始まりは、棒高跳が大好きな高校生の「やってみたい」という思いから。その熱い想いが、年齢の垣根がない仲間たちへと伝播し、ある素敵なイベントを実現させました。今回のRIKUJO JAPANでは、3月29日に、豊島区立中池袋公園で開催されたストリート棒高跳『メイスンワーク ストリートボウタカ at 池袋』で見た景色をご紹介しましょう。
※本文中に出てくる選手の所属・学年は、2024年度のものを記載しています。
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2024年度最後の週末となった3月29日。東京は、冷たい雨が降る朝を迎えました。正午から開始するエキシビションマッチの出場する選手たちの集合時間は午前10時。その30分ほど前に会場へ到着したときには、すでに棒高跳ピットをはじめとする競技エリアの設営は完了していました。
聞けば、設置作業は午前7時から始めていたとのこと。棒高跳にはポールを突っ込むボックスという場所が必要で、通常の陸上競技場では埋め込み式で用意されていますが、ストリートで行う場合は、助走路のほうを高くすることでボックスを配置します。このため、複数のマットを組み合わせて設置する幅6m、奥行き8m(ボックスの手前となる張出し部分を含む)、高さ80cmの大きなマットだけでなく、ボックスの深さ(20cm)に合わせた助走路の設営も必要になってくるのです。今回は、木材とプラスティックパレットの上にコンパネと呼ばれるベニヤの合板を置き、その上にゴムマットを敷く形で20mほどの走路を用意。さらに選手が追い風に乗って助走できるようにと、マットの設置場所を当初と反対側へと移動させて完成させたそう。想像するだけでも大変な作業なのですが、雨仕様に身を包んだスタッフたちは、誰もが笑顔で自分がやれることを探し、立ち働いていました。
「ストリート棒高跳をやりたいです」
『メイスンワーク ストリートボウタカ at 池袋』は、NPO法人ボウタカのオンラインミーティングで、最年少メンバーの川辺陽也さんの発したこのひと言から始まりました。NPO法人ボウタカは、『全てのボウルターの「もっと高く跳びたい」を叶え、棒高跳を通じた喜び、感動、そして成長する機会を創造する』をビジョンに掲げ、2021年に設立された組織。全国各地にいる30名を超えるメンバーで構成され、情報発信、調査・研究促進、選手・指導者の育成、スポーツ教室のイベント開催、用具の管理・運営といった、棒高跳関するさまざまな事業を手がけています。川辺さんも、その一人。立教池袋高校1年の2022年秋に加入し、メンバーとして活動してきました。
「日本一棒高跳が好きな高校生だと思う」と言う、そんな彼が、「棒高跳をもっと多くの人に知ってもらうためにはどうしたらいいのか」と考えていたときにSNSで目にしたのが、海外で行われていたストリート陸上の動画でした。街中で大勢の観客が見守るなか、トップ選手が熱戦を繰り広げ、人々を熱狂させる様子に心揺さぶられ、「これを日本でやりたい!」と提案したのです。「いいね、やってみようよ」と賛同したのが、年長のメンバーたち。やはり棒高跳を心から愛する面々です。こうして、2023年11月、川辺さんを発起人に“ストリートボウタカプロジェクト"が始動。NPO法人ボウタカが一丸となってプロジェクトを進めていくことになりました。
さまざまな人々の縁とアクションが繋がって、会場は、池袋駅から徒歩5分弱にある中池袋公園に。ここは、豊島区が推進する国際アート・カルチャー都市構想のシンボルとして2020年に誕生した複合施設「Hareza池袋」の前庭空間として位置づけられています。地の利も人通りも多い、まさにイベント開催には最高のスポットで、同公園の指定管理者を務める一般社団法人Hareza池袋エリアマネジメントとNPO法人ボウタカとの共催で行われることになりました。資金面は、豊島区に拠点を置き、陸上競技部も持つメイスンワーク株式会社が冠パートナーとしてバックアップしたほか、6社がパートナーとしてサポート。また、クラウドファンディングによる呼びかけで目標の40万円を大きく上回る55万円弱の支援が寄せられました。運営には豊島区スポーツ協会や東京陸協が協力したほか、ボランティアスタッフとして多くの人々が参加。さらに成蹊中学・高等学校、広尾学園中学校・高等学校、立教池袋中学校・高等学校の生徒たちが、スタッフの一員として休日の早朝から加わりました。こうして「小学校から高校まで12年間を過ごした池袋で、ストリート棒高跳を!」という川辺さんの夢は、1年以上の準備期間を経て、大学生となる2025年度を迎える直前の3月29日に実現したのでした。
この日のプログラムは、12時からメインイベントとして「エキシビションマッチ」を実施。終了後に、「ぱん食い競走×ボウタカ」「ボウタカ体験会」の2つの企画が行われるタイムテーブルが組まれていました。しかし、エキシビションマッチに向けた準備に入っていこうとした11時過ぎのタイミングで雨脚が強まる状態に。その後の天候回復等も考慮し、全体の進行を1時間遅らせ、スタート時刻を13時とするタイムテーブルに変更されました。
少しは弱まったものの、正午を過ぎても、傘が必要な雨模様のまま。「この状態で、観客が足を止めてくれるのか…」。そんな心配もよぎります。しかし、DJブースから人気のナンバーが次々と流れ始めると、会場の雰囲気は一気にイベントモードへ。エキシビションマッチに参加する選手たちが姿を現し、身体を動かし始めると、応援に駆けつけた友人や家族たちと笑顔で声を掛け合う場面も見られ、ピット周辺が活気づいていきました。そして、選手たちが長いポールを操り、助走をつけてのポールの突っ込み練習が始まると、迫力のある足音やポールをボックスに突っ込んだときの独特の音に、足を止めてピットの様子をのぞき込む人の姿が増えてきます。選手がポールの反発を使って身体を浮かせる様子に、歓声も上がるようになりました。
13時を回って、ゴムバーをかけての公式練習をスタートさせるタイミングで、オープニングが行われました。MCを務めたのはボウタカメンバーの水成昂聖さん。イベントの説明や発起人となった川辺さんの挨拶が行われたあと、エキシビションマッチに出場する選手を1人ずつ紹介したほか、エキシビションマッチで採用する特別ルールや、優勝者以外も対象とする表彰に関する説明、配布されているハリセンを使って応援の仕方などを、次々に軽妙な語り口で紹介していきます。1人1回の設定で実施されたゴムバーをかけての公式練習は、選手個々の申告により、高さとアップライト(支柱を動かし、バーの奥行きを調整すること)を設定して行われましたが、男子エリートの部に出場する選手たちのリクエストでゴムバーが4m60に上げられると、観客たちは頭上高くにかけられたバーの高さを改めて実感。その高さを選手たちが跳んでいくと、練習跳躍にもかかわらず、「うわあ!」というどよめきや拍手が起こり、さらに周囲の関心を集めていきます。加えて公園内の観客エリアでは、中・高校生のスタッフたちが、応援用のハリセンやパートナー社から提供されたサプリメントケースを配布して、通りゆく人たちの呼び込み活動を展開。これらが功を奏して、観覧エリアに二重三重の人垣ができた状態で、13時半ごろからエキシビションマッチが開始されました。
エキシビジョンマッチは、エリート男子、エリート女子、都中高生男子、都中高生女子の4部門に計15名が参加して行われました。1人が行えるのは全5試技まで。バーは最初の高さを2m50、次を2m60として、以降を20cm上げていく設定で、どの高さに挑戦するかは選手の申告制とし、同じ高さを3回以上跳んでもOK。各部門において全5回の試技で一番高く跳べた選手が勝ちという、通常とは異なる特別ルールでの実施です。
最初の高さとなった2m50に挑戦したのは、唯一の中学生としてエントリーした渡邊玲菜選手(広尾学園中3年、自己記録2m90、以下同じ)です。凍えてしまいそうな冷たい雨が当たるなか、たくさんの観客から注目を浴びての跳躍となりましたが、この高さを見事にクリア。跳躍後、ちょっとホッとした表情でポールを受け取る渡邊選手に、大きな拍手が寄せられました。同じく2m50からスタートした瀧嶋美宇選手(都武蔵野北高2年、2m90)は2回失敗したのちに、3回目も惜しい跳躍で失敗。4回目は2m60で挑むことにしました。2m60の試技でも、渡邊選手は1回でクリアしたものの、瀧嶋選手は、この高さも失敗。残る試技は1回に追い込まれてしまいます。しかし、瀧嶋選手は勝負に出ました。最後の試技を2m80に上げて挑戦することを決断したのです。失敗すれば記録なしとなる状態で、20cm上げての最後の跳躍を見事にクリア。ここで競技終了をなりましたが、会場を大いに沸かせました。2m80に挑んだ渡邊選手は、残る3回の試技でこの高さを攻略することができず。2m60で競技を終了することに。競技後には「雨の中でとても寒かったし、最初の跳躍者だったので跳ぶ前は緊張していたけれど、見ている皆さんが盛り上げてくれたので、すごく楽しく跳ぶことができた」と笑顔。4月からは高校生となりますが、陸上は続ける予定とのこと。今年は3m30を跳べるように頑張ります!」と力強い言葉を聞かせてくれました。
このように、全5回という制限のあるなかで、自分の状態を見ながら跳ぶ高さを決めてチャレンジしていくという勝負は、通常の競技とはまた異なる面白さがありました。あとのないなか自己記録に10cmと迫る2m80に挑んで成功させる度胸の良さを見せた瀧嶋選手は、「チャレンジして跳べたので大満足。ありがとうございました!」と観客に挨拶していました。
2m80からは、高校生の後藤穂乃禾選手(都松が谷高2年、3m41)や加藤優空選手(明星学園3年、3m70)、そしてエリート女子の高橋美智子選手(東京女子体育大、3m90)も試技を開始。3m00からはエリート女子の森田彩選手(MOON、4m01)も跳び始め、3m40では4回目となった後藤選手や3回目の森田選手と一緒に、高校男子の金子太峨選手(明星学園1年、3m80)も1回目の試技に挑むことに。女子と男子が同じ高さに挑んでいくという、これもまた特別ルールならではの展開となりました。
こうして、バーの高さは徐々に上がっていき、3m60からは男子による戦いに。3m80では、リオオリンピック代表で、37歳となった現在も競技を続けているベテランの荻田大樹選手(メイスンワーク、5m70)が登場しました。1回目の試技は駆け抜けてしまう形となった荻田選手は、MCに呼ばれてマイクを持つと、「今日、最高齢37歳の現役ボウタカ選手です」と自己紹介するとともに、「小学生の皆さん、お父さんと同じくらいの年ですよ。こんなにおじさんになっても跳びたいと思うのが棒高跳の魅力。今日は途中で力尽きるかもしれませんが、暖かなご声援を」を自己アピール。2回目で3m80をクリアすると、4m00は一度で成功。「だいぶへばってきたので、次の試技で最後にします」と宣言して臨んだ4回目の4m20も鮮やかなクリアランスを披露して競技を終えました。
4m40になって登場したのが、近年の日本リストで上位に名前を連ねる選手たちです。2024年のアジア室内で日本代表も経験している澤慎吾選手(きらぼし銀行、5m61)、荻田選手とともに参加選手中トップとなる5m70の自己記録を持つ石川拓磨選手(東京海上日動CS)、日本選手権優勝経験を持つ来間弘樹選手(ストライダーズ、5m60)が姿を現しました。
意表を突く姿で現れたのが澤選手です。なんと「スーパーマリオ」のコスチュームを身にまとい、テーマ曲とともに登場すると、まるで着ぐるみのようなその服装で4m20をクリア。マット上でバク宙(バック宙返り)を見せて、喝采を集めたのです。一方、石川選手は4m40を軽く成功させると、4m60ではクリアしたあと空中で宙返りしながらマットに落ちていくパフォーマンスを披露。来間選手も大きく身体を浮かせる跳躍で4m60を成功させました。
この3選手がパスした4m80で、「実は、今日が結婚記念日です」と紹介された山崎太士選手(高松陸協、5m40)が競技を終え、男子エリートの優勝争いは5m00で競われることに。5回目の跳躍となった澤選手は、これをクリアすることができず、ここで競技を終了します。来間選手も4回目と5回目の試技に挑みましたが、この高さの攻略はなりませんでした。そして、3回目の試技は失敗跳躍に終わった石川選手は、トータル4回目として挑んだ5m00の2回目の跳躍を、バーを揺らしながらも見事にクリア。ここで勝利を決めました。さらに最終5回目として5m10にも挑戦。この高さを攻略することはなりませんでしたが、観客からは惜しみない拍手が寄せられました。
出場者全員による観客へのハイタッチが行われたのちに始まった表彰式では、中高生女子の部を3m20で制した後藤選手、中高生男子の部を4m00で制した岩間翔琉選手(明星学園1年、4m10)、エリート女子の部を3m40で制した森田選手、エリート男子の部を5m00で制した石川選手にそれぞれ賞品が贈られたあと、審査員特別賞に澤選手、川辺賞に山崎選手、そして競技中にGoogle formを使ってのリアルタイム投票が行われた観客賞には中学生の渡邊選手が選出。各選手に賞品が手渡されました。
「マリオ」の姿が子どもたちに人気だった澤選手は「知り合う前から川辺くんのことは、“ストリート陸上を知るために、ダイヤモンドリーグへ取材に行ったすごい高校生がいる”と聞いていたので、彼が実際にやると聞いて、ぜひとも協力したいと思って出場を決めた」と言います。マリオのコスチュームは、「川辺くんの記念すべき大会を、どうやったら盛り上げられるかと考えて準備した」そう。「最高に楽しかったです」と笑顔で振り返りました。
男子エリートを制した石川選手も、感想を求めると「一番は、楽しかったこと」と答えました。「ストリート棒高跳には一度出てみたいと考えていたので、日本でやると聞いて、ぜひ出たいと参加しました。また、都心で行われるということで、多くの人に棒高跳をみていただけたらという気持ちもありました。今日は本当に寒かったけれど、このコンディションのなかでも盛り上がったので、自分自身にも、いい経験になりましたね。来週からシーズンイン。今年は十分な準備ができているので頑張ります」と、シーズンに向けても良い弾みとなった様子でした。
選手たちが感じていた「楽しさ」は、見ていた人たちにも十分に伝わったようです。踏み切り地点くらいの位置から跳躍を見上げるような形で熱心に観戦していた佐藤賢輔さんと2人の子どもたちに声をかけると、「面白かったですね」と佐藤さん。棒高跳の経験はないけれど、「学生時代、陸上部で長距離をやっていたので、棒高跳のことは知っていた」そうで、Xのポストを見てイベントの実施を知り、小学1年生のお兄ちゃんと保育園に通う妹の3人で、電車で10分ほどの池袋まで観戦に来たといいます。子どもたちに感想を聞いてみると、「楽しかった! 5mを跳んだのがすごかった」とお兄ちゃん。恥ずかしがって答えてもらえなかった妹さんについては、「選手たちからハイタッチしてもらったことを、すごく喜んでいました」と、お父さんが様子を教えてくれました。
開始時刻を繰り下げた影響で、高台の上からポールを使ってバーをクリアすることに挑戦できる「ボウタカ体験会」は残念ながら中止となりましたが、エキシビションマッチ終了後には、「パン食い競走×ボウタカ」イベントを実施。これは、「ぱん食い競争協会」の企画協力のもと、パートナーの株式会社タカセ洋菓子が提供するパンを用いて、棒高跳ピットでパン食い競走をする企画です。
雨でぐっしょり濡れたマットに上がらずできるよう、少し仕様を変更しての実施となりましたが、観戦に来場していた子ども連れの家族、友達同士やカップル、選手の応援に来ていた知人たち、さらには選手・関係者も参加して行われました。なかには、クラウチングスタートで走り始めて、マットに飛び込みながら吊るしたパンをくわえるという荒技に挑戦するグループも出現(全員が見事に失敗して、周囲を爆笑の渦に巻き込みました)。みんなで楽しく身体を動かす時間を過ごして、イベントを終えました。
この日、スペシャルゲストして来場し、イベントを見守った男子棒高跳日本記録保持者(5m83)の澤野大地さんは、イベント終了後、メディアからの取材に応じて、「ストリート棒高跳は、海外では僕らが現役のころから公認競技会として行われています。選手としては“間近で見ていただける”し、お客さんとしては“すごいパフォーマンスを側で見られる”という、ストリートならではの面白さがあるので、ずっと日本の都心でもできたらいいなと思っていて、なかなか実現することができていなかったんです。そんななか川辺くんという、とんでもない熱を持った高校生が出てきてくれて、その子が動き始めて、いろいろな大人を巻き込んで今回、第一歩を踏み出すことができた。
これは今後の日本の棒高跳界にとって、本当に大きなことだと思います」と川辺さんを称えるとともに、「ここで棒高跳を見て、“ボウタカ、かっこいい。やってみたい!”と思って、棒高跳を始めてくれる子どもが1人でも多く出てくれるようになり、そこから日本代表とか、世界で戦う選手たちが育ってくれるようだといいなと思う」とコメント。さらに、「私としては、参加してくれた選手たちが、雨と寒さという厳しい環境でリスクもあったなか、みんなが本当に楽しんでやってくれていたことも嬉しかったですね。こうやって、する側も、見る側も、支える側も、みんなで盛り上げて、楽しんでやっていくことができれば、棒高跳の価値はもっと高まっていくんじゃないかと感じました。ぜひ、継続していきたいですね」を未来に期待を寄せました。
表彰式後の挨拶で、「僕が1年前につくりたかった景色を、みんなでつくり上げられたことが、すごく嬉しい」を喜びの声を残した発起人の川辺さんは、メディアから感想を求められると、「すべてが初めてのことだらけ。イベントどころか、最初はメールの打ち方すらわからなかったなか、1歩1歩が頑張ってきました。振り返ると大変だったけれど、こうやってイベントになったのを見るとよかったなと思いまいた。“最高だった”のひと言。本当に楽しかったです。ありがとうございました」とコメント。「イベント中に、一番感動した場面は?」の問いには、「選手が跳んだときに、観客の人たちが一緒になって喜んでいる姿を見られたこと」と笑顔で答えました。もうすぐ始まる大学生活については、「高校でもやっていたので陸上は続けていきたいです。また、観光学部に進学するので、地域をスポーツで盛り上げていくようなところを大学で学んでいきたいし、1回目としてやったこのイベントを、もっともっと盛り上げていきたいです」と瞳を輝かせました。
そうした川辺さんの熱い想いを受け止め、実現に向けて、全力でバックアップしたのがNPO法人ボウタカの“大人たち”と言えるでしょう。しかし、「もし、川辺が、オンラインミーティングのときに、僕らの前で“やりたいです”と言っていなければ、今日の風景はもっと先の出来事になったはず」と、NPO法人ボウタカの米原博章さん。「ずっと強化とか情報提供とかが中心で、“to 棒高跳選手”だった」ボウタカの活動において、この川辺さんのひと言があったからこそ、今回の「実は、“to 一般の方々”に対する、“まず、知ってもらう。いろいろな人に棒高跳に関わってもらうきっかけをつくる”初めての取り組み」にチャレンジできたと言います。そして、「そういった意味では、私たちは年齢に関係なく、“やりたいことをどう実現するか”というところで、大人も動くことができているのではないか。今回は、いいタイミングで、すべてがかちっとハマって実現できたのだと思います」と述べました。
初めてのストリートボウタカを終えての感想を尋ねると、「あっという間でしたね」という言葉に続いて、「ずっと雨が降っていたけれど、常に人垣ができている状態で、思っていた以上に、公園の周りを歩いていた方々が立ち止まって見てくれた。通り沿いのテントがなければ、もっと見やすかったかもしれないけれど、これは雨を考えると仕方のないこと。まあ、ベストエフォートだったかな、と思います」という言葉が返ってきました。そして、「過去に棒高跳や陸上でつながった人がたくさん来てくれていたこと」と「選手たちがとてもポジティブに参加して、一緒に盛り上げてくれたこと」に加えて、「今回、思っていた以上に、池袋の企業の方々に支援をしていただいたこと」への感謝を述べ、「こういうきっかけで、棒高跳を軸につながりをつくって、地域をより元気にできることに貢献できると楽しいなと感じました」と、“次”を期待させる言葉で締めくくりました。
文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)