2022.06.28(火)大会

【日本グランプリシリーズ】坂井隆一郎が今季アジア最高記録の10秒02で世界選手権日本代表内定、110mハードル高山も世界選手権参加標準記録を突破/布勢スプリント2022



布勢スプリント2022」が6月24~25日、日本グランプリシリーズ鳥取大会として、ヤマタスポーツパーク陸上競技場(鳥取県立布勢総合運動公園陸上競技場)で開催されました。オレゴン世界選手権出場資格記録有効期限ぎりぎりのタイミングということで、今年は会期を2日にして、例年行われる男女100mとスプリントハードル(男子110mハードル、女子100mハードル)のほかに、男子300m、男子200m、男女走幅跳、男女三段跳の6種目も実施。出場選手たちは、参加標準記録の突破やWAワールドランキングのポイントアップに挑みました。


坂井が今季アジア最高の10秒02をマーク!

参加標準記録を突破して、世界選手権代表に内定!


写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

サニブラウン・アブデル・ハキーム選手(タンブルウィードTC)のみが日本選手権で条件を満たして、オレゴン世界選手権の出場権を獲得していた男子100mでは、日本選手権で2~4位を占めた坂井隆一郎選手(大阪ガス)、栁田大輝選手(東洋大、ダイヤモンドアスリート)、小池祐貴選手(住友電工)らがエントリー。残り2枚の「オレゴン行きチケット」を掴むべく、最後のトライアルに挑みました。
そのうちの1枚をつかみとったのが、坂井選手です。追い風1.1mと絶好の追い風に恵まれたなか、今季アジア最高記録となる10秒02でフィニッシュ。日本選手権決勝でマークした自己記録(10秒10)を更新するとともに、この種目の世界選手権参加標準記録の10秒05をクリアし、条件を満たしたことで、オレゴン世界選手権の日本代表に内定しました。この記録は、所属する大阪ガスの偉大な先輩である朝原宣治さんの自己記録(2001年、当時日本歴代2位)に並ぶもので、日本歴代7位タイに浮上する好記録です(坂井選手のコメントは、別記をご覧ください)。

このほか、予選では、1組(+1.2)で韓国記録保持者(10秒07)のKIM Kukyoung選手(10秒09)に続いた栁田選手が10秒22を、坂井選手が10秒02をマークした2組ではデーデーブルーノ選手(セイコー)がセカンドベストの10秒20を、3組目(+1.4)では小池選手が10秒19で先着し、今季好調の伊藤孝太郎選手(東京ガスエコモ)が10秒22の自己新記録で続く結果となりました。

予選で競技を終了させた坂井選手を除く8名で行われた決勝は、複数が横一線で激しく競り合う展開となりましたが、終盤で混戦を抜けだしたデーデー選手が先着。予選と同じくセカンドベストの10秒20(+0.1)を再びマークして、日本グランプリシリーズで初めて優勝を果たしました。社会人1年目の今季は春先から苦戦が続き、復調の兆しが見られた日本選手権も100m(準決勝落ち)・200m(予選落ち)ともに決勝進出を逃す結果に終わっていたデーデー選手ですが、レース後は、持ち味の終盤の強さをはじめとして、走りの感覚が戻りつつあることを喜ぶとともに、「セイコーの先輩である山縣亮太さん(前回、9秒95の日本新記録で優勝)に続いて優勝することができて嬉しい」と笑顔を見せていました。



200mにおいてWAワールドランキングでターゲットナンバー圏内に位置し、100mでもターゲットナンバーに近い位置にいる小池選手は、決勝は10秒23で、KIM選手と0.02秒差の3位でフィニッシュ。日本選手権で3位の成績を残し、世界選手権参加標準記録を突破すれば日本代表内定の可能性もあった栁田選手は、4位の伊藤選手と同タイムの10秒27ながら着差ありで5位という結果でした。




110mハードルは高山が予選決勝ともに世界選手権参加標準記録を突破!



男子110mハードルは、日本選手権で、泉谷駿介選手(住友電工、日本記録保持者)と村竹ラシッド選手(順天堂大)が、すでに世界選手権の日本代表に決定。「残り1枠」となった代表の座を巡る争いで、今回、一気に最前線へ躍り出る結果を叩き出したのが、高山峻野選手(ゼンリン)でした。予選で、13秒31(+0.5)をマークして、自身が2019年に樹立した大会記録(13秒36、当時日本タイ記録)をあっさり更新すると、向かい風(0.5m)となってしまった決勝でも13秒32をマークして優勝。2ラウンド連続で世界選手権参加標準記録(13秒32)を突破してみせたのです。

2019ドーハ世界選手権では準決勝に進んで決勝進出に肉薄、昨年の東京オリンピックにも出場している高山選手ですが、今年は苦しい戦いが続いていました。食あたりに見舞われたり、左アキレス腱に痛みが出たりした影響で、春先は十分な練習が積めず記録も低迷。その焦りもあって日本選手権に向けては、「(練習を)やりすぎて」しまったそうで、予選ではシーズンベストを13秒5台に引き上げたものの、決勝は5位の結果に終わっていました。
この大会では「13秒5を切ればいいかなと思っていた」とのこと。結果については「意外な感じ」、世界選手権参加標準記録は「全く狙っていなかった」、13秒3台を2本並べたことについても、「なんとなく出ちゃった感じなので、よくわからない」とコメント。「日本選手権までにしっかり積んだ練習で“やりきった感”があったが、(日本選手権後)休んで、疲労を抜いたことでフレッシュな状態で臨めた。それがよかったのかも」と、高山選手らしい飄々とした様子で、自身の状況を分析しました。
選考基準で優先順位の高い「日本選手権3位以内」(3位)の成績を残している石川周平選手(富士通)が、WAワールドランキングでターゲットナンバー内にとどまる可能性もあり、高山選手と石川選手のどちらが代表になるかは、資格有効期限内のランキング結果が出るまで待つ形となります。高山選手は、「まあ、出られなかったら出られなかったで、家で織田裕二さんの声を聞きながら応援したい」と報道陣を笑わせつつも、「(出場が)決まった場合は、気持ちを切り替えて、そこに1本絞って、準決勝に行けるように頑張りたい」と意欲を見せていました。

一方の石川選手は、日本選手権後、すぐにフィンランドに飛び、6月18日にカテゴリーB(日本選手権と同じレベル)のクオルタネ・ゲームズに出場して優勝を果たし、ポイントをきっちり上積みしたなかでの出場でした。決勝は13秒74で4位にとどまったものの、予選では、シーズンベストで自己2位タイとなる13秒39(+2.0)をマークしています。



今回、「練習の一環として」出場したのは、すでに日本代表に決まっている村竹選手。13秒39(+1.6)で予選を1着通過すると、決勝は高山選手に続いて13秒47で2位という結果でした。実は、決勝で、レース中に剥がれた腰ナンバーカードが手に張りつくというハプニングに見舞われたそうで、「予選の(13秒)39はいいとして、決勝はベストかそれ以上のタイムが出したかった」とちょっぴり悔しそうな表情も見せましたが、世界選手権に向けて順調な経過を見せている様子が窺えました。


100mハードルでは、福部が日本人3人目の12秒台!

青木が12秒台を連発して優勝



女子100mハードルでも、 予選から素晴らしいパフォーマンスが誕生しました。まず1組目で、日本選手権を初優勝するなど今季躍進著しい福部真子選手(日本建設工業)が、1.7mの追い風に乗って日本人3人目の12秒台突入となる12秒93でフィニッシュすると、3組目では、4月に12秒86の日本記録をマークして、世界選手権参加標準記録(12秒84)に0.02秒まで迫っている青木益未選手(七十七銀行)が12秒97(+0.7)をマーク。日本人最初の12秒台ハードラーで、今季をリフレッシュする1年と位置づけ、日本選手権には出場していない寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)を含めて、12秒台ハードラー3選手が顔を揃える史上最高水準の決勝が実現しました。決勝では、隣り合った青木選手と福部選手が激しいデッドヒートを繰り広げた末に、青木選手が2レース連続の12秒台となる12秒97で優勝。2位となった福部選手も、この大会までの自己記録(13秒05)を上回る13秒04をマークしました。実はこのレース、午後になって風向きが変わったことで、1.0mもの向かい風のなかでの実施されたもの。「予選と同じ条件下で行われていたら…」と風を恨まずにはいられない結果となりました。

12秒84という世界選手権参加標準記録の突破は叶いませんでしたが、この大会前の段階で、女子100mハードルにおけるWAワールドランキングは、どちらも世界選手権のターゲットナンバー(40)圏内にいた青木選手と福部選手。参加資格有効期限内における最終的な結果を待ってのこととなりますが、このレースの結果、ともに世界選手権に出場できる可能性が見えてきました。

一方、13秒07(-0.1)をマークした5月のセイコーゴールデングランプリ以来のレースとなった寺田選手は、今大会は100mと100mハードルの2種目にエントリー。大会前にはSNSで「高校生ぶりに4本走る予定です。こわい」と呟いていた寺田選手は、計画通り4時間のなかで4レースに出場し、100mH予選で13秒20(+1.7)、100m予選で11秒85(+1.8)をマーク。100mH決勝は13秒52(-1.0、8位)、B決勝での出場となった100mの決勝は12秒07(-0.5)と、さすがにタイムを落としましたが、来季以降に向けての第一歩を踏み出す結果を残しました。



君嶋、11秒3台でのマッチレース制す

兒玉は予選で11秒26(追い風参考)をマーク!



女子100mは、東京オリンピックで4×100mリレーに出場した兒玉芽生選手(ミズノ)が、追い風参考(3.1m)ながら予選で11秒26の好タイムをマーク。決勝での好記録への期待をぐんと高めました。その決勝(+0.3)は、日本選手権で初優勝を果たした君嶋愛梨沙選手(土木管理総合試験所)と兒玉選手の対決に。2人は熾烈な優勝争いを繰り広げ、君嶋選手が11秒36、兒玉選手11秒38と、ともにセカンドベストをマークするハイレベルなレースとなりました。
このほか、前日(6月24日)に行われた男子200mでは、日本選手権で初優勝を果たした上山紘輝選手(住友電工)が20秒52(+1.2)で先着し、ワールドランキングでの世界選手権出場を、ほぼ確実なものに。また、男子300mは32秒72をマークしたウォルシュジュリアン選手(富士通)が制しました。男女走幅跳は、津波響樹選手(大塚製薬)が7m92(+2.4)、小玉葵水選手(東海大北海道)が6m18(+1.0)で、それぞれ優勝。男女三段跳は、池畠旭佳瑠選手(駿河台大学AC、16m30;+2.2)と森本麻里子選手(内田建設AC、13m42;+3.1)が勝利を収める結果を残しています。


【世界選手権日本代表内定者コメント】

男子100m

坂井隆一郎(大阪ガス)

予選1着 10秒02(+1.1)=オレゴン世界選手権日本代表内定



布勢がタイムの出る競技場で、いい風が吹くことは知っていた。決勝になると考えすぎて力むかなと思っていたので、予選から(世界選手権参加標準記録の10秒)05を狙っていこうと意気込んでいた。記録が出て、本当に良かった。(速報タイムが出てから正式記録が発表されるまでの間は)「公認(記録)であってくれ」という気持ちでいっぱいだった。
肉体強化をしたおかげで、すべてのレースにおいて、自分のやりたい動きがコンスタントにできるということが、今年になってできるようになった。効果があったのかなと思う。
個人でシニアの世界大会の代表になるのは初めてとなる。自分の走りがどこまで通用するのかわからないが、この流れのまま、いい感じで世界陸上を迎えて、世界の強豪の選手たちと戦うことができればいいなと思っている。
(今回)10秒05を切ったので、世界陸上では9秒台を目指して、準決勝、決勝と、なるべく多くのラウンドを走れるように頑張りたい。また、(4×100m)リレーのメンバーに選んでもらえたら、自分の走りをしっかりして、メダル獲得に貢献できればいいなと思っている。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ

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