10月28日に開催される第57回全日本50km競歩高畠大会の前日会見が、10月27日夕刻、山形県の高畠町交流プラザで行われました。この大会は、来年の秋にドーハ(カタール)で開催される第17回世界選手権男女50km競歩の日本代表選手選考競技会を兼ねて行われます。
会見には、ロンドン世界選手権50km競歩銅メダリストの小林快選手(ビックカメラ)、北京世界選手権男子50km競歩銅メダリストの谷井孝行選手(自衛隊体育学校)、2018年日本選手権50km競歩優勝者の野田明宏選手(自衛隊体育学校)が出席。現在のコンディションやレースの向けての抱負などを述べました。
以下、各選手のコメント(要旨)は以下の通りです。
◎谷井孝行(自衛隊体育学校)
最近、50kmにおいて、自分のイメージ通りのレースができていないので、今回は「自分の力を出しきる」ことに意識でレースに臨みたい。調子はしっかり練習ができてきている状態。夏場は、なかなか調子が上がらない時期があったけれど、全日本実業団(10000mW)を歩いたあたりから、一気に状態がよくなってきた。明日のレースに向けても、そういったいい流れをぶつけていきたい。
(ここ数年、なかなかモチベーションを高めるのが難しい状態が続いてきたが)今回、高畠に向けては、今までとは違ったモチベーションのなかで臨むことができている。練習の時点から、「優勝したい」「これくらいのタイムを出したい」というものは持ちつつも、しっかりと競技に向き合い、楽しくやってくることができた。今は、明日のレースが非常に楽しみな状態。結果は、ゴールしてみないとわからないが、そういった状態で歩いたなかで、またいろいろなものが見えてくるのではないかと思っている。
◎小林 快(ビックカメラ)
目標は、「優勝」と「3時間45分00秒の派遣設定を突破する」こと。この2つを達成すると、世界陸上代表に近づく。すでに、いつも一緒に練習させてもらっている勝木隼人選手(自衛隊体育学校)が(アジア大会優勝により)内定している。一緒に世界陸上に出られたらと思っているので、その2つをクリアできるようにしたい。練習も、2年前にこの高畠で優勝したときと同じ場所である札幌で合宿を積み、いい状態でくることができている。
自分は、50kmのレース出場は、今回が4回目(注:過去3回は、2016年高畠=優勝、2017年ロンドン世界選手権=3位、2018年世界チーム競歩=途中棄権)。実はまだ輪島(日本選手権)も出たことがなく、日本で50kmのレースとなると高畠しか思い出がなく、そして、同じコースで2回目のレースをするのも、これが初めてとなる。2年前の再現ができるように頑張りたい。
◎野田明宏(自衛隊体育学校)
今大会の目標は、自己ベストを出すこと、3時間45分00秒をしっかり切ることを目標に進めていこうと思っている。練習に関しては、少し夏場苦しんだ時期もあったが、できることはしっかりやってきたので、自分自身、レースを楽しみにしている状態。コンディションとしては非常にいいほうかなと思う。
実は、私にとっては高畠の50kmは、正直なところよくない記憶が残るレース。大学3年の2016年に、初めて高畠で50kmに挑戦したのが、甘く取り組み方で挑んで、35kmでたくさんの方に迷惑をかけることになってしまった(途中棄権)。しかし、あの経験があったからこそ、今の自分がある。20kmでは、いいレースが何回かできているので、今回、50kmでもいいレースをして、結果を残せたらいいなと思う。
レースは、10月28日午前、山形県高畠町の中央通りを発着とする「高畠まほろば競歩コース」(日本陸連公認コース1周2km)で行われます。全日本男女50km競歩は、午前8時にスタート。リオ五輪銅・ロンドン世界選手権銀メダリストの荒井広宙選手(自衛隊体育学校)はコンディションの関係で今回は出場を見合わせることになりましたが、男子は、会見に出席した小林選手、谷井選手、野田選手のほか、日本記録保持者の山﨑勇喜選手(自衛隊体育学校)もエントリー。また、20kmで豊富な日本代表実績を持つ藤澤勇選手(ALSOK)、若手の川野将虎選手(東洋大)が初めて50kmに挑みます。女子では、今年の日本選手権を制した園田世玲奈選手(中京大)など7名が出場の予定です。
このほか、一般男女20km、一般女子10km、高校男子10km、高校女子5km、中学男女3kmの7部門が行われ、一般男子20kmには、同種目世界記録(1時間16分36秒)保持者の鈴木雄介選手(富士通)やリオ五輪20km競歩7位の松永大介選手(富士通)も出場。故障により長くレースから遠ざかっていた鈴木選手は、このレースが20kmの復帰第1戦となります。
また、一般女子20kmには、今季、10000m競歩と5000m競歩でU20日本記録を更新しているダイヤモンドアスリートの藤井菜々子選手(エディオン)もエントリー。この種目でのU20日本記録(1時間32分27秒)更新も期待できそうです。
文・写真:児玉育美/JAAFメディアチーム
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