2022.06.14(火)大会

【第106回日本選手権】総括会見レポート



オレゴン世界選手権代表選考会を兼ねて開催された第106回日本選手権は6月12日に、4日間の日程を無事に終え、閉幕しました。日本陸連は、大会の全日程が終了したあと総括会見を開き、山崎一彦強化委員長がトラック&フィールド種目全般に関して、また高岡寿成シニアディレクターが担当する中・長距離種目に関して、オレゴン世界選手権を見据えた観点で、それぞれに総括しました。

会見の要旨は下記の通りです。


 


■山崎一彦強化委員長

この日本選手権で、8種目で10名の内定者が出た。そのなかには、私たちが入賞レベル以上の活躍を期待できそうな選手たちも数名いたので、少し安堵感を持っている。サニブラウンアブデルハキーム(Tumbleweed TC、男子100m)、泉谷駿介(住友電工、男子110mハードル)、三浦龍司(順天堂大、男子3000m障害物)、橋岡優輝(富士通、男子走幅跳)あたりは、入賞レベル以上の戦い方をしたのではないかと感じている。

また、世界選手権参加標準記録に届かなかったことで、内定には至っておらず、これからターゲットナンバー以内に入ることを待たなければいけない選手たちもいる。小池祐貴(住友電工、男子200m)、真野友博(九電工、男子走高跳)、北口榛花(JAL、女子やり投)、秦澄美鈴(シバタ工業、女子走幅跳)、青木益未(七十七銀行、女子100mハードル)あたりには、これからの資格有効期間内の参加標準記録突破も含めて、ターゲットナンバーに入ってもらいたいなと思っている。

ベテラン勢については、今年はオリンピックイヤーの翌年ということで春先からアクシデントがあるなど、少し元気がないところもあったが、2024年のパリオリンピックを考えるのなら、今年は「静かな年」ということでも十分に間に合うのではないかと考えている。そのなかで男子200mの上山紘輝(住友電工)、400mの佐藤風雅(那須環境)など、世界選手権の参加標準記録を突破するレベルには到達していないものの、若い選手たちも台頭してきている。女子についても、「(WAワールドランキングのポイントを出すために必要な)5レース揃えていくことができれば」という点では、400mハードルの山本亜美(立命館大)あたりが、チャレンジが視野に入るような選手たちも出てきている。そうした選手たちが、あと2年間かけて、世界を意識しながらチャレンジしてもらえたらと思う。

それから、雑感としては、特にワールドランキングのポイントを獲得するために5つの記録を揃える必要があるトラック&フィールド種目については、春先からの各大会の結果では、少し足りないと感じた面があった。東京オリンピックまでは、ポイントの獲得は、日本国内で実施される大会でまかなえるのではないかと考えていたが、今季の状況をみると、ヨーロッパで記録が出ていること、また、ヨーロッパ等で実施される競技会ではカテゴリの高い競技会が多く、それほど記録を出していなくてもカテゴリの高さによって高いポイントがついたりしているケースが見受けられることなどから、(世界選手権やオリンピックへの)出場者を増やすという観点でみた場合、内向きでやっていても厳しい状況になるのではないかと感じている。そのあたりの世界の動向は、来年以降、考えていく必要があると考えている。

一方で、参加標準記録を突破しているレベルの選手たちには、また違った戦略が必要とも感じている。これらの選手の場合は、経験を積むことを目的に、こちらもヨーロッパ等のグレードの高い競技会に参加するような機会を設けていくことも必要だと考えている。

 


■高岡寿成強化委員会シニアディレクター(中長距離・マラソン担当)

私は、中・長距離種目について触れていきたい。会期の4日間ともに、まずまずの気象コンディションとなった。当然、日本選手権では、優勝を目指してのレースになるわけだが、レース展開といったところで、どの種目でも積極的なレースができていたのではないかと思っている。そのなかでも女子では、勝負という面でも非常に面白さがあった。

私が、特に、注目したのは、男子3000m障害物の三浦。彼がいいペースで先頭を走ったことによって、多くの選手が自己記録を更新、青木涼真(Honda)も参加標準記録を突破した。女子では、田中希実(豊田自動織機)が800m・1500m・5000mの3種目に出場し、優勝2つ(1500m・5000m)、2位1つ(800m)の成績を上げた点が目を引いた。世界選手権を見据えた上でのレースだったと思うが、十分に力を発揮したといえる。特に、800mの決勝を走ったのちに臨んだ5000mで、最後の1000mを2分50秒であったり、ラスト400mを62秒で回れたりしたことは、彼女の取り組んできた強化が実ってきていることを示すもので、世界選手権でも期待できる部分だと思う。

このあと、6月22日に深川(北海道)で世界選手権参加標準記録突破を目指す大会(ホクレンディスタンスチャレンジ20周年記念大会)を実施するので、そこでさらに長距離のほうも追加の代表選手を出すことができるようになればいいと考えている。

 
※本内容は、6月12日に実施した記者会見において、登壇者が発言した内容をまとめた。より明瞭に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施している。

 
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト


■第106回日本陸上競技選手権大会 特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/



■オレゴン2022世界陸上競技選手権大会 日本代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202112/16_191504.pdf

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