2020.02.15(土)大会

【日本選手権20km競歩】前日会見




東京オリンピック男女20km競歩(北海道札幌市で開催)の日本代表選手選考会を兼ねて開催される第103回日本選手権男子・女子20km競歩の大会前日会見が2月15日夕刻、兵庫県神戸市の六甲アイランドにあるホテルで行われました。

会見には、現在、大会を5連覇中である男女ディフェンディングチャンピオンの髙橋英輝選手(富士通)と岡田久美子選手(ビックカメラ)、この種目で昨年のドーハ世界選手権において金メダルを獲得し、すでに東京オリンピック日本代表選手に内定している山西利和選手(愛知製鋼)、2018年世界競歩チーム選手権男子20km覇者で、前回のこの大会で髙橋選手に1秒差の2位となった昨年は、ユニバーシアード優勝、ドーハ世界選手権6位入賞の実績を残している池田向希選手(東洋大学)、そして、オリンピックは2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロと2大会連続で代表となり、世界選手権でも3回(2009年、2015年、2017年)の出場を果たしているベテランの藤澤勇選手(ALSOK)の5名が出席。ここまでの経過や現在のコンディション、本番に向けての抱負を話しました。

【前日会見コメント(要旨)】

◎髙橋英輝(富士通)



ここまで、レベルの高いレースのなかでも(ジャッジに)通じるような歩きをつくってきて、いい準備ができたかなと思っている。明日は、東京オリンピックの代表に内定できるようなレースをしたい。
去年の課題として、(ドーハ)世界陸上でも10kmくらいで警告が1枚出た。また、前回のこのレースでも10kmに行く前で警告が1枚出て、そのあと非常にレースがしづらくなってしまった点がある。このため、“ペースが上がりきらない場面でどういうふうに洗練した歩きをするか”ということを課題の1つとして、そこを重点的に取り組んできた。いろいろな取り組みをして、少しずつフォームが安定したかなと思っている。
(勝てば、日本選手権6連覇となるが)連覇についての意識は全くない。そもそも、これまでの日本選手権も何連覇とかは考えず、“その場、その大会”を全力で戦ってきた。特にこのレースは、東京オリンピックの代表選考ということで、今までの日本選手権とは全然意味が違う。とにかく「東京(オリンピック)の代表になりたい」という思いを、6連覇よりもそういう思いのほうを今は強く持っている。
(レース展開については)今回、フロントリーダー(型)の選手がいないので、ある程度、自分が出ていくのは仕方ないのかなとは思っているが、その一方で海外から(オープン)参加する(ペルセウス・)カールストローム選手(スウェーデン、ドーハ世界選手権3位、自己記録1時間18分07秒)など、レベルの高い選手もいるので、そのあたりも踏まえて無理せずに流れを見極めたい。ここまで自分の得意じゃない展開でも競えるような準備はしてきた。もし、自分が(レースを)つくる展開になったとしても、冷静にレースを進めていきたい。


◎池田向希(東洋大学)



昨年は、ドーハ世界選手権(6位)に出場したあとは、大会等には出場していないが、そのぶん、しっかりじっくり練習を積み重ねることができた。明日は、自分が出せる最大限の力を発揮すれば、自ずと結果はついてくると思っている。
世界選手権のレースで、まだまだ足りない部分がたくさんあるなということを痛感し、自分の苦手なことに多く取り組もうと考えた。具体的には、スタミナ強化のための練習や、食事の内容や食べ方などを見直して内臓強化に取り組んできている。また、練習面、生活面をともにしっかり両立するというも常日頃から意識してきて、ここまで順調に仕上がってきたかなと思っている。
今回から、日本選手権も国際大会に合わせて(1周)1kmコースになるが、それに伴い、自ずと審判の前を通る回数が増えることが考えられる。ただ、そのぶん歩型に関して重点を置いて取り組もうと意識してやってきたので、(自分自身は)マイナスな考えは持っていない。さらに給水やコーナー(折り返し)の回数が増えるという点では、そのぶん戦略がかけやすいし、選択の幅も広がる。そういう意味では、今までとは違ったレースになるのかなと考えている。
また、今回、ドーハ世界選手権3位のカールストローム選手が(オープンで)出場するが、日本選手権でも国際大会のように海外の選手と戦えるのはプラスになると思っている。海外の選手たちはラストのスタミナがあって、ラスト5km、ラスト3kmのペースアップというのは、日本人とはまた違った強さがある。そういったものを経験できる貴重な機会だと思っている。


◎山西利和(愛知製鋼)



明日は、優勝を目指して勝負に徹したい。(スタートまで)残り1日もないが、最後まで準備をして臨みたい。
毎回この手の質問をされたときに言ってしまうことと同じになるが、この大会に向けては、“最初のベースにあたる部分から、最後のスピード勝負のところまで、まんべんなく、トレーニングのバランスをよく”というところを心がけてきた。ドーハ(世界選手権)後は、少し回復に時間がかかったため、特にコンディショニングというところで手間がかかったという印象がある。そのため、練習は身体の状態も見ながら、欲張りすぎずにやってきたという感じである。
言い方が悪いかもしれないけれど、自分は“仕上がりが8割の状態でも勝てるくらいの地力がなければいけない”と思っているのだが、ただ、そのなかでも、今できる最大限のコンディションには持ってきている。レース展開というのは思い通りにならないものだと思うので、スタートしてみないとわからない面はあるが、しっかり力を溜めて、ラスト数kmのところ(で勝負する)というイメージでいる。
(すでに東京オリンピックの内定は得ているが)この大会に向けてのモチベーションとしては、やはり「まずは日本一を取りたい」という思いがある。これまで何度も阻まれてきているので、そこにチャレンジするということは大きい。そういう意味では、“すでにオリンピックの出場権を持っている”というのは、自分には本当に関係がないこと。“そのとき、その瞬間”に一番強い人を決めるのがレースだし、だからこそレースをやるわけであって、これまでどんな成績を出したとか、去年ちょっと調子がよかったとか、そんなことは何も関係がない。そこは妥協することなく、自分も“1番”を狙いにいきたいと思っている。


◎藤澤 勇(ALSOK)



(2012年ロンドン、2016年リオに続く)3大会連続のオリンピック出場を目指して頑張りたい。ここまでやってきたことを信じて頑張りたい。
年齢的に30歳を越えていて、去年は、どういった取り組みをしようかという悩みを持っていたのだが、同い年の鈴木雄介くんが(1時間)17分で歩き(注:2019年全日本競歩能美大会において、鈴木選手が1時間17分47秒で4位、藤澤選手も1時間17分52秒の自己新記録で5位となった)、また、(ドーハ世界選手権男子50kmで)金メダルを獲得したのを見て刺激を受けた。彼のおかげで、もやもやした部分が吹っ切れたという感じ。彼が金メダルを取った瞬間は悔しさもあったが、「やっぱり強いな」とも思い、僕自身も年齢とかを考えずにもう1回取り組もうという気持ちでここまでやってきた。
今回は、自分でも(練習を)試行錯誤していて、2km、3km、1kmという(設定)距離は、過去10年間にもう何回もやってきたので、1200(m)とか1400(m)とか、そういったあまり取り組んでこなかった距離(での練習)を取り入れた。歩き慣れた距離ではなく、今まで取り組んでいなかった距離でやってみるという変化を(自分に)与えるなかで、スピードを追求してきた。明日は、その成果が出せればなと思う。
(例年同様に、この大会に向けて、合宿を組んだ)オーストラリアでは、森林火災の影響があって、最初は抑えめの練習だったが、中盤から大気の状態が良くなって(十分な練習ができるようになって)きた。また、メンバーとしてはスウェーデンのカールストローム選手、カナダのエヴァン・ダンフィー選手(ドーハ世界選手権50km銅メダリスト)らと一緒に練習を積んでいて、カールストローム選手がなかなか速いスピードでやってくれていたので、それに対抗する感じでいい練習ができている。


◎岡田久美子(ビックカメラ)



明日は、しっかり優勝して、(東京オリンピック)代表を内定させることを第一に考えて歩きたい。
世界選手権で6位に入賞してから、それ以上の結果を東京オリンピックで出したいと思うようになった。そのために、(世界選手権後は)肉体改造を行うべく、フィジカル面を強化してきたほか、並行してスピード強化を重視した練習メニューを組み立て、それに取り組むことを重点的にやってきた。その成果、まず、昨年の12月に10000mで日本新(42分51秒82)を出すことができている。それ自体が大きな自信になったし、また、20kmのほうでも、さらに記録を狙えるのではないかという自信がついた。
6連覇については、私も髙橋(英輝)くんと同じ。「6」という数字に関して、あまり意識して取り組んできてはおらず、ただ、“オリンピック(代表)を内定させる”という点で、「必ず勝たないといけない」という気持ちで、油断することなく毎日意識しながら練習してきた。
(レース展開に関しては)明日は天候が怪しいという予報が出ているので、スタートしてから決めるつもりでいる。練習はしっかりできているので、練習通りに歩ければ日本新も見えてくるかなという状況。一番は(五輪)内定を重視しているが、天候と自分の調子が合えば、記録も狙っていければと思っている。
4年前の(リオ・オリンピックの)ときは、派遣設定記録を突破できないなかでの優勝で、(最終的に代表入りが決まった)6月まで待った。“決まるかもしれないけれど、まだわからない”というところで、すごく不安な日々を過ごしてきたので、今回は“明日”決めたい。



大会は、2月16日、同時に開催されるU20選抜競歩とともに、兵庫県神戸市の六甲アイランドにおいて行われます。この大会はこれまで、1周2kmのコースで実施されてきましたが、札幌で開催される東京オリンピック男女20km競歩のレースが1周1kmの周回で行われるのに合わせて、従来コースの西側半分となる500mを用いた1周1kmのコース(六甲アイランド甲南大学西側20kmコース)を新たに設定。今大会から、これを20周することになりました。また、タイムテーブルも変更され、日本選手権男子20km(8時50分スタート)、同女子20km(10時35分スタート)、U20男子10km(12時35分スタート)、同女子5km(13時35分スタート)の順に行うことによって、これまで生じていたレース時間帯の重複をなくしています。

東京オリンピックの代表選考レースとして行われる日本選手権男女20km競歩は、男女ともに派遣設定記録(男子:1時間20分00 秒、女子:1時間30分00秒)を突破している競技者が最上位となった場合は、その時点で代表選手に内定します。男子では、会見に出席した髙橋選手、池田選手、山西選手、藤澤選手ら“1時間17分台ウォーカー”による激しい優勝争いが必至と見込まれますが、“東京オリンピック代表争い”という点では、派遣設定記録を突破済みの髙橋、池田、藤澤の3選手がこのレースで即時内定を得るためには、ドーハ世界選手権ですでに内定を得ている山西選手に勝つことが絶対条件となります。また、派遣設定記録はまだ突破できていないものの、同じく1時間17分台の自己記録(1時間17分46秒、2018年)を持ち、リオデジャネイロオリンピックでは7位入賞を果たしている松永大介選手(富士通)も、故障の影響による昨年の低迷から復調の兆しを見せており、この大会で、どこまで上位に絡めるかが注目されます。さらに、1時間20分49秒の自己記録を持ち、昨年のユニバーシアードで銅メダルを獲得している古賀友太選手(明治大)、今年の元旦競歩で大幅に自己記録を更新する1時間20分49秒をマークしている諏方元郁選手(よつば森林組合)など着実に力をつけてきている若手が、さらに躍進を見せる可能性も十分にあります。

このほか、男子50kmにおいて2016年オリンピック銅メダル、2017年オリンピック銀メダルの実績を持つ荒井広宙選手(富士通)を筆頭に、野田明宏選手(自衛隊体育学校)、丸尾知司選手(愛知製鋼)、小林快選手(新潟アルビレックスRC)、勝木隼人選手(自衛隊体育学校)といった50kmで世界大会での実績を誇る錚々たる面々もエントリー。ドーハ世界選手権50kmチャンピオンの鈴木選手(富士通)と全日本高畠競歩を3時間36分45秒の日本新記録で制した川野将虎選手(東洋大)の2人がすで代表に内定し、残るは1枠となった50km日本代表の座を懸けて競われる日本選手権50km競歩(4月12日、輪島市)での勝負の行方を占う上でも、見逃せない一戦となりそうです。

女子では、岡田選手が頭一つ抜けた状況。派遣設定記録はすでに突破しているため、優勝すれば、その場で2016年リオ大会に続く2大会連続代表に内定します。昨年は、ドーハ世界選手権で6位入賞を果たしたほか、20km(1時間27分41秒)、10000m(42分51秒82)、5000m(20分42秒25)の3種目で日本記録を樹立するなど、大きく羽ばたく1年となりました。目覚ましい充実ぶりを示してきているだけに、気象条件によっては自身の日本記録を大きく更新してくる可能性も十二分にあります。

派遣設定記録を上回る1時間28分58秒の自己記録を持ち、ドーハ世界選手権では7位入賞を果たしている藤井菜々子選手(エディオン、ダイヤモンドアスリート修了生)は右大腿部の腸脛靱帯炎のため、今回は出場を見合わせました。これによって、岡田選手に続くと見込まれるのは、河添香織(自衛隊体育学校)、淺田千安芸(DNP)、道口愛(自衛隊体育学校)の3選手。まずはオリンピック参加標準記録の1時間31分00秒、さらには派遣設定記録の突破が大きな目標になってきそうです。このほかでは、20kmの前日本記録保持者(1時間28分03秒)で、昨年は日本選手権50km競歩を日本新記録で制し、ドーハ世界選手権50kmに出場した渕瀬真寿美選手(建装工業)もエントリー。派遣設定記録を狙ってのレースとなった場合は、9位の成績を残したロンドンオリンピック(1時間28分41秒)以来となる1時間30分切りを達成する可能性が期待できます。

大会の模様は、YouTube(https://youtu.be/J1LEb_5Ur0E)、応援TV・日本陸連公式チャンネル(https://ohen.tv/channel/ )、日本陸連公式Twitter(https://twitter.com/jaaf_official)において、午前8時30分頃からライブ配信を予定しています。詳細は、https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1385/をご参照ください。


文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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