2022.04.28(木)大会

【第106回日本選手権10000m展望~女子編~】標準突破済みがすでに4名!オレゴン世界選手権日本代表「3枠」を争う大激戦のレース



第106回日本陸上競技選手権大会・10000m」が5月7日(土)本年7月にアメリカで開催される「オレゴン2022世界陸上競技選手権大会」の日本代表選手選考競技会を兼ねて、東京・国立競技場において開催される。
オレゴン2022世界選手権の参加標準記録は、男子が27分28秒00、女子が31分25秒00。日本選手権で即時内定を得るためには、このレースを3位以上でフィニッシュしたうえで、レース終了時点で参加標準記録を突破していることが必要だが、当日の気象条件によっては、このレースで、男女各3枠が埋まり、計6名の内定がアナウンスされる可能性もある。
東京オリンピックの会場となった現在の国立競技場における日本選手権の開催は、これが最初。そして、オリンピックでは叶わなかった有観客での開催となる。今大会では、グラウンド観戦ができる席種も新たに設定された。ファンが間近で見守るなかでのレースは、選手たちのモチベーションを大いに高めてくれるはずだ。
男女ともに好勝負が期待できそうなこのレース。エントリーリストに基づき、注目選手を紹介していこう。

※情報や記録・競技会等の結果は、4月22日時点の情報で構成。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト


【女子10000m】

女子は、昨年の段階で不破聖衣来(拓殖大学、30分45秒21)、廣中璃梨佳(JP日本郵政G、31分00秒71)、五島莉乃(資生堂、31分10秒02)、安藤友香(ワコール、31分18秒18)、小林成美(名城大学、31分22秒34)の5名が、31分25秒00の参加標準記録を突破済み。このうち、前回、この大会で2位となり、東京オリンピック出場を果たした安藤は今大会は不出場(マラソンで杭州2022アジア競技大会代表に内定している)。また、30分20秒44(2020年)の日本記録を持ち、東京オリンピックにも出場した新谷仁美(積水化学)も、エントリーはしていない(マラソンでオレゴン2022世界選手権日本代表に決まっている)。このため日本選手権で記録を問わずに内定を得ることが可能なのは、不破、廣中、五島、小林の4選手。最大で3選手が、日本選手権のメダルとともに、「オレゴン行き」の切符を手にすることとなる。
優勝候補を実績面でみるのなら、昨年の東京オリンピックに5000m・10000mの2種目で出場し、5000mは14分52秒84の日本新記録で9位、10000mでは31分00秒71で7位入賞を果たした廣中が最右翼といえるだろう。前回大会は、自身2度目の10000mという状況で、堂々たるレースを展開して31分11秒75で初優勝。2種目で大活躍した東京オリンピックでの出場に繋げた。東京オリンピック以降は、トラックレースは9月の全日本実業団1500mのみ(7位)。ロードでは、11月の全日本実業団対抗女子駅伝(3区)と、今年1月の全国都道府県女子駅伝(アンカー)に出場して、どちらも区間賞を獲得しているが、今季は、この日本選手権が初戦となる。6月の日本選手権で5000mも控えることを考えると、長期で見据えるなら2024年パリオリンピックに向けて、徐々に上昇傾向を描いていく方針か。となれば、まずは着実に代表権獲得(3位以内)することがターゲットになるだろうが、いざ勝負となったときの集中力の高さは当代随一。うまくピークをつくることができていれば、連覇を狙っての走りをみせてくれるはずだ。



記録面でみるのなら、拓殖大1年目の昨年度に、“大ブレイク”した不破の走りに注目が集まる。潜在能力の高さは中学・高校時代から関係者の間で評判になっていた選手だが、昨年のトラックシーズンに、5000mでU20日本選手権、日本インカレを制すると、12月には初めて挑んだ10000mで日本歴代2位の30分45秒21をマークして、世界選手権参加標準記録をあっさりとクリア。昨年10月の全日本大学女子駅伝、12月の全日本大学選抜女子駅伝、そして今年1月の全国都道府県女子駅伝で快走したことで、全国区で大きな注目を集める存在となった。万全であれば、廣中と並んで優勝候補の筆頭に挙がるところだが、3月に19歳になったばかりの不破にとっては、快走に次ぐ快走の負担は大きかったようで、全国都道府県女子駅伝以降に、坐骨神経痛やアキレス腱周囲炎などを発症し、4月に入ってようやくジョギングを再開するという経過を辿った。4月17日の日本学生個人選手権は5000mに出場し、17分30秒45で最下位(12位)にとどまったが、これは実戦を経験しておくために、敢えての参戦だったと、のちに明らかにしている。現段階で完全な状態に仕上げるのは難しいとみるが、まずは代表権獲得に向けて、着実に3位以内を狙うレースを展開していくことになるだろう。



スロースタートの印象を受ける廣中・不破に対して、快調にレースを重ねているのが五島だ。昨年11月末の全国実業団女子駅伝5区で区間新の快走を見せたあと、12月にこの種目の参加標準記録を突破。今年に入ってからも1月の全国都道府県女子駅伝1区で区間賞を獲得、2月の全日本実業団ハーフマラソンでは優勝を果たした。4月の「第30回金栗記念選抜中長距離大会2022」では5000mに出場して、日本人では3番手の全体8位の結果を残している。上昇機運にある勢いで、初の世界選手権代表の座もつかみとりたいところだろう。



学生最後のシーズンを迎えた小林は、2月に行われた日本選手権クロスカントリーを制して、すでに「日本選手権獲得者」となっている。4月17日の日本学生個人選手権では、10000mを33分21秒48で制し、世界選手権の前に中国・成都で開催されるワールドユニバーシティゲームズ(旧称:ユニバーシアード)10000mの代表に選出された。世界選手権出場が決まった場合に、この連戦にどう向かうかという問題はさておき、将来的なキャリアを見据えても、ぜひとも今年、世界選手権を経験しておきたいはずだ。



展開で考えるなら、序盤から果敢に攻めていく不破・廣中・五島が中心となって、レースを進めていくことが見込まれるが、不破・廣中の出足を考えるとハイペースな入りにはならない可能性もある。そうなった場合、五島が序盤から主導権を握ったり、レースの流れに乗って序盤をうまく走った小林が終盤で勝負を仕掛けられる状態になったりすれば、大混戦となる可能性もある。
参加標準記録を突破できていない選手たちからすれば、この4選手より前でフィニッシュするためには、標準記録突破を見込めるハイペースでレースを進める必要が出てくるだけに、難易度はかなり高くなりそうだ。可能性があるとしたら、5000mで参加標準記録を突破済みの萩谷楓(エディオン、東京オリンピック5000m代表)、佐藤早也伽(積水化学)のほか、10000mで31分28秒20の自己記録を持つ岡本春美(ヤマダホールディングス)、さらには、5000mで2月に15分23秒87の室内アジア新記録を樹立している矢田みくに(デンソー)あたりか。天候に恵まれ、未突破の選手も含めて参加標準記録を上回るようなペースで優勝争いが繰り広げられるレースを期待したい。



日本一の決まる瞬間を国立競技場で!
>>チケット情報はこちら

■第106回日本陸上競技選手権大会・10000m 特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/10000m/



■日本選手権10000m エントリーリストや世界選手権内定条件はこちら!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/16055/
 
■日本代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202112/16_191504.pdf

■5月8日(日)国立競技場で開催!!セイコーゴールデングランプリ陸上2022東京
東京オリンピックメダリストもやってくる!国内外の強豪が国立競技場に集結!
https://goldengrandprix-japan.com/

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