大会第3日に突入したアジア選手権バンコク大会。イブニングセッションで行われた女子走幅跳で、秦澄美鈴選手(シバタ工業)が6m97のビッグジャンプを披露! 日本記録(6m86、池田久美子、2006年)17年ぶりに更新したほか、ブダペスト世界選手権(6m85)およびパリオリンピック(6m86)の参加標準記録をともに大きく突破して、金メダルを獲得しました。この記録は、今季世界4位となる好記録です。
以下、秦選手の喜びの声をご紹介しましょう。
◎秦 澄美鈴(シバタ工業)
女子走幅跳 優勝 6m97(+0.5)
Q:今の心境を。
日本記録はずっと「跳べる、跳べる」と思って、ここまでやってきたわけだが、いざ跳んでみると、すごく気持ちが良かった。今までにも惜しい跳躍とかはいっぱいあったが、そういうのとは比べものにならないというか、そういう感じだった。今まで、「前に抜けただけ」とか「上に浮いただけ」とか、そういうものは何回かあったが、今回は両方とも行けたんじゃないかと思っていて、跳び終わったあとに(記録表示の)ボード越しに横(着地地点)を見たときに、「わ、これ、7(m)行ってるんじゃないかな」と思った。惜しくも(6m)97だったわけだが、それは、「まだ7(m)には行かせないぞ」というお告げなのかもしれない(笑)。今はその(6m)97がまだ、ちょっとウソみたいな気分。80台は行くだろうなとは思っていたが、90台は考えていなかったし、まだ先だと思っていたので。嬉しいのか、信じられないのか、ちょっとよくわからないような気持ちでいる。
Q:6m97の跳躍は、どんな感じだった?
試合自体は、けっこう追ったり向かったりと風が難しいなかでの試技だった、6回目は追っているようで向かっているのかなというような体感だった。もろに風を受ける感じではなかったのだが、風に押されたなという感覚はあまりなく、助走では、最後まで走りきることを意識した。踏み切りは、近くも遠くもないような感覚で、けっこうしっかりと踏み切ることができたので、「パコーン」と身体が浮いた。いつもは浮きすぎると、「浮いて、ポトと落ちる感じ」があるのだが、今日は、「あ、まだ(身体が)落ちないな」という感覚の跳躍だった。
Q:ずっと出せると言われていた日本記録を、今回出せた要因は?
今回、気候も暑くて、競技の途中も日射しが強くて火傷するんじゃないかというくらい暑くて、すごくしんどかったのだが、6月の日本選手権で「日本記録を出すこと」を強く意識しすぎてうまくいかなかったことが反省点としてずっとあった。そういう意味で、今回跳べたのは、本当に自分の跳躍に集中できたというところがすべてなのかなと思う。次はきっと「7m」と言われることになるが、そこでまたあまりに「7m」を意識すると、また、それが7mに到達しない要因になってしまう。今回の試合で、「自分の跳躍に集中することがしっかりできたら、私は跳べるんだ」ということを、改めて再確認できたように思うので、いい跳躍が…まあ、1本だけだったけれど(笑)、できて良かった。
Q:これでブダペスト世界選手権とパリオリンピックの参加標準記録をどちらも突破したが…。
あ、ホントですね(笑)。(参加標準記録のことは)全く意識していなくて、「日本記録だー!」と思っていたので(笑)。そういえば、そうですね(笑)。あとは、パリに向けて、この跳躍…(6m)70台だったり、80台だったりをもっともっと安定させたい。今回も90台の跳躍は6本目で、70台の跳躍が4本目。(世界大会で予選通過や決勝でのトップ8進出に必要な)最初の3本までの試技ということでは、今回は52(3回目:6m52)。まだまだ世界の舞台でメダルを取ることや入賞を目指すためには、力は足りていないと思う。記録を安定させることを考えて、しっかりとパリに向かっていきたい。
※コメントは、競技後、ミックスゾーンで行われた共同インタビューでの発言をまとめました。より明確に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施しています。
文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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