English

2011年 8月27日 〜 4日

テグ(韓国)

関連大会情報

前回大会情報

大会ハイライト

大会TOP

テグ世界選手権 Day6 9月1日(木) (メディアチーム:児玉育美)

女子も海老原が決勝へ
世界選手権では初の快挙

海老原  大会も後半を迎えた6日目のモーニングセッションには,男子5000m,女子やり投,女子200m,男子4×400mRの各予選に日本選手が登場。
 最初のトラック種目となったのは男子5000m予選。渡邊和也(山陽特殊製鋼)が2組目を走ったが,2400m付近で前にいた選手の転倒に巻き込まれてしまうアクシデントに見舞われ,14分20秒62・18着でフィニッシュした。
 A・B2つのグループに分かれ,通過標準記録61m00で行われた女子やり投は,グループAに海老原有希(スズキ浜松AC)が,グループBに宮下梨沙(大体大AC)がそれぞれ出場した。海老原は1回目から徐々に記録を伸ばし,3回目に59m88をスロー。グループのなかで5番目の記録で競技を終了した。最終的に,通過標準記録を突破した選手はグループA・B合わせて7名にとどまったため,残りの上位選手から通過上限の12人まで拾われることにに。海老原は12人中10番目の記録で決勝へ駒を進めることになった。女子のこの種目での世界選手権決勝進出は史上初,オリンピックを含めると実に47年ぶりとなる快挙。決勝は,9月2日の19時10分より行われる。今大会が初の世界大会挑戦となった宮下は1回目にセカンドベストに4cmに迫る55m62を投げたが,以後の試技で記録を伸ばすことはできず,予選突破はならなかった。
選手コメント
■海老原有希(スズキ浜松AC)
「1投目は少し左に傾いてしまった。すぐに直せたが,2投目の投てきが1投目にできていたら,違った展開になったかと思う。(決勝に進んだ場合,意識することは)最後のやりの向きと力の伝える向きをひとつにすることの1点。2投目,3投目と修正できていたのでできると思う」

福島,200mでも予選を突破!
男子4×400mリレーはバトンミスに泣く

福島  女子200m予選には,100mでセミファイナリストとなった福島千里(北海道ハイテクAC)が挑んだ。予選5組上位4着+4の進出条件のなか,1組目に登場した福島は,自身が5月の大邱国際でマークした日本人国外最高記録23秒21に次ぐ23秒25(-0.1m)でフィニッシュしたものの5着だったため,プラスでの進出を待つことに。最終的にプラスの4番目で拾われる形となり,同日の夜行われる準決勝へ進むことになった。
 髙瀨慧(富士通)・金丸?三(大塚製薬)・石塚祐輔(ミズノ)・廣瀨孝行(慶應大)のオーダーで臨んだ男子4×400mリレーでは,世界大会初レースの髙瀨が45秒9のラップ(非公式,以下同じ)で金丸につなぐ。金丸も44秒7と,2走で走った際のこれまでの最高ベストを大幅に上回るラップを刻み4位まで浮上したが,石塚とのバトンパスがうまくつながらず,ここで7番手に後退。石塚(46秒9)・廣瀨(45秒1)が追い上げを図ったが上位には届かず7着でフィニッシュした。シーズンベストの2分02秒64はマークしたものの予選突破はならなかった。
選手コメント
■福島千里(北海道ハイテクAC)
「本当に前半の部分,スタートから50mくらいまでのところでスピードが乗り切れなかったことが心残り。スムーズに行かなかった。100回に1回あることで,それが今日だったのかなと思う。もう一度集中して完成度を高めたい」
■男子4×400mリレー
・1走・髙瀨 慧(富士通)
「前半から積極的に飛ばしていこうと走ったが,そのぶん最後で死んでしまった。そこの部分が悔いが残る。(大会に向けて)準備はきちんとできていたが,もう少し上位でバトンを渡すことができたら,金丸さんも楽だったかなと思う。(初の世界大会を経験して)ぜひ,また走りたいと思った。まずは個々の力を上げないと。ロンドン(オリンピック)では個人でも出られるくらいの力をつけて,(4×400mRで)決勝に進出できるようにしたい」
・2走・金丸?三(大塚製薬)
「(昨年の)アジア大会の反省から,後半勝負のレースパターンを選んだ。自分が思っていた以上にラストが伸びたが,そのせいで石塚と(の距離)が詰まってしまった。バトンも一発で渡らなかったが,詰まってしまったことがミスの原因だと思う。(400mの)疲れは少しあったが集中できていたし,そこまでは予想通りだった。日本記録も狙える状況だったので,本当に悔しい」
・3走・石塚祐輔(ミズノ)
「(バトンミスに対して)本当に申し訳なく思う。ダンゴ状態で来たので焦ってしまったのかもしれない。金丸の“ハイ”という声はきちんと聞こえていて,振り向いたときにバトンも見えていたのだが,そこでバトンをつかみそこねてしまった。金丸がラストに伸びてくることはわかっていたので,それを考慮してスタートしたつもりだったが,思った以上に近かった。ただ,(バトンミスで)頭が真っ白になったが,そこで“行くしかない”と気持ちをリセットして,きちんと走ることはできた。それだけに悔いが残る」
・4走・廣瀨英行(慶應大)
「(世界選手権前に出場した)ユニバーシアードが小さなフォームになってしまい,自分の走りができずに終わっていたので,この大会に向けては大きなフォームで走ることを意識していた。4走は,最後でしっかり走るだけの区間なので,自分としては好きな走順。個人としてはいい走りができたと思う。この経験を生かして個人でもオリンピックを目指せるように,みんなとやっていきたい」

村上,決勝進出ならず 福島,2回目のセミファイナル

村上  イブニングセッションでは,日本チームの主将を務める村上幸史(スズキ浜松AC)が,男子やり投予選に臨んだ。やり投の予選通過標準記録は82m50。この記録を上回れなかった選手が12人以下の場合は,記録の順に12人までが決勝に進むことができる。
 女子のやり投と同様に,A・B2つのグループで行われるなか村上はグループAに登場。1回目に80m19を投げたが,2回目は78m04,3回目も74m93と記録を伸ばすことができずグループ中7位で競技を終了した。決勝進出なるかどうかは,グループBの結果次第。そのグループBでは,標準記録を突破した選手は出なかったが,8選手が村上の記録を上回り,村上は予選トータル15位に。2大会連続決勝進出,メダル獲得の夢は絶たれてしまった。
 午前中に行われた女子200m予選で100mに続く決勝進出を果たした福島千里(北海道ハイテクAC)は,3組2着+2の進出条件で行われた準決勝に挑んだ。福島は1組目の1レーン。ラストまで上位陣にくらいつく走りを見せたが,力の差はいかんともしがたく8着でフィニッシュ。記録は23秒52(-0.2m)だった。
選手コメント
■村上幸史(スズキ浜松AC)
「1投目で80mを超えたので,距離はしっかり出るかなと思ったのだが,自分が一番大事にしている流れというのがしっかり生きていなかった。動き自体はアップから非常によかったので,行けるという感覚はあったのだが…。標準記録(82m50)をきちんと超えて決勝に行きたかったので,記録にも満足はしていない。今回こういう経験をして思ったのが,絶対的に失っちゃいけないものを失ったときというのは怖いなということ。自分はずっと“流れ”を常に持っていたのだが,そこを失ってしまったままになってしまったというのはあると思う」
■福島千里(北海道ハイテクAC)
「100mで準決勝を1回経験できていたので,落ち着いて行けたと思う。今がこれが精いっぱいかなという感じ。それでも,後半の,ゴール際で粘れるというか,目標にくらいつくことは少しできたかなと思う。
 100mの準決勝で,“もしかしたら”と思った自分がほんと馬鹿だった。(レース後にコメントした)あの“がっくし”はホント一瞬(笑)。今は“何を言ってたんだ,自分”というくらいに思っている。まだまだ決勝でどうこうと言えるようなレベルじゃない。何度も何度も経験して,いつかそこに結びつくような,(決勝に)行けるような底力を,少しずつためていけたらいいと思う。
(個人種目を終えて)今回,自分の位置がはっきりわかったので,すごくプラスになった。1つ1つ順位を上げていけるようにしたい。そのためのいいきっかけになる大会だった。
 あとはリレー。決勝進出を目指して頑張りたい」
写真提供:フォート・キシモト