100th JAPAN NATIONAL CHAMPIONSHIPS

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NEWS 2016.06.20

月刊陸上競技編集局長・土谷的、第100回日本選手権展望

 

 今大会の最大の特徴は、第100回という大きな節目に、4年に1度の五輪イヤーが重なったこと。そして、何と言っても「大記録」への期待が、これほど高まったこともないのではないだろうか。

 

 まず、最大の注目種目として挙げたいのは、やはり大会2日目の男子100m決勝だ。6月11日の日本学生個人選手権準決勝で日本学生新、3年ぶりに自己ベストに並ぶ10秒01をマークした桐生祥秀(東洋大)、その1週間前の布勢スプリント第2レースで4年ぶり自己新の10秒06を出し、桐生に今季2勝している山縣亮太(セイコーホールディングスAC)の「2強」に、5月の東日本実業団選手権の予選レースで10秒10と快走したケンブリッジ飛鳥(ドーム)が挑む構図は、冒頭の3つの特徴すべてが凝縮されている。
 桐生は日本陸連が定めたリオ五輪派遣設定記録にピタリ到達し、山縣とケンブリッジは五輪参加標準記録(10秒16)を突破。代表争いの点では桐生が有利な立場だが、3人が見据えるのは「優勝」の2文字のみだ。まずは、日本のトップスプリンターたちが繰り広げる激闘を堪能し、その先に夢の「9秒台」という歴史的瞬間を待ちたい。

 
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 勝負の点では、派遣設定を突破している藤光謙司(ゼンリン)と髙瀬慧(富士通)、標準突破の飯塚翔太(ミズノ)とサニブラウン アブデルハキーム(城西高3東京)が争う男子200mにも注目。2大会連続の五輪代表を狙う飯塚が今季絶好調。初の五輪を目指す藤光と、ロンドン五輪代表の髙瀬も今大会に向けて徐々に調子を上げている。昨年の世界ユース選手権2冠のサニブラウンも、高校生ながら抜群の調整力を誇る。第100回大会のフィナーレを飾るにふさわしい名勝負の予感が漂う。

 
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 派遣設定や標準記録を複数が突破し、熱戦が期待されるのが男女の5000mと10000m、男子400mハードル、男子棒高跳、男子三段跳。このうち、男子400mハードルは日本勢4年ぶりの48秒台をマークした野澤啓佑(ミズノ)が勢いに乗り、80年も前のことながら日本が五輪で3連覇を遂げた伝統を誇る男子三段跳は長谷川大悟(日立ICT)と山下航平(筑波大)が今季、相次いで標準突破を果たすなど、日本の〝お家芸〟と呼ばれる種目がにわかに盛り上がりを見せている。男子棒高跳は35歳の澤野大地(富士通)が、派遣突破済みの山本聖途(トヨタ自動車)と荻田大樹(ミズノ)に今季負けなし。あとは標準記録の5m70をクリアするだけだ。

 

 記録の面では、まず男子やり投を挙げたい。3連覇がかかる新井涼平(スズキ浜松AC)には27年ぶりの日本新、4大会連続の五輪代表入りを目指す村上幸史(同)、前回のロンドン五輪代表・ディーン元気(ミズノ)、今季80mスロワーの仲間入りをした長谷川鉱平(福井陸協)には83m00の標準記録突破に期待。女子短距離では福島千里(北海道ハイテクAC)が100m、200m両種目の日本新を視野に入れるとともに、史上最多タイの6年連続2冠の偉業に挑む。男子400mではトラック種目で史上最多の11連覇を誇る金丸祐三(大塚製薬)に、19歳のウォルシュ・ジュリアン(東洋大)がストップをかけるか。

 

 サニブラウン、女子やり投で62m00の参加標準に迫る北口榛花(日大)をはじめとする10代の〝ホープ〟たちには、2020年東京五輪へのステップとなるような活躍に期待。41歳の鉄人、男子ハンマー投の室伏広治(ミズノ)が優勝すれば、父・重信、妹・由佳を含む日本選手権「室伏家50勝」のメモリアルとなる。

 
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 どの種目もおそらく、かつてないほどの緊張感、緊迫感に包まれるだろう。スタート前の一瞬の静寂、試技の前の大きな手拍子、スタジアムが一体となって「大記録」誕生を待つ。そこに「第100回」という重みが加わることで生まれる〝空気〟は、きっと今大会でしか味わうことはできないはず。日本のトップアスリートたちの、プライドを懸けたパフォーマンスを、ぜひパロマ瑞穂スタジアムで見届けてほしい。
 
 
土谷公二(月刊陸上競技編集局長)
 

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第100回日本陸上競技選手権大会は6月24日~26日の3日間、名古屋市パロマ瑞穂スタジアムで開催。

リオデジャネイロ五輪代表選手選考競技会を兼ねた本大会をぜひスタジアムでご覧ください!

 

<第100回日本陸上競技選手権大会チケット情報>  #100日本陸上

http://www.jaaf.or.jp/jch/100/ticket.html

 

 

 

写真提供:フォート・キシモト