【男子4×100mR】
日本にとっては、8日前の世界リレー予選での「無念」を一気に晴らす舞台となる。5月11日の世界リレーでは、予選で3走(小池)から4走(桐生)へのパスを失敗して無念の失格。「失格」の判定が下される前に発表されたタイムは、「38秒59=3着」。桐生がほとんど立ち止まり、最初の加速をつけられない状況だったことを考慮すると素晴らしい記録である。現実にパスを失敗する直前までは、中国とほぼ並び、アメリカをわずかにリードしていた。
TV中継画面をスロー再生&コマ送りし、300m地点を通過する時のタイムを画面に表示されていたタイマーから推定すると28秒5前後。つまり、ほとんど加速をつけられない中での、桐生の100mは10秒0~1あたりということになる。
16年・リオ五輪で37秒60のアジア新記録で銀メダルを獲得した時は、日本陸連科学委員会の分析によると1走・山縣10秒18、2走・飯塚翔太9秒18(累計19秒32)、3走・桐生9秒24(28秒56)、4走・ケンブリッジ9秒04(37秒60)だった。
つまり、37秒60の時とほとんど変わらないタイムで3走まではバトンをつないできていた。リオ五輪の時、桐生は3走の曲線区間を「9秒24」でカバーしている。これを今回の300m28秒5前後に単純に加えると、37秒7前後となる。しかし、直線区間を走る2走と4走では、コーナーの3走よりも0秒2前後は速く走れるのが通常だ。
「たら」「れば」の話になってしまうが、もしも世界リレーの予選でうまくバトンが渡ってば、「37秒5前後」のタイムが出ていたかもしれないことになる。
18年のGGPで、日本は37秒85の国内日本最高で優勝している。大会の2連勝とともに、世界リレーでゲットできなかった「ドーハ世界選手権出場権獲得」に向けての快走を期待したいところである。
【男子110mH & 女子100mH】
世界リレーでは、国際大会では初実施の男女混合シャトルハードルRが行われ、日本が見事に「銀メダル」を獲得。1走から順に、木村文子(自己ベスト13秒03)、高山崚野(13秒44)、青木益未(13秒17)、金井大旺(13秒36)というオーダーだった。決勝に残った4チームのうち、ジャマイカが欠場、オーストラリアがフライングで失格となり、アメリカとのマッチレースとなった。2走の後半に高山がアメリカを抜き、3走の青木の中盤まで日本がリードするという会場を大いに沸かせる展開。最後はアメリカに突き放されたが、54秒96と55秒59で、その差は0秒63。
4人の自己ベスト(女子100mH、男子110mH)の合計は、日本が「53秒00」だったのに対し、アメリカは「51秒18=女12秒54+男13秒27+女12秒34+男13秒03」で、その差は「1秒82」もあった。
本番のリレーでは、女子が正規の100mHよりも10m余分に走るので、単純な比較はできないが、「1秒82差」を「0秒63差」で食らいついたのは、お見事!といえよう。
そんなことで、世界リレーに出場した4人のほか、男子では今シーズンブレイクして好調を保っている石川周平、今年もジュニア資格がある泉谷駿介。女子は、紫村仁美、田中佑美も昇り調子。
ホームストレートに「いい追風」が吹けば、「日本新」「U20日本新(泉谷)」やそれに近い「大幅自己新」などの好記録が誕生する可能性がありそうだ。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
■チケット
http://goldengrandprix-japan.com/ja-jp/ENTRY-LIST■エントリー
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5月19日(日)・地上波TBS系列:午後1時30分~3時24分(生中継)
https://www.tbs.co.jp/goldengp/
・動画配信サービスParavi LIVE配信:ひる12時15分~午後3時24分
https://news.paravi.jp/