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NEWS 2016.06.10

日本選手権の好勝負 ―オリンピック選考会の激闘(その2)

 

4年に1回巡ってくるオリンピックイヤー。代表最終選考会を兼ねて行われた日本選手権では、数多くの激闘が繰り広げられてきた。日本選手権を彩った好勝負をご紹介しよう。

 

その2 第88回大会女子100m(2004年)
同記録着差なし、2人の女王が誕生した瞬間

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女子100mにおいて日本選手権史上最もハイレベルな勝負が繰り広げられたのは、アテネオリンピック代表選考会を兼ねて開催された2004年の第88回大会。2日目に行われた決勝で、当時、女子短距離を牽引する存在だった坂上香織(ミキハウス)と小島初佳(ピップフジモト)が中盤から抜け出し、ほぼ同時にフィニッシュラインに飛び込む展開となった。

風の表示はすぐに「+1.1」と出て、公認記録であることはわかっていた。しかし、通常であれば、レース後、間を空けずに表示される優勝者のレーンと記録がなかなか出ない。会場では大型スクリーンでのリプレイが流れたが、その映像でも優劣は判断できず、空白の時間が過ぎていく。
数分経って、「まず、記録を発表します」というアナウンスのあと、“11秒39”という記録が表示された。日本歴代2位となる11秒42のベスト記録を持つ坂上にとっても、同3位となる11秒45の小島にとっても自己新記録。そして、11秒40のアテネ五輪参加標準記録B(当時は、標準記録にAとBの2種類があった)を突破するものであった。

 

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しかし、ここでも着順はまだ発表されない。果たして勝者はどちらなのか―?
「坂上さんが前にいたように思っていた。早く(順位が)決まってほしいような、ほしくないような…。もう、どっちでもいいやって」(小島)
「周りが見えていなかったので、1位かどうかわからなかった。でも、こういう展開だといつも私が負けていたので…」(坂上)
そんな思いを抱えながら、長年のライバルであり大の親友でもある同い年の2人は、手を握り合ったまま、発表の時を待つ。
しばらくして、「着順を発表します」のアナウンスに、場内が静まりかえった。そして、写真判定で1000分の1秒まで見ても差がなかったこと、両者をともに優勝とすることが発表されると、どよめきが上がったのちに、会場は歓声と温かな拍手に包まれた。6連勝中の小島にとっては7連覇達成の、そして、坂上にとっては7年ぶり2回目の優勝が決まった瞬間だった。結果を聞いて驚きの表情を浮かべた当の小島と坂上は、すぐに満面の笑みで互いに見つめ合い、固い握手を交わしたのだった。

 

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日本歴代2位の好記録で優勝を分け合った小島と坂上の勝負に注目が集まったが、この大会の女子100mでは、ほかにも好記録が誕生している。まず、前日の予選は、鈴木亜弓(スズキ)が日本歴代4位となる11秒45(+1.1)をマークしたほか、5選手が11秒5台で予選を通過する高水準。また、決勝では、3位に食い込んだ石田智子(長谷川体育施設)も11秒45で走って歴代記録で鈴木に並び、4位に鈴木が11秒51で、5位には翌日の200mで23秒33(+0.4)の日本記録を樹立することになる信岡沙希重(ミズノ)が11秒56で続いている。これらの結果、2004年日本リストは、1)坂上11秒39、1)小島11秒39、3)鈴木11秒45、3)石田11秒45、5)11秒56信岡、6)11秒56瀬戸口渚(財宝グループ)、7)11秒69北風沙織(浅井学園大)と、7位までの記録がこの日本選手権の成績によって占められることになるのである。

(※敬称略、所属は当時のもの)

 

(文:児玉育美/JAAFメディアチーム)

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第100回日本陸上競技選手権大会は6月24日~26日の3日間、名古屋市パロマ瑞穂スタジアムで開催。

リオデジャネイロ五輪代表選手選考競技会を兼ねた本大会をぜひスタジアムでご覧ください!

 

<第100回日本陸上競技選手権大会チケット情報>  #100日本陸上

http://www.jaaf.or.jp/jch/100/ticket.html

 

 

 

写真提供:フォート・キシモト