2024.02.22(木)大会

【日本選手権20km競歩】今村文男シニアディレクター 総括コメント



2月18日、神戸市六甲アイランド(兵庫)で開催した第107回日本選手権20km競歩を無事に終えた日本陸連は、競技終了後、強化委員会の今村文男競歩シニアディレクターがメディア対応を行い、パリオリンピック代表内定者全2名を含め、ともに好記録が誕生した男女両レースを総括しました。
今村シニアディレクターによる総括の要旨は下記の通りです。


■今村文男強化委員会 競歩シニアディレクターコメント

男子は、今回、7位まで(池田向希=旭化成、濱西諒=サンベルクス、古賀友太=大塚製薬、川野将虎=旭化成、髙橋和生=ADワークスグループ、丸尾知司=愛知製鋼、吉川絢斗=東京学芸大)が派遣設定記録(1時間19分30秒)を、9位まで(野田明宏=自衛隊体育学校、萬壽春輝=順天堂大)が参加標準記録(1時間20分10秒)を突破した。目標の記録が明確だっただけに、そこにチャレンジするということと、何よりもやっぱりオリンピックの代表枠が「3」というところが、非常に今回の高水準な記録、そしてレース展開につながったのではないかと思っている。

そのなかでの波乱としては、山西利和くん(愛知製鋼)の失格と、高橋英輝くん(富士通)の早期の離脱(6kmで途中棄権)で、これは私たちも全く想像していなかった。今後のところは、本人または所属先と確認しながら進めていくべきと考えている。

オリンピック日本代表の3人という視点で振り返ってみると、前回東京大会は、リオ大会出場の高橋に加えて、池田向希くん(旭化成)・山西くんの2人が代替わりする形で新たに代表入りした。今回の日本選手権では、優勝して内定を決めた池田くんに、濱西諒くん(サンベルクス)、古賀友太くん(大塚製薬)の2選手が続く結果となっている。濱西・古賀の2選手はまだ内定には至っていないものの、パリでは池田くんを柱とする3人で、上位入賞またはメダルを懸けた戦いに挑むことになっていく状況がみえてきた。

また、今大会では、特に次世代の選手…大学生、そして社会人3年目くらいの選手が非常に多く活躍したと感じている。次の目標に向けてというところでは、4月にアンタルヤ(トルコ)で開催される世界競歩チーム選手権(以下、世界競歩)での男女混合競歩リレー(以下、混合リレー)につながるメンバーの編成を、早急に上位入賞者に確認し、パリオリンピックの代表枠を取れるような準備をしていくことになる。そして、パリに向けては、まず個人種目が決定したうえで、混合リレーのほうの対策を考えていく。
一方、女子に関しては、藤井菜々子(エディオン)、岡田久美子(富士通)、柳井綾音(立命館大)の3選手が代表権を目指しながら、派遣設定記録(1時間28分30秒)にチャレンジした結果、藤井さんが5年ぶりに自己記録を更新する1時間27分59秒をマークし、代表に内定した。藤井さんについては、我々(強化)としては「記録は、あとからでもついてくる」という認識。パフォーマンスの発揮という点で、主要な国際大会…特に今年は世界競歩チーム選手権、またはWA(ワールドアスレティックス)の競歩ツアーに主眼を置きながら、本番に向けた実戦の場を継続して続けていくことで、成果につなげていってくれたらと思っている。
また、2位になった岡田さんも、35kmで代表入りした昨年のブダペストの欠場から、ようやく復調した。今年は、元旦競歩の10km競歩において思わぬ日本記録をマークしていて、身体のダメージが逆に心配されていたが、ここに来て1時間28分30秒を具体的な目標と捉えて出場するまで復調してきた。派遣設定記録に近いとは言えないまでも、今大会で参加標準記録をクリア。復調と代表権獲得にぐっと近づく結果だったと思っている。

次の世代ということでは、私たちも柳井さんに期待を抱いていた。レースの進め方としては、なかなか藤井さんや岡田さんといった先輩たちのようにはいかなかったが、最初から臆することなく集団をリードしていく、または自分でペースをコントロールしながら5km、10kmと歩を進めていくというレースをしてくれた。今後もWAワールドランキングのターゲットナンバー内に入っていくことを目標に置きつつ参加標準記録にもチャレンジする機会、さらには混合リレーにチャレンジしていく機会がある。しっかりと代表入りを目指してほしい。


【質疑応答】

Q:世界記録に迫った池田選手をどう見ているか?
今村:昨年11月上旬から測定合宿ということで、NTC(ナショナルトレーニングセンター)、JISS(国立スポーツ科学センター)を中心に実施したほか、10日間ほどの合宿を11月、12月に行い、今年に入ってからは1月に3週間の合宿(宮崎)と行うなど、継続してかかわりながら、各選手の成長や技術面の変化をみてきた。そのなかで、多くの選手が、(1km)3分50~55秒あたりのペースを持続する感覚や感触、そしてトータルとして1時間17分前後というものを具体的な目標記録に捉えていることは、現場にいて、なんとなく肌感覚でわかっていた。ただ、今回のように、あれだけのハイペースにも臆せず、6人、7人と集団化されたなかでレースを進めていくところでは、レースプランが非常に結果を左右したかなと思う。ペースが速いなかでの展開となったとき、今までの選考競技会のような「3番に入ればいい」というのではなく、「どういうふうに、3分50~55秒のペースのなかで、イニシアチブをとりながら、レースを支配するか」ということが必要で、そこが、今回の池田くんの強さであり、結果としての1時間16分51秒になったと思っている。

Q:全体のレベルアップということでは、ブダペスト世界選手権でのいわゆる“惨敗”が、みんなの意識を高めたのではないかと見えるが…?
今村:もちろん結果としては、不甲斐ないという個人の結果もあるし、種目としてもメダルを期待されたなかで残念な結果だったという部分もあるのだが、プロセスを見ると、池田くんにしても練習がうまく継続できなかったり環境が変わったりというのがあったし、また山西くんにおいても同じような状況で、どちらも新しいことにチャレンジしようというところが、結果につながらなかったいうのが事実であって、両選手も我々も継続して成果を上げていこうというところは変わっていない。そこに加わってきたのが“厚底”シューズの存在。そこに迷いが生じた選手もいれば、チャレンジして成果を上げ、今回上位に入った選手がいるのも間違いのないところ。うまく行ったところと悪く出てしまったところを、選手個々、または所属先やコーチが分析しながら、限られたパリまでの期間のなかでどうアジャストさせていくかというのが、これから競歩のシューズのテクノロジー対策になるのかなと思う。

Q:今回、ほぼ“一発勝負”という形の選考基準となった。そこがレースや選手に影響したと感じる点はあったか?
今村:結果として、一発勝負のような形ではあるが、これまでも日本選手権を重視しながらやっていこうという考え方であったという点で同じ。そういう意味では、今回、上位に入った選手、そして、これから個人種目の代表権が取れるような3位以内選手というのは、しっかりと自分の順位を確認しながら次の準備を進めてくれればと思っている。

Q:混合リレーの編成は、例えば、池田選手や藤井選手が兼ねることも想定するのか、別で考えていくことになるのか。現状で話せることはあるか?
今村:まだ具体的に、混合リレーの具体的なレギュレーションをWAが発表していないため、その内容次第である。例えば、(短距離)リレーのように、ある程度メンバー構成に幅があるなかで選べるのであれば、今回の世界競歩は代表権だけ取りにいくといった戦略が立てられる。一方で、選手個々にも世界競歩に出場する目標や目的もあるので、そこは(WAの決定や選手個々の意向を)確認して進めたい。世界競歩では、より良いペアが組めるようにしつつ、代表枠は最高で2枠取れるので、そこを目指しながら…というところが最低限の目標になると考えている。昨年の11月に中之島競歩で男女混合競歩リレーを行った際に、現場のスタッフと選手から上がってきた報告や振り返りとしては、「男子の歩型のリスク」「女子の競技力の高さ」がトータルの記録や順位につながってくるというものだった。このため今後発表されるレギュレーションとの整合性も図りつつ、男女のペアリングを慎重に準備できればと考えている。

※本稿は、2月18日の日本選手権20km競歩終了後に行われた囲み取材の要旨をまとめたものです。発言内容が正確に伝わることを意図して、一部、実際のコメントに編集を加えています。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ


【ライブ配信】ARCHIVE




▼【日本選手権20km競歩】女子レポート&コメント
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▼【日本選手権20km競歩】男子レポート&コメント
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▼【第107回日本選手権20km競歩】前日会見レポート&コメント
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