 松永大介さん(写真:フォート・キシモト)



◆生年月日:1995年03月24日
◆所属:富士通
◆出身地:神奈川県
◆出身校:浜中(神奈川県)→横浜高(神奈川県)→東洋大学
◆自己ベスト
20km競歩・1:17:46(2018.2 日本選手権20km競歩)
10000m競歩・37:58.08(2018.7 ホクレン・ディスタンスチャレンジ北見)
◆主な代表歴
オリンピック(16リオ)
世界選手権(22オレゴン、17ロンドン)


【競歩ナビ】観戦がもっと楽しくなる情報を掲載中


>>https://www.jaaf.or.jp/racewalking/


▼東京2025世界陸上競技選手権大会 競歩日本代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202409/26_123848.pdf

▼競歩のルール
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202202/07_183011.pdf

▼日本選手権20km競歩 過去の優勝者
https://www.jaaf.or.jp/jch/107/archive/m-20walking.html

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