2024.10.26(土)選手

【日本選手権35km競歩/高畠競歩】前日会見:川野将虎、髙橋和生、丸尾知司



第61回全日本35km競歩高畠大会が10月27日、第108回日本陸上競技選手権大会・35km競歩を兼ねて、来年9月に開催される東京世界選手権の日本代表選手選考競技会として行われます。日本選手権35km競歩は、本来は4月に石川県輪島市で開催される予定でしたが、本年1月の能登半島地震による被害のため中止に。これの事態を受けて、「高畠競歩」の名で親しまれ、長い開催実績を誇るこの大会の「男子・女子35km競歩の部」が、今年度の日本選手権を兼ねて実施されることになりました。

大会を翌日に控えた10月26日の夕刻には、日本選手権に出場する注目選手の前日会見が、山形県の高畠町交流プラザで開かれました。会見には、男子35km競歩に出場する川野将虎選手(旭化成)、髙橋和生選手(ADワークスグループ)、丸尾知司選手(愛知製鋼)の3名が出席。ここまでの経緯や現在の状態、レースに向けた抱負などを述べたのちに、メディアからの質問に応じました。各選手のコメントは、以下の通りです。

【前日会見コメント(要旨)】



◎丸尾知司(愛知製鋼)

これまでの練習は、すべて順調に消化してきた。明日は、優勝だけをターゲットに歩きたい。
(出場が果たせなかった)パリオリンピックは、もちろん悔しい思いで見ていたが、悔しい思いで見ながらも日本人選手を応援して、「次は必ず自分が…」という思いでいた。パリ(オリンピック)の間は、海外の選手と合宿をしていたので、東京世界陸上で必ずリベンジするという思いを燃やしながら、(練習で)ずっと歩いていた。
海外選手との合宿は、2月に行われた神戸の日本選手権(20km競歩)で(パリオリンピックの)代表から漏れたときに、スウェーデンのペルセウス・カールストローム…当時、世界ランキング1位の選手に連絡をしたのがきっかけ。もともと親交があったので、「どうすればいいんだろう」と連絡をしたら、「オリンピックに向けて1カ月、スイスで合宿をするから来い」と言われ、覚悟のいることではあったが、会社の理解もあって、単身で乗り込んで合宿をさせてもらった。何が違うかというと、彼らがタフなこと。日本のように環境が素晴しくないなかでも、みんなで協力して、サポートのスタッフがいないときでも、選手同士で練習を支え合っていた。日本が恵まれていることのありがたさを改めて実感できたし、タフさの重要性にも気づき、だからこそ彼らは世界の大会で強いのだなと感じた。そこでの彼らの練習を盗んで、帰ってきて、その取り組みを続けてきたら、(現在)非常に良くなってきたという状況である。
東京世界陸上に向けては、2021年の東京オリンピック(男子50km競歩:32位)のリベンジということで、かなり思い入れが強い。そこでメダルを獲得するために、まずは明日、代表権を必ず獲得するという気持ちでいる。




◎川野将虎(旭化成)

久しぶりに35kmのロング種目に出場できることをとても嬉しく思うし、ワクワクしている。この大会に向けては、パリオリンピック男女混合競歩リレーの種目を終えてから、35km競歩でこれまで培ってきたトレーニングを継続して行ってきた。残暑もあるなかだったが、順調に消化してきている。
この大会に向けては、これまでやってきたことを(酒井)瑞穂コーチからアドバイスをいただきながら、パリオリンピックを終えて2カ月半の間にしっかりと準備することができた。その間、瑞穂コーチから、よく言われてきたのは、「競歩選手にとって一番大切なのは、“よく寝られて、良く食べられて、故障もしないタフさ”」ということ。先ほど、丸尾選手も仰っていたが、タフさというのは競歩を行っていくにあたって一番大切ということを、いつも言っていただいていて、そこも今回の35kmに再び向かっていくにあたっては大切にしてきた。
パリオリンピックは男女混合競歩リレーでの出場だったが、このレースでの1本目に関しては、11.3kmの後半10km部分は、38分ひとケタと自己記録を大きく更新するような歩きをすることができた。その記録は、35kmにも十分に生かせるのではないかと思っている。再び自分が得意としてきた35kmを歩けることを光栄に思うし、また、その練習の過程においては、トレーニングパートナーとして一緒に練習してきた逢坂(草太朗、東洋大)…彼は今回35km競歩に出場するのだが、まだ18歳の若い逢坂が、35kmにエネルギッシュにチャレンジしてくることに対して、自分自身もすごくモチベーションをもらったし、互いに刺激し合いながらこの大会に臨んできた。そこも明日、試合の舞台で発揮できたらいいなと思う。
(来年は、東京で世界選手権が開催されるわけだが)私が競技をやっている間に、東京オリンピックがあり、今回、世界陸上が再び東京で行われるというのは、選手として本当に光栄なことだと思う。まずは明日、代表権を獲得して、再び世界の強豪の選手と戦えるよう、精いっぱい励んでいきたい。




◎髙橋和生(ADワークスグループ)

(男女混合競歩リレーで出場した)オリンピックを終えてからは、少し疲労も出て、なかなか練習を積めない時期もあったが、長い距離をもう一度積み重ねるというところを重視してきた。9月以降は、全日本実業団と国民スポーツ体育大会の(トラック種目)2レースに出場し、スピードを上げる練習を入れて調整してきた。明日は、まずは派遣設定記録の突破を最低限の目標として臨み、あわよくば優勝を目指して頑張りたい。
これまで男女混合競歩リレーを3度経験してきたが、そのなかで、1本10kmを歩いて、(ペアを組む)女子が歩いている間の(約)45分を休んで、もう1本歩くという(混合競歩リレーの)レースは、身体のタフさというところが大前提として求められる種目だなと思ったし、そのリレーに向けて、20km(の種目について)も強化してきたなかで、男子競歩としても高速化が進んだと感じている。今回の35km競歩に関しても、全体的にレベルは高くなると思っているので、20kmや混合競歩リレーに向けて強化してきたスピードは十分に生かせるのではないかと思う。
また、この高畠競歩に向けては、オリンピックに出場する前から、この大会も見据えた練習をしてきたので、それなりに長い距離の練習も定期的にやって、積み重ねることはできていると思う。そのなかで、オリンピックだったり、そのほかトラックレースだったりと、スピードを要するレースを重ね、それらをうまく生かしながら、昨今の男子競歩の高速化に対応していきたいと考えてきた。私自身は、過去に50kmや35km(の種目)も経験しているので、明日は、その経験と、(今季培ってきた)スピードとをうまく組み合わせながら臨みたい。
私自身は、丸尾選手や川野選手のように、35kmという距離もそうだが、世界で入賞するという経験がない。まずは35kmで代表権を獲得し、(これまで世界大会入賞が果たせていない)自分に対してのリベンジというところ、あとはオリンピックで入賞を逃した(13位)悔しさを、世界の舞台で晴らしたいという思いで、来年の東京世界陸上を目指していきたいと考えている。


大会は、10月27日午前、山形県高畠町の「高畠まほろば競歩路・日本陸連公認競歩コース」において行われます。高畠町の中心を南北に通る「まほろば通り」に場を移し、1周1kmの周回路となった同コースでの開催は、前回に続いて2回目。昨年、道路の改修工事により路面が整備されたうえ、高低差も±1.1mと少ないことから、出場選手たちから「歩きやすい」と評判が良く、好記録も期待できるコースになりました。

日本選手権として行われる男女35kmは、来年9月に東京で開催される世界選手権の日本代表選手選考会も兼ねており、男女優勝者が、このレースで日本陸連が競歩種目のみ独自に設ける派遣設定記録(男子:2時間26 分00秒/女子:2時間45分00秒)を突破した場合は、即時日本代表に内定します。東京世界選手権の参加資格は、昨年のブダペスト世界選手権を制した女子やり投の北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)が金メダル獲得のワイルドカードにより、すでに得ていますが、選考競技会における代表内定はまだ出ておらず、実現すれば今大会での内定者が第1号となります。特に男子においては優勝者以外でも派遣設定記録をクリアする可能性が高く、さらには複数選手によるワールドアスレティックス設定の参加標準記録(男子:2時間28分00秒/女子:2時間48分00秒)突破のアナウンスが流れることも予想されています。

このほか、男子・女子20kmの部にも、2019・2022年世界選手権金メダリストの山西利和選手(愛知製鋼)、2022年世界選手権8位の住所大翔選手(富士通)、2023年世界選手権代表の梅野倖子選手(順天堂大)など有力選手がエントリー。この種目は、今大会での即時内定はありませんが、自国開催の代表権獲得を懸けた戦いが、いよいよ本格化していく位置づけのレースとなります。派遣設定記録(男子:1時間18分30秒/女子:1時間28分00秒)あるいは参加標準記録(男子:1時間19分25秒/女子:1時間29分00秒)突破を視野に入れたハイレベルなレースが期待できそうです。

レースは、8時00分に日本選手権男女35kmの号砲が鳴り、続いて10時40分に男子20km競歩、11時00分に女子20km競歩が、それぞれスタート。12時10分に高校男子10km競歩が、12時20分には高校女子5km競歩が行われるタイムテーブルになっています。競技の模様は、複数の世界大会出場実績を持つ元日本代表の藤澤勇さん(ALSOK)を解説に招き、日本陸連公式YouTubeにおいてライブ配信が行われる予定です。大会スケジュールや、エントリーリスト、ライブ配信等の詳細は、日本陸連公式サイト内の大会情報( https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1885/ )をご参照ください。


文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)



◆ライブ配信

URL:https://youtube.com/live/5MrhxP6M_zw






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