2018.07.12(木)大会

【U20世界選手権】2日目:日本、メダルラッシュ!走・跳・投で、「金」「金」「銀」!



午後のセッションで十種競技(後半)を含めて6種目で決勝が行われた大会第2日。日本勢は男子走幅跳、女子やり投、女子3000m、男子100mの4つの決勝に、6選手が出場。金メダル2、銀メダル1、入賞3の成績を収めました。

日本のU20選手権における金メダル獲得は、過去の全大会を通して4個(女子10000m:1994年、女子10000mW:2002年、男子200m:2010年、男子10000mW:2014年)。1大会で複数の金メダルを獲得するのはこれが最初となる快挙です。



“今大会金メダル第1号”となったのは、女子3000mの田中希実選手(ND 28AC)。一発決勝で行われたこの種目に、和田有菜選手(名城大)と2人で臨みました。

スタートして1周回るまでに和田選手がトップに立つと、これに田中選手がぴたりとついて、大きくリードを奪いました。900mで田中選手が前に出ると、1000mを3分00秒55、2000mを6分03秒19(この間の1000mは3分02秒24)で通過。3位集団を牽引するTsigie Gebreselama選手、Meselu Berhe選手(ともにエチオピア)らとの差を30~40m近くまで広げました。

田中選手はその後でペースを上げ、3位集団の追撃を許さず、残り350m付近でさらにスピードアップして和田選手を突き放すと、ラスト1周を65秒25でカバー。最後の1000mは2分50秒82で回り、自身が保持していたU20日本歴代3位の記録(8分54秒27)を引き上げる8分54秒01でフィニッシュしました。

ラスト1周まで田中選手にくらいついていた和田選手は、残り100mの付近で エチオピアの2選手にかわされ、4位でフィニッシュ。記録は9分00秒50で、8分台突入は逃したものの、自己記録を更新しての入賞となりました。



女子3000mが始まる前からスタートしていた男子走幅跳決勝には、男子キャプテンの橋岡優輝選手(日本大、ダイヤモンドアスリート)と酒井由吾選手(慶應義塾大)が出場。1回目の試技で、第1跳躍者の酒井選手が7m70(+2.0)を跳んで、前日の予選でマークした自己記録(7m69)を更新すると、第7跳躍者の橋岡選手は7m91(+0.3)を跳び、橋岡選手がトップ、酒井選手が4位で滑り出す展開となりました。

橋岡選手は、2回目の試技で7m94(+1.0)、3回目に7m99(+0.9)まで記録を伸ばしたMaikel Y. Vidal選手(キューバ)にいったんリードを奪われましたが、3回目に8m03(+0.9)を跳んで逆転。後半で記録を伸ばすことはできませんでしたが、そのまま逃げ切り、この種目で初の金メダルを日本にもたらしました。

また、3回目の試技を終えた段階で6位につけていた酒井選手は、5回目でさらに自己記録を上回る7m79(+1.5)をマークして5位に浮上。最終跳躍では8m近い跳躍を見せましたが、これは惜しくもファウル。目指していたメダルには届かなかったものの初めての世界大会で、自己記録を3度更新し、入賞を果たしました。



女子やり投でも、U20世界選手権で日本人初のメダル獲得者が誕生しました。
3回目の試技で、桑添友花選手(筑波大)が55m66をマークして、トップに。しかし、このラウンドでそれまで2番手にいたAlina Shukh選手(ウクライナ)が、55m95をマーク。29cm差の2位で、後半の試技に臨むこととなりました。この順位はベスト8の試技で変わることなく競技は終了し、桑添選手の銀メダルが確定。のちに日本記録保持者となる海老原有希選手(当時、国士舘大)が2004年グロセット大会(イタリア)で果たしたこの種目での最高順位・5位の成績を上回りました。

夕方に準決勝が行われ、決勝がこの日のトラック最終種目となった男子100mには、準決勝に宮本大輔選手(東洋大、ダイヤモンドアスリート)と福島聖選手(富山大)が臨みました。

3組2着+2の条件で行われた準決勝では、1組目に宮本選手が、2組目に福島選手が入る番組編成。まず、宮本選手が10秒33(+1.0)・3着でフィニッシュし、プラスでの決勝進出を待つ形となりました。

続いて行われた2組目(+1.4)で、福島選手は4着でフィニッシュ。3着の記録は10秒28、続いて福島選手の記録は宮本選手と同じ10秒33と発表され、2人はともに3組目の結果を待つことに。3組目の3着がこれを上回らなかったため、決勝進出は、日本勢2選手の1000分の1秒台での差で争われることとなりました。まもなく宮本選手の決勝進出が決定。福島選手は、自己記録を更新したものの、無念の準決勝敗退となりました。

その約3時間後にスタートした決勝では、宮本選手は2レーンに入ってのレースとなりましたが、持ち味の序盤で大きく抜け出すことができず、終盤で上位争いから置いていかれ、8着でのフィニッシュ。記録も10秒43(+1.2)にとどまりました。

優勝したのは、8レーンを走ったLalu Muhammad Zohri(インドネシア)。U20ナショナルレコードとなる10秒18の自己新記録でフィニッシュし、6月のアジアジュニア選手権に続いてのタイトル獲得となりました。

男子棒高跳予選では、U20アジア記録保持者(5m65、2017年)でダイヤモンドアスリートの江島雅紀選手(日本大)と、6月のアジアジュニア選手権を制した尾﨑駿翔選手(日本体育大)が出場。A組に入った江島選手は最初の試技とした臨んだ5m20を2回目にクリア。B組に入った尾﨑選手は4m80から試技を始めて自己タイ記録となる5m20を一発でクリア。江島選手はA組3位・全体5位で、尾﨑選手はB組2位・全体4位で、ともに大会5日目(7月14日)午後に行われる決勝進出を果たしました。

男子100m準決勝同様にシビアな戦いとなったのが、U20規格で行われる男子110mHと女子800mの準決勝。

男子110mHは、午前に行われた予選を突破した平賀健太郎選手(明治大)と泉谷駿介選手(順天堂大)が、3組2着+2の条件で行われた準決勝へ、ともに駒を進めましたが、1組目を走った平賀選手は5着(13秒93、-0.5)にとどまり決勝進出ならず。2組目に出場した泉谷選手は、13秒57(+0.2)をマークして4着でフィニッシュ。その段階でプラスの2番目となり、3組目の結果を待つことになりましたが、これを上回る記録は出なかったため、決勝進出が確定。トータルでは6番目の記録で、翌日行われる決勝に挑むこととなりました。



3組2着+2の条件で行われた女子800m準決勝では、2組目に、塩見綾乃選手(立命館大)が、3組目の川田朱夏選手(東大阪大)が入る番組編成に。

1組目の3着が2分03秒44となるなか、塩見選手が臨んだ2組目ではトップの400m通過が56秒72となるハイペースとなり、こうした影響もあって3着でフィニッシュした塩見選手の記録は2分03秒72と、その段階でプラス2の2番目に位置することとなりました。3組目では、川田選手が前半でリードを奪いましたが、2周目の第3コーナーではいったん5番手まで位置を下げ、ラストで3位に浮上。さらに2着に100分の1秒差まで迫って、3着・2分03秒37でフィニッシュ。この結果、川田選手が塩見選手を上回って、翌日行われる決勝への進出が確定。塩見選手が涙をのむ形となりました。

このほか、午前に行われた女子400mH予選では、関本萌香選手(早稲田大)が59秒16のシーズンベストをマークして予選を突破。女子主将で、6月のアジアジュニア選手権優勝の吉田佳純選手(駿河台大)は60秒61で組4着にとどまり、準決勝進出を逃しました。

また、女子砲丸投の尾山和華選手(福岡大、予選A組8位14m23)、男子400mの澤大地選手(草津東高、予選2組7着48秒15)、森周志選手(北海道栄高、予選4組6着48秒12)、男子ハンマー投の服部優允選手(中京大、予選B組11位65m70)も最初のラウンドで競技を終える結果となりました。


【選手コメント(決勝後)】

◎田中希実(ND28AC・兵庫)
女子3000m 決勝 1位 8分54秒01 =自己新記録
すごくびっくりしていて、全然実感がわかないというのが正直な感想。
最初の1500mは、和田(有菜)と一緒にペースをつくっていくという予定通りのレースだったが、後半は絶対にケニア、エチオピア勢が追い上げてくると思っていたので、全然来なかったことがすごく意外だった。レース中も、応援してくれた方々から「(差が)離れている」と声をかけられていたのだが、「本当かな」と思いながら走っていた。
ケニアとエチオピアがラスト1000mでも来ないとわかってからは、1000mからスパートをかけて、ラスト1周でもう一段階上げようと考えた。ちゃんとレース中に切り替えて、そういうレースを組み立てられたことはよかったと思う。
目標タイムは8分53秒で、これには届かなかったが、自己ベストが出たし、また一人でつくってのレースなかでのことだったので嬉しく思う。
結果的に、日本国内の試合と似たような展開となった。もし、実際にラスト(の優勝争い)でアフリカ勢に絡まれたら、自分を見失ったりしたかもしれないが、それでもいいから「ラストスパート合戦を経験してみたかったな」という思いはちょっとある。
今季は、この大会に重きを置いて取り組んできたので、先のことはまだ考えられないが、休むところはしっかり休み、それから夏の合宿でしっかり鍛えて、そこで次の目標とか身体とかを組み立てていきたい。

◎和田有菜(名城大1年・長野)
女子3000m 決勝 4位 9分00秒50 =自己新記録
先頭を走ることができたのは、自分にとってすごい収穫で大きな喜びだが、でもやはり8分台を出したかったし、ここまで来たらメダルを取って日本に帰りたかったという思いがすごく強いので、悔しさも大きい。
今日は、最初の2周は自分で引っ張るというチャンスをいただいた。そのチャンスに恵まれたことに喜びをもって走ることができたのだが、ラストがやはり足りなくて、8分台にわずかに届かなかった。
入賞することを狙っていたので、それをクリアできたことは嬉しいが、内容として、まだまだ行けるところがあったので悔しさもある。この大会を経験して、世界で戦う上でまだまだ自分に足りないものが見つかった。次の機会にも日本のユニフォームを着て走れる選手を目指して頑張りたい。

◎橋岡優輝(日本大2年・東京)☆ダイヤモンドアスリート
男子走幅跳 決勝 1位 8m03(+0.9)
決勝は、何も考えていなかった。すごく集中していたと思う。何よりも、ハイレベルだったので、とても楽しかった。日本選手権よりもレベルが高いという状態だったので、もうすごくワクワクして、途中で思わず笑みがこぼれそうになってしまうほどだった。
(ピット内では)少し風が回っていて、難しい状態ではあったが、昨日(の予選)からさらに一段階上がったような身体のコンディションだった。「記録も狙えるな」と思っていたのだが、(助走の)出だしのところが(反対側の砂場に向けた三段跳の)踏切板の埋め込みにあたっていて、そこが少し沈む感じが気になっていた。そういう影響もあって、記録的には「なんか腑に落ちない」感じの試合だったかなと思う。
3回目に8m03は出たけれど、最後の跳躍で足が残ってしまったり、助走で力みが入ってちょっと腰が抜けた走りになっていたりと、まだまだ改善点がいっぱいあったので、こういうレベルの高い試合でも、そういう部分を修正しつつ、もっと大きな記録を出せるようなメンタルの状態に調整していけるようにならなきゃいけないなと考えることのできた試合だった。
キャプテンとして金メダルが獲得できて、とりあえずはよかった。自分の優勝が決まる前に田中希実ちゃん(女子3000m)が勝ったので、「金メダル第1号は持っていかれたな」と思ってしまった(笑)。しかし、自分も取ることができたので、明日以降の日本チームにいい流れをつくることができたのではないかと思う。

◎酒井由吾(慶應義塾大1年・東京)
男子走幅跳 決勝 5位 7m79(+1.7) =自己新記録
競技を終えて、喜びよりも悔しさのほうがちょっと大きいかなという感じ。
昨日(の予選)よりもだいぶ体調も良くなって、動き自体も自分で修正できていた。それが1本目からしっかり出せたことが自己新(7m70)につながったと思う。この記録を跳んだことで、「これで(ベスト)エイトに残れる」と気が楽になった。
(決勝記録となった7m)79が、後半に出すことができた(5回目)ので、それは評価できる点だと思うが、6回目で少しファウルしてしまったのが悔やまれる部分。8mちょっとくらいの距離が出ていたので、ファウルでなければ、橋岡先輩とワン・ツーがとれたのだが、そこは自分の弱さが出てしまった印象。これからの課題かなと思う。
橋岡(優輝)先輩が勝ったからというのもあると思うが、予選・決勝を通じて、思ったより世界との差はないなと感じた。これから自分のやるべきことをしっかりクリアしていって、東京五輪で活躍できたらいいなと思う。

◎宮本大輔(東洋大1年・埼玉)☆ダイヤモンドアスリート
男子100m 決勝 8位 10秒43(+1.2)
加速のところはまあまあよかったのだが、後半で失速した。そこは悔しいが、世界の舞台の決勝で走れてよかったと思う。(100mを終えて)とりあえずはしっかりと決勝まで走れたことでホッとしているのだが、結果がついてこなかったので、そこは悔しい。
決勝レースに向けて、特に気負うこともなく、楽しむという思いで臨んだ。調子は上がらなかったが、最低限のことはできたかなと思う。1日空けてリレー(4×100mR、7月13日)が始まる。気持ちを切り替えて、リレーでメダルを取れるように頑張りたい。

◎桑添友花(筑波大2年・宮城)
女子やり投 決勝 2位 55m66
(競技を終えて)悔しいという気持ちのほうが大きい。
3投目で55(m66)を投げたところで、自分なりにかなり修正できていた。すぐに逆転されて2位となったが、もっと投げられると思っていたからこそ、さらに記録を伸ばしていけなかったことが悔しい。
(4回目以降の投てきは)記録を狙いにいきすぎたというか、“投げたい”という気持ちが強くなりすぎてしまい、コントロールすることが難しかった。
この大会の女子やり投でメダルを獲得したのは初めてということを、さっき言われて初めて知った。それはとても嬉しいことだが、でも、金メダルに届く勝負であったことを思うと、その機会を逃したことが悔しい。
U20でこの成果を残すことができたので、次はシニアでも戦えるようになっていきたい。レベルは上がるけれど、まずは日本で上位争いができるよう頑張いたい。

【選手コメント(予選・準決勝ラウンド後)】

◎平賀健太郎(明治大1年・京都)
男子110mH 予選3組4着 13秒80(+0.7) ※準決勝進出
でも、ほんとずっと高く感じて、うまく(リズムに)乗り切れなかった。
スタート練習でハードルを跳んだとき、サブトラックのときよりもハードルが高く感じて、その影響か、けっこう派手にぶつけてしまった。でも、そこで(身体が)浮いてしまうとダメなので、攻める走りで行こうと臨んだが、うまく(リズムに)乗りきれず、リード脚の臀部に近い位置を当ててしまい、ピッチを上げていくことができなかった。いつもなら終盤で刻み直すのだが、ハードル自体が日本のものと違っていて、ちょっとぶつかっただけでダメージがくる印象で、その点も戸惑った。準決勝では、ハイハードルの感覚とかも思い出して取り組めば、ある程度修正できると思う。そこをしっかりやって臨みたい。

◎泉谷駿介(順天堂大1年・神奈川)
男子110mH 予選4組2着 13秒86(+0.3) ※準決勝進出
レースは、まあまあという感触。前半いい感じで出られたので、そこから加速する感じで行こうとしていたのだが、“不得意の後半”が出てしまった印象で、うまく上げていくことできなかった。準決勝は、ウォーミングアップをたくさんして、身体を温めて、日本記録(13秒31)を狙いたい。

◎尾山和華(福岡大2年・兵庫)
女子砲丸投 予選A組8位 14m23
1投目からベスト(自己記録15m78)が出せるよう、突っ込んでいこうと思っていたのだが、投げ急ぐ投てきになってしまった。2回目、3回目と、少しは直ったけれど、“行った”という手応えはなく、記録も全然伸びなかった。緊張は全く感じていなかったのだが、もしかしたら、それがよくなかったのかもしれない。この大会は、決勝進出を目標にしていた。調子も悪くはなかったので、それを達成できず残念に思う。こうした世界大会で戦うためには、もっと強くならないと…。まずは日本で勝てるようにして、世界に通用するようになりたい。

◎関本萌香(早稲田大1年・秋田)
女子400mH 予選2組3着 59秒16 ※準決勝進出
日本チームの応援がバックストレートで聞こえてきて、サンライズレッドの色も見えたので、「行くぞ!」と思って走ることができた。8レーンで誰も見えず、自分のレースをするしかなかったことが逆に、のまれずによかったかと思う。
今日は、ベストを出さなければ予選を通過できないと思ったので、ベスト(58秒83、2016年)は絶対に更新しようと思っていた。結果的に出なかったけれど、セカンドベストが出たのでよかったかなと思う。日本でないところで出せたことがよかったと思う。
アジアジュニア(選手権での決勝レース)を積極的に行きすぎて最後へばってしまったので、同じ失敗を繰り返しちゃだめだと思い、前半ちょっと余力を持って、“楽そうに”行くことを心がけた。ベスト記録に差がある選手なので、ラストで追い上げてくることはわかっていた。でも、そこで焦ってしまうと、3着以内も逃してしまうと思ったので頑張った。でも、ラストの40mどうしても足が動かず抜かれてしまったことが悔しい。

◎吉田佳純(駿河台大2年・岐阜)
女子400mH 予選5組4着 60秒61
今日は、58秒台を出して3着以内に入り、次(準決勝)につなげるというのが目標だった。調子もよく、自分でもタイムを狙えると思っていたのだが、日本のタータン(全天候型走路)と違って、すごく反発をもらえるタータンで、そこに走りを合わせることができなかった。インターバルがかなり詰まり、バック(ストレート)でもテンポ走みたいな感じになって(脚を)回しきれず、そこで力を使いきってしまった感じがある。自分の持ち味である10台目を越えてからの粘りを、生かせずに終わってしまったことが悔しい。
今季に向けては、6月のアジアジュニアで結果を出すことを最大の目標にして取り組んできていた。アジアジュニアでは結果を出すこと(400mHと4×400mRで2冠)ができたが、それから1カ月でまたピークを合わせることに難しさがあったように思う。

◎澤 大地(滋賀県立草津東高3年・滋賀)
男子400m 予選2組7着 48秒15
前半から周りの人がどんどん飛ばしていったので、そこで焦ってしまった。ラストで(5・6着の選手に)追いつけるかなと思ったが、最後は脚が動かなくなってしまった。ベスト(47秒69)の更新を狙っていたが、そううまくはいかなかった。
まだ全国大会も経験してことがないのに、いきなり世界大会に出場することになったので、とても緊張した。しかし、終わってみると「もっと走りたかったな」という思いがある。まずは、リレー種目で頑張りたい。

◎森 周志(北海道栄高3年・北海道)
男子400m 予選4組6着 48秒12
自己ベストを狙っていったが、気持ちの面で負けていたなと思う。調子はずっとよかったのだが、レース直前になって緊張感にやられてしまった感じ。周りが自分よりも速い人ばかりで、それで完全に気後れしてしまった。
レース自体は、自分ではイメージ通りに走れたつもりだったが、実際はそうではなく、イメージとタイムにずれがあった。47秒前半は出たかなと思っていたのに、記録は48秒台だったので悔しく思う。

◎服部優允(中京大2年・兵庫)
男子ハンマー投(6kg) 予選B組11位 65m70
練習の段階から投げの感覚があまりよくない状態が続いていたが、試合前日になんとかよくなってきたので、今日、どれだけ行けるかという思いで臨んでいた。1投目に65(m70)を投げて、そのまま上げていけば決勝に行けるなと思ったが、そこで修正することができなかった。海外のハンマーは日本のハンマーと少し違いがあるので、そこが難しかったと思う。2投目は少し投げ急いでしまってのファウル。3投目無効試技はタイムオーバーによるもので、いったんターンに入っていたが、2投目と同じミスをしていたので途中でやめてやり直そうとしたが、残り時間が3秒くらいになっていた。「赤旗が上がるくらいなら、このまま投げてしまえ」と思って投げたが全然ダメだった。
世界選手権は、日本の試合とは雰囲気が違って、楽しい部分もあったが、不安な部分も多かった。滑り止めもなくて海外の選手に借りるなど、できることはいろいろやってはみたものの、やっぱり経験不足だなと感じた。この経験は次に生かしていきたい。

◎平賀健太郎(明治大1年・京都)
男子110mH 準決勝1組5着 13秒93(-0.5)
1台目で隣のアメリカの選手に前に出られて、そのときに“行かれた”という思いが生じたことで、ペースが狂ってしまった。ハイハードルでの僕の悪いところが全部出たようなレースになってしまった。
アップの感じとか、動いた感じはだいぶよくて、行けるかなと思ったが、隣が出てくると、どうしても低く跳んでしまう。日本であれば、それでハードルに脚をぶつけても大丈夫なのだが、この(硬い)ハードルではダメ(減速してしまう)。“当てるハードリング”では通用しないなと感じた。これを改善して、しっかりした本当のハードリングをできるようにしていきたい。

◎泉谷駿介(順天堂大1年・神奈川)
男子110mH 準決勝2組4着 13秒57(+0.2) ※決勝進出
スタートはいい感じで出られたが、後ろから追われる展開に慣れていないこともあり、4台目か5台目にリード脚を思いきりぶつけてバランスを崩してしまった。でも、それがあったなかでのこのタイム(13秒57)は、「まあ、いいかな」という感じ。プラスの2番目での準決勝通過。確定するまで本当にひやひやした。明日の決勝は、まずはミスをしないこと。そして、自分の力を全部出しきって、前回大会で古谷さん(古谷拓夢、3位)がマークしたU20日本記録(13秒31)を更新したい。

◎塩見綾乃(立命館大1年・京都)
女子800m 準決勝2組3着 2分03秒72
着順(2着)での進出を目指して、最初から飛ばしていく展開を想定していたが、(レーンが)オープンになったときに、もう2人の選手に前に出られていた。ただ、「ここで無理に出ても後半もたないかな」と思ったのと2周目になったら落ちてくるかなと思い、後ろにつくレースをすることにした。そうしたらトップの1周目の通過が56(秒72)。かなり速いということは走りながら感じていて、ちょっと離れても大丈夫かなと思っていたので、そこまでは想定内だったが、2周目でそのまま離されてしまった。ラストで逆転できるかなと思い、1人は抜いたのだが、まさかその後ろから来るとは思っていなくて3着になってしまった。調子がよかっただけに、本当に悔しい。

◎川田朱夏(東大阪大1年・大阪)
女子800m準決勝 3組3着 2分03秒37  ※決勝進出
(1・2組目の結果はわかっていたが)自分のレースをしようと思って臨んだ。1周の通過は61秒26。1分か、1分を切るくらいで入りたいと思っていたので少し遅かったのだが、自分では走っているときはそんなに遅いとは思っていなかった。それでも、外国の選手は後半がめちゃ強いので、ラストでそこに食らいついていけた(2着の選手を猛追して0.01秒差まで迫った)ことはよかったと思う。決勝は塩見のぶんまで絶対にベストを出して、メダルを取りにいきたい。

◎宮本大輔(東洋大1年・埼玉)☆ダイヤモンドアスリート
男子100m 準決勝1組3着 10秒33(+1.0) ※決勝進出
日本選手権くらいから調子を落とした状態のなかだったが、やることは最低限できたと思う。スタートはまずまずで、予選のときに課題としていた中盤以降の動きも、少しはよくなったとは思うが、まだ満足はしていない。手応えとしては悪くはないので、決勝では、さらに修正していきたい。

◎福島 聖(富山大1年・富山)
男子100m 準決勝2組4着 10秒33(+1.4)=自己新記録
予選よりもスムーズに行けたなと思うが、でも、前(上位選手)が速すぎた。スタート練習のときとかも、足音が全然違うなと感じていて、それがパワーの違いなのかなとも思うが、そのあたりが今後の課題かなと思う。スタートは予選と同じイメージで出たのだが、でも、出た段階でもう相手が前にいて、さすがに最初から圧倒されてしまった。
1組目を走った大輔(宮本)と同記録でプラス通過を争い、1000分の1秒単位で自分が決勝に進めない結果となったが、全力を尽くし、自己ベストをマークすることもできたので悔いはない。まずは、決勝に進んだ大輔のサポートを最後までして100mを締めくくり、4×100mRに挑みたい。

◎江島雅紀(日本大2年・神奈川)☆ダイヤモンドアスリート
男子棒高跳 予選A組3位 5m20 ※決勝進出
この大会はメダルが獲得できるチャンス。絶対にメダルを持ち帰りたいと思っていたのに助走が合わず、練習跳躍で1本も踏み切ることができないまま、試技に挑むことになった。試合の練習跳躍を踏み切れないまま終えたのは初めてのことで、不安でいっぱいだったが、その状態を切り替えることができたのは、尾﨑(駿翔)の存在が僕の中では大きかったように思う。彼が先に(1回目で)5m20を跳んで、すぐに駆け寄ってきてくれた。それによって、自分は一人で試合をしているのではなく、いろいろな人とチームでやっているんだと思うことができ、それが決勝進出につながったと思う。
5m20は2回目でのクリアとなったが、(失敗した)1回目も自分のなかで「いい失敗」に属するもの。成功した2回目は、今シーズン一番いい跳躍をすることができたのではないかと思う。決勝までは2日空くので、気持ちを整理して、勝負の舞台に挑みたい。身体は動いているので、あとは「勝ちたい」という気持ちを誰よりも強く持つこと。自分を信じて臨みたい。

◎尾﨑駿翔(日本体育大1年・東京)
男子棒高跳 予選B組2位 5m20 =自己タイ記録 ※決勝進出
初めての海外遠征で、しかも世界大会での試技だったので、表彰台とか記録とかを狙っていくうえで、「楽しもう」ということを前提に考えていた。例年の大会のレベルが(5m)20で通過だったので、最低でも20は跳ぼうという考えではいた。
(5m10は3回目のクリアになるなど)危ない跳躍もけっこうあったが、そのなかでしっかりと自己タイの5m20を1回で跳び、予選を通過できたので、とりあえずは安心した。
決勝では、最低でも5m20はもう1回跳びたい。理想は江島さんと一緒に表彰台に上ること。(5m)30、35、40と、その上の記録も狙いたい。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)


▼第17回U20世界陸上競技選手権大会▼

http://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1265/

▶1日目:チームJAPAN最初の入賞者は、ダイヤモンドアスリートの髙松智美ムセンビ

▶2日目:日本、メダルラッシュ!走・跳・投で、「金」「金」「銀」!

▶3日目:泉谷駿介、U20日本歴代3位の快走見せ、男子110mHで銅メダル獲得!

▶4日目:高良彩花、セカンドベストの跳躍で、銀メダルを獲得!

▶5日目:男子棒高跳・江島雅紀、5m55の今季ベストで銅メダル!

▶最終日:吉田選手が3000mSCで過去最高の5位入賞!日本は、金2、銀2、銅2、入賞11の成績


第17回U20世界陸上競技選手権大会
開催日:2018年7月10日(火)~15日(日)
会場:フィンランド・タンペレ

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