様々な年代が陸上に触れることのできる機会となった。セイコーGGPや日本選手権でも開催した、本連盟のキッズ向けプログラム「キッズデカスロンチャレンジ®」の一つ、「10mチャレンジ」。この取り組みが陸上競技場を飛び出し、横須賀モアーズシティで開催された。
横須賀モアーズシティ(以下、モアーズシティ)は開業から27年を数えるショッピングモールとして、長年地域住民に利用されてきた施設だ。130店舗あまりの専門店が軒を連ねるほか、横須賀中央駅に隣接した立地ということもあり、イベント開催日も年代を問わず多くの人通りがあった。そんなモアーズシティの一角に、かけっこレーンが設置された。タイムの計測には実際の大会さながらの電子ピストルとタイマーを用いるなど、その再現度は非常に高い。
「人通りが多い分、色々な年代の方が参加してくれるのが良いことだと思います」(本連盟指導者養成委員会 ハニカット陽子氏)との言葉通り、イベントが始まると親子連れの家族はもちろん、学生や大人まで年代を問わず様々な層がトラックを駆け抜けた。横須賀という土地柄もあり、外国人や防衛大学校の学生、海上自衛隊 横須賀教育隊の方々の参加も見られ、応援する人も参加する人も一緒になって盛り上がる姿が印象的であった。また、ハニカット氏は「ショッピングモールでも走るスペースがあれば参加できると思います。店舗にとっては集客にもなるし、参加者にとってはいい経験になるのでお互いにプラスになるような試みではないでしょうか」と今後も同様のイベントが開催されることに期待を寄せている。
商業施設とスポーツのコラボレーションについて、モアーズシティの古井戸順平氏は「実際に何かを体験していただくのは楽しいですね。参加された皆さまも同じ思いだと思います。買い物以外に楽しさを提供できるのは、今後のショッピングモールにとっても大事なことなのかなと思っています」とRIKUJO JAPANの取り組みと商業施設のつながりに手応えを感じているようだ。また同じくモアーズシティの小原真悟氏は「陸上大会で併催される場合は、陸上競技を見に来ている人の参加が多いです。本イベントではおじいちゃんやおばあちゃん、元々陸上をやっていた20~30代の人も参加してくれました。こういう企画があればやってみようかなと思ってくれる人が多いという意味では、いいギャップだったと思います。商品を売るだけではなく体験を提供していくことで、更に地域の皆様に愛される存在にしていきたいですね」と語る。
速さや記録にとらわれることなく、走ることを楽しむ参加者の方の姿から、本イベントのように陸上に触れることの少ない人へきっかけを提供することは、陸上の楽しさや価値多くの人に伝えていくために重要な役割を果たすと感じた一日であった。
文・写真:明大スポーツ新聞部