2023.11.07(火)イベント

【MDCファイナル×HTTP】レポート:田上駿、卜部蘭、女子競輪の小林優花がスペシャルイベントに登場!スポーツの価値や楽しさをお届けしました



日本陸連が新たに推進していこうとしている「Home Track Town Project(ホームトラックタウンプロジェクト):HTTP」のスペシャルイベントが、10月21日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で行われました。
日本グランプリーシリーズの「リポビタンSports MIDDLE DISTANCE CIRCUIT in TOKYO 2023」とのコラボレーションで企画された今回は、多くの人が行き交う駒沢公園内の中央広場がその舞台。陸上競技場正面スタンド入り口前に設営されたイベントスペースでは、「30m走タイム計測」「Wattbike(ワットバイク)体験」のスポーツ体験コーナーが設けられたほか、特別ゲストによるデモンストレーションや対決、トークショーなどが行われ、小さな子どもから大人まで、多くの人々が笑顔でスポーツと触れ合いました。



HTTPは、人々の生きがいや日々の活力となるような新しい陸上のかたちを、地域の人々と一緒に創りだしていくべく新たに始まったプロジェクトです。「陸上競技は競技場で」という従来の枠組みから飛びだし、もっと気軽に陸上と出あい、陸上に触れてもらう機会を、街なかや公園などさまざまな場に設けることで、より多くの人々に陸上の魅力や身体を動かす楽しさを知ってもらうとともに、各地で開催される陸上競技会やスポーツイベントを盛り上げたり地域の活性化に貢献したりすることを目指しています。

今回の開催は、10月20~21日に行われた「リポビタンSports MIDDLE DISTANCE CIRCUIT in TOKYO 2023」(以下、MDC)とのコラボレーションによって実現しました。2021年から始まったMDCは、中距離に特化して、「みる」「する」「つくる」とさまざまな形で楽しめることで注目と人気を集めてきましたが、今大会から日本グランプリシリーズ(グレード3)に仲間入りしての開催に。グランプリ種目をはじめとする公認種目に加えて、「市民ランナー日本一決定戦」として今季全国5箇所で行われた予選大会を勝ち抜いてきたランナーによって競う男女1000mなどの非公認種目が行われました。

◆MDCファイナル×HTTP スペシャルイベント



スペシャルイベントはファイナルステージ種目に位置づけたグランプリ男女1000mのレースが行われた大会2日目のサブイベントとして行われ、MDCに出場した人や応援に来た家族、さらには散歩等で駒沢公園を訪れた人々など、のべ700名が参加しました。

お笑い芸人コンビの「だいまじん」が司会を務めたオープニングは、「じんのすけ」さんが進行し、「だいじ」さんが合いの手を入れる形で行われました。まず、日本陸連のHTTP実行委員長で、MDCを主催するTWOLAPSトラッククラブの代表でもある横田真人さん(強化委員会企画戦略部ディレクター)が登壇。HTTPがどんなプロジェクトであるのかを説明したのちに、特別ゲストとして参加するガールズケイリンの小林優花選手、十種競技の田上駿選手(陸上物語)、中距離の卜部蘭選手(積水化学)の3名が紹介されました。

小林選手は、圧倒的な年間最高勝率での活躍やパワフルなレーススタイルで、実力と人気を兼ね備えるガールズケイリン界のエース。自転車競技の日本代表選手としても、2020年東京オリンピックに出場したほか、数多くの国際大会に参戦、世界大会でメダル獲得を果たすなど女子ケイリン種目に新たな歴史を刻んできたトップアスリートです。今回は、アンバサダーを務めるワットバイクの体験コーナーをサポートしました。



田上選手は、八種競技で高校記録を樹立するなど、高校時代から混成競技で注目を集めてきた選手。十種競技では7764点(2021年)の自己記録を持ち、今季は、アジア選手権、アジア大会ともに日本代表に選出され、どちらも4位の成績を収めるなど、ステップアップした姿をみせるシーズンを送りました。十種競技の各種目で喜怒哀楽を顕わに熱く取り組むスタイルは、今回のイベント中でも各所で披露。参加者を惹きつけ、会場のテンションを高めていました。



中学時代から中距離選手として活躍してきた卜部選手は、社会人2年目の2019年に日本選手権で800m・1500mで2冠を果たして話題を集めたほか、1500mで東京オリンピック、オレゴン世界選手権に出場しています。1500mの自己記録は東京オリンピック本番でマークした4分07秒90(2021年)。これは日本歴代2位となる記録です。今季は、故障の影響で、レースから遠ざかっていましたが、秋に入って戦線復帰したばかり。MDCは、トレーニングの拠点にしているTWOLAPSの主催大会ということもあり、アスリートとしてだけでなく、スタッフとして運営もサポート、さらには出場者の応援にまわるなど、「みる、する、つくる」のすべてで、精力的に大会をバックアップしました。




◆ウォーミングアップ講座



オープニングの直後には、田上選手と卜部選手によるウォーミングアップ講座も実施されました。ここでは田上選手が全体をリードし、卜部選手が参加者をサポート。最初に脚や股関節周辺をほぐす運動を行ったあと、脚と腕との連動を意識しながら行う大きなスキップ、身体をコンパクトに動かして、できるだけ速く進んでいくことを意識するスキップ走のほか、田上選手が「“もも上げ”と呼ぶけれど、意識するのはももを下げるとき」と説明しながら紹介したもも上げドリルでは、2ステップで進んでいくもも上げ、もも上げからランニングへ移行していく動きの2種類が行われました。


◆30m走タイム計測



MDCファイナルの協賛「日建総業株式会社」様のサポートにより実現したのは「30m走タイム計測」。これは、IOT型光電管ポータブルタイマー「TiMEPiCKSS(タイムピックス)」を使ってのタイム計測が体験できるというものです。タイムピックスは、GPSとインターネットを活用して正確なタイム測定や管理を行うことを可能にしたポータブルタイマーで、開発の中心となったアルペンスキー界だけでなく、陸上競技の現場でも活用が広がっている機器です。中央広場に設けられた30m2レーンの即席ブルートラックでは、当初は田上選手が「パフォーマンス走」としてデモンストレーションするだけの予定が、急きょ、だいまじん・だいじさんとの対決に早変わりする場面も。同時に走ってタイムに1秒のハンデをつけるという条件での勝負は、田上選手が圧勝したものの、その差は1秒内にとどまったことで、だいじさんの勝利という結果になりました。

その後も、女子中学生がお父さんと競ったり、お姉ちゃんが弟の挑戦を受けたり、お父さんと4~5歳の娘が一緒に走る様子をお母さんがベビーカーにいる赤ちゃんと一緒に見守ったり、中学生年代の男の子が友達同士で競い合ったり、10回近くタイムアタックする人がいたりと、さまざまな人が挑戦し、楽しむ姿が見られました。




◆ワットバイク 体験



同じくMDCファイナルの協賛「Wattbike」によりセッティングされた「ワットバイク体験コーナー」では、6秒間の全力ペダリングで最大ワットを計測する「ワットバイクチャレンジ」と、2人でタイムを競い合える「ワットバイク200m対決」が行われました。
ワットバイクは、イギリスで開発された自転車型トレーニングマシン。空気抵抗を負荷に用いることによって、実際のロードバイクに極めて近い感覚での利用できることを特徴としています。パワー、持久力等、目的に応じた強化が屋内でできることで、トレーニング機器としての評価が非常に高く、陸上界も含めて、競泳、スケート、ラグビー、野球等、自転車競技にとどまらず世界中のハイパフォーマンススポーツ分野で導入されています。また、精度の高さから研究分野での測定に使用される例も広がっており、近年ではフィットネスの分野でも人気のマシンとして愛好者が増えています。
ワットバイクチャレンジでは、参加者が会場で示された日本競輪学校養成所合格レベル(男子1694ワット、女子986ワット)や小林選手の最大ワット数(1400ワット)に挑戦。また、対戦する両者のペダリングによる進み具合がモニター画面にイラストで示され、どちらが先着したか確認できるワットバイク200m対決では、小林選手と田上選手が対戦しました。この対決は、小林選手を応援に来たガールズケイリンファンも見守るなかで行われましたが、田上選手が高いパワーも求められるデカスリートの意地を見せ、勝利しました。

小林選手は、このほかにも参加者からの挑戦に応じて、実は10回以上(!)もの対決を行っただけでなく、懸命にチャレンジする参加者たちをサポート。小林選手も声援を送るなか、お母さんと小学校の息子が対決したり、MDCを走ってきたという中学生女子とお父さんが対決したり、小学生低学年の女の子同士が小さな身体の全身を使って漕いで競ったりと、さまざまな“対決”が繰り広げられていました。




◆アスリート トークショー

イベントの終盤では、ゲストアスリート3選手のトークショーが行われました。このコーナーでは、だいまじん・じんのすけさんが、「なぜスポーツ選手になったのか?」「スポーツをしていた楽しいときは?」「うまくいかないときはどうしているか?」「目標が曖昧なときにどうする?」「スポーツにしかない価値はなんだと思うか?」という質問を、小林選手、田上選手、卜部選手に聞いていきました。
スポーツ選手になったきっかけとして、最初のきっかけに共通項があったのは小林選手と卜部選手。小林選手は、「母が実業団のバレーボール選手だったので、物心ついたときから自然とやっていた」と、高校時代にインターハイ出場をも果たしているバレーボールとの出会いを振り返り、ロンドンオリンピックで自転車競技を見て、“これならオリンピックに出られるかも”とケイリンに取り組んだ経緯を紹介しました。また、両親ともにトップランナーだった卜部選手は、自身の名前「蘭(らん)」が、英語で「走る」を意味する「Run」から来ていることを明かし、「この駒沢競技場も、小さいころから両親に連れられてきた場所。そこで走っている選手をずっと見てきて、“かっこいいな”と思って陸上を始めたというエピソードを披露。小さいころから身体を動かすことが好きでいろいろなスポーツに取り組んできたなか、中学から陸上を始めた田上選手は、「なんでもできるヤツが、一番強いと思うしカッコイイ!」という思いから混成競技に取り組むようになったと振り返りました。




「うまくいかないときにどう打破するか」という問いに、「まさに今がスランプ」と打ち明けたのは小林選手です。東京オリンピックを終え、パリオリンピックを目指そうとしていたなか、腰に障害が出たことで、ナショナルチームを退き、ガールズケイリンへの専念を決断。今年の7月には腰の手術を行い、現在は「これから新しいケイリン人生を歩むために、もう一度強くなるための努力としているところ」だと言います。なかなか物事がうまく進まないときでも、「マイナスな気持ちにならず、少しずつ積み重ねていこうという思いで取り組んでいる」と話しました。

「目標が曖昧なときにはどうする?」という質問では、「目標は、無理やりつくらなくてもいいと思う。まずは、自然に湧き上がってくる感情や思いを大切にして、それを目標へと繋げていけばいいのでは?」と卜部選手。また、3選手がともに同様に「人とのつながり」を挙げた「スポーツにしかない価値」については、「競技を通じてできるコーチとの信頼関係などは、普段の生活ではなかなかつくれないものだと思う」(小林選手)、「つながりができることのほかに、心のリフレッシュになることも大きな魅力だと思う」(田上選手)、「みんなで一緒にできることで、感動や喜び、楽しさを共有するきっかけになる」(卜部選手)と、それぞれにスポーツならではの価値をコメントしました。

最後には、参加した人々全員でのじゃんけん大会が行われ、勝ち残った1人には、MDCの記念Tシャツがプレゼント。勝者が決まったあとに、小林選手、田上選手、卜部選手が、その場でサインを書き込み、贈呈されました。



文:写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)


【Home Track Town Project について】



私たちは全国各地で開催される陸上やスポーツのイベントを盛り上げ、地域を活性化させるとともに、人々の生きがいや日々の活力となるような新しい陸上のかたちを地域の皆様と一緒に創り出していきたいと考えています。「走る・跳ぶ・投げる」スポーツの基礎となる陸上は、身体を動かす楽しさを気軽に体験することが出来るスポーツの1つです。

競技場を飛び出し、地域や街中で陸上やスポーツと触れ合う機会が増えれば、その楽しさを、多くの人に身近で感じてもらうことができます。
陸上競技場の外で多くの方がスポーツに触れ、楽しむことのできるイベントを実施することで、走ることが苦手な人も、身体を動かすことができない人も、スポーツをするだけではなく、見る(声援を送る)、支える、それぞれの形で、すべての人がスポーツに関わるきっかけとなり、人と人との繋がりや、スポーツの楽しさなど、新たな発見が生まれることを期待しています。

■【HTTP in 横浜】実施レポート
横浜出身の薄田健太郎・矢澤航がキッズデカスロンチャレンジに登場!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/18426/


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ポイントの集計方法が新しくなり、種目の垣根を越えてランキングを争い「陸上界で最も強いアスリート」が決定します!陸上界最強に輝くのは誰か。是非シリーズを通して選手たちの活躍にご注目ください!

◆【MDCファイナル】リザルト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1746-7.pdf

◆【MDCファイナル】ポイントランキング
https://www.jaaf.or.jp/gp-series/2023/ranking/?g=&c=1746

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