2022.03.05(土)大会

【世界競歩チーム選手権】藤井菜々子選手が5位入賞!女子20km競歩 レポート&コメント




ワールドアスレティックス(WA)が主催する競歩種目の国別対抗戦「世界競歩チーム選手権」が3月4日に、オマーンの首都マスカットにおいて開幕しました。この大会は、1961年から始まった歴史ある競歩の国際大会で、2014年までは「ワールドカップ競歩」という名称で行われ、2016年のローマ大会から現行のスタイルになりました。WAワールドランキングにおける大会カテゴリーでは世界室内選手権・ダイヤモンドリーグと同等のGWに位置づけられており、競歩ではオリンピック、世界選手権に次ぐ水準の競技会として、2年に1回開催されています。本来であれば、2020年5月にミンスク(ベラルーシ)で行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大の影響により延期に。会場をマスカットに移して、2018年の太倉大会(中国)以来、4年ぶりの開催となりました。

前回の太倉大会では、日本は、男子50kmで金銀銅メダルを独占、男子20kmでも金メダルを獲得して、両種目で国別の団体優勝を果たしたのを筆頭に、過去最高成績を残していました。今大会は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、国別・個人ともに連覇を狙う男子20kmと、50kmに変わってこの大会から行われる男子35kmに各3名、また、女子20kmで1名を代表に選出し、少数精鋭のチーム編成で臨んでします。

大会1日目となる3月4日には、女子20km競歩が行われ、この種目でドーハ世界選手権7位入賞、東京オリンピック代表(13位)の実績を持つ藤井菜々子選手(エディオン、ダイヤモンドアスリート修了生)が出場。1時間33分16秒でフィニッシュして、シニアにおける世界大会の日本人女子として過去最高成績となる5位入賞を果たしました。


女子20kmの決勝は、現地時間の16時にスタート。気温27℃、湿度60%という気象状況でしたが、道路上には日陰が全くなく、時間帯によっては強い西日が照りつける状況に。片道1kmを折り返して10回往復するコースは、直線ではなく大きくカーブを描いており、さらに目視できるほどのアップダウンがあるという、至近の世界大会では珍しいといえるタフなコースでの勝負となりました。

スタートすると、すぐに2017年世界選手権チャンピオンで、昨年3月に1時間23分49秒をマークして世界記録保持者となった中国の楊家宝選手が出て、これについたエミリ・ヌギ選手(ケニア)と速いペースでレースを進めていきました。2人の最初の1kmは4分12秒というハイペースで、中国選手3名を含む次の集団が4分14~16秒で通過。藤井選手は8名による10位集団の前方に位置して4分25秒で通過していきました。ヌギ選手がすぐに後れると、さすがの楊選手もペースダウン。その後、3~4kmの地点で追いついてきた馬振霞選手(中国)とキンバリー・ガルシア・レオン選手(ペルー)の3人で先頭集団が形成されました。3選手は5kmを同タイムの22分11秒で通過したものの、5km手前あたりから馬選手が先頭に立って、楊選手とガルシア・レオン選手が後ろにつく展開に。そして、11kmを通過したあとで、ガルシア・レオン選手が後れると、その後は、馬選手と楊選手のマッチレースとなりました。2人は15kmをともに1時間07分32秒で通過しましたが、そのあたりから楊選手が引き離されそうになるのを懸命にこらえるシーンが何度か見られるように。そして、16kmを通過する直前で楊選手が後れると、ここからは馬選手の独り旅。馬選手は、後続との差をどんどん広げて、1時間30分22秒でフィニッシュ。2014年ユースオリンピック、2015年U18世界選手権、2016年U20世界選手権に続いて、シニアでも世界一のタイトルを手に入れました。2位には楊選手が1時間31分54秒で続き、3位はガルシア・レオン選手が1時間32分54秒でフィニッシュしています。

日本の藤井選手は、4位となった2018年U20世界選手権をきっかけに親しくなるとともに、ライバルとして意識してきたアレグナ・ゴンザレス選手(メキシコ。2018年U20世界選手権優勝、東京オリンピック5位)とともに集団を形成し、序盤のハイペースに耐えられず後退してきた選手をかわして、徐々に順位を上げていきます。3km地点での7位集団から、4kmでは6位集団に、8kmで5位集団へと浮上し、10kmは4位集団をゴンザレス選手とともに牽引して46分05秒で通過。上位から落ちてきて4位集団で食い下がっていた楊柳静選手(中国)が12~13kmで後れると、その後は、ゴンザレス選手と肩を並べるようにして2人で競り合いながら4位争いを繰り広げていきました。

勝負に動きがあったのは、18kmの通過を目前とするあたり。17kmをともに1時間18分47秒で通過しましたが、18kmを目前とした折り返しの付近でゴンザレス選手がリードを奪うと、藤井選手はこれにつくことができず、18km地点で数秒の差ができてしまいます。これが19km地点では13秒まで開き、ゴンザレス選手の先着を許す形となりました。最終的にゴンザレス選手とは31秒差の1時間33分16秒でフィニッシュ。5位入賞は、自身にとってももちろんのこと、日本女子競歩勢としても世界大会における過去最高成績です。コースの難しさや気象条件も災いして、オレゴン世界選手権派遣設定記録の1時間30分00秒、同参加標準記録の1時間31分00秒の突破は叶いませんでしたが、上位争いを目標に掲げるオレゴン世界選手権代表入り、さらには2024年のパリオリンピックに向けて、大きな1歩を踏み出しました。

◎女子20km競歩

藤井菜々子(エディオン)5位 1時間33分16秒

今回の目標は入賞…この大会での日本人最高成績が7位だったので、そこを狙っていた。5位だったのすごく嬉しい。レースを進める上では、4位に入ったアレグナ・ゴンザレス選手(メキシコ)がライバルなので、その選手をまずターゲットにして、そこから上位を狙うことができればいいなと思っていた。アレグナに負けてしまったことは、ちょっと悔しいが、(この経験を)今後に生かしたい。

こんなに上って下って…というのは初めてで、とてもタフなコースだったが、下りをうまく利用しながら、上りでしっかりと切り替えて歩くことができた。そこがよかったと思う。

今まで(の世界大会)は、岡田(久美子)さんが必ずいらっしゃったし、東京オリンピックは3人(岡田、藤井、河添香織)での出場だったわけだが、今回は初めて1人での出場ということで、ワクワクする思いもありつつ、「ちょっとさみしいな」という気持ちもあった。ただ、1人ということで、しっかり結果を残して日本に帰りたいなと思っていたので、この結果を残せてよかった。

今後は、まずは直近では、オレゴン世界選手権での上位入賞またはメダルの獲得を目標にしている。そして、2024年パリオリンピックでは、メダル獲得を目指して頑張りたい。


▼世界競歩チーム選手権
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1634/

▼オンエア情報
【動画配信】
■3月4日(金)
21時~ 女子20km YouTube『TBS陸上チャンネル』にてLIVE配信
https://youtu.be/u3SFag0wKgg
■3月5日(土)
12時~ 男子35km YouTube『TBS陸上チャンネル』にてLIVE配信
https://youtu.be/ya9JyBMdtbw
21時~ 男子20km YouTube『TBS陸上チャンネル』にてLIVE配信
https://youtu.be/_T3OazzTcdo

▼東京2020オリンピック入賞者インタビュー(池田向希選手・山西利和選手・川野将虎選手)
https://www.jaaf.or.jp/olympic/tokyo2020/


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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