『【GPシリーズ最終戦「北九州大会」のみどころ】第1回 ルールのおさらいと現在のポイント 』から
「GP」は、グランプリポイント
前述の「グランプリシリーズ」のルールや現時点での順位を踏まえた上で、最終戦となる「北九州カーニバル(大会HPは、http://kitakyushu-rc.com/)」の見どころを紹介しよう。
北九州大会で行われるのは、「グランプリ種目」が、男子は走高跳と砲丸投の2種目。女子が砲丸投のみ。「順位ポイント」が付加されない「ノングランプリ種目」が、男子110mH、走幅跳、やり投げの3種目。女子が100mHとやり投の2種目だ。よって、上記の男子5種目と女子3種目以外の種目の「シリーズポイント」に変動はない。
今季のグランプリシリーズは5月の静岡国際(プレミア大会)にしか出場していない(2m28で優勝)ため、グランプリシリーズのポイントは「1221」で種目別の4位。
が、7月11にイタリアで跳んだ日本記録に1cmと迫る2m32を筆頭に2m30以上を4回、2m25以上は室内の記録を含めて10回クリアし、2018年個人10傑平均は2m279になる。
日本選手権は、衛藤昂(味の素AGF/2m25)に敗れて2位(2m20)だったが、春から海外を転戦してポイントを稼ぎ、国際陸連の「ダイヤモンドリーグ・ファイナル(8月31日)」にも出場し6位(2m26)に入る実績を残した。2018年の決勝(18試合)での最低記録は2m19だ。
現時点で走高跳のポイントトップは、大田和宏(日本体育施設)で「2113ポイント」。戸邉との差は「892ポイント」。
「記録ポイント」での「892」は、1m98(897ポイント)。戸邉が「記録なし」にでもならない限り簡単に追いつける。といっても、大田もランク2位の赤松諒一(岐阜大。2108ポイント)も北九州大会に出場する。大田のこれまでの「グランプリ大会」でのスコアは「1022ポイント」、赤松のそれは「1071ポイント」で、今回それを上回るには「記録ポイント」のみで考えると大田は、2m13以上。赤松は、2m18以上がターゲットになる。
といっても、「順位ポイント」の、1位・30ポイント、2位・25ポイント、3位・20ポイント、4位・15ポイント、5位・10ポイント、6位・5ポイントが加算されるので、北九州大会での順位にもよるが、3位以内ならば大田と赤松の「記録ポイント」は、上述の2m13以上、2m18以上よりも2cm程度低くてもこれまでの「グランプリ大会ポイント」を上回り「シリーズポイント」に上乗せができる計算だ。
2018年の大田のベストは2m22(1108ポイント。自己ベストも今季の2m22)、赤松のそれは2m20(1090ポイント。自己ベストは2015年の2m25=1135ポイント)だ。
大田と赤松がそれぞれの自己ベストである2m22と2m25をクリアした場合、「シリーズポイント」は、大田が「2199+北九州の順位ポイント」、赤松が「2221+北九州の順位ポイント」となる。が、現在「1221ポイント」の戸邉がこれを上回るには、2m11~14程度をクリアできれば逆転できそうな計算だ。
ということで、走高跳の「種目別チャンピオン」ということでは、戸邉の優位は間違いなさそうだ。
最終戦を残しての男子全種目でのトップは、100mの山縣亮太(セイコー)の「2457.2ポイント」。戸邉との差は、「1236.2ポイント」だ。
北九州大会で戸邉が優勝して「順位ポイント」の「30ポイント」を獲得すれば、「記録ポイント」で「1207ポイント以上」が必要になる。自己タイ記録の2m32は「1197ポイント」で、これでは山縣に及ばない。しかし、北九州大会で行われる男女5種目の中で最も高い「パフォーマンスポイント」を獲れれば、「チャンピオンポイント」の「25ポイント」が付加され、山縣を抜いてトップ立つための「記録ポイント」は、「1182ポイントでOK」ということになる。
といっても、「1182ポイント」は、自己ベストにあと1cmのかなりハイレベルな「2m31(1188ポイント)」だ。
日本タイ記録の2m33ならば「1206ポイント」で、これに「順位ポイント」の「30」に「特別ポイント」の「50」と「ミーティングチャンピオンポイント」の「25」が加算されると「1311ポイント」。すでに獲得している「グランプリプレミアポイント(1221)」との合計は、「2532」となり山縣を75ポイントあまり上回る。
が、2m30以上にバーが上がる状況となれば、「自己タイ記録の2m32」や「日本タイ記録の2m33」に挑む可能性は低く「2m34の日本新記録へのトライ」ということになるだろう。
「2m34をクリア」となれば「記録ポイント1215+順位ポイント30+特別ポイント100+ミーティングチャンピオンポイント25」で北九州大会のトータルは「1370ポイント」。「グランプリシリーズポイント」は、「1221+1370=2591ポイント」で、山縣に130ポイント以上の大差をつけての圧勝となる。
2m34をクリアできれば、2018年の世界7位タイ。アジア歴代5位タイである。
シーズンの締めくくりとなる試合で、ビッグな日本新記録をみせてもらいたいところである。
『【GPシリーズ最終戦「北九州大会」のみどころ】第3回男子砲丸投、新旧日本記録保持者が激突』へ
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
▼ライブ配信はこちらから▼
https://www.youtube.com/watch?v=M0vbwOfLIvU
<オーバーオールのポイント男女別トップ20/最終戦の前まで>
※「GPP」は、グランプリプレミアポイント「GP」は、グランプリポイント
【男子】 | 合計 | GPP+GP | |
---|---|---|---|
1)山縣亮太 | 男100m | 2457.2 | 1233.0+1224.2 |
2)金井大旺 | 男110mH | 2384.4 | 1199.4+1185.0 |
3)右代啓祐 | 男十種 | 2374 | 1201.0+1173.0 |
4)大林督享 | 男400mH | 2365 | 1173.0+1192.0 |
5)澤野大地 | 男棒高跳 | 2364 | 1152.0+1212.0 |
6)井上駆 | 男400mH | 2346 | 1198.0+1148.0 |
7)ケンブリッジ飛鳥 | 男100m | 2333 | 1168.0+1165.0 |
8)新井涼平 | 男やり投 | 2323 | 1158.0+1165.0 |
9)山本聖途 | 男棒高跳 | 2301 | 1147.0+1154.0 |
10)小池祐貴 | 男100m | 2297.2 | 1153.0+1144.2 |
11)若林康太 | 男400m | 2293 | 1139.0+1154.0 |
12)川島鶴槙 | 男走幅跳 | 2290.6 | 1105.8+1184.8 |
13)大六野秀畝 | 男10000m | 2290 | 1159.0+1131.0 |
14)山口浩勢 | 男3000mSC | 2285 | 1157.0+1128.0 |
15)高山峻野 | 男110mH | 2281.4 | 1129.4+1152.0 |
16)中村明彦 | 男十種 | 2272 | 1144.0+1128.0 |
17)増野元太 | 男110mH | 2270 | 1108.0+1162.0 |
18)宮尾幸太郎 | 男400mH | 2264 | 1140.0+1124.0 |
19)松下祐樹 | 男400mH | 2261 | 1102.0+1159.0 |
20)木村淳 | 男400m | 2257 | 1126.0+1131.0 |
【女子】 | 合計 | GPP+GP | |
---|---|---|---|
1)山ノ内みなみ | 女5000m | 2354 | 1182.0+1172.0 |
2)紫村仁美 | 女100mH | 2311.4 | 1156.4+1155.0 |
3)宇都宮絵莉 | 女400mH | 2302 | 1156.0+1146.0 |
4)福島千里 | 女100m | 2297 | 1170.0+1127.0 |
5)清山ちさと | 女100mH | 2295.4 | 1169.4+1126.0 |
6)福部真子 | 女100mH | 2280.4 | 1151.4+1129.0 |
7)岡本春美 | 女10000m | 2276 | 1175.0+1101.0 |
8)川田朱夏 | 女800m | 2267 | 1174.0+1093.0 |
9)筒井咲帆 | 女10000m | 2254 | 1131.0+1123.0 |
10)安藤友香 | 女5000m | 2245 | 1114.0+1131.0 |
11)小山佳奈 | 女400mH | 2227 | 1120.0+1107.0 |
12)吉良愛美 | 女400mH | 2226 | 1112.0+1114.0 |
13)中野瞳 | 女走幅跳 | 2225 | 1152.0+1073.0 |
14)青木益未 | 女100mH | 2219.6 | 1109.4+1110.2 |
15)木村文子 | 女100mH | 2218 | 1102.0+1116.0 |
16)関谷夏希 | 女10000m | 2215 | 1152.0+1063.0 |
17)川田朱夏 | 女400m | 2214 | 1126.0+1088.0 |
18)世古和 | 女100m | 2213 | 1100.0+1113.0 |
18)市川華菜 | 女100m | 2213 | 1075.0+1138.0 |
20)松田杏奈 | 女10000m | 2205 | 1140.0+1065.0 |
前述の「グランプリシリーズ」のルールや現時点での順位を踏まえた上で、最終戦となる「北九州カーニバル(大会HPは、http://kitakyushu-rc.com/)」の見どころを紹介しよう。
北九州大会で行われるのは、「グランプリ種目」が、男子は走高跳と砲丸投の2種目。女子が砲丸投のみ。「順位ポイント」が付加されない「ノングランプリ種目」が、男子110mH、走幅跳、やり投げの3種目。女子が100mHとやり投の2種目だ。よって、上記の男子5種目と女子3種目以外の種目の「シリーズポイント」に変動はない。
【男子走高跳=グランプリ種目/戸邉直人、総合ポイントのトップなるか?】
「グランプリ種目」での注目は、男子走高跳の戸邉直人(つくばツインピークス)だ。今季のグランプリシリーズは5月の静岡国際(プレミア大会)にしか出場していない(2m28で優勝)ため、グランプリシリーズのポイントは「1221」で種目別の4位。
が、7月11にイタリアで跳んだ日本記録に1cmと迫る2m32を筆頭に2m30以上を4回、2m25以上は室内の記録を含めて10回クリアし、2018年個人10傑平均は2m279になる。
日本選手権は、衛藤昂(味の素AGF/2m25)に敗れて2位(2m20)だったが、春から海外を転戦してポイントを稼ぎ、国際陸連の「ダイヤモンドリーグ・ファイナル(8月31日)」にも出場し6位(2m26)に入る実績を残した。2018年の決勝(18試合)での最低記録は2m19だ。
現時点で走高跳のポイントトップは、大田和宏(日本体育施設)で「2113ポイント」。戸邉との差は「892ポイント」。
「記録ポイント」での「892」は、1m98(897ポイント)。戸邉が「記録なし」にでもならない限り簡単に追いつける。といっても、大田もランク2位の赤松諒一(岐阜大。2108ポイント)も北九州大会に出場する。大田のこれまでの「グランプリ大会」でのスコアは「1022ポイント」、赤松のそれは「1071ポイント」で、今回それを上回るには「記録ポイント」のみで考えると大田は、2m13以上。赤松は、2m18以上がターゲットになる。
といっても、「順位ポイント」の、1位・30ポイント、2位・25ポイント、3位・20ポイント、4位・15ポイント、5位・10ポイント、6位・5ポイントが加算されるので、北九州大会での順位にもよるが、3位以内ならば大田と赤松の「記録ポイント」は、上述の2m13以上、2m18以上よりも2cm程度低くてもこれまでの「グランプリ大会ポイント」を上回り「シリーズポイント」に上乗せができる計算だ。
2018年の大田のベストは2m22(1108ポイント。自己ベストも今季の2m22)、赤松のそれは2m20(1090ポイント。自己ベストは2015年の2m25=1135ポイント)だ。
大田と赤松がそれぞれの自己ベストである2m22と2m25をクリアした場合、「シリーズポイント」は、大田が「2199+北九州の順位ポイント」、赤松が「2221+北九州の順位ポイント」となる。が、現在「1221ポイント」の戸邉がこれを上回るには、2m11~14程度をクリアできれば逆転できそうな計算だ。
ということで、走高跳の「種目別チャンピオン」ということでは、戸邉の優位は間違いなさそうだ。
しかし、戸邉にとっては男子全種目での「シリーズチャンピオン」も射程圏内にある。
最終戦を残しての男子全種目でのトップは、100mの山縣亮太(セイコー)の「2457.2ポイント」。戸邉との差は、「1236.2ポイント」だ。
北九州大会で戸邉が優勝して「順位ポイント」の「30ポイント」を獲得すれば、「記録ポイント」で「1207ポイント以上」が必要になる。自己タイ記録の2m32は「1197ポイント」で、これでは山縣に及ばない。しかし、北九州大会で行われる男女5種目の中で最も高い「パフォーマンスポイント」を獲れれば、「チャンピオンポイント」の「25ポイント」が付加され、山縣を抜いてトップ立つための「記録ポイント」は、「1182ポイントでOK」ということになる。
といっても、「1182ポイント」は、自己ベストにあと1cmのかなりハイレベルな「2m31(1188ポイント)」だ。
日本タイ記録の2m33ならば「1206ポイント」で、これに「順位ポイント」の「30」に「特別ポイント」の「50」と「ミーティングチャンピオンポイント」の「25」が加算されると「1311ポイント」。すでに獲得している「グランプリプレミアポイント(1221)」との合計は、「2532」となり山縣を75ポイントあまり上回る。
が、2m30以上にバーが上がる状況となれば、「自己タイ記録の2m32」や「日本タイ記録の2m33」に挑む可能性は低く「2m34の日本新記録へのトライ」ということになるだろう。
「2m34をクリア」となれば「記録ポイント1215+順位ポイント30+特別ポイント100+ミーティングチャンピオンポイント25」で北九州大会のトータルは「1370ポイント」。「グランプリシリーズポイント」は、「1221+1370=2591ポイント」で、山縣に130ポイント以上の大差をつけての圧勝となる。
2m34をクリアできれば、2018年の世界7位タイ。アジア歴代5位タイである。
シーズンの締めくくりとなる試合で、ビッグな日本新記録をみせてもらいたいところである。
『【GPシリーズ最終戦「北九州大会」のみどころ】第3回男子砲丸投、新旧日本記録保持者が激突』へ
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
1日目:10/27(土)8:30~ライブ配信(予定)
※不具合で、先に告知しておりましたライブ配信のURLからは現在視聴いただけません。大変申し訳ありませんが、以下からご覧ください。復旧次第ご報告いたします。▼ライブ配信はこちらから▼
https://www.youtube.com/watch?v=M0vbwOfLIvU
2日目:10/28(日)8:30~ライブ配信(予定)
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