2022.02.19(土)選手

【第105回日本選手権20km競歩】前日会見レポート&コメント ~オレゴン2022世界選手権内定をかけた見逃せない戦い~




第105回日本陸上競技選手権大会・20km競歩」は2月20日、7月に開催されるオレゴン2022世界選手権20km競歩、および9月に開催される杭州2022アジア競技大会20km競歩の日本代表選手選考競技会を兼ねて、兵庫県神戸市の六甲アイランドで行われます。開催を翌日に控えた2月19日午後には、注目選手を招いての前日会見がオンライン形式で行われました。

会見には、高橋英輝選手(富士通)、古賀友太選手(明治大学)、岡田久美子選手(東京陸協)、河添香織選手(自衛隊体育学校)の4名が出席。ここまでの経過や現在の体調、レースに向けての思いなどを述べたのちに、メディアからの質問に応えました。各選手のコメントは以下の通りです。


【前日会見コメント(要旨)】

高橋英輝(富士通)



東京オリンピックが終わって、「また世界に挑戦して、メダルを獲得したいな」という思いが出てきた。今年の世界選手権は、東京オリンピックでできなかったことをやりに行く大会だと思っている。そのための挑戦権を獲得する場所が、この日本選手権。明日は、最初のステップとなるこのレースでしっかり力を出し、権利をつかみたい。

東京オリンピック後は、「自分はたくさんの方々に支えられて競技ができていたのだな」と気づけたことが、次への力になった。自分は、オリンピック本番ではメダルは取れなかったし、目指したレースもできなかったわけだが、これまで日本の競歩をつくり上げてきた方たちや、(東京オリンピックでメダルを獲得した)山西(利和)くんや池田(向希)くんたちと練習やレースをしていくなかで、「まだ自分にもできるんじゃないか」という思いが強くなった。

練習自体は、東京オリンピックに向けても間違ったことはやっていなかった。実際の(東京オリンピックの)レースでは発揮することはできなかったが、その部分を、これから出していければ結果は出せる。(この日本選手権に向けては)その上積みをしていくことができていた。世界で活躍する力、メダルを取れる力は、自分にもあると思っている。その夢を叶えられるように頑張りたい。

明日のレースは、山西くん・池田くん不在のレースとなる。2人がいたほうが行きやすいという思いもあるが、自分も若いころは、先輩の選手たちにレースをつくってもらってタイムを出していた。そう考えると、もう自分がつくる立場になってきているので、積極的にレースをしていきたい。年下の選手たちが力をつけているが、彼らのおかげで自分もまだまだ上を目指せている。明日はしっかり勝負を楽しみたい。

日本選手権での優勝は、5連覇した2019年(2018年度)以降遠ざかっているが、ずっと勝っていたころよりも負けていたときのほうが、自分自身で気づきがあったり山西くんや池田くんに気づかせてもらったりすることがたくさんあった。明日のレースも、もちろん優勝を目指していきつつ、そういう気づきが得られればいいなと思う。


◎古賀友太(明治大学)



私自身にとっても、20km競歩自体は久々のレースとなる。ドキドキする思いや不安もあるけれど、今は、それ以上にワクワクする気持ちのほうが大きい。優勝という形がベストではあるが、そこに固執しすぎると自分の歩きができなくなってしまう。とりあえず1時間20分00秒(派遣設定記録)のタイムを切って、自分の力を最大限発揮できるようにしたいと考えている。コロナウイルスの感染拡大がまだ落ち着いていない状況だが、そのなかで大会を開催していただけることに感謝し、また、応援してくださる方の気持ちに応えられるように、最後まで諦めずにトップを狙ったレースをしたい。

東京オリンピックでは(20km競歩の)補欠に選んでいただいたが、「補欠止まり」というところで悔しい気持ちもあった。それを次の世界大会に向けて生かしていきたいと考え、オリンピック以降はトレーニングに取り組んできた。日本の競歩レベルは高い位置にあると思うし、今回の大会も、すごい選手がたくさん出場されている。挑戦者という形で挑んでいくなかで、自分の力がどこまで通用するか。勝たないと(世界選手権の)代表権は獲得できないので、タイムだけでなくて、順位にもこだわっていきたい。

レースプランとしては、現状では自分の設定するペースで刻んでいくことを考えている。集団を引っ張るかついていくかは当日にならないとわからないが、1人でも行ける練習や準備は積んできているので、どちらの展開になっても問題ないと思っている。

去年の東京オリンピックには、(社会人1年目の)池田向希選手や川野将虎選手が出場されたわけだが、つい最近まで同じ学生として一緒に戦っていた選手が、実際にシニアの国際舞台でメダルを獲得したり入賞したりするのを見て刺激を受け、「私も国際大会でメダルを取るような選手になりたい」という気持ちも強くなった。学生の枠にとらわれずに、国内でも実業団の選手に食らいついていけば、世界のトップレベルは見えてくると思う。諦めずに挑戦したい。


岡田久美子(東京陸協)



東京オリンピックという大きな舞台が終わってからは、このまま引退という形があってもいいのかなと考えたときもあった。しかし、個人的な話になるが、結婚(※昨年10月に、2012年ロンドン五輪入賞をはじめとする豊富な実績を持ち、現在、富士通で競歩コーチを務める森岡紘一朗氏と結婚)を機に、もう一度頑張りたいなと思うことができた。今までは一人で悩んだり抱え込んだりしていた面があったけれど、結婚後は、一番近くで精神的なサポートをしてもらえている。ここまでの準備期間にはいろいろとあったが、明日、その一歩となるスタートラインに立てそうなので、すごくありがたい気持ちでいっぱいである。

今後に向けては、まずは明日、派遣設定記録(1時間30分00秒)を突破しての優勝を目指し、世界陸上出場へつながるような歩きをしたいと考えている。また、世界陸上に出場することができたなら、入賞を目指していきたい。

1時間30分00秒は、簡単には切れるタイムではないので、しっかりとペース配分などを気にしながら、刻んでいければと思っている。この記録を突破できれば、今後に向けての自信にもなる。藤井(菜々子)さんがいてくれたら、もう少し狙いやすくなったかもしれないが、今回は出場しないということなので、しっかり自分でペースを刻んで、突破できるように歩きたい。


河添香織(自衛隊体育学校)



今の心境は、「ワクワク6割、緊張4割」という感じ。ワクワクが大きいのは、ここ2~3年くらい日本選手権に向けて、ちゃんと準備した状態でスタートラインに立てていなかったのが、今年は例年に比べると練習を積んだ状態で立てそうだから。昨年はケガ、一昨年は貧血と、コンディションが整わない状態が2大会続いていた。それだけに、今回は、自分自身でも「どこまでいけるんだろう?」という思いがある。

昨年は、東京オリンピック自体が、ケガの影響であまりいい状態でスタートラインに立てていなかった。また、前半はオリンピックに向けての選考会が続き、選考会が終わってからはすぐに本番に向けての準備に入ったために、ケガをきちんと治す期間をとることができていなかった。それもあって、このレースに向けては、まずはケガを治し、そのうえで、しっかりと練習を積み上げていくことに取り組んできた。ある程度、やりたいことができたのではないかと思っている。

今後の一番大きな目標は、パリ・オリンピックとなるが、自分の力を考えると、今年の夏の世界陸上に出場するなど、1つ1つ積み上げていきたいという気持ちのほうが大きい。明日は、順位というよりは、まずはタイムを狙っていくことになる。自己ベスト自体が速くないので、もっとタイムを上げて、しっかりと地力を高めたい。タイムとしては、派遣設定記録の1時間30分00秒にどのくらい近づけるか。(世界選手権の)代表入りに近づければいいなと考えているので、行けるところまで岡田(久美子)さんについていきたい。自分の力を出しきれるように歩きができれば、タイムもついてくると思う。まずは自分の力を出しきることに集中してレースを進めたい。



大会は2月20日、U20選抜競歩大会とともに、兵庫県神戸市の六甲アイランドで開催され、1周1kmを周回する甲南大学西側20kmコースで行われる各レースは、以下のタイムテーブルでスタートします。

・8時50分~:日本選手権男子20km競歩
・10時40分~:日本選手権女子20km競歩
・12時45分~:U20選抜男子10km競歩
・13時50分~:U20選抜女子5km競歩

日本選手権男女の部は、オレゴン世界選手権および杭州アジア大会男女20km競歩の代表選考会を兼ねており、この大会では、男女ともに最上位者は、レース終了時点で日本陸連が定める派遣設定記録(男子:1時間20分00秒、女子:1時間30分00秒)を突破していた場合、オレゴン世界選手権の日本代表選手に即時内定します。

なお、本大会の開催に当たっては、国内外の新型コロナウイルス感染拡大による影響で、今年も海外からの国際競歩審判員招聘が叶わなかったため、ワールドアスレティックス(WA:世界陸連)の公認条件(国際競歩審判員3名以上)を満たせない状況となっていました。しかし、現在日本の置かれている状況および大会に向けての審判体制などを総合的に判断したWAによって特例措置がとられ、今大会に限って「オレゴン世界選手権等の国際競技会の参加資格記録として」「ワールドランキングの対象記録として」の2項を有効とすることが認められています(ただし、世界記録やエリア<アジア>記録記録については対象外となる)。これにより、世界選手権代表入りに向けては、WAが設定した参加標準記録(男子:1時間21分00秒、女子:1時間31分00秒)突破者がどれだけ出るかも注目したいところです。

大会は、新型コロナウイルス感染症対策として、日本陸連で策定した「ロードレース開催についてのガイダンス」( https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202006/30_172327.pdf )に則って、細心の注意を払って実施されますが、今回も会場での声援は禁止とし、ファンの皆さまにも無観客開催へのご理解・ご協力をお願いしています。競技の模様は、日本陸連公式YouTubeチャンネルにおいて、全種目のライブ配信を行います。ぜひ、画面越しでの熱い応援をお願いいたします。

日本陸連では、このたび公式ホームページ内に、競歩の特設サイト「Race walk Navi~競歩ナビ~」をオープンしました。今大会のエントリーリストやライブ配信先へ簡単にアクセスできるほか、歴史やルール、日本選手権歴代優勝者、オレゴン世界選手権の内定条件、ライブ配信の観戦ポイントなど、競歩のレースをより楽しみながら応援できる情報が満載です。観戦のお供に、ぜひご活用ください。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)


◎競歩特設サイト「Race walk Navi~競歩ナビ~」
https://www.jaaf.or.jp/racewalking/



■第105回日本陸上競技選手権大会・20km競歩 ライブ配信
https://youtu.be/xpKmlPsqOXA


■第105回日本陸上競技選手権大会・20km競歩 大会ページ
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1600/

■第105回日本陸上競技選手権大会・20km競歩 スタートリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1600-5.pdf

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