陸上の大会はたくさんの「縁の下の力持ち」によって支えられています。今回は高校時代に日本陸連B級公認審判員を取得し、「高校生審判」として活動されていた大谷晴海さんに話を聞きました。
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福島県初!高校生審判を目指したきっかけ中学で陸上部(長距離)だった大谷さんは、福島県の磐城緑蔭高校に入学後も陸上部に入ります。「週2回しか部活動の時間がなく、高体連に加盟していない学校でした」ということで、5kmのロードレースなどに自分でエントリーして出場していたそうです。
高校2年生だった2020年は、コロナ禍で大会の中止が相次ぎました。そんななか、TWOLAPS TCの横田真人氏が企画・開催した「バーチャルディスタンスチャレンジ」のボランティアに参加します。その際に、「大会の裏側を知り、大会運営に興味を持ちました。補助員でもなく、陸上に携われることを知りました」と支える側に興味を持ったそうです。
スポーツボランティアなどにも積極的に取り組み、スポーツボランティアリーダーの資格も取得しました。さらに、日本陸連の公認審判員の資格に興味を持っていきます。
「日本陸上競技連盟主催の「7C-Teensプロジェクト 日本選手権バックヤードツアー」のメンバーに選んでいただき、同世代の仲間と陸上界が抱える課題について考えなど意見交換をすることができました」
福島県の高校生で初となる日本陸上競技連盟B級公認審判員の資格取得へ向けて、動き出しました。
審判員になるためには?
公認審判員になるためには、通常は春に講習会があるそうです。ただ、大谷さんが志したのはゴールデンウィーク頃から。そこで、ルールブックで勉強をして実際の大会で実技講習をしていくかたちとなりました。「審判講習会が各都道府県で開催されていて、公認審判員になるためには受講が必要です。高校生審判をやりたかったので、徹底的に勉強しました。筆記試験はなかったので、実技試験を多くやって認めていただきました。競技会でも休憩時間に先生にいきなり(ルールを)聞かれたりしましたね(笑)」
福島県初の高校生審判ということで、「福島県のいろいろな先生に相談をし、協力していただきました。だからこそ、私たちが率先して高校生審判を広めなくては」と熱い想いを感じていたそうです。
お仕事内容については、「監察員、役員係、跳躍の記録入力などで、どの担当もまずは先生方のサポートから始まりました。最初に担当したのは監察員。自分がやっていた長距離以外のことはわからないことも多く、とにかく勉強でした。最初はハードルの失格に関するルールもおおまかなことしか知らなかったです。監察員も審判員の先生の集合時間に合わせて集まり、班ごとに分かれて準備します。
役員係は主に表彰の担当で、表彰される選手の控室に賞状が届くのを待ち、準備ができたら担当の先生に伝えます。跳躍の記録入力では棒高跳、走幅跳を担当しました」
2日間以上ある大会の場合は、翌日の打ち合わせもあるそうです。
▼公認審判員規定
https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/rule/2022/chap2_p330-332.pdf
▼審判講習会等について
https://www.jaaf.or.jp/about/resist/technical/
審判で大切なアスリートファースト
審判で大切なことは何かを、大谷さんに聞きました。「アスリートファーストを心掛けていました。そして、自分の仕事内容だけをこなすのではなく、周りを見て行動することです。どうやったら大会がうまくいくか考えながら活動していました。陸上をやる側だった私が裏方として活動していて、たくさんの方に支えられて競技ができていたんだなと気づかされました。競技ができることが当たり前でないことを実感しましたし、審判をやらなかったら気づけなかったことです。審判として高校生のうちから活動できたのはとてもいい経験だったと思います。
上位の大会に出られない生徒も、審判として上位の大会に参加できるのは自分の財産になります。選手としては行けなくても実際にレースを見ることで勉強できますし、モチベーションも上がりますから」審判だからこそ味わえた経験を経て、大谷さんは現在、順大男子長距離ブロックに所属しながら、関東学生陸上競技連盟で活動しています。
「普段の練習のサポートはしていなくて、学連事務所でお仕事をしています。つい先日も箱根駅伝運営をしていました。帰省した際には、地元の大会に審判として参加。
自分自身が成長したところを審判員として示すことが、当時お世話になった福島県の先生方への恩返しだと思っています」
今後は、「高校生審判を知ってもらう活動、審判資格取得についてますます広げていきたい」と語る大谷さん。選手のみなさんが思いっきり現状打破できる舞台を、選手のみなさんに負けないくらいの情熱、気配り、行動力で支え続けています!
>>インタビューVol.15(PDF版)はこちら
~「7C−Teens プロジェクト」とは~
日本選手権バックヤードツアーに応募した、大会運営に興味のある7名の高校生で結成されたプロジェクト。
多くの人々が、「する・見る・支える」とさまざまなかたちで陸上競技を楽しむことができるよう、大会運営について学び、考える場として2021 年6月発足した。オンラインミーティング及び日本選手権バックヤードツアーなど、約3ヵ月間にわたって活動している。
日本選手権バックヤードツアーに応募した、大会運営に興味のある7名の高校生で結成されたプロジェクト。
多くの人々が、「する・見る・支える」とさまざまなかたちで陸上競技を楽しむことができるよう、大会運営について学び、考える場として2021 年6月発足した。オンラインミーティング及び日本選手権バックヤードツアーなど、約3ヵ月間にわたって活動している。
〜高校生も取得ができる!「C級審判員」〜
競技会の審判をする公認審判員は、これまではB級、A級、S級の3つの階級があり、最初のステップであるB級は18 歳以上が対象だった。
2021 年に新設されたC級は高校1年生から、各都道府県の陸上競技協会が開催する所定の講習会や研修を受講し、基礎的な技術と知識を身につけたと認められれば公認審判員になることができます。
競技会の審判をする公認審判員は、これまではB級、A級、S級の3つの階級があり、最初のステップであるB級は18 歳以上が対象だった。
2021 年に新設されたC級は高校1年生から、各都道府県の陸上競技協会が開催する所定の講習会や研修を受講し、基礎的な技術と知識を身につけたと認められれば公認審判員になることができます。
■大谷晴海さん
順天堂大学スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科1年生。陸上競技部男子長距離ブロックマネージャーと、関東学生陸上競技連盟で幹事を務める。高校進学後、大会運営に興味を持ち、高校生で福島県初となる「陸上競技B級公認審判員」の資格を取得。
さらに、日本陸上競技連盟主催の「日本選手権バックヤードツアー(7C-Teensプロジェクト)」のメンバーに選出され、同世代の仲間と陸上界が抱える課題について考える場を経験するなど、陸上界を「支える側」として活躍している。
■M高史(えむたかし)さん
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。
~月刊陸上競技3月号(2月14日発売)掲載~
「陸ジョブナビ」アーカイブ
Vol.13~(2023年1月~)Vol.13 徹底した準備でランナーの努力を刻む!~タイム計測編~
Vol.14 来日した外国人選手をサポート!~通訳編~
Vol.1~Vol.12(2022年1月~12月)>>アーカイブ
【掲載内容】
・競技場アナウンサー編
・写真判定編
・大会運営編
・競歩審判員(JRWJ)編
・イベントプレゼンテーション編
・報道編
・ウエア制作編
・表彰編
・トレーナー編
・コース計測編
・スターター編
・世界陸連公認代理人(AR)編
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