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2011年 8月27日 〜 4日

テグ(韓国)

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テグ世界選手権 Day1 8月27日(土)(メディアチーム:児玉育美)

第13回世界陸上競技選手権テグ大会が8月27日,韓国のテグスタジアムで開幕した。各国から約2000人のトップアスリートが参加し,9月4日までの9日間,男女47種目で世界チャンピオンの座が競われる。

女子マラソンはケニア勢が上位独占
日本人トップは5位の赤羽

赤羽  最初の決勝種目となった女子マラソンは,テグ市内に設定された周回コースで行われた。午前9時にスタートしたレースは,最初の1kmが4分を超えるスローな滑り出しとなり,その後もペースが5km毎の給水のたびに上がっては下がるという状況を繰り返しながら30kmまで進んだ。日本勢は先頭集団に位置し,8㎞あたりからは野尻あずさ(第一生命)が先頭に立つ場面もあったが,野尻,伊藤舞(大塚製薬)が後退。赤羽有紀子(ホクレン),尾崎好美(第一生命),中里麗美(ダイハツ)も32km手前でのケニア勢のスパートに対応できず,先頭集団から遅れた。結局,E・キプラガト(ケニア)が2時間28分43秒で優勝。2位・3位にもケニア選手が続き,メダルを独占した。
 日本人トップとなったのは赤羽で2時間29分25秒で5位。世界選手権初出場の中里が2時間30分52秒で10位,前回銀メダリストの尾崎は2時間32分31秒で18位にとどまった。野尻と伊藤は,それぞれ2時間33分42秒,2時間35分16秒で20番目と23番目にゴールしたが,上位選手の失格により19位,22位に繰り上がった。
 団体では上位独占したケニアが金メダルを獲得。日本は,中国,エチオピアに続く4位でメダル獲得はならなかった。
選手コメント
■赤羽有紀子(ホクレン)
「もう少しだったので、メダルに届かず悔しい。30km過ぎの切り替えは思った以上のスピードで対応できなかったが,2年前と異なり,精神的に余裕を持ってレースに臨めたし,最後までたれずに走ることがでいた。(五輪)内定をとることはできなかったが、ロンドン五輪につながるレースになったと思う」

■中里麗美(ダイハツ)
「初めての世界大会。すごく楽しかった。プレッシャーを感じずに,力に変えることができたと思う。ペースが急に上がったことに,やはり世界は違うと思った。これに対応しないと戦えないと痛感した。悔しいけれど,この経験を無駄にしないようにしたい」

■尾崎好美(第一生命)
「30km過ぎに出られたときに対応できなかった。そこが残念。今日はもう少し速いペースで展開する想像していたし,30kmを過ぎても誰もスパートしなかったら,自分が行こうと決めていた。30kmで(ケニア勢のスパートが)来るなというのがわかっていたが,自分が思っていたよりもきつくなっていた」

■野尻あずさ(第一生命)
「ペースが安定しなかったこともあり,マイペースで行った結果があの走り。無理なく、無駄な力を使わずに引っ張ることができた。目標としていた結果には届かなかったが,最後まで自分の走りができたと思う」

■伊藤舞(大塚製薬)
「練習はできていたので最大限の結果を残すつもりで臨んだ。もう少し後半まで,できれば35kmくらいまで先頭集団でレースを進めたかった。しかし,初めての海外のレースだったので、いい経験になったと思う」

澤野,2大会連続4回目の決勝進出!

澤野  27日午前は,女子マラソンと同時進行で,テグスタジアムでも競技が行われるタイムテーブル。
 女子3000mSC予選には,日本記録保持者の早狩実紀(京都光華AC)が出場した。自身が予想していたよりも遅い展開となったために流れに乗りきれず,10分05秒34(8着)でフィニッシュ。2005年ヘルシンキ大会以来となる決勝進出はならなかった。
 男子棒高跳予選には,2大会連続4回目の決勝進出を狙う日本記録保持者の澤野大地(千葉陸協)が登場。5m50から試技を始めた澤野は,この高さを1回できれいに越えたものの次の5m60はクリアならず。しかし,5m65をクリアした選手が8人にとどまり,その時点で決勝進出条件の12名に満たなかったため,5m60を跳んだ選手3人と,その次の順位となる5m50を1回で跳んだ澤野含む5人が決勝に進むことになった。決勝は,大会3日目の8月29日,19時25分から16名の選手によって行われる。
 男子800m予選に出場した日本記録保持者の横田真人(富士通)は,序盤をトップでレースを展開したが,徐々に後退して6着(1分47秒60)でフィニッシュ。準決勝に駒を進めることはできなかった。
選手コメント
■女子3000mSC予選 早狩実紀(京都光華AC)
「もっと速いペースになるだろうと予想していたが,実際には遅い展開のなかで(選手の)出入りがある状況。遅いなと思ったけれど,ペースを上げていけず,対応することができなかった。せっかく出場させてもらえたのだから,せめてA標準は切りたかった」

■男子800m予選 横田真人(富士通)
「アジア選手権以降,準高地の菅平でトレーニングを行なったあと,北海道で調整したのだが,高地トレーニングの疲れをうまく抜ききれなかった。その不安要素がレースに響いてしまったように思う。しかし,これは世界のセミファイナル,ファイナルを見据えて,トレーニングでも攻めていった結果。この経験を次に生かしたい」

■男子棒高跳予選 澤野大地(千葉陸協)
「バーが5m60に上がってから風が向かい,少し力みが入ってしまった。しかし,そこが修正できれば行けると思う。今回で5回目の出場だが,これほど緊張していてもそれを楽しみながら試合できたのは初めて。また,今回は過去に出場した世界大会のなかで最も硬いポールを使えている。ポイントを洗い出して,しっかり修正し,月曜日の決勝では思いきって跳びたい」

室伏,1回で予選通過
シーズンベストで決勝へ!

澤野  イブニングセッションは開会式のあとにスタート。男子ハンマー投予選に,日本記録保持者でアテネ五輪金メダリストの室伏広治(ミズノ)が登場した。この種目の予選通過標準記録は当初78m00だったが,大会前日になって77m00に下げられることに。開始前の練習投てきから,77mのラインを越える投てきを見せていた室伏は,1回目で今季ベストとなる78m56を投げてあっさり通過。予選トップ記録で8月29日に行われる決勝へと駒を進めた。19時15分から開始となる29日の決勝で,世界選手権では初めてとなる金メダル獲得を目指す。
 トラック種目最初の決勝となった女子10000m決勝には,絹川愛(ミズノ),杉原加代(デンソー),吉本ひかり(佛教大)の3選手が出場した。レースは女子マラソンに続き“ケニア選手権”の様相に。前回5000mチャンピオンで今季から10000mにも参戦したV・チェルイヨットが30分48秒98で制したほか4位までをケニア勢が独占。圧倒的な強さを見せつけた。日本選手は全体に波に乗りきれず,32分32秒22でフィニッシュした吉本の14位が最高成績。杉原は15位(32分53秒89),絹川は17位(34分08秒37)の結果だった。
 27日・28日の2日間で開催される男子十種競技には,6月に日本人初の8000点突破(8073点)を達成し,日本記録保持者になった右代啓祐(スズキ浜松AC)が出場。日本記録をマークしたときよりも-123点となる3829点で初日を折り返した。
選手コメント
■男子ハンマー投 室伏広治(ミズノ)
「1投目で予選を通過できるように練習していたし,体力のこともあるので,集中して投げることを心がけた。決勝は,全力でやるしかない。今日,回復させて,万全の状態で戦っていきたい」

■男子十種競技 右代啓祐(スズキ浜松AC)
「(世界大会の)雰囲気を楽しみながら競技することができた。いろいろと反省する点もあるが,すべて終わったところでトータルで振り返り,次の課題にしたい。明日も,前半(1日目)と同じく,1種目1種目を大事にやっていこうと思っている」
写真提供:フォート・キシモト