2024.02.06(火)大会

【日本選手権室内】2日目ハイライト

大阪城ホール(大阪市)で開催中の第107回日本陸上競技選手権大会・室内競技(以下、日本選手権室内)は2月4日、2024日本室内陸上競技大阪大会(以下、日本室内大阪大会)との併催で、2日目の競技を行いました。日本選手権の部では、8種目の“室内日本一”が決定。日本室内大阪大会ではU20カテゴリの6種目で決勝が行われ、熱戦が繰り広げられました。


好調の髙橋渚が1m86で走高跳3連覇



男子、本格復帰の衛藤が室内自己新の2m24で制す



大会2日目は、会場中央の直走路を使う日本選手権の男女走高跳が組まれているために、トラックをスプリント種目と交互に使用していくタイムテーブル。このため午前の競技は、日本選手権女子走幅跳・U20女子走幅跳と、日本選手権女子走高跳、U20男子棒高跳と、4つのフィールド種目の決勝のみが行われる形となりました。
そのなかで、ひときわ注目を集めたのは日本選手権女子走高跳を制した髙橋渚選手(センコー)の跳躍でした。1m74から試技を始めた髙橋選手は、この高さも含めて、3cm刻みで上がっていったバーを、すべて1回で跳んでいきます。前回・前々回で自身が出した大会記録に並ぶ1m80で3連覇を確定。続く1m83もあっさりと攻略すると、次の高さとして日本歴代8位タイとなる1m86を申告。踏み切り位置がやや近くなっていたことで、バーを揺らしながらのクリアランスとなりつつも、この高さも最初の試技で成功させ、今季初戦となった1月27日に海外でマークしたばかりの室内での自己記録(1m84)、昨年2回成功させている屋外の自己記録(1m85)を、ともに塗り替えました。跳べば単独日本歴代8位に浮上する1m88への挑戦は、修正しきれずに成功はなりませんでしたが、非常に惜しい跳躍も見せ、今後への期待を高めて競技を終えました。
「1m85以上は跳びたいと思っていたので、(1m)86が跳べて良かったけれど、(1m)88を跳べる状態に仕上げてきていたので、満足はしていない」と振り返った髙橋選手。「今日は、全体に踏み切り位置が詰まり気味になってしまった。(1m)86の跳躍も、納得はしていない」と言います。それでも、「ベースは上がっている」ことは実感できている様子。女子走高跳のパリオリンピック参加標準記録は1m97で、到達するためには日本記録(1m96、今井美希、2001年)の更新が必要と、まだ距離はかなりある状況ですが、それを十分に自覚したうえで、一つずつ着実なステップアップで近づこうとしています。今季の目標を問われると、「1m90」を掲げるとともに、「(1m)88あたりを安定して跳べるようにしたい」とコメント。WAワールドランキングのポイント獲得を期して、来週からはオーストラリアとニュージーランドで、2大会に出場を予定しています。「メルボルンで、(1m)88、跳んできます!」と力強い言葉を聞かせてくれました。
60mの予選レースを挟んで午後に行われた男子走高跳は、日本代表経験者が揃う豪華な顔ぶれに。東京オリンピック代表で、2021年を区切りとして、いったん第一線から退いていた衛藤昂選手(神戸デジタル・ラボ)が勝負を制しました。昨年秋の段階で2024年からの本格復帰を表明していた衛藤選手にとっては、今大会がその初戦でしたが、室内での自己記録(2m23、2019年)を更新する2m24を1回で成功させて、ここでタイトル獲得を決めると、昨年、赤松諒一選手(アワーズ)がマークした大会記録(2m27)を上回る2m28に挑戦する見せ場もつくりました。実は競技会には出場していた昨年も2m26を跳んでいる衛藤選手ですが、この日本選手権室内が「3シーズンぶりに全助走で跳躍」する大会だったそう。感想を求められると「動きや跳躍の感覚を思い出した」とコメントしました。パリオリンピックを目指すためには、参加標準記録の2m33をクリアするか、WAワールドランキングでターゲットナンバー(32)内に入るかが必要ですが、衛藤選手は「まだランキングにも入っていない状態だし、層が厚くなっているので日本選手権が重要になってくる。まずは、日本選手権で3番以内に入りたい」と話していました。


豪華メンバーが集まった女子60mは鶴田が快勝



男子は、木梨と岡崎が6秒61で同タイム優勝



女子60mは、2023年の女子100m日本リスト1~3位の君嶋愛梨沙(土木管理総合)、兒玉芽生(ミズノ)、鶴田玲美(南九州ファミリーマート)の3選手が並ぶレースが実現しました。3者が3組に分かれて臨んだ予選は、揃って悠々と1着で通過。兒玉・君嶋・鶴田と4~6のシードレーンを占める形で行われた決勝では、予選で全体のトップタイムとなる7秒41の自己新をマークしていた鶴田選手が、さらにタイムを引き上げ、室内日本歴代4位タイとなる7秒38で、この大会初優勝。兒玉選手が7秒41、君嶋選手が7秒54で上位を占めました。
昨年のこの大会で出した自己記録(7秒49)から、大きくタイムを更新した鶴田選手は、この大会は、冬季練習の進捗を確認することを意図して臨んでいたため、特に目標タイムも設定していなかったそう。それもあってか感想を求められると、「7秒3台が出て、誰より自分が正直驚いている」という言葉が最初に返ってきました。一方で、「もともと自分は前半を得意としていないので、60mで勝てたこと、7秒3台が出せたことは今後の自信にしていいかなと思う。今日はしっかり走れたと思うが、これをうまく持ち味の中盤以降につなげたい。この60mを100mに、そして200mへとつなげていきたい」と意欲を見せました。
1月27日に、海外ですでに日本歴代3位の7秒37をマークしている兒玉選手ですが、国内の室内レースとしてこの大会に出場するのは、U20日本室内大阪大会として実施されていた2018年以来となりました。今回は「7秒2台は確実に出したい」という思いで臨んでいたそうですが、イメージしてた通りの走りにならず、「なかなか噛み合わないない」と、もどかしさを口にしました。しかし、この冬は、特にスタートの局面を課題に据えるとともに、「ウエイトトレーニングも一から作り直す」形で、高い質を維持させて練習は継続できてきたといいます。この大会のあとは、クライストチャーチ(ニュージーランド)で行われる競技会の100mに出場の予定。「気負いすぎず、でも、しっかりと」という思いで見据えるパリオリンピックに向けたアウトドアシーズンが、いよいよ始まります。
「タイムを見て、“んー”という感じ」と話したのは君嶋選手。7秒2台後半から7秒3台くらいのタイムが欲しかったと言います。この冬は、昨年11月に3週間、今年も1月に2週間、ジャマイカへ“単独武者修行”。今大会は、ジャマイカでトレーニングを積んだのちに、屋外で60mのレースを走った翌日に帰国して、わずかなスパンで臨んでいました。パワー系のトレーニングが多かった影響もあり、このあと予定しているオセアニアを転戦するレースで、キレを磨いていくことになりそうです。
大会最後の種目として行われた男子60mは、予選でトップタイムとなる6秒62をマークした木梨嘉紀選手(順天堂大)と、2番目の6秒64で走っていた岡崎隼弥選手(アスリートリンク)の戦いに。どちらも「自分は前半型」と自認する2人が並んだ決勝では、スタートしてすぐに岡崎選手がリードを奪うと、木梨選手が中盤で追いつき、激しく競り合いながらフィニッシュラインになだれ込む展開となりました。0.001秒まで確認したタイムはどちらも「6秒605」。6秒61の同記録着差なしで、2人の日本チャンピオンが誕生しました。6秒61は室内日本歴代7位タイとなる好タイムですが、両者ともに満足はしていないようで、レース後は、「6秒5台を出したかった」と、それぞれに悔しさをにじませるコメントも。それでも岡崎選手(10秒22)、木梨選手(10秒27)ともに、昨年10秒2台突入を果たした屋外100mに向けて、弾みとなるスタートを切りました。なお、木梨選手は、1日目のU20女子60mハードルで、妹の木梨光菜選手(倉敷中央高、100mハードルU18日本記録保持者13秒26)が優勝(8秒45)を果たしていて、“兄妹V”を達成。「去年は妹がハードルを倒して失格に、自分もケガで棄権していたので、今年こそと思っていた」と笑顔を見せました。


男子走幅・三段跳は、東洋大先輩後輩コンビが上位独占

U20女子走幅跳で、垣石がU20室内日本記録に肉薄



このほか日本選手権の部では、男子走幅跳で、津波響樹選手(大塚製薬、東洋大卒)が、前半の試技を終えた段階で、2回目にマークした7m79でトップに立っていた藤原孝輝選手(東洋大3年、ダイヤモンドアスリート修了生)を、4回目に逆転して7m83で優勝。男子三段跳は、4回目の試技で自己新記録の16m05をマークしてトップに躍り出た城崎滉青選手(東洋大2年)を、最終跳躍で、昨年屋外で16m38のU20日本記録を樹立している宮尾真仁選手(東洋大1年)が16m17を跳んで逆転V。この結果、今大会男子跳躍水平種目は、東洋大の先輩後輩コンビが上位を独占する形となりました。
女子走幅跳では、1回目に6m29のセカンドベストを跳んでトップに立った竹内真弥選手(ミズノ)が初優勝。ファウルとなった最終試技では6m40近い跳躍も見せ、好調を印象づけました。また、3選手が5m30で並んだ男子棒高跳は、試技内容の差で竹川倖生選手(丸元産業)が優勝。前回に続く2連覇を果たしています。
併催された日本室内大阪大会では、U20女子走幅跳に注目が集まりました。前回のU18チャンピオン、恒石望乃選手(高農ベアーズ)が1回目に6m18の跳躍を披露したことで、1993年以降塗り替えられていないU20室内日本記録(6m20、高松仁美)更新への期待が一気に高まったからです。2・3回目がファウルとなり、4回目の5m96を経て挑んだ最終跳躍は6m12と、惜しくも実現はなりませんでしたが、区分を変えての連覇を達成しました。優勝記録となった6m18は、屋外も含めてサードベスト。垣石選手は、昨年、この大会で初めて6m台となる6m10をマークすると、屋外シーズンでは自己記録を6m21まで更新。また、インターハイ、国体を制する成長を遂げました。今年も躍進が期待できそうです。
このほかでは、U20女子60mで、昨年、インターハイ(100mと200m)と国体(100mと300m)で、どちらも2冠を果たした山形愛羽選手(熊本中央高)が7秒46で快勝。U20男子走幅跳では、2022年にU18の部を制している曲山純平選手(日大東北高)が、昨年の国体(2位)でマークした自己記録(7m43)に肉薄する7m40を跳んで、2回目のタイトルを獲得する活躍を見せました。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト

JAAF Official Partner

  • アシックス

JAAF Official Sponsors

  • 大塚製薬
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • 積水化学工業株式会社

JAAF Official Supporting companies

  • 株式会社シミズオクト
  • 株式会社セレスポ
  • 近畿日本ツーリスト株式会社
  • JTB
  • 東武トップツアーズ株式会社
  • 日東電工株式会社
  • 伊藤超短波株式会社

PR Partner

  • 株式会社 PR TIMES
  • ハイパフォーマンススポーツセンター
  • JAPAN SPORT COUNCIL 日本スポーツ振興センター
  • スポーツ応援サイトGROWING by スポーツくじ(toto・BIG)
  • 公益財団法人 日本体育協会
  • フェアプレイで日本を元気に|日本体育協会
  • 日本アンチ・ドーピング機構
  • JSCとの個人情報の共同利用について