2021.08.07(土)大会
【東京オリンピック】女子1500m田中希実、日本記録に迫る3分台の記録で8位!この種目日本人初入賞を果たす~8日目アフタヌーンセッション・イブニングセッション選手コメント~
8月5日の午後は北海道札幌市が会場となる女子20km競歩決勝から始まり、岡田久美子選手(エディオン)、藤井菜々子選手(エディオン)、河添香織選手(自衛隊体育学校)が出場。国立競技場にて20時25分より行われたイブニングセッションでは男子4×400mリレー予選に、伊東利来也選手(三菱マテリアル)、川端魁人選手(三重教員AC)、佐藤拳太郎選手(富士通)、鈴木碧斗選手(東洋大学)、女子やり投決勝に北口榛花選手(JAL)、女子1500m決勝に田中希実選手(豊田織機TC)、男子4×100mリレー決勝に多田修平選手(住友電工)、山縣亮太選手(セイコー)、桐生祥秀選手(日本生命)、小池祐貴選手(住友電工)が出場しました。各選手競技終了後のコメントをご紹介いたします。
◎田中希実(豊田織機TC)
女子1500m 決勝 8位 3分59秒95
予選や準決勝ほどラストが全く動かなかった。前の選手にとってはいいペースだったのだろうが、自分にとってはハイペースだったので、そこをもっと楽に入れるようになったら、勝負できるんじゃないかと思った。(ハイペースな入りになったときは)「これはもう1回、4分切れるな」というふうに思った。でも、ラスト300(m)からは全然上がらなかったと思うので、最初の入りを考えたら、ラストの上がりは準決勝よりも遅かったかなと思う。でも、4分を2回切れたのは、すごく価値のあること。次に繋げていきたい。(レース後、国旗を渡されたときの心境を問われて)入賞で国旗というのは申し訳ないというか、恐縮する気持ちだったが、日本人初で1500mに出場することができ、新しいことができたということで、自分へのご褒美と、応援してくださる皆さんに喜んでいただけるかなと思っ(て、国旗をまとっ)た。ああいういい姿をお見せすることができて、すごく嬉しい。
今回の(1500mの)3つのレースで、今までの常識を覆すというか、自分のなかの常識を覆すことができた。こんなに早く(4分を)早く切ることができると思っていなかったので、本当にオリンピックという舞台であったことが大きかったかなと思う。
1500mに関しては、予選と準決勝を初めてにして通過してしまったことが、逆に今後、重荷になってくるかもしれない。今回は本当に、針の穴に糸を通すような感覚で、すり抜けてきた感じだった。「次も」とは自分も思うし、応援してくださる方もそう思っていると思う。次は難しいことではあると思うが入賞以上の、最後、優勝争いに絡めるような入りへの余裕とラストのスプリントを磨いて、もっとタイムを目指したい。
🔽女子トラック種目25年ぶりの8位入賞!女子1500m 田中希実選手からのメッセージ
◎藤井菜々子(エディオン)
女子20km競歩 決勝 13位 1時間31分55秒
悔しい。オリンピックの洗礼を受けたという感じ。16km…、17km地点で脚が急に重くなってしまって、よくいう「止まっちゃった」という感じで歩型もだんだんきつくなった。その時点ではまだ余裕があったので、「入賞、行けるかな」と思ったのだが、そこから上がっていくことができず、ずるずる落ちていってしまった。力がなかったというか、現実を突きつけられたというか。そこが課題かなと思った。(脚が重くなってしまった原因は)展開によるものかなと思う。給水のところでバタバタしてしまったし、(人を)よけながらというのでけっこう脚も使ってしまったので、そういうところの位置取りもうまくいかなかったのかなという気がする。自分のなかではドーハ(世界選手権)をイメージしながら少し後ろで様子をうかがう感じでレースを進めていたので、まだ脚は大丈夫と思っていたのだが、思っていた以上に、そこで使ってしまっていたかなという印象はある。
同じくらいの(レベルの)選手、「このくらいで行くだろう」と思っていた選手に負けてしまっているので、そういうところではあっちの選手のほうが一枚上。また、自国開催で、私たちのほうが調整はうまく行くはずにもかかわらず、ライバルに負けてしまったのは実力不足だと思う。そこは素直に受け止めて、各選手を称えたい。自分はパリに向けてもう切り替わっているので、「絶対にメダルを取るぞ」という思いで取り組んでいく。
◎岡田久美子(ビックカメラ)
女子20km競歩 決勝 15位 1時間31分57秒
この舞台に立つまでに、本当にさまざまな困難なことがあった。いろいろな方のサポートがなければ、今日、この舞台に立てなかったので、感謝の気持ちしかない。結果としては、悔しい結果になったが、後輩の頑張りも見ることができたし、自分の持っている力は出せたのかなと思う。(前回出場した)リオのときは、出ることで精一杯という状況だったので、ただただ歩ききったという形だった。今回は、「勝負をしにいく」と決めて、この舞台に立った。入賞を1つの目標にしていたので、達成できなかったことは悔しい。
(中盤以降、上位から離されたが)最後まであきらめちゃいけないと思って粘った。「1つでも上の順位を」ということで、最後を粘れたかなと思う。
今、終わったばかりなので、「次のオリンピック」ということは、まだ考えることができないのだが、(今回)後輩が頑張っている姿を見ることができたし、これからは…、まあ、30歳になるので…(笑)、次のエース…藤井(菜々子)さんや河添(香織)さんを、さらに上の入賞やメダルに引き上げられるような姿を見せながら、自分も頑張りたいと思う。
◎河添香織(自衛隊体育学校)
女子20km競歩 決勝 40位 1時間39分31秒
ここに来るまでの期間が短かったなかで、できる限りの準備と最高のサポートをしてもらって、今、できる万全の状態でスタートラインには立てたと思っているが、もがくレースしかできなかった自分の力のなさや、自分の現在地を痛感したレースだった。今日は、2kmからは自分の想定したペースで一応歩くことはできていたのだが、それ以上に前が速かった。そこで焦って(前の人に)つこうとすると、最後まで持つかどうかわからないし、暑さのこともあったので、「後半勝負」と思ってレースを進めていた。4~5kmくらいに足につけていたチップが取れてしまって、そこで役員の方とやりとりしたり、バタバタしたりしてしまった。ペースの制御よりは、そちらに気を取られてしまったことがもったいなかったなと思う。
本当はもっと上の順位で歩いて、下の(年代の)子たちの刺激になれたらいいなと思っていた。ずっと本当に岡田さんと菜々子ちゃんが世界で戦ってくれているなかで、「自分がもっと頑張って、底上げしていかなきゃいけない」と、ずっと胸のなかにおいてレースに臨んでいたので。万全の状態でスタートラインに立つことすらできなくて、下の子たちにも申し訳のないレースだったなと思う。
ランキングや持ちタイムなど、表で見るのと、自分の身体で体験するのとでは全然違うし、ここが自分の現在地、現実だと思う。ここから強くなって、少しでも上がっていけるように頑張っていきたい。
◎男子4×400mリレー 予選2組 5着 3分00秒76 =日本タイ記録
1走:伊東利来也(三菱マテリアル)
数字だけ見ると、日本記録に並んだのは嬉しく思う。その半面、決勝進出ラインは2分台。世界との差を感じたそんなタイム・順位だった。そういうふうに捉えている。結果自体は、自分の体感でしかないが、チーム全体として力は出しきったと思っている。他国のチーム状況を見ると、自分の走力的に、もう少し、いい順位でもってこられたのではないかと思い、悔しい思いがあったというのが正直なところである。2走:川端魁人(三重教員AC)
レース後、酸欠の状態になってしまった。特にケガとかではない。今回は、「日本記録を更新して決勝進出」というのをチームの目標としていたのだが、結果、日本記録でも決勝の舞台には進めなかったということで、走ってみてもそうだが、「世界は強いな」ということを改めて思った。ラップ(44秒80;WA公式発表のデータによる)的には自分の力は出しきれたのかなと思うのだが、自分のなかでは遅くても3着以内では、3走に渡すというのを目標にしていた。たぶん僕がバトンを渡したのは、4~5着くらいだと思うのだが、そのへんはちゃんと3着以内に渡せなかったことは、前半でいい流れをつくる」というのを目標にしていたので、ちょっと悔しいし、反省すべき点かなと思う。
今回は、4人全員が100%の力は出しきったのかなと思っている。でも、自分も含めて、そのもう一つ上のタイムを出せないわけではなかった。全員が「100%プラスもう一歩」というところの記録を出せば、2分台というのも見えるのかなと、このレースを終えて思った。
3走:佐藤拳太郎(富士通)
日本タイ記録と、記録だけみればすごいように見えるが、偉大な先輩方が何年も昔に出したもので、それを私たちは越えることができなかった。この数年、マイルチームのレベルアップ、そして進化というものはまだできていないのかな、と思った。最大目標にしていた決勝の舞台に上がることができず、決勝の(進出)通過ラインは2分59秒台ということで、まだまだ日本は至らない点が多いのだなと思った。まずはしっかりと前(位置で)で戦うチームをつくりましょうということで、各々同じベクトルをもって、今日まで臨むことはできていたと思う。しかし、それでも世界との壁というものを感じていて、それだけでは足りない。これから、さらにレベルアップして、3分切りという記録を1回や1回でなく、アベレージで出せるチームをこれからつくっていかなければ、世界の決勝で戦う目標は叶えられないのかなと思う。そのためには、現在、個人で出場できるのはウォルシュ・ジュリアン選手だけだが、最低でも3人、4人と個人で出られるように、しっかりと個々の走力を上げていきたい。
4走:鈴木碧斗(東洋大学)
バックストレートで海外の2人の選手に抜かれてしまって、流れをちゃんとつくって走るという部分で、失敗してしまった。最後、なんとか取り返せないかなと粘ったのだが、結局1人だけしか抜けなくて、(バトンを)もらったときから1つ順位から落としてしまったということが、自分のなかでは悔しい。精一杯走ったという思いはあるが、振り返ってみたら反省点はいろいろあるというのが正直なところである。初めてのオリンピック。僕は今年になって世界リレーやオリンピックを走らせてもらえたというのがあって、チームのなかでも最年少で経験も浅いなかで選んでもらったわけだが、先輩がよく繋いでくれたバトンを、僕が壊してしまうというのはチームにとって致命的なので、僕のような若い選手が、先輩に頼らずとも自分の力をしっかり発揮して、しっかりチームに貢献できるようにしていかなければいけないなと感じた。
◎北口榛花(JAL)女子やり投 決勝 12位 55m42
せっかく決勝に残ったのに、このような形で終わってしまって残念。この日に勝負できる状態じゃなかったことがすごく悔しいし、もっと強くなりたいと思った。
予選が終わったあとに、脇腹など身体に痛みが出た。痛みがあることは、コーチとトレーナーの方とチームのドクターの方にしか打ち明けていなくて、両親にも言えなかった。
そもそも自分の力不足と、あとは予選の1投目が(予選通過記録を出せずに)中途半端だったから、3回投げなくてはいけなかったことが身体への負担になったかなと思う。走ることすらも痛くて、本当は、ウエイト(トレーニング)とかの練習をして臨むつもりだったのだが、練習をすべて取りやめて、できるだけよい状態に戻すことに全力を尽くした。
もともと予選の前からずっと身体のあちこちが痛くて、練習を頑張っていたのだが、体調をコントロールしきれてしなかった面があったのかなと思う。しかし、決勝に進むこと、メダルを獲得するためにやってきたこと。残念ではあるが、後悔はしていない。
今回、歴史を少し変えることができた。本音はもっと変えたかったし、もうちょっと変えれば、未来も変えられるかなと思っていたので、すごく悔しい思いでいっぱいだが、変えていけるチャンスはまだまだあると思うので、次はもっと元気に、世界大会のここ(ミックスゾーン)を通れるようにしたい。
◎日本 男子4×100mリレー 決勝 途中棄権
・1走:多田修平(住友電工)
バトンミスをしてしまった。原因はまだわからないが、また見直して、改善していきたい。調子はすごく上がっていたが、予選と比べて、すごく攻めた歩数で行こうという話になって、普段なら届く距離だったのだが、そこが繋がらなかったのは僕の本当の実力不足だなと思う。(原因は)正直まだわからない。(バトンを)渡すときにはもう山縣さんが遠い距離にいたので…。本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいである。
予選から決勝に向けては、予選はあまりいい走りができなくて、決勝は個人的には調子はよく走れていたと思う。でも、バトンが繋がらなかったら意味がない。東京オリンピックはもう僕が現役のときはないだろうが、次の世界陸上だったり、パリオリンピックだったりには、より気を引き締めてやっていきたい。
・2走:山縣亮太(セイコー)
そういうリスクをとるという戦いではあったが、それが実際に起こるということは、どうしても受け入れるのはそれなりの時間がかかる。今、目の前で起こっていることは現実なのかと感じた。しっかり目標を達成するために、「攻めのバトン」(をやろう)とみんなで話し合って、勝負に行った結果だった。いろいろな人の思いを背負ってこの場に立っているというのも事実なので、結果が出なかったことは、すごく残念なのだが、金メダルを目指してやってきたということ胸を張って言えることだし、この決勝までも一人一人が、チーム全体が、万全の準備をしてきたのは間違いない。その結果がこれだったので、これをしっかり受け止めたい。
今あるこの結果を受け入れて、次に繋げるしかない。ここにいるメンバーはみんな実績もあって、まだまだ次が狙えるし、自分も次が狙える年齢でもあるので、しっかり次に繋げるということを、若い選手たちに頑張ってほしいという気持ち。「日本は金メダルを取れる国だな」と改めて思ったのも事実なので、今回、結果にはならなかったけれど、みんなが信じてやってきて、金メダルを取れるということをみんな思い描くことができるところまで来ていた。それを本当の結果にしたいなと思った。
・3走:桐生祥秀(日本生命)
こうなったのは攻めた結果。実際、世界から、リレーでも個人でも離されているということは、記録的にも結果的にもわかっていること。これを深く受け止めて、いろいろ変えていかなければいけない。リレーは、これだけ攻めて、今回バトンは渡らなかったけれど、この東京オリンピックを目指してきた7、8年間には、本当にいろいろな人たちのサポートがあった。そうした方々に感謝したいし、また、今回、走っていない選手たちもいる。そのいった人たちに「ありがとうございました」と言って、陣地に帰りたい。攻めた結果だし、誰のせいでもない。誰のせいでないわけでなく、4人のせいかもしれない。逆に言うと予選で僕が0.1秒でも、0.2秒でも速かったら、1・2走が余裕を持てたと思うし、たぶん全区間で…、ここ数年、バトンはうまいけれど、走力で…今回のオリンピックでも…離されていて、それをバトンでどうにかしようとしている部分があった。また、リオのときも言ったと思うが、9秒台がいっぱい増えても、僕自身、9秒台を1回しか出していないので、もっとコンスタントにとか、こういう場所で9秒台を出して、流れをつくるのが大事だなと思った。それは今回、リレーをやったからこそ思えたこと。次に繋げないと意味がないので、いろいろなことを上書きしていけるようにしたい。
・4走:小池祐貴(住友電工)
優勝を目指していくために、攻めたバトンで繋げばいけるという気持ちで決勝に臨んでの、その結果。仕方ないところはある。これを無駄にしないように、これで失敗したからといって守りに入るのではなくて、これからもどんどん攻めていって、いつか今回目指していた金メダル(獲得)を達成できるように頑張りたい。終わってみての結果をタイムで見ても、狙えるところに自分たちがきていることを、ある種、確信が持てたと思う。この悔しさを忘れずに、いつかフィニッシュしたときに、みんなで両手を挙げて喜べるようになればいいなと思うし、今、話していても、そういう気持ちがよりいっそう強まってきているのかなと思う。
このメンバーで決勝をしっかり攻めて、目標を叶えられると信じてきたので、結果は本当に悔しいが、桐生くんも言っていたように、また、ここに、今度こそ、みんなでここにもう一回戻ってきたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト
▶【東京オリンピック】8日目アフタヌーンセッションハイライト
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