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2011年 8月27日 〜 4日

テグ(韓国)

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テグ世界選手権 Day9 9月4日(日) (メディアチーム:児玉育美)

男子マラソン
堀端が7位入賞!
日本は,団体で銀メダル獲得

堀端  大会最終日となるこの日は,まず午前9時から男子マラソンがテグ市内の周回コースで行われた。スタート時の天候は,曇り,気温24℃,湿度は65%と,比較的涼しいコンディション。レースは,ケニアを中心とするアフリカ勢が先頭集団を引っ張る形でスタートしたが,20kmを過ぎてアベル・キルイを中心とするケニア勢が一気にペースをアップすると優勝争いは4人に絞られた。キルイはその後,30km過ぎ単独で首位に立ち,2位以下を突き放し,そのまま2連覇を果たした。
 日本代表の北岡幸浩(NTN),川内優輝(埼玉県庁),堀端宏行(旭化成),尾田賢典(トヨタ自動車),中本健太郎(安川電機)の5選手は,最初は先頭集団につけたが,まず北岡,続いて尾田が遅れ,その後,川内・中本も引き離され始める。堀端もハーフを過ぎたところでいったんは先頭集団から遅れたが,入賞をうかがうラインでレースを展開。ゴール前にはエリュード・キプタヌイ(ケニア)に追いつき,6位争いを繰り広げたが,これはかわすことができず。男子マラソン日本人トップの2時間11分52秒・7位でフィニッシュラインに飛び込んだ。
 堀端に続いたのは中本で10位(2時間13分10秒),一時は30位台まで順位を下げていた川内が終盤に粘りを見せて18位(2時間16分11秒)でフィニッシュ。尾田は2時間18分05秒(29位),北岡は2時間23分11秒(38位)で,それぞれ競技を終えた。
 これらの結果により,各国上位3名の合計タイムにより競われるワールドカップ団体で,日本はケニアに続き,銀メダルを獲得した。
選手コメント
■堀端宏行(旭化成)
「思っていた以上にレースの雰囲気を楽しんでやれたことが大きかった。沿道の大きさや人数すべてが想像以上で、自分の結果も想像以上だった。  順位は,ゴールして初めて7位と知った。自分では8~9位くらいかと思っていたので,7位と聞いて“やった”と思ったが,競り合う展開となった最後で,追い込むだけの余力が残っていなかったところが少し悔しい」
■中本健太郎(安川電機)
「粘って最後まであきらめないようにしようと考えていた。入賞することはできなかったが,後半に粘れたことはよかった。今は悔しさと走り終えた充実感がある。もう少しゆっくりとしたペースになるかと思ったが、揺さぶりに対応できなかった。世界との差はあるが、最後まで粘ることで、堀端くんのように入賞することは可能だと思う」
■川内優輝(埼玉県庁)
「個人的にはダメだったが、(団体で)銀メダルが取れてうれしい。堀端さん、中本さんは(前方を走っていたので)見えなかったが、自分が頑張ればメダルはいけると思っていた。実際にそういう展開になり,しかも自分が(日本チームの)3番手。周囲からもお前が頑張ればメダルだと声をかけられたので,1秒でも速く走りたいと思って走った」
■尾田賢典(トヨタ自動車)
「悔しい。いろいろあったが,ここに(ピークを)持ってこられなかった自分はまだまだ弱いと思う。今日はとにかく集団の流れに乗ろうという気持ちだった。女子(マラソン)も給水のたびにペースアップがあったので,後ろで様子を見ながら走ろうと考えていた。しかし,気づいたら前ががーんと(スピードを)上げていて,対応が遅れた。悔しいけれど,またマラソンやりたいので,次を目指して頑張りたい」
■北岡幸浩(NTN)
「故障の影響で,体調はぎりぎりテグに入ってから上がってきた状態だった。今日の体調はよかったので行けるという気持ちにはなっていたが,最初の5㎞でいっぱいいっぱいで,ついていくことができなかった。日本代表として出ているのに,とても申し訳なく感じる。ただ,失敗も含めて,この期間に試していろいろやってみたことは次につながると思う。ここで落ち込まないで次につなげたい」

4×100mリレーは
男女ともに予選突破ならず

 いよいよ大会のフィナーレを迎えたイブニングセッション。この日は,男女ともに4×100mリレーの予選があり,その約2時間後に決勝が行われるタイムテーブル。決勝への進出条件は,ともに予選上位2着+2。日本チームは男女ともに決勝進出を目指して,予選に挑んだ。
 女子は予選1組に登場。岡部奈緒(チームミズノアスレティック),髙橋萌木子(富士通),福島千里(北海道ハイテクAC),今井沙緒里(至学館大)のオーダーで6レーンを走ったが5着でフィニッシュ。この時点で決勝進出の夢は絶たれた。記録は,5月にマークした日本記録(43秒39)には届かなかったが,世界選手権で日本チームが出した最高記録となる43秒83だった(この予選における「+2」での決勝進出タイム42秒92は史上最高となるハイレベルであった)。
 続いて行われた男子の予選。2組5レーンに入った日本は小林雄一(法政大),江里口匡史(大阪ガス),髙平慎士(富士通),齋藤仁志(サンメッセ)のオーダーでスタートしたが,トリニダードトバゴ,ジャマイカ,セントキッツアンドネイビスに先着され4着。シーズンベストの38秒66をマークしたものの,決勝進出なるかは3組3着の記録次第ということに。結局,イタリアが38秒41で日本を上回り,惜しくも0秒19差(トータル9位)で決勝進出を逃した。
■女子4×100mリレー予選
女子リレー ・1走・岡部奈緒(チームミズノアスレティック)
「フライングは普段からしないので,自分ではないとすぐに気持ちを切り替えた。全体としては悔しい。日本記録を出せる力はあったし,バトンパスも悪くなかった。だから余計に悔しい。個人としては,世界はやっぱり速いと思ったが,アジア選手権よりは1走の走りはできたと思う。緊張はしたけれど,自信を持って臨むことができた」
・2走・髙橋萌木子(富士通)
「決勝進出を目標にしていたので,そこに懸ける気持ちは今まで以上のものがあったが,実際に走ってみて,すごくレベルが上がっているなと感じた。42秒台を出さなければファイナルに残れないということを痛感した。その悔しさをバネに,来年のロンドンオリンピックに向けて,さらにステップアップできるようにしていきたいと思う」
・3走・福島千里(北海道ハイテクAC)
「今回は今まで以上に決勝を目標にやってきていたので,残念とか悔しいとかの一言では済まない。チームとしては“攻めて,攻めて,(仲間を)信頼して”というところで目指してくることはできたが,今,私たちがベストの状態のときに決勝で戦うというビジョンが描ける若いチームだからこそ(決勝に残れなかったことが)悔しい。本当に残念。自分の走りはどうだったかというと,内側からぴゅうぴゅう抜かれるようでは…。もっと力をつけなければと思った。あそこで私が周りの選手ともうちょっと戦えないと,自分の仕事ができたとはいえない」
・4走・今井沙緒里(至学館大)
「決勝は42秒台でないと出られなかったので,43秒台では戦えないということ。決勝に残るためには個々の力はもちろん,リレーは4人の力を合わせるものなので,バトンパスを今まで以上にやっていかないとならないと思う。走力も全然ないし,筋力もほかの選手は身体が一回り大きい。今後はそういうところをしっかりとやっていこうと思った」
■男子4×100mリレー予選
男子リレー ・1走・小林雄一(法政大)
「自分の走りに悲観するところはなかったが,1走から流れをつくるのが日本の形。今日は僕が流れをつくれなかった。トータルで僕の力がなかったということ。200mではプレッシャーに負けてしまったが,先輩方のサポートのお陰で吹っ切れて,自分なりに走れた。それで通用しなかったということは,実力がともなっていなかったということだと思う」
・2走・江里口匡史(大阪ガス)
「加速も,髙平さんへのバトンも,流れとしては悪くなかったと思うが,(予選突破できなかった原因は)1・2走か。リレーは1~2走が流れをつくることで、3走、4走がさらに生きてくる。そういう流れをつくれなかった。自分自身は好調だったし,直線を走れたことはうれしかったが,それでもまだ“世界の2走”をできるレベルではなかったと思う。(2走は)ぜひまた挑戦したい。予選しか走っていないなんて悔しい。決勝をやらないと本当の速さはわからない。このままで終わる気はないし,終わらないつもりだ」
・3走・髙平慎士(富士通)
「悪くはなかったと思うが,ロンドンに向けてアベレージが必要になってくるのに(予選・決勝と)2本走れなかったのは痛手。(前回の)ベルリンや(銅メダルを取った)北京に比べるとチーム一丸までいかなかったとういのが個人的な感想だ。日の丸を背負うからには男子の4継については,ファイナルで何かに挑戦しなきゃいけないチームであり続けるということが求められてきた。(世界大会連続入賞が途絶えて)今まで挑戦してきた方たちにはすごく申し訳ない。そういった悔しい思いを,控えに回ったメンバーを含めて,みんなが背負っていかなければいけないと思う」
・4走・齋藤仁志(サンメッセ)
「バトンをもらってからの走りはほとんど覚えていない。4番手だったと思うので,少なくとも前を抜かなければ決勝はないと思って追いかけたのだが…。日本だけ見れば,1走から悪い流れではなかったと思うが,ほかが速かった。ロンドンでは日本記録を出さないとメダルなんて言えない。この悔しさはメダルを取ることでしか晴らせないと思う」
写真提供:フォート・キシモト