2018.08.06(月)イベント

【男子短距離合宿】公開練習レポート&コメント



ジャカルタで開催されるアジア大会に向けて最終調整合宿を行っている男子短距離のリレーチームが8月3日、合宿先の山梨県富士吉田市の富士北麓公園陸上競技場において、メディアに向けて練習を公開しました。

練習を公開したのは、山縣亮太(セイコー)、ケンブリッジ飛鳥(Nike)、飯塚翔太(ミズノ)、小池祐貴(ANA)、桐生祥秀(日本生命)、多田修平(関西学院大)、山下潤(筑波大)、木村淳(大阪ガス)の8選手。

この日、選手たちは、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた合宿活用等を見据えて、山梨県が同公園内に新設した屋内練習走路「富士ウッドストレート」のオープニングセレモニーに参加。選手を代表して山縣選手が尾縣貢日本陸連専務理事とともにテープカットに加わったのち、各選手が地元の小学生と組んでリレーを行う形で走り初めを行い、屋内走路の完成を祝いました。



続いて行われた練習では、山縣選手、多田選手、桐生選手、ケンブリッジ選手と、木村選手、飯塚選手、山下選手、小池選手の2組に分かれてのバトンパスを行いながらの流しを行ったのちに、それぞれが個別にメニューを消化しました。桐生選手と多田選手は、公園内にある50mほどの坂を利用したダッシュを中心としたトレーニング内容。また、飯塚選手、山縣選手、ケンブリッジ選手、木村選手は250m走を、小池選手はスタート練習を行ったのちに350mのペース走を行いました。



2時間ほど行われた練習のあとには囲み取材が行われ、山縣、飯塚、桐生、ケンブリッジ、多田、小池の6選手が、それぞれに自身の状態や本番での目標などを話しました。また、土江寛裕オリンピック強化コーチから、この合宿の目的やトレーニング状況のほか、アジア大会において起用を予定している各リレー(男子4×100mR、男子4×400mR、男女混合4×400mR)のメンバー構成等が明かされました。

【コメント(要旨)】

山縣亮太(セイコー)
今回、本当にたくさんの(観覧の)人が見にきてくれているなかで、初めて室内練習場も走らせてもらって、いい経験になった。また、みんなで質の高い練習もできている。アジア大会に向けて、雰囲気が上がってきたと思う。

自分は、日本選手権が終わってからヨーロッパでの試合を1回挟んで、この合宿に参加している。ヨーロッパでは脚の違和感があって、早期帰国という形になってしまった。連戦が続くとケガのリスクあるということで、大事をとって帰らせていただいたが、(帰国後は)そこの問題も全然なく、この合宿では質の高い練習ができている。アジア大会がすごく楽しみ。

(アジア大会の)100mは、主に中国勢をはじめとしたライバルがいるので、しっかりそこで勝って、2019年世界選手権、そして2020年の東京オリンピックに向けて弾みになるようなレースをしたい。また、リレーのほうも、今年は何回かいいタイムを出しているが、タイムと金メダルを目指して、世界選手権、東京オリンピックへの弾みにしたい。

飯塚翔太(ミズノ)
今年は、(富士北麓陸上競技場に)ウエイトトレーニング場に加えて屋内走路もできた。年々、練習しやすい環境を整えてくれていて、本当にありがたい。また、ここは涼しいので、アジア大会の前に、いい練習ができている。
(アジア大会に向けて)今が一番練習する時期。こうやってみんなで集まって、今日も一緒に(250mを)走ったりして、すごく刺激的な練習ができている。アジア大会に向けて、どんどん調子を上げていくとともに、気持ちも高めていければと思う。

(アジア大会は)200mでは金メダルを目指したい。予選、準決勝、決勝があるので、各ラウンドをいい流れで通過して金を狙いたい。また、リレーでも目指すのは金メダル。2つのメダルを獲得したい。

桐生祥秀(日本生命)
ここは、日(直射日光)が差さないと涼しい。今日も(坂ダッシュなど)本当にいい練習ができた。速い人たちと一緒に練習できるのは、ここ(代表合宿)に来たからこそのこと。食事も毎食美味しいし、練習環境としては最高だと思う。

練習はしっかり積むことができている。アジア大会まで気合いを入れて、しっかりやっていきたい。アジア大会は、4×100mRでの出場となる。金メダルを目指して頑張りたい。

ケンブリッジ飛鳥(Nike)
ここ(代表合宿)に来ると、代表に入ったという実感がわくとともに、大きな大会が近付いてきたなと思う。今日も、みんなで質の高い練習ができた。アジア大会に向けていい準備ができていると感じている。

アジア大会の100mは、すごくレベルの高いレースになると思う。そこでしっかりメダルを取りたい。また、リレーでは大阪(ゴールデングランプリ)で出したタイムを上回って、金メダルが取れればいいと思う。

多田修平(関西学院大)
今年でこの合宿に参加するのは2回目だが、本当に涼しくて、走りやすい環境。また、トップレベルの選手たちと一緒に練習がしっかりできて、本当にいい刺激をもらえている。

ヨーロッパ遠征は行けなかったが、日本選手権が終わってからは練習を積んで、いい感じで(調子は)上がってきている。今回(のアジア大会)は、リレーでの出場。いい流れをつくれるような走りをして、金メダルにつなげられるよう頑張っていきたい。

小池祐貴(ANA)
僕は大きい大会の代表は初めてだが、参加してみて陸上競技は注目されているのだなと感じた。また、これだけたくさん人がいるのに、気持ちよく練習できているので、本当にありがたいことだなと思う。

日本選手権後、ヨーロッパで3戦して、1本1本(のレースで)いい経験をさせていただいている。練習でもっと追い込んで、アジア大会でもう1回ピークをもってこられればいいなと思っている。

(アジア大会は)200mでは持っている自分の力をすべて出し切りたい。また、リレーはどちらを走るかはわからないが、いずれにしても自分の与えられたところで全力を出し切れるように準備していきたい。

土江寛裕(日本陸連強化委員会男子短距離オリンピック強化コーチ)
◎富士吉田合宿の目的は、バトンの最終チェックとチームづくり
短距離チームとしては、日本選手権でアジア大会の代表が決まったあと、4×100mRにかかわる選手たちはヨーロッパの遠征を行い、それぞれに試合に出るなかでいろいろな経験を積んだ。また、リレーとしてもロンドンダイヤモンドリーグ(以下、ロンドンDL)で実戦的なバトンパスの練習を行い、かなり仕上がった形でこの合宿を迎えている。

ここ(代表合宿)での目的は、バトンの最終的なチェックを行うことと、あとは日本代表として、選手たちが集まって、一緒にチームをつくっていくという意識づくりにある。そういう気持ちの高まりは、選手それぞれに感じることができているように思う。

また、男子短距離は、これまでの大きな国際大会の直前合宿を、この富士吉田市で行ってきているが、実施に際しては山梨県や山梨県陸上競技協会の方々から毎年手厚いサポートを頂戴している。今年度は、2020年東京オリンピックに向けた事前合宿に活用できるように、ナイター設備やウエイトトレーニング場を完備していただいたほか、さらに130mの直走路(5レーン)を備える屋内練習走路が完成するなど、練習環境として最高の状態を整えてくださった。心から感謝申し上げたい。

この富士北麓競技場は、2016年にもここで直前合宿を行って、オリンピックで銀メダルを獲得した非常に縁起のよい場所。今回のアジア大会もそうだが、来年のドーハ世界選手権、そして2020年東京オリンピックに際しても、ぜひ、この地から勝負の場に出ていきたいと思っている。

◎2020年東京オリンピックへの本格始動となるアジア大会
4×100mRは、リオデジャネイロオリンピックで銀メダルを取って、去年(ロンドン世界選手権)では運よく銅メダルを取ることができた。オリンピックで銀を取った以上は、2020年は金メダルを目指していくことになる。そこに向かっていくなかで、世界大会の中間年となる今年に関しては、(最大目標となる大会が)アジア大会のみ。もし、先日のロンドンDLに参戦していなければ、世界を感じられる機会がないままになるところだったなと感じている。

(ロンドンDLで優勝した)イギリスチームは、近年非常に調子がよくて、100m9秒台、200m19秒台の選手でリレーを組んでいる。そういうチームと勝負して勝たないと金メダルは取れないわけで、そこ(そうした強豪国)とのギャップを、この段階で、この年に感じることができたのは、収穫としてとても大きいと思っている。また、選手たち自身も「個人のレベルを上げなければならない」と非常に危機感を強く持っている。さらに、中国は蘇炳添選手や謝震業選手などが個人のレベルを上げてきているので、アジア大会はそことの勝負になってくる。2020年東京オリンピックに向けて、世界と戦うためのいろいろな経験という意味では、アジア大会は非常に重要な大会になってくる。

7月31日には国際陸連が東京オリンピックに参加するための細かな条件を発表した。詳細はまだきちんと精査できていない状態だが、少なくともリレーに関しては、2019年ドーハ世界選手権のトップ8が、そのまま東京オリンピックにつながることが確定した。

そのドーハ選手権の出場枠獲得には、来年のワールドリレーズ(5月10~11日開催、バハマ)の結果がかかわってくる。そして、ワールドリレーズに出る権利を獲得したり、ドーハ世界選手権に出るための記録だったりは今年の段階から出していかなければならない。そういう意味で、東京オリンピックに向けて直接的につながるところが、今年から始まっていくことになるわけで、2020年東京オリンピックに向けて始動するその1発目が、アジア大会になると考えている。

◎アジア大会の各リレー編成について
アジア大会での4×100mRは、山縣、多田、桐生、ケンブリッジを基本のメンバーとする。これに飯塚・小池がリザーブという形で控える布陣を組む。また、マイル(4×400mR)に関しては、オーダーはまだ決めていないが、400mを専門とするウォルシュ(ジュリアン、東洋大)、木村に加えて、飯塚・小池で組むことを考えている。

このメンバー編成とした理由は、4×100mRに関しては、アジア大会はもちろん、世界選手権、オリンピックに向けて、金メダルを目指してやっていくことに変わりがないことに加えて、マイルに関してもメダルを視野に入れられると考えているから。このところ結果を残せていない状況にあるが、2004年アテネオリンピック4位の実績もあるマイルも、十分に世界で戦える種目と考えている。ただ、ここ数年で、4×400mRにおける世界の戦い方が大きく変わっている。スピードのある選手の存在が不可欠になっており、序盤からレースの流れのなかに入っていかないと勝負できなくなっている。

このため、今回のアジア大会では、前回同様に200mのメンバーがそのスピードを生かしてマイルを走ることによって、その流れのなかで勝負することを目指す。このため、飯塚と小池をマイルに起用することにした。また、男女混合4×400mRは、山下と木村が走る予定。これによって、山下が、400mでどのくらい走れるかというところも確認することができると考えている。

多田の4×100mRの2走起用については、いくつか理由がある。まずは、個人種目(100m)に出場する山縣とケンブリッジの負担を軽減すること。中国の蘇や謝と戦わなくてはならない100mに注力できるよう、バトンパス練習のストレスを最小限とするために、この2人は従来通りの1走・4走とした。

また、“多田はスタート型”というイメージが持たれがちだが、去年、ユニバーシアードで金メダルを取ったときに務めた2走の走りは非常に素晴らしかったし、母校の関西学院大でも2走・4走と直線を中心に走っている。動きから見ても、直線のほうが彼のよさが生きる走りができるはず。2走も十分にこなしてくれると期待している。

できれば、ロンドンDLでテストしたかったのだが、試合も重なっていたり状態が上がってこなかったりということもあり、国内に残って調子を整えてもらうことになった。そのため、今回の合宿で初めて多田を2走に配してのバトン練習を行ったが、バトンパスに関しては、これまでの積み重ねがすごく大きくて、渡すほう(山縣)、受けるほう(桐生)がこれまでいろいろな選手とのバトンを経験していることもあり、わりとすんなり目標とするレベルのタイムを出せている。あとはしっかりと多田らしい走りが戻ってきてくれることに期待したい。レースまでまだ時間も十分にあるので、着実に状態は上がってくると思っている。


文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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