4月14日に開催される第103回日本選手権50km競歩の前日会見が、13日夕刻、石川県輪島市文化会館で行われました。この大会の男子50km競歩は、本年9月末からドーハ(カタール)で開催される世界選手権の日本代表選手選考会を兼ねて実施されます。
会見には、前回覇者で、昨年10月に行われた全日本50km競歩高畠大会を3時間39分47秒の日本新記録で優勝し、すでに世界選手権代表に内定している野田明宏選手(自衛隊体育学校)、昨年のアジア大会で金メダルを獲得して同じく世界選手権代表に内定している勝木隼人選手(自衛隊体育学校、2019年世界チーム競歩選手権50km銀メダリスト)のほか、2017年ロンドン世界選手権50km競歩でトリプル入賞を達成した荒井広宙(富士通、同大会銀メダリスト、2016年リオ五輪銅メダリスト、2019年世界チーム競歩選手権50km金メダリスト)、小林快(新潟アルビレックスRC、同大会銅メダリスト)、丸尾知司(愛知製鋼、同大会5位、2019年世界チーム競歩選手権50km銅メダリスト)の3選手の全5名が登壇。これまでの経過や現在のコンディション、明日のレースに向けての抱負を述べました。
各選手のコメントの要旨は、以下の通りです。
【登壇選手コメント】
◎野田明宏(自衛隊体育学校)
目標としては、「しっかり勝負する」ということを目指している。(世界選手権)代表には内定しているが、負けるのは悔しいことなので、しっかり勝負して、勝ちきることを目標にやっていきたい。この大会までの練習では、自分のなかであまり納得のできない時期もあったのだが、調子自体はいつも通りなので、しっかり頑張りたい。
(錚々たるメンバーが揃うなかでのレースとなるが)こういう機会は、私自身のレースとしては初めてとなる。1つの経験としてレースをしっかり組み立てていければいいなという思いがある。こんなすごいメンバーが揃うということは、今後の貴重な経験になってくる。しっかり自分の力を試していきたい。
昨年の高畠では(日本記録を樹立したものの)警告が2枚出て、ぎりぎりセーフというところだったので、そこからしっかり見つめ直してきた。2月の日本選手権(20km)で、まずまずの歩型で歩くことができていて、さらに、そこから少しずつ意識して練習を積んできた。やってきたことは間違っていないと思うので、今回は、その自分の力を出せたらいいなと思う。
◎勝木隼人(自衛隊体育学校)
今大会に臨むに当たっては、特に目標のタイムや順位などは定めずに、ここまで練習を行ってきた。というのも、世界選手権の代表に内定しているということで、そこに向けた準備を進めていくということが優先すべきという思いがあったので。明日も、しっかり世界選手権につながるようなレースができればと思っている。
自分は、アジア大会で金メダルを獲得して、世界選手権の内定をいただいたわけだが、そのときは、素直に喜べない気持ちがあった。それは(途中で)ピットレーンに入ったということで、「本当に僕が代表でいいのだろうか」と思うこともあったから。そういった意味では、フォーム改善にもかなり力を入れてやってきた。それが今大会に生きてくるかどうかは、正直なところやってみないとわからない。しかし、誰にも警告をとられないようなフォームをつくってきたつもりである。
今回は、オープン参加(の外国選手)も含めて、世界大会での入賞者が非常に多い。これほどまでに国内の大会で、世界レベルのレースができるということはあまりない。東京オリンピックまでのレースの数も限られてきたので、そんななかでこういうレースができるのは嬉しいことだと思う。
◎荒井広宙(富士通)
今回の日本選手権は、9月に開催されるドーハ世界選手権の選考会ということで、万全の準備で練習を進めてきた。また、今年の4月から富士通株式会社で競技をさせていただくことになり、新しい環境のなかで、今回、どれだけ実力を発揮できるかということもテーマになってくる。明日のレースは残り1枠の争いになってくるが、代表権を獲得できるように精一杯戦っていきたい。
私がこの日本選手権50kmに初めて出場したのは2009年、大学3年のときだった。当時は山﨑さん(勇喜、自衛隊体育学校、前日本記録保持者)が3時間40分ちょっとくらいと、一人ずば抜けて速いという状況のなかで、あとは3時間47分くらいの選手が数名いるという状況で争っていたが、そこから月日が流れ、当時とはがらりと変わり、レベルも上がり、選手層もかなり厚くなっている。日本競歩界にとっては充実した、とてもいい時期なのかなと思うし、そのなかで私が現役で競技をできていることを大変嬉しく思っている。明日はレベルの高いレースになると思うが、ベストを尽くしたい。
◎小林 快(新潟アルビレックスRC)
この大会に向けては、毎年と同じように3月に静岡県島田市で合宿を行った。そこでは勝木さんや、たくさんの方と練習することができ、とても順調に調整することができたと思っている。私も荒井選手同様、4月から所属が変わり、新潟アルビレックスRCになった。今回、その所属になって初めての大会ということになるので頑張りたい。明日は、3時間45分の派遣設定の突破、そして優勝を目標に頑張っていきたい。
非常にレベルの高い選手が顔を揃えたが、それは、ここで結果を出すことができれば世界に通用するというなかでレースができるということでもある。ただ、どんな選手がいようと「(自分が)今までやってきたことを出す」という点に関しては変わらない。自分のやることは変えずに、そのなかで、どれだけ世界に通用するかを試すいい機会だと思っている。
◎丸尾知司(愛知製鋼)
この大会に向けては、計画した練習はすべて予定通りに消化してきた。自らのパフォーマンスを最大限に発揮して、「優勝」というところをターゲットに歩きたい。これだけ高いレベルとなる大会に挑戦するのはすごく大変だと思っているが、そこに挑戦させてもらえることに感謝しながら、自らの力を試したいなと思っている。
(残り1枠を、ロンドン世界選手権に出場した3人も一緒に争わなければならないという)この状況が決まったときは、正直、「すごい、つらいなあ」と考えていた。しかし、自分のなかで覚悟が決まり、「これを乗り越えられたら成長させてもらえる」と思えるようになってからは練習にも身が入るようになった。自分自身が成長できる舞台として、2年前(のロンドン世界選手権)から成長した姿を見せられるよう精一杯歩きたい。
日本選手権50km競歩は、オープンで行われる女子50kmとともに、4月14日午前7時30分のスタート。石川県輪島市の「道の駅輪島ふらっと訪夢」前を発着点とする往復2kmの折り返しコースで行われます。男子50kmについては、優勝者がレース終了時点で派遣設定記録(3時間45分00秒)を満たしている場合、ドーハ世界選手権代表に即時内定します。なお、会見に出席した5選手のほかに、20kmと50kmの2種目で学生記録を樹立している川野将虎選手(東洋大)、20km競歩での実績を持つ鈴木雄介選手(富士通、世界記録保持者)、松永大介選手(富士通、リオ五輪7位)、藤澤勇選手(ALSOK、五輪2大会、世界選手権3大会出場)もエントリー。鈴木選手と松永選手は50km初挑戦となります。また、オープン参加ながら、2008年・2012年五輪銀メダリストのジャレド・タレント選手(オーストラリア)、2016年五輪4位のエヴァン・ダンフィー選手(カナダ)など、海外からも6選手が出場を予定しており、例年以上にハイレベルな戦いが繰り広げられそうです。
このほか、昨年からオープン種目で実施されている女子50kmでは、前回覇者の園田世玲奈選手(NTN)が、自身の持つ日本記録(4時間29分45秒)の更新に挑みます。
大会の模様は、日本陸連公式Twitter、Youtubeにおいて、4月14日の午前7時00分からライブ配信を予定しています。詳細は、https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1338/ をご参照ください。
文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)
会見には、前回覇者で、昨年10月に行われた全日本50km競歩高畠大会を3時間39分47秒の日本新記録で優勝し、すでに世界選手権代表に内定している野田明宏選手(自衛隊体育学校)、昨年のアジア大会で金メダルを獲得して同じく世界選手権代表に内定している勝木隼人選手(自衛隊体育学校、2019年世界チーム競歩選手権50km銀メダリスト)のほか、2017年ロンドン世界選手権50km競歩でトリプル入賞を達成した荒井広宙(富士通、同大会銀メダリスト、2016年リオ五輪銅メダリスト、2019年世界チーム競歩選手権50km金メダリスト)、小林快(新潟アルビレックスRC、同大会銅メダリスト)、丸尾知司(愛知製鋼、同大会5位、2019年世界チーム競歩選手権50km銅メダリスト)の3選手の全5名が登壇。これまでの経過や現在のコンディション、明日のレースに向けての抱負を述べました。
各選手のコメントの要旨は、以下の通りです。
【登壇選手コメント】
◎野田明宏(自衛隊体育学校)
目標としては、「しっかり勝負する」ということを目指している。(世界選手権)代表には内定しているが、負けるのは悔しいことなので、しっかり勝負して、勝ちきることを目標にやっていきたい。この大会までの練習では、自分のなかであまり納得のできない時期もあったのだが、調子自体はいつも通りなので、しっかり頑張りたい。
(錚々たるメンバーが揃うなかでのレースとなるが)こういう機会は、私自身のレースとしては初めてとなる。1つの経験としてレースをしっかり組み立てていければいいなという思いがある。こんなすごいメンバーが揃うということは、今後の貴重な経験になってくる。しっかり自分の力を試していきたい。
昨年の高畠では(日本記録を樹立したものの)警告が2枚出て、ぎりぎりセーフというところだったので、そこからしっかり見つめ直してきた。2月の日本選手権(20km)で、まずまずの歩型で歩くことができていて、さらに、そこから少しずつ意識して練習を積んできた。やってきたことは間違っていないと思うので、今回は、その自分の力を出せたらいいなと思う。
◎勝木隼人(自衛隊体育学校)
今大会に臨むに当たっては、特に目標のタイムや順位などは定めずに、ここまで練習を行ってきた。というのも、世界選手権の代表に内定しているということで、そこに向けた準備を進めていくということが優先すべきという思いがあったので。明日も、しっかり世界選手権につながるようなレースができればと思っている。
自分は、アジア大会で金メダルを獲得して、世界選手権の内定をいただいたわけだが、そのときは、素直に喜べない気持ちがあった。それは(途中で)ピットレーンに入ったということで、「本当に僕が代表でいいのだろうか」と思うこともあったから。そういった意味では、フォーム改善にもかなり力を入れてやってきた。それが今大会に生きてくるかどうかは、正直なところやってみないとわからない。しかし、誰にも警告をとられないようなフォームをつくってきたつもりである。
今回は、オープン参加(の外国選手)も含めて、世界大会での入賞者が非常に多い。これほどまでに国内の大会で、世界レベルのレースができるということはあまりない。東京オリンピックまでのレースの数も限られてきたので、そんななかでこういうレースができるのは嬉しいことだと思う。
◎荒井広宙(富士通)
今回の日本選手権は、9月に開催されるドーハ世界選手権の選考会ということで、万全の準備で練習を進めてきた。また、今年の4月から富士通株式会社で競技をさせていただくことになり、新しい環境のなかで、今回、どれだけ実力を発揮できるかということもテーマになってくる。明日のレースは残り1枠の争いになってくるが、代表権を獲得できるように精一杯戦っていきたい。
私がこの日本選手権50kmに初めて出場したのは2009年、大学3年のときだった。当時は山﨑さん(勇喜、自衛隊体育学校、前日本記録保持者)が3時間40分ちょっとくらいと、一人ずば抜けて速いという状況のなかで、あとは3時間47分くらいの選手が数名いるという状況で争っていたが、そこから月日が流れ、当時とはがらりと変わり、レベルも上がり、選手層もかなり厚くなっている。日本競歩界にとっては充実した、とてもいい時期なのかなと思うし、そのなかで私が現役で競技をできていることを大変嬉しく思っている。明日はレベルの高いレースになると思うが、ベストを尽くしたい。
◎小林 快(新潟アルビレックスRC)
この大会に向けては、毎年と同じように3月に静岡県島田市で合宿を行った。そこでは勝木さんや、たくさんの方と練習することができ、とても順調に調整することができたと思っている。私も荒井選手同様、4月から所属が変わり、新潟アルビレックスRCになった。今回、その所属になって初めての大会ということになるので頑張りたい。明日は、3時間45分の派遣設定の突破、そして優勝を目標に頑張っていきたい。
非常にレベルの高い選手が顔を揃えたが、それは、ここで結果を出すことができれば世界に通用するというなかでレースができるということでもある。ただ、どんな選手がいようと「(自分が)今までやってきたことを出す」という点に関しては変わらない。自分のやることは変えずに、そのなかで、どれだけ世界に通用するかを試すいい機会だと思っている。
◎丸尾知司(愛知製鋼)
この大会に向けては、計画した練習はすべて予定通りに消化してきた。自らのパフォーマンスを最大限に発揮して、「優勝」というところをターゲットに歩きたい。これだけ高いレベルとなる大会に挑戦するのはすごく大変だと思っているが、そこに挑戦させてもらえることに感謝しながら、自らの力を試したいなと思っている。
(残り1枠を、ロンドン世界選手権に出場した3人も一緒に争わなければならないという)この状況が決まったときは、正直、「すごい、つらいなあ」と考えていた。しかし、自分のなかで覚悟が決まり、「これを乗り越えられたら成長させてもらえる」と思えるようになってからは練習にも身が入るようになった。自分自身が成長できる舞台として、2年前(のロンドン世界選手権)から成長した姿を見せられるよう精一杯歩きたい。
日本選手権50km競歩は、オープンで行われる女子50kmとともに、4月14日午前7時30分のスタート。石川県輪島市の「道の駅輪島ふらっと訪夢」前を発着点とする往復2kmの折り返しコースで行われます。男子50kmについては、優勝者がレース終了時点で派遣設定記録(3時間45分00秒)を満たしている場合、ドーハ世界選手権代表に即時内定します。なお、会見に出席した5選手のほかに、20kmと50kmの2種目で学生記録を樹立している川野将虎選手(東洋大)、20km競歩での実績を持つ鈴木雄介選手(富士通、世界記録保持者)、松永大介選手(富士通、リオ五輪7位)、藤澤勇選手(ALSOK、五輪2大会、世界選手権3大会出場)もエントリー。鈴木選手と松永選手は50km初挑戦となります。また、オープン参加ながら、2008年・2012年五輪銀メダリストのジャレド・タレント選手(オーストラリア)、2016年五輪4位のエヴァン・ダンフィー選手(カナダ)など、海外からも6選手が出場を予定しており、例年以上にハイレベルな戦いが繰り広げられそうです。
このほか、昨年からオープン種目で実施されている女子50kmでは、前回覇者の園田世玲奈選手(NTN)が、自身の持つ日本記録(4時間29分45秒)の更新に挑みます。
大会の模様は、日本陸連公式Twitter、Youtubeにおいて、4月14日の午前7時00分からライブ配信を予定しています。詳細は、https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1338/ をご参照ください。
文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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