最終戦の札幌大会は、2002年から始めていたミドルディスタンスチャレンジの最終戦(第5戦)も兼ねての実施となった。
主要競技会:パリ世界選手権アテネ五輪代表選考競技会としての開催で、代表に内定していた選手や参加標準記録突破を目指す選手らが多数参加。そのなかで、男子10000mで代表に選出されていた19歳の大野龍二(旭化成)が、士別大会3000mでジュニア日本新記録を樹立したのを筆頭に、出場3レースすべてを制して注目を集めた。中距離でも、女子800mで40年ぶりの五輪出場を決めた杉森美保(京セラ)が出場したほか、札幌大会1500mで小林史和(NTN)が日本歴代3位の好タイムをマークした。
主要競技会:アテネオリンピックまた、網走大会男子1000mで小林史和(NTN)が2分19秒65の日本新記録を樹立、女子1500mでは札幌大会で小林祐梨子(須磨学園高)が同時点でのユース世界最高、ジュニア日本歴代2位の高校新記録の快走を見せたほか、3000mSCの早狩実紀(京都光華AC)、マラソンの尾方剛(中国電力)・原裕美子(京セラ)ら、世界選手権代表も多数出場し、ファンを喜ばせた。
主要競技会:ヘルシンキ世界選手権女子では、その後の日本選手権1500mで初優勝を遂げて注目されることになる吉川美香(パナソニック)が1500m2戦、5000m、3000mと転戦し、日本選手権での躍進に繋げる好走を披露した。
主要競技会:ドーハアジア大会深川大会10000mには日本選手権5000m・10000mで2冠を達成しながら、参加標準記録Bを突破していなかったために代表内定が保留となっていた松宮隆行(コニカミノルタ)が出場。この大会での標準記録突破はならなかったが、その後の欧州転戦で果たした5000m日本新(13分13秒20、参加標準記録A突破)に繋げる走りを披露した。また、札幌大会では、女子400m日本記録保持者の丹野麻美(福島大)が800mに出場。この種目を専門とする選手を押さえて優勝して話題となった。
主要競技会:大阪世界選手権また、日本選手権で5000m・10000mでともに2位となり、10000mで代表権を手に入れていた赤羽有紀子(ホクレン)が、北見大会5000mで日本歴代3位の好走を見せ、参加標準記録Aを突破。2種目での五輪出場を確定させた。なお、この年からは、競歩のトラックレースも新設。士別大会女子10000m競歩では川﨑真裕美(海老沢製作所)が、22分11秒11の日本新記録を樹立している。
主要競技会:北京オリンピック深川大会では、女子10000mですでに世界選手権参加標準記録Aを突破済みの松岡範子(スズキ)が、男子10000mでは参加標準記録Bを突破済みの中尾勇生(トヨタ紡織)と岩井勇輝(旭化成)が、標準記録Bを上回るタイムをマーク。代表入りがかかる日本選手権への順調な仕上がりを印象づけた。後半では、北見大会男女5000mに世界選手権代表の上野裕一郎(エスビー食品、5000m)と藤永佳子(資生堂、マラソン)が出場。藤永は最終戦の網走大会10000mにも参戦した。
主要競技会:ベルリン世界選手権網走大会10000mでは、広州アジア大会女子5000mの初代表を決めていた木﨑良子(ダイハツ)が2位に1分以上の差をつける圧巻の走りで31分38秒71をマーク。翌2011年ベルリン世界選手権参加標準記録Aを突破した。競歩勢は、釧路大会に5月のワールドカップ競歩男子20kmで団体9位の成績の上げた森岡紘一朗(富士通)、藤澤勇(綜合警備保障)、鈴木雄介(富士通)の3選手が出場。藤澤が悪天候下のレースを制したほか、網走大会10000m競歩には、ワールドカップ競歩50kmで日本人過去最高順位の6位入賞を果たしていた山﨑勇喜(長谷川体育施設)と森岡がマッチレースを展開。1秒差で森岡が山﨑を抑えている。
主要競技会:広州アジア大会日本歴代4位となる31分10秒02の快走で、この種目でも参加標準記録Aを突破した。また、士別大会女子5000mでは、日本人トップとなる2位でフィニッシュした新谷仁美(ユニバーサルエンターテインメント)が、日本歴代10位で、世界選手権参加標準記録Aをクリアする15分13秒12をマークした。競歩勢は、男女ともに世界選手権代表全選手が参戦。北見大会5000m競歩・網走大会10000m競歩ともに、男子は鈴木雄介、女子は大利久美の富士通コンビが優勝した。
主要競技会:テグ世界選手権士別大会には、ロンドン五輪男子マラソン代表の藤原新(ミキハウス)が10000mBレース、10000mAレースと続けて出場して、29分08秒00、29分00秒58秒でカバー。4日後の深川大会では、自身7年ぶりとなる5000mに出場して13秒54秒83でレースを終えた。また、士別大会で行われた男女10000m競歩には、ロンドン五輪男子20km代表の西塔拓己(東洋大学)、50km代表の森岡紘一朗(富士通)、女子20km代表の川﨑真裕美(富士通)の3選手が参戦。男子は西塔が、女子は川﨑が優勝し、調整が順調に進んでいることをうかがわせた。五輪代表以外では、日本選手権男子10000mを僅差で優勝を逃し、代表の座を逃していた大迫傑(早稲田大)が網走大会5000mに出場して、自己記録に迫る13秒33秒84で制し、注目を集めた。
主要競技会:ロンドンオリンピックまた、この大会では、ともに10000mで代表に選出された、大迫傑(早稲田大)が1500mと5000m(途中棄権)に、宇賀地強(コニカミノルタ)が5000mに、それぞれ参戦した。北見大会では、尾西美咲(積水化学)が1500mと3000mに出場して、2種目で自己記録を更新した。
主要競技会:モスクワ世界選手権トレーニングの進み具合を確認した。大迫傑(日清食品グループ)は士別大会5000mに出場して、日本人トップでフィニッシュ。その後の欧州転戦へと繋げた。北見大会では、女子5000mでアジア大会10000m代表の萩原歩美(ユニクロ)が15分33秒71の自己ベストで優勝したほか、女子3000mでも、5000m代表の尾西美咲・松﨑璃子の積水化学コンビがともに自己新をマークして日本人1・2位(全体2・3位)でフィニッシュ。このほか、北見大会では男子800mで日本記録保持者となった川元奨(日本大)が1500mのペースメーカーを務めたことも話題となった。
主要競技会:仁川アジア大会このレースでは、優勝した松﨑璃子(積水化学)を筆頭に上位4名が世界選手権参加標準記録を、さらには上位8名までがリオ五輪の参加標準記録を上回る好結果となった。網走大会では男子10000mでも、小野裕幸(日清食品グループ)と横手健(明治大)がリオ五輪参加標準記録を突破。また、深川大会女子10000mにおいても日本人上位を占めた宮﨑悠香(九電工)、田中智美(第一生命)もリオ五輪参加標準記録をクリアした。一方、3年ぶりに実施された競歩種目には、同時期の北海道で合宿中の選手が参戦してハイレベルなレースを展開した。北見大会5000m競歩では、1・2位となった鈴木雄介(18分37秒22)と高橋英輝(18分37秒60)が日本新記録を樹立。鈴木は中3日のインターバルで出場した網走大会10000mでも38分10秒23と、立て続けに日本記録を更新した。
主要競技会:北京世界選手権網走大会で男女5000m、北見大会で男女10000mが実施された競歩種目には、リオ五輪に向けて北海道で調整合宿中の競歩ブロックの選手が参加。北見大会10000m競歩では、リオ五輪20km競歩代表の高橋英輝(富士通)が39分29秒03で順当に勝利を収めた。このほかで注目を集めたのは、網走大会女子5000m。横江理沙(豊田自動織機)がこの段階での同年日本最高となる15分18秒11をマークして優勝を果たしてる。網走大会では、男子800mと女子3000mSCでリオ五輪参加標準記録突破を狙うレースが行われ、すでに代表に内定している川元奨(スズキ浜松AC、800m)と高見澤安珠(松山大、3000mSC)がペースメーカーを務めたが、この2人に続く突破者は出なかった。
主要競技会:リオオリンピックやや気温が下がったなかで行われた男子3000mSCで、日本選手権を制していた潰滝大記(富士通)が8分29秒05の自己新記録をマークして参加標準記録を突破し、ロンドン世界選手権出場を決めたが、女子3000mSCの高見澤安珠(松山大)、男子5000mの松枝博輝(富士通)はクリアならず。2017年シリーズ全体の最終種目として行われた男子10000mは、日本選手権上位3選手が出場。大迫傑(Nike ORPJT)が5000mを13分45秒で通過して日本記録更新も期待させる快走を見せたが、高温多湿に苦しみ終盤でペースダウン。27分46秒64でのフィニッシュとなり、参加標準記録突破まで1秒64という、非常に惜しい結果にとどまった。なお、北見大会では、東京オリンピックを見据えて、日本陸連が重点強化種目と据えた男女3000mを実施。上位3選手が7分55秒を切った男子では、3位に入った遠藤日向(住友電工)が7分54秒79のU20日本新記録を樹立。女子は、松﨑璃子(積水化学)が日本歴代2位の8分49秒61をマークして優勝を果たした。
主要競技会:ロンドン世界選手権2位の池田向希(東洋大)も学生歴代3位の38分40秒04で続き、5月の世界競歩チーム選手権20km競歩金メダル獲得からの好調を印象づけた。深川大会では、6月上旬に現役に復帰した新谷仁美(NIKE TOKYO TC)が女子5000mに出場。15分35秒19をマークして日本人トップの2位でフィニッシュしている。士別大会には、秋のシカゴマラソンに向けたトレーニングに入っていた大迫傑(Nike ORPJT)が2種目に出場。5000mを13分53秒01で走ったあと、約1時間のインターバルで出発した10000mは28分26秒41でフィニッシュして両種目を制し、会場に集まったファンを沸かせた。また、2017年度は実験的に一部大会で行ったライブ配信を、この年から4大会すべてに導入し、各大会で1万回を超える視聴数を得たことで、翌年以降は内容を充実して継続していく方針となった。
主要競技会:ジャカルタアジア大会藪田は、前年に続く更新となった。また、女子3000mでは田中希実(豊田織機TC)が、日本歴代3位となる8分48秒38の好記録をマークしている。深川大会男子1500mでは日本選手権を制した戸田雅稀(サンベルクス)が日本記録へ挑戦。惜しくも0.48秒届かない3分37秒90でのフィニッシュとなったが会場を大きく盛り上げた。強風のなかで行われた網走大会では、女子5000mで鍋島莉奈(JP日本郵政グループ)が15分24秒10でフィニッシュして、ドーハ世界選手権の参加標準記録突破に成功。また、このシリーズには、大迫傑(Nike)、佐藤悠基(日清食品)、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)などを筆頭に、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ファイナリストが、東京オリンピックマラソン代表の座が懸かる、9月15日の“決戦”に向けたトレーニングの一環として各大会に多数出場。ファンの注目を集めた。IAAF(国際陸連、現ワールドアスレティックス)がワールドランキングポイント制度を導入したことを踏まえ、2019年度からはIAAFポイントを用いての表彰制度を導入。男子は楠康成が、女子は田中希実が、それぞれ初代シリーズチャンピオンに輝いた。
主要競技会:ドーハ世界選手権また、千歳大会男子3000mSCでは、18歳の三浦龍司(順天堂大)が日本記録に0秒44と迫る歴代2位の8分19秒37の快走を見せ、U20日本記録・学生記録を更新したほか、各種大会の各レースにおいて日本歴代10傑内に浮上する好記録が続出する盛況ぶりとなった。また、各会場は、網走・千歳大会については、北海道在住者に限り200名を最大とする有観客開催が実現したが、前半の士別・深川大会は無観客での実施を余儀なくされた。一方で、すでに2018年から全大会で展開してきたライブ配信を、さらに情報提供や解説に工夫を加えて充実を図って実施したことで、YouTubeチャンネルのアーカイブ視聴総数が45万人を超え、4大会すべてで10万を上回る視聴数を得る結果を得た。
さらに千歳大会では1500mに出場して、自身の持つ日本記録を塗り替える4分04秒08をマークしてオレゴン世界選手権の参加標準記録を突破するとともに、東京五輪への大活躍へと繋げた。このほか、女子では網走大会10000mで小林成美(名城大)が31分22秒34の学生新記録を樹立するとともに、世界選手権参加標準記録突破者に。また、田中が日本新を樹立した千歳大会女子1500mでは、3位でフィニッシュした道下美規(立教大)も4分12秒72の学生新記録をマークしている。一方、男子は千歳大会の中距離種目で活況を呈した。1500mでは日本選手権を制していた河村一輝(トーエネック)が、オレゴン世界選手権参加標準記録まで0秒42と迫る3分35秒42の日本新記録で優勝、2位には高校生の佐藤圭汰(洛南高)が日本歴代3位の3分37秒18で続き、U20日本記録・U18日本記録・高校記録を塗り替えた。また、大接戦が演じられた男子800mでは、急成長を遂げていた源裕貴(環太平洋大)が1分45秒75の日本タイ記録で優勝。2014年にその日本記録を樹立している川元奨(スズキ)がセカンドベストの1分45秒83で続き、3位でフィニッシュした金子魅玖人(中央大)も日本歴代3位となる1分45秒85をマークした。
主要競技会:東京オリンピックこのほか、記念大会男子1500mでは、ラスト300m地点で荒井七海(Honda)が抜け出し、日本歴代3位となる3分36秒63の自己ベストを更新しての優勝となった。さらに、荒井は北見大会男子3000mにおいても日本歴代5位の7分48秒50で優勝した。北見大会女子3000mでは、日本人トップの後藤夢(豊田自動織機)が日本歴代6位となる8分49秒65をマーク。千歳大会女子600mでは、日本選手権女子800m優勝の塩見綾乃(岩谷産業)が1分28秒06のDCシリーズ新記録で優勝した。また、今シリーズでは、ライブ配信のチャット上で、「PB(自己ベスト)祭り」という言葉が多く飛び交う特徴が見られた。シリーズを通して400人以上の選手がPB更新もしくはシーズンベストを更新する状況となり、シリーズ全体でのPB更新率は2020年大会に次ぐ31.1%となった。
主要競技会:オレゴン世界選手権「見る人」へのチャレンジでは、士別大会ではより間近でレースの迫力を味わってもらおうと、昨年に引き続きインフィールド観戦を実施。深川大会では4年ぶりに屋台を競技場内に入れ、地域の皆さまの平日夕方の憩いの場をセッティングするなど各大会の特色を活かした新たな取り組みを実現。また、本年で4年目となる本格的なLIVE配信は、網走大会の18.4万回を最高に、5大会でアーカイブ視聴数が60万回を越えるコンテンツとなった。特に第1戦の士別大会は大会翌日に10万回視聴を超えるなど、全国のホクレン・ディスタンスチャレンジファンの方々が河野ディレクターとМ高史氏のダブルMCによるLIVE配信を待ち望んでくれていた様子が強く感じられた。