ジャカルタ・アジア大会代表選考競技会を兼ねて、6月16~17日に開催される第102回日本選手権混成競技の前日会見が6月15日、長野市内のホテルで行われました。会見には、男子十種競技で大会2連覇中の中村明彦(スズキ浜松AC)、この種目の日本記録保持者(8308点、2014年)の右代啓祐(国士舘クラブ)、女子七種競技前回覇者で大会3連覇中のヘンプヒル恵(中央大)、前回2位の山﨑有紀(スズキ浜松AC)、今季日本リスト1位(5821点、日本歴代3位)の宇都宮絵莉(長谷川体育施設)の5選手が登壇。大会に向けての抱負、現在の状況などを述べました。
以下、各選手のコメント(要旨)をご紹介します。
■中村明彦(スズキ浜松AC)
<大会の目標と現在の状況>
日本選手権での目標は、自己ベスト(8130点)を更新して、アジア大会の切符を取りにいきたいと思っている。ここまで、この大会を、今シーズン前半のピークの試合と位置づけてやってきた。しっかりと準備した成果を発揮して、自己ベストにつなげていきたい。跳躍種目が安定し、わりと記録が出ているので、その3つ(走幅跳、走高跳、棒高跳)のなかで1つでもベストが出ればいいなと思っている。<ファンの方々へ>
2020年東京五輪が決まって、ほかのスポーツもそうだが、陸上競技にも注目が集まっているなか、混成競技はこうして独自で日本選手権が開催されるので、大きく注目されるチャンス。そこでしっかりと記録を出すことはもちろんのこと、それぞれの種目のなかで、大きなパフォーマンスを見せたい。
<アジア大会への思い>
自分が日本陸連の強化選手になって最初に言われたことは、「まず日本で勝って、アジアで勝って、世界に出ていくことが大事で、その順番をしっかり守って、成長していきなさい」ということだったので、自分にとってアジア大会は、すごく大事な大会。また、前回大会で勝つことができなかったので、2020年への3年間の第1歩として、非常に大事な大会になってくると思っている。
■右代啓祐(国士舘クラブ)
<大会の目標と現在の状況>
今シーズンはすでに3戦行っている。ニュージーランド選手権、東京コンバインド、ゲツィス(ハイポミーティング、オーストリア、7948点=今季日本最高、14位)を終えて、1戦1戦で課題をしっかりとクリアして、着実に力をつけて今回の日本選手権に挑むことになる。昨年は、膝の痛みで苦しんで、頭の中に引退という言葉もよぎったのだが、しっかりと自分を振り返って、今できるところは何かというところで、1年半かけてようやく抜け出すことができた。それが先日のゲツィスの結果にも出ていると思う。
日本選手権は過去2大会、中村選手に敗れて悔しい思いをしている。今回は、もう一度挑戦という形になるが、昨年、一昨年と自分の力を出しきれていないという部分があるので、「日本選手権でどれだけ自分の力が発揮できるのか」というところを楽しみにしながら戦っていきたい。コンディションのほうは、かなりいい。しっかりとこの試合に合わせて準備してきている。
<ファンの方々へ>
混成競技のファンがどれだけいるのかというのは、まだまだほかのスポーツに比べると少ないと感じているのだが、走ったり投げたり跳んだりと「陸上競技の王様」がやる競技。十種競技も七種競技も「なんでもできるんだ」というところを、メディアの皆さんが発信してくださればいいなと思うし、それに伴った記録が出せれば…。そういったところで、自分自身も発信し続けていきたい。
<アジア大会への思い>
アジア大会は、もし出場が決まれば、3大会連続出場となる。前回は優勝することができたので、連覇できればいいなと思ってトレーニングに励んでいる。リオ五輪の前にケガをしてしまって、そこから復帰して、今度は膝を痛めて…と、この数年、なかなか平坦な道ではなかったが、ようやく今年は痛みと“おさらば”して、思いきって競技ができている。まずは、日本選手権で久しぶりの一番高いところに上って、アジア大会の代表を日本選手権で獲得したい(注:十種競技は、日本選手権で東京オリンピックターゲット記録のスタンダード=8100点を突破して優勝すると、その段階でアジア大会代表に内定する)。その得点が出せれば、アジア大会でも優勝できると思う。まずは日本選手権がポイントかなと思っている。
■ヘンプヒル恵(中央大学)
<大会の目標と現在の状況>
日本選手権は、今大会で4回目の出場。大学1年生のときから3連覇を果たしている。今年は、去年のケガ(8月に膝を痛めた)の影響もあり、グランプリプレミア(東京コンバインド、5441点で3位)は何年かぶりに七種競技で負けて、ものすごく悔しい思いをした。それだけに、今大会は絶対に4連覇を果たしたい。記録は6000点を目指して頑張る。
コンディションはいい。関東インカレで(東京コンバインドのときより)200点アップした(5627点で優勝)ので、またそこから200点はアップできると思う。
<ファンの方々へ>
七種競技は、まだ男子の十種競技ほど有名でもないし、男子100mにももっと届かない状態。それくらいまで知名度が上げられるように女子も盛り上げながら頑張っていきたい。
<アジア大会への思い>
去年のアジア選手権は2位で終わってしまい、1位の人は世界選手権に行った(注:エリアチャンピオンシップの優勝者は、世界選手権の出場権を得ることができる)ので、すごく悔しかった。アジアで悔しかった思いは、アジアで晴らしたい。
■宇都宮絵莉(長谷川体育施設)
<大会の目標と現在の状況>
今大会の目標は、4月に更新した自己ベスト(5821点)のさらなる更新と、日本選手権ではまだ優勝がないので、自己ベストを更新して優勝すること。コンディションに関しては、春にいいスタートが切れて、そこから今大会に向けて自分のできることを精いっぱい準備してきた。明日から2日間、自分らしく精いっぱいの競技ができれば、得点もついてくるのではないかと思っている。
<ファンの方々へ>
まだまだ十種競技に比べると陰に隠れた存在だが、七種競技もレベルの高い戦いができると思う。見てもらえるようなきっかけとなるような試合を精いっぱいやりたい。
<アジア大会への思い>
私は、まだ日本選手権で勝ったことがない。まずは、明日から始まる日本選手権で、自分の力がしっかり出せればアジア大会も見えてくる。もし、選んでいただけたら、そこで自分の力を出す自信にもつながると思うので、まずは日本選手権。日本のトップを目指して頑張りたい。
■山﨑有紀(スズキ浜松AC)
<大会の目標と現在の状況>
社会人1年目の日本選手権となる。今年、大学を卒業して1年目だが、春の日本GPシリーズ(東京コンバインド、5672点、2位)ではまずまずのスタートが切れたかなと思っている。いつも自己ベスト(5751点、2016年)が出せそうで出せないところにいるので、今大会では、自己ベストの更新、そして優勝を目指していきたい。
コンディションは、グランプリのときよりもスプリントの調子が上がってきたなという感じがしている。自分の持ち味をしっかり発揮して、1種目1種目で点数を積み重ねていきたい。
<ファンの方々へ>
また、大会に足を運んでくださっている皆さん、ライブ配信や速報を見てくださる方々に、「混成競技ってすごいんだな」と思われるような戦いをしたいなと思う。
<アジア大会への思い>
今まで日本代表の経験がないので出場したいという気持ちもあるのと、また、今年2月にアジア大会のプレ大会に出場するためにジャカルタへ行かせていただき、その際、現地の方と「またおいで」という会話をしていたので、アジア大会にはめちゃくちゃ出たいと思っている。明日から1種目1種目を楽しんで、アジア大会出場を目指して頑張りたい。
大会は6月16~17日の2日間の日程で、U20日本選手権混成競技を併催する形で長野市営陸上競技場において行われます。1日目の6月16日は午前9時15分からサブイベントが競技開始。日本選手権男子十種競技は最初の種目となる100mが9時55分から、同女子七種競技は第1種目の100mHが10時30分から、それぞれスタートします。両日の模様は、日本陸連サイトにおいて、ライブで動画配信される予定です。
文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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