2017.08.18(金)選手

第16回世界陸上競技選手権大会 <メダリスト帰国会見>




 8月13日に閉幕したロンドン世界選手権に出場した日本代表選手団の本隊が、8月15日午後に帰国しました。到着した羽田空港では、出迎えた多くのファンから、ねぎらいの言葉や祝福の声が投げかけられ、選手たちは笑顔でこれに応じていました。
 また、到着後、羽田空港において、メダルを獲得した男子4×100mリレーの多田修平選手(関西学院大学)、飯塚翔太選手(ミズノ)、桐生祥秀選手(東洋大学)、藤光謙司選手(ゼンリン、以上銅メダル)、および男子50km競歩の荒井広宙選手(自衛隊体育学校、銀メダル)、小林快選手(ビックカメラ、銅メダル)の6選手が記者会見を行いました。
 以下、会見における各選手のコメントおよび質疑応答の一部をご紹介します。

【選手コメント】
・多田修平選手(関西学院大学) 男子4×100mR(1走) 銅メダル
 今回、ハキーム選手(サニブラウン アブデルハキーム、東京陸協)とケンブリッジ選手(ケンブリッジ飛鳥、Nike)が走れないなか2選手の気持ちを背負って走りたいという気持ちが一番強かった。また、皆さんの声援のおかげでこのような結果を残すことができたので嬉しいし、感謝の気持ちでいっぱい。本当にありがとうございました。

・飯塚翔太選手(ミズノ) 男子4×100mR(2走) 銅メダル
 素直に嬉しい。今回、メンバーの変更もあり、本当にみんなで・・・補欠も含め6人で勝ち取ったメダルだと思っている。また、去年に引き続きもう一度メダルを取れたことで、陸上の存在を、日本の皆さんにまたアピールできたと思うので嬉しく思っている。ありがとうございます。

・桐生祥秀選手(東洋大学) 男子4×100mR(3走) 銅メダル
 今回、(自分は)リレーだけの出場だったが、(リレーメンバー)6人がしっかり練習して、走順が誰になるかは当日まではわからなかったが、6人で走った(戦った)。このメダルを獲得できて、本当によかったと思う。 

・藤光謙司選手(ゼンリン) 男子4×100mR(4走) 銅メダル
 昨年に引き続き、リレーのリザーブという形で(代表入りし)、走れるかどうかわからないという状況で当日を迎えたが、走ることができ、このような結果を残すことができて、素直に嬉しい。僕は去年(のリオ五輪は)リザーブで、サポートをする(側の)気持ちもわかっているし、今回は自分が走ったということで、2つ(の立場を)経験し、改めて、本当に(リレーメンバー)6人で戦っているという気持ちを実感した。また、ここに立てているのもサポートしてくれた周りの方々のおかげ。続けてきた結果がこういうふうにつながって本当に良かったと思う。応援ありがとうございました。

・荒井広宙選手(自衛隊体育学校) 男子50kmW 銀メダル
 昨年のオリンピックで銅メダルを取って、今年に関しては、これまでの挑戦者という立場から、自分で言うのもなんだが実力者としての勝負の年という形だった。そういうプレッシャーもあるなかでメダルを獲得することができ、すごくいい世界選手権になったと思う。また、それ以上によかったのは、50km競歩に参加した3名の選手が全員入賞したこと。これが一番素晴らしかったと思うし、日本のチーム、競歩チームの層の厚さを証明できたように思う。

・小林快選手(ビックカメラ) 男子50kmW 銅メダル
 50kmに挑戦するのが今回で2回目ということで、ほとんど経験がない状態での出場だったが、そのなかで荒井さんや競歩界のいろいろな方々の力を借りて、なんとかメダルを取ることができて大変嬉しく思う。ただ、日本人のなかで2番なので、悔しいとところもある。これからもう一段、力をつけていけるよう頑張っていきたい。応援ありがとうございました。


【質疑応答(要旨】
Q:藤光選手へ。抜擢にプレッシャーはなかったか、急な起用に対してどう気持ちを高めたか。
・藤光:急ではあったが、いつでも行ける準備はしていたし、これまでにも何度かこういう場面は経験していたので、あんまり動揺はなく、すっと受け入れられた。気持ちの切り替えに関しても、いつも通りに自分の走りをすればいいというだけで、特に何かをしたということはなかった。
 去年、ああいう形(リオ五輪で補欠)で走れずに終わって悔しい気持ちが残っていて、(当時は)競技をひと区切りすることも頭をよぎったが、やり残したという(自分の)思いや支えてくれた方々のためにもう一度ひと花咲かせたいという気持ちもあった。支えてくれた方々の存在があったからこそ今回の結果につながったと思う。

Q:藤光選手へ。若い下の世代の選手たちが活躍しているなかで、彼らより年上の藤光選手が走るにあたって、何か強い気持ちというのはあったか。
・藤光:去年の悔しい気持ちが一番大きな糧になっているし、それがなかったら今年の自分はいなかったと思う。今シーズンは、いろいろな新しいトレーニングに挑戦するなど、ひと皮むけようと思って迎えていた。そういう諸々がつながった結果だと思うし、今まで長年継続して努力してきたことが、このような結果につながったと思う。たぶん、僕以外にもリザーブの人間というか、なかなか試合に出られない人たちが世の中にいっぱいいると思うが、準備していればこういうふうにチャンスがまわってきたときに結果が残せるということを証明できたのかなと思うので、ちょっと勇気とかを与えられたかなと思う。

Q:競歩の2選手へ。途中から2人でずっと歩くような形になり、声をかけ合っている場面が見られたが、どういう話をしたか?
・荒井:レースの後半から、小林選手と一緒になり、順位的には2位・3位ということで、2人ともゴールできれば確実にメダルは取れるという状況だった。それがもし、3位と4位だったら状況は違っていたかもしれないが、日本チームで2つメダルを取ればこんなに素晴らしいことはないし、やはり普段からも合宿などで一緒にやってきているので仲間意識があった。2人で協力して、声をかけ合いながら、確実に結果を残していこうというつもりで歩き、結果として、金メダルは無理だったが、銀と銅、2つのメダルを獲得でき、競歩チームとしては新たな1ページを開くことができたと思う。
・小林:僕から荒井さんに声をかけたということはなかったのだが、荒井さんから、「メダルを取れる」ということと、何度か「頑張れ」と声をかけていただいた。ペースもつくってくださったので、そのおかげでなんとかゴールをすることができた。そのときの心境としましては、実はあんまり一緒に練習したことがなくて・・・同じ場所で練習していても、練習の内容が違っていたので・・・、何か新鮮な気持ちというか、同じチームですごく心強いという思いと、「ああ、隣で歩いている」という嬉しさがあった。

Q:桐生選手と多田選手に。今回の世界選手権を経て、新たに自分がこれからどう頑張りたいか。新たな目標が見つかったとしたらそれは何か?
・桐生:日本選手権が(100m)4番で、個人種目で(世界選手権に)出場できなくなり、日本選手権後は1週間くらいグラウンドにも出なかったし、ロンドンに入ってから100m、200m(のレース)を見ていても悔しい思いのほうが強かった。日本選手権のときにレース後、「僕は今回のロンドンを、家で見るかもしれない」と(メディアに)答えていたが、でも、リレー(メンバー)に選んでもらったので、その段階で“とりあえず先のことを思うよりは、まずはロンドンを終えてみよう”と考え、ここまで過ごしてきた。今、ロンドンを終えたので、これから先のことはまた、今から考えようと思っている。
・多田:リレーに関しては銅メダルを取れたが、個人種目の100mは準決勝で終わってしまい、タイムも自分なりには全然満足していない。また、スタートのリアクションタイムも日本選手権とかに比べると緊張しているせいか、0.2秒近くかかってしまっていた。やはり世界(でのレース)の経験や大舞台で力を発揮するということが僕には全然足りていないと思ったので、経験を積むことがこれからの自分には大切なのかなと思う。 

Q:競歩の2人に。レースで一番つらかった瞬間はどのあたりだったか? その瞬間、何を考え、どう乗り越えたか?
・荒井:ラスト1周に入ったときに2人で、「このままウイニングウォークだね」と言っていたのだが、実は、後ろからウクライナの選手が10秒差くらいまで追い上げてきていた。私たちはそれに気づかず、周りのスタッフから指摘されて、あわてて「まずい」とペースを上げた。バッキンガム宮殿の給水を過ぎたあたりで、“ああ、もう大丈夫だな”と思うまでの数百mは、メダル逃したらどうしようと思っていた。
・小林:ただ、そのときは、荒井さんは笑いながら「あれ、これ、どっちか(3位以内から)落ちたらやばいな」とか言っていたので、そんなに焦っていたのかな、と(笑)。逆に、そうやって笑って言ってくれたので、僕としては、安心感をもらった。
 僕のなかで一番焦ったというかきつかったところは、警告が1つ出てしまって、そのあとに注意を2回連続で出されてしまったとき。失格したことが何回かあるので、失格が頭をよぎって“まずい”と思ったのだが、そのとき、荒井さんが「まだ1回だから大丈夫だよ」「落ち着いて、落ち着いて」と声をかけてくださった。また、あとで(メディアから)“きょろきょろしていた”と言われたが、実は、いろいろなところに配置された競歩のスタッフの方々から、フォームについて(アドバイスを受け)、「ここ修正して」とか「今大丈夫だよ」とかというようなことを言ってもらっていて、そのおかげで安心して最後まで歩ききることができた。一番、精神的に焦ったのはそこ。荒井さんやいろいろな方々のおかげでなんとか乗り越えることができた。 

構成・文責:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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