来年の東京オリンピック男子50km競歩の日本代表選手選考競技会を兼ねて、10月27日に開催される第58回全日本50km競歩高畠大会の前日会見が、10月26日、山形県の高畠町交流プラザで行われました。
会見には、50kmで日本歴代2位となる3時間39分24秒の学生記録保持者で、20kmでも学生記録を持つ川野将虎選手(東洋大)、3時間40分04秒(日本歴代4位)の自己記録を持ち、2017年ロンドン世界選手権5位の丸尾知司選手(愛知製鋼)、ロンドン世界選手権銅メダリストの小林快選手(新潟アルビレックスRC)の3名が出席。現在のコンディションやレースの向けての抱負などを述べました。
以下、各選手のコメント(要旨)は以下の通りです。
◎川野将虎(東洋大学)
夏合宿から継続していい練習ができている。ベストコンディションで歩ききることができれば、自ずと結果もついてくる。まずは、ここまで積めてきた練習のすべての力を発揮できるようにしたい。
昨年、この大会で、初めて50kmのレースに出場した。今回が3回目ということで、まだ経験も浅いが、去年と同じようなフレッシュな気持ちで、(丸尾選手と小林選手の)お二方についていけるようなレースができたらいいなと思う。
(50kmと20kmで日本が金メダルを獲得した)ドーハ世界選手権は、20kmに同じ所属で同級生の池田(向希、東洋大)が出場していて、自分は、(同じチームの)マラソン・長距離と競歩の部員と一緒にテレビで観戦した。池田は、今回の世界陸上で東京オリンピックの内定を狙っていて、それが果たせず、彼としては不甲斐ない結果となったのだが、帰ってきた池田から一番に言われたのが「高畠で(五輪内定を)先に決めてほしい」という言葉だった。なので、この高畠で、池田を勇気づけられるような結果が残すことができればと思っている。
この大会に向けて課題にしてきたのは後半の動き。前回、前々回ともにレースの後半で、どうしても動きが硬くなってしまっていた。このため、最初から最後まで硬くならないスムーズな動きで歩けるようにすることを目指して、スタミナ練習やフォームについても(酒井)瑞穂コーチと真剣に対策してきた。また、フィジカルの部分も、これまで以上にしっかりトレーナーと一緒に取り組んできていて、長い距離やスピードを出す練習をやっても軸がぶれなくなっている。このことは今回、強みになるのではないかと思う。
明日は、まずはしっかりと粘って、東洋大らしい“その1秒をけずりだ”すような歩きをしたい。そして、最後の勝負所でしっかり勝負できるようなレースができればいいなと思っている。
◎小林 快(新潟アルビレックスRC)
今回、優勝すれば、東京オリンピック(代表)が内定するので、優勝を目指して頑張りたい。
この高畠競歩は(銅メダルを獲得した)2017年ロンドン世界選手権出場を、50km初挑戦で優勝して決めた大会。また20kmでも、高校の10kmでも優勝したことがある。自分のなかではすごくイメージのいいレースなので、ここで決められるといいなと思っている。
ドーハ世界選手権は、20kmは国体(10000m競歩に出場)の調整の関係ですべて見ることはできなかったが、50kmとともにテレビで観戦した。どちらの金メダルついても、日本の競歩が世界に通用することを証明する素晴らしい結果だと思うし、鈴木(雄介)選手も、山西(利和)選手も普段から仲良くしてもらっているので、大変勇気をもらった。
この大会に向けては、歩型については、これまでと特に大きく変わることなく、いろいろな対策を講じながら修正してきたが、一番気をつけてきたのは「コンディションを100%に持ってくる」ということ。2018年の世界チーム選手権を棄権して以降、調子が上がらず、また戻ってこないという感じがあり、今年度に入って所属を変えてからも、いろいろと対策を講じて多少は改善傾向がみられながらも最高のところまで上がってこないという状況で、(10月初旬の)国体のあたりまでは不安もあったのだが、それが、ここ10日間くらいで急激に上がってきたという状況にある。また、このところ毎回、何かしら「どこが痛い」というのがあったのだが、それもない状態で来ることができた。「100%の状態でスタートラインに立つ」という、当然でありながら(実現が)難しかったことが、今回はできるような状態に持ってこられている。
明日は、「勝てば(東京オリンピック代表)内定」というところで、(すでに派遣設定記録の3時間45分00秒を突破している)僕の場合は、あまりタイムは関係ないのかなとは思ってはいるが、おそらく(1km)4分24秒~4分30秒、(フィニッシュタイム)3時間40分~45分というペースが1つの目安になって推移していくことになると思う。いくつか「こういうプランで」というのを考えて、練習も組み立ててきた部分もあるので、どのプランを選択するかは、(レースのなかで)そのときに考えていきたい。
◎丸尾知司(愛知製鋼)
優勝をターゲットに歩きたいと思っている。
高畠は、私が50kmに初めて出た大会。そのときは4時間以上かかってしまって、非常に苦しいレースとなったが、20kmのほうでは優勝した経験もあり、いいイメージもあれば悪いイメージもある大会という印象である。今回は、その悪いイメージを払拭したい。
今年は、久しぶりに“日の丸を背負わない夏”となった。(ドーハ世界選手権出場を逃した)輪島のレース(日本選手権50km競歩)のあとに、高校の先生(洛南高・柴田博之先生)に電話したのだが、そのとき「世界陸上のない時間を大事にしなさい」と言われた。当たり前のことではあるのだが、そんな言葉を久しぶりにガツッと言われたことで、すごく(時間を)大事にして、本当にたくさん練習した夏になったと思う。(そのおかげで)じっくり準備することができていて、ウエイトトレーニングなどもそうだが、じっくりとつくり上げて、進化したかなと思っている。
課題としては、2019年の輪島のレース(日本選手権50km競歩)で、スピードが足りないということを実感して、そこからはスピード練習に取り組んだのだが、何かぴったり一致しない面があった。そこで原点に立ち返って、自分の持ち味であるゆっくりとした動きで、遅く見えるけれど実際のペースは速いというところを求め直したところ、9月の全日本実業団でスピードを出しているつもりがなくても、いつもよりスピードが出ているという状況になってきた。以来、「伸びやかにゆっくりと(身体を)動かすなかでスピードが出ている」という状態を意識しながらやってきていて、結局、自分の合っているものにたどり着いたのかなという感じがある。
また、(現在は)ベースが上がったような感じもあるので、スピードに特化した時間は無駄ではなかったようにも思う。全日本実業団のときは、「まだピッチを上げられるな」という感覚もあった。最後のスパートのところなど(の勝負所)で切り替えられる余裕があるという感触を持つことができている。
明日は、流れに身を任せるレースになるのかなと思うが、でも、引っ張る準備もしているし、ついていく準備もしている。また、スパートをかけられたときについていく準備もしてきたし、全部やってきている。
大会は、10月27日午前、山形県高畠町の中央通りをスタート・フィニッシュとする「高畠まほろば競歩コース」(日本陸連公認コース1周2km)で行われます。全日本男女50km競歩は、午前8時にスタート。東京オリンピックの日本代表選考競技会を兼ねて行われる男子は、会見に出席した川野選手、丸尾選手、小林選手のほか、20kmで数々の日本代表実績を持つ藤澤勇選手(ALSOK)もエントリーしています。また、前回から新設された女子は、連覇を目指す園田世玲奈選手(NTN)ら4選手が出場の予定です。
このほか、高畠競歩として、一般男女20km、一般女子10km、高校男子10km、高校女子5km、中学男女3kmの7種目も行われます。レースの模様は、YouTubeおよび日本陸連公式Twitterでライブ配信を予定しています。大会スケジュール、エントリーリスト、ライブ配信等の詳細は、日本陸連公式サイト( https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1391/ )にて、ご確認ください。
文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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