2023.05.23(火)選手

【第107回日本選手権展望】男子投てき編:やり投・今季好調のディーンは2連覇達成なるか!混戦必至の戦いを制すのは?



第107回日本陸上競技選手権大会」が6月1~4日、第39回U20日本選手権との併催で、大阪市のヤンマースタジアム長居で開催される。今回、実施されるのは、12月10日に予定されている男女10000m、6月10~11日に行われる男女混成競技(十種競技、七種競技)を除くトラック&フィールド全34(男女各17)の決勝種目。2023年度の「日本一」の座が競われるとともに、本年8月にハンガリーのブダペストで開催される世界選手権、そして来年のパリオリンピックに向けて大きな影響力を持つアジア選手権(7月、タイ・バンコク)、アジア大会(9月、中国・杭州)の日本代表選手選考競技会も兼ねている。

ブダペスト世界選手権の出場資格は、昨年行われたオレゴン世界選手権同様に、ワールドアスレティックス(WA)が設定した参加標準記録を突破した者と、各種目のターゲットナンバー(出場枠)を満たすまでのWAワールドランキング上位者に与えられる。日本代表選手の選考は、日本陸連が定めた選考要項( https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202209/27_175114.pdf )に則って進められるため、日本選手権で即時内定を得るためには、3位以内の成績を収めたうえで、決勝を終えた段階で参加標準記録を突破していることが条件(ただし、オレゴン世界選手権入賞者は、順位に関係なく参加標準記録を突破した段階で内定)となる。
ここでは、各種目の注目選手や見どころをご紹介していこう。

※エントリー状況、記録・競技結果、ワールドランキング等の情報は5月21日時点の情報により構成。同日以降に変動が生じている場合もある。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)


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【男子砲丸投】

混戦必至の戦いを制すのは?幸長は、円盤投との2冠に挑む



今年は、春先の競技会が天候に恵まれなかった影響もあり、5月20日の段階で今季日本最高は18m01。18m台は、この1パフォーマンスのみにとどまっている。エントリーリストをみると、18m台の自己記録を持つ選手が7名、資格記録でみても17m台後半から18m台の記録を持つ選手がひしめき合っていて混戦必至の印象だ。今季日本リストの上位記録が大きく塗り替えられていくような豪快な投げ合いを期待したい。

記録の伸び具合や勢いをみると、昨シーズンに自己記録を18m42まで更新したアツオビン・ジェイソン(福岡大学、ダイヤモンドアスリート)が優勝候補。しかし、今季は、4月9日にマークした17m32がシーズンベスト。右股関節を痛めた影響で、日本学生個人選手権や日本グランプリシリーズの水戸招待を欠場、5月の九州インカレは16m台で2位と苦境が続いている。万全であれば、19m台を目指す一番手といえる存在だが、まずは完全復調を優先させなければならない状況だという。

前述の今季日本最高をプットして兵庫リレーカーニバルを制したのは岩佐隆時(Team SSP)で、これが自身初の18m台だった。兵庫リレーカーニバルでは、3投目に17m73の自己新をマークしたのちに、最終投てきで記録を伸ばしている。日本選手権は2021年の4位が最高成績。同じような展開で自己記録を上回っていけるようだと、初の表彰台が見えてくる。2020年に18m29を投げている森下大地(第一学院高教)は、2021年秋の左足アキレス腱断裂を乗り越え、昨年の全日本実業団で復活優勝を果たした選手。今季は、着々と記録を伸ばし、17m86で水戸招待を制している。18mに乗るかどうかの混戦となった場合には、存在感を示してきそうだ。
このほか、日本歴代4位の18m64を自己記録(2021年)に持つ武田歴次(四国急行)は2019年・2021年のチャンピオン。1年おきのインターバルで3回目のタイトル獲得なるか。前回、18m29で初優勝を果たした村上輝(日本体育施設)は、このとき全6回の試技のうち5回で、大会前までの自己記録を上回る18m台をマークする安定感が光った。この水準を再現できるようだと、勝利も記録もついてくるだろう。2020年覇者の幸長慎一(四国大AC)は、円盤投で今季日本最高の62m52をマークし、V候補の筆頭に位置している。2日目に決勝が行われる円盤投とのダブルタイトルが見られるかもしれない。


【男子円盤投】

3強の堤・幸長・湯上が激突!60m台での勝負を期待



男子円盤投は、日本記録保持者(62m59、2020年)の堤雄司(ALSOK群馬)が4連覇中。2012年に初めて選手権を獲得して以降では9回の優勝を果たしており、今回勝てば10回目の偉業を達成する。長年、男子円盤投の水準を引き上げてきた日本のエース。昨年のシーズンベストは59m45、今季も58m28にとどまっているが、「ここ一番」での勝負強さは群を抜く。

ただし、今季は若手の幸長慎一(四国大AC)が大躍進。4月に62m52をマークして、日本歴代2位へと浮上してきた。中学時代から、その年代のトップランカーとして活躍してきた選手で、2016年にはU20世界選手権円盤投で8位に入賞。砲丸投では、2020年に日本選手権を獲得している。円盤投では、2021年に60m69を投げて、日本人3人目の60mスロワーとなったが、日本選手権では2019年の2位が最高位、その後、3年連続で3位にとどまっている。そろそろ一番高い所でメダルを受け取りたい。課題は、競技結果にばらつきがみられる点か。どんな試合でも58~59m台で安定するようなパフォーマンスができるようになると、日本記録の更新がより現実的になってくるはずだ。

堤・幸長とともに、長年“3強”の一角を占めているのは湯上剛輝(トヨタ自動車)。自己記録の62m16は、2018年日本選手権でマークしたもの。このときはシリーズのなかで日本記録を2回塗り替え、堤の5連覇を阻み、初優勝を果たした。今季は、中部実業団を制した際に投げた58m76がシーズンベスト。まずは、2018年7月以来みることのできていない60mラインを超えていく投てきが欲しい。
このトップ3に割り込んでくる選手が、なかなか出てこないのが少々寂しいところだ。記録的には、ベテランといえる年代になった米沢茂友樹(オリコ、自己記録58m53、2017年)が、昨年58m11のセカンドベストをマークしているが、今季は51m53にとどまっている。ここからどこまで調子を合わせてくるか。このほか、日本学生個人選手権を54m91の自己新で制した北原博企(新潟医療福祉大学)、大学2年時の2020年に55m33を投げている山下航生(九州共立大)ら学生陣が56~58mあたりの記録を投げてくるようになると、戦いは一段と見応えのあるものになるだろう。


【男子ハンマー投】

柏村、5回目のVに視界良好!福田は2回目のタイトル、中川は初優勝狙う



5月3日の静岡国際で上位を占めた柏村亮太(ヤマダホールディングス)、中川達斗(新潟アルビレックスRC)、福田翔大(日大院)を中心とした戦いになりそうだ。
優勝候補の筆頭といえるのは柏村だろう。静岡国際で72m92をマークして、昨年の日本選手権で出した日本歴代4位の自己記録(72m77)を15cm更新。日本選手権は、2016年の第100回大会で初優勝を果たしてから昨年までに4回制しており、今回勝てば5回目となる。勝利を大前提に、まずは73m台、そして日本歴代3位となる74m08(土井宏昭、2007年)に迫る投てきをターゲットとして臨んでくることになりそうだ。

柏村を追うのが福田と中川。静岡国際では3位となったが、71m42でエントリーリスト2番手につけている福田は、実はすでに日本選手権タイトルを獲得済みの選手。2021年大会で、柏村の連覇を阻み、1995年大会における室伏広治(日本記録保持者84m86)以来の大学生日本選手権獲得者となった。今季は、そのときにマークした自己記録71m37を、初戦の日本学生個人選手権で5cm更新して優勝する幸先のよいスタートを切ると、2戦目の静岡国際でも70mライン(70m06)を越えてきた。
昨年の日本インカレで71m39の自己記録を投げ、その福田を押さえて優勝を果たしているのが中川だ。2021年に71m10を投げて、70m台を飛び越し70mスロワーとなった選手。昨年は8大会で70mオーバーを果たし、安定感を印象づけた。静岡国際では自己4番目の71m09で、福田の上に来た。福田にしても中川にしても、この記録水準をもう1段階引き上げるのと並行して、6回のシリーズ内でどれだけ70mを上回っていけるかが課題となりそうだ。

このほか、昨年自己記録を更新している古旗崇裕(Bring Up AC、71m34)、墨訓熙(小林クリエイト、71m22、2018年優勝者)、2021年に出した自己記録(71m21)に迫る71m16を投げている木村友大(ゼンリン、2017年・2019年アジア選手権代表)も力のある選手。また、今季70m台(70m49)に乗せてきた小田航平(九州共立大)は、この勢いを加速させたいところだろう。


【男子やり投】

ディーンが2連覇なるか、今季好調の﨑山は初の日本タイトル獲得を目指す



男子やり投のブダペスト世界選手権参加標準記録は85m20。これをクリアするのは容易なことではない。しかし、WAワールドランキングにおいては、5月21日時点で、4選手が「36」のターゲットナンバー内に名前を連ねており、フルエントリーを実現できる可能性は高い。
ランキングでなく標準記録を突破しての代表入りを狙っているのは、ディーン元気(ミズノ)。昨年、日本選手権を10年ぶりに制してオレゴン世界選手権では決勝に進出、トップ8入りに肉薄する9位と、完全復活を果たした。今季は、織田記念を77m94で制してシーズンイン。5月5日には11年ぶりにダイヤモンドリーグにも出場した(ドーハ大会、79m44・7位)。セイコーゴールデングランプリでは、シーズンベストを82m03に更新。この試合では、最終投てきで81m94をマークするなど、アベレージも含めて着々と調子を上げてきている。

ディーンと同じ1991年生まれで、日本歴代2位の86m83(2014年)の自己記録を持つ新井涼平(スズキ)の復調も楽しみの1つ。新井は、日本選手権を2020年まで7連覇、2015年北京世界選手権(9位)、2016年リオオリンピック(11位)と高い実績を残してきた。近年はケガの影響などで苦しい時期が続いていたが、昨年、82m99をマークして日本リスト1位に返り咲くと、今季は82m21でシーズンイン。復調の兆しを見せている。懸念材料は、織田記念(3位)、木南記念(4位)が77~78m台にとどまり、セイコーゴールデングランプリは欠場している点。うまくピークを合わせてくることができれば、3年ぶり8回目の戴冠もみえてくる。
ディーンとともに、昨年、オレゴン世界選手権に出場した小椋健司(エイジェック)は、セイコーゴールデングランプリでシーズンベストを78m99まで上げてきた。78m台での安定感はみられるが、そろそろ「一発」が欲しい。まずは2021年に出した81m63の自己記録更新がターゲットになってきそうだ。

5月6日の木南記念で、日本歴代5位の83m54をマークし、この3選手を上回ってきたのが 﨑山雄太(愛媛陸協)だ。すでに2019年に80m14を投げている選手で、ケガなどの影響で伸び悩んだが、ポテンシャルの高さは知られており、関係者間では「眠れる獅子が目覚めた」という認識だ。ただし、試技内容のムラが大きすぎる点が課題で、それは当人も認めるところ。ランキングポイントでも4番手につけているだけに、日本選手権では順位も意識しながらのパフォーマンスが求められそうだ。
学生陣では、巖優作(筑波大学)が4月に80m09をマークして、 80mスロワーの仲間入りを果たした。その後、日本学生個人選手権、関東インカレを制し、8月上旬に中国・成都で開催されるワールドユニバーシティゲームズの日本代表にも内定している。トップランカーたちとの競り合いのなかで、80m台の再現性を高めておきたい。



【日本選手権】楽しむポイント

>>https://www.jaaf.or.jp/jch/107/enjoy/


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https://www.jaaf.or.jp/jch/107/news/article/18021/

記録と数字で楽しむ 第107回日本選手権


【チケット情報】

今年はスペシャルチケットとして、テーブル・コンセント付きの最上位グレード席となる「SS席」のほか、1日50席限定の「B席アスリート交流チケット」、1日15席限定の「カメラ女子席」、そして日本選手権では初めてサブトラックの観戦ができる「サブトラック観戦チケット」の販売をいたします。既に完売の席種もございますので、是非お早めにお買い求めください!



■S席のポイント


S席はメインスタンド1階層の中央からフィニッシュ付近の座席です!
トラック種目のフィニッシュシーンを間近で観戦できます。
王者誕生の瞬間を近くで見届けたい方におすすめの座席です!


■A席のポイント


A席は南サイドスタンド側、フィニッシュ付近の自由席です!
トラック種目のフィニッシュを正面から観戦できるため、フィニッシュ直後の選手たちの表情も間近で見ることもできます。
また、投てき種目(やり投・ハンマー投・円盤投・砲丸投)のピットも近いので選手たちの投てき前の集中した表情も観戦できます。


■B席のポイント


B席はメインスタンドのスタート側から中央にかけての自由席です!
100m、100mハードル、110mハードルのスタートシーンが間近で観戦できます。
スタート前は選手の鼓動が聞こえるほどに静まり返ります。


■C席のポイント


C席はサイドバックの自由席となります
C席のチケットをお持ちの方の他、サブトラック観戦チケットを除く全てのチケットの方も移動しての観戦が可能です!!
バックスタンド側で実施される走幅跳・三段跳では是非、バックスタンド側のC席から大きな拍手で応援をお願いいたします。
また、北サイドスタンド側では3000m障害物の水郷付近での観戦が可能です。水しぶきをあげて駆け抜ける迫力のある走りを是非ご覧ください。

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