2018.01.06(土)選手

【トップアスリート】サニブラウン アブデルハキーム選手インタビュー Vol.2

 今回のトップアスリートインタビューは、男子短距離のサニブラウン アブデルハキーム選手の登場です。日本陸連では、2020年東京オリンピックと、その後の国際大会での活躍が大いに期待できる次世代の競技者を強化育成する「ダイヤモンドアスリート」制度を、2014-2015年シーズンからスタートさせましたが、サニブラウン選手は、その第1期生として、城西大城西高1年生のときに選出されました。その後の目覚ましい活躍は、すでに多くの方がご存じのことでしょう。翌2015年には世界ユース選手権で100m・200mを制し、北京世界選手権にも出場。この躍進ぶりは世界的にも高く評価され、国際陸連の年間表彰でライジングスター・アワードも受賞しました。2016年はケガにより思うような実績を残せませんでしたが、その雌伏の1年を経て迎えた2017年シーズンに大きく開花。日本選手権で、史上最高レベルとされた100m・200mで2冠を獲得すると、両種目に出場したロンドン世界選手権では、100mは準決勝に進出。200mではこの種目史上最年少での決勝進出を果たし、7位の成績を収めました。
 その一方で、秋からはアメリカ・フロリダ大学のフレッシュマンとして、新たな生活を始めたばかり。過日、第4期(2017-2018シーズン)がスタートしたダイヤモンドアスリートも、本来よりも1年早いタイミングながら、すでにシニアレベルでトップアスリートとして活躍しているということで、いわゆる“飛び級”で修了しました。
 大きな転機となったこの1年を、サニブラウン選手は、どう受け止めているのでしょうか? 年末年始休暇を利用して帰国し、日本陸連アスレティックス・アワードで優秀選手賞を受賞した直後のサニブラウン選手に、話を伺いました。

>>【トップアスリート】サニブラウン アブデルハキーム選手インタビュー Vol.1はこちら

◎取材・構成/児玉育美(JAAFメディアチーム)

フロリダ大学での新たな生活 

 
――その後、フロリダ大学へ入学しました。世界選手権が終わって、すぐにフロリダへ向かったわけですね。
サニブラウン:はい。世界陸上が8月13日に終わって、14日に移動して、15日から学校でした。
――ハードスケジュール! それは入学式?
サニブラウン:いえ、オリエンテーションです。入学式は、セレモニーみたいなのはあったらしいのですが、マストではなかったので行っていないです。
――フロリダへ行ってみて、どう感じました?
サニブラウン:最初の1~2週間は、けっこう忙しかったイメージがあります。生活に慣れていないのもあるし、大学の敷地が広いなかで、行ったり来たりすることがけっこうあったので。
――大学の授業はいかがですか?
サニブラウン:最初は、慣れるまではちょっと…、大変とまではいかないけれど、ちょっと難しいかなというのがあったのですが、徐々に受けていくうちに慣れました。今学期は、けっこう満足できる成績が取れたと思います。
――学期は、どう分かれているのですか?
サニブラウン:日本でいう「前期後期」みたいな感じですかね。8月中旬から12月中旬までが秋のセメスター(学期)で、で、1月から5月上旬くらいまでが春のセメスターです。そのあと、6~8月にサマースクールといって自主性で取ってもいい授業があって、それを取ると、単位がもらえるので、そのぶん早く卒業できるというふうになっています。
――学業をしっかりやっていないと、練習に参加できないと聞きました。
サニブラウン:そうです。成績が悪いと、練習に出られないです。
――練習は、大学で?
サニブラウン:はい。今は、大学でやっています。
――どんな感じ?
サニブラウン:チームメイトとわいわいやりながら、楽しくやっていますよ。
――短距離ブロックみたいな感じで練習するのですか? それともチーム全体で?
サニブラウン:短距離の中でも小分けされている感じがありますね。100m・200m(の選手が)セットで、200m・400m(の選手が)セットで、あと400m(専門の選手は)は400mみたいな。同じ課題を持っている選手ごとに、例えば、「この2人は持久力が足りないから、ちょっと持久力系の練習を。こっちはスピード系の練習を」みたいな感じで、けっこう分かれていたりします。
――トレーニングの目的に応じて分かれている?
サニブラウン:本当にそうですね。1人1人メニューが違うような感じです。
――いつやっているのですか? 朝練習とかは?
サニブラウン:朝練はないです。僕は、基本的に午後2時から練習をやっています。
――練習内容は? これまでにやってきたことと、何か違いはありますか?
サニブラウン:オランダでやっていた練習とは、あんまり大きな違いはないです。関連性はあるかなと思います。
――ロンドン世界選手権以降、試合には出ていないわけですが、その間、課題にしてきたことは?
サニブラウン:まあ、スタートもそうですし、腕振りや脚の運びなど、改善点はたくさんあるので、1個ずつやっていこうかなと、コーチと話をしている感じです。
――マイク・ホロウェイコーチが見てくださっているわけですね? どんな方ですか?
サニブラウン:そうですね、面白いおじさんです(笑)。
――思っていることや考えていることを気兼ねなく話し合えるような感じ?
サニブラウン:はい、そうです。
――コーチは、サニブラウン選手のことを、どう仰っているのですか?
サニブラウン:「おまえのポテンシャルは、おまえが思っている以上のものだ」みたいなことは言ってきます(笑)。また、「よくその走り方で、速いな」とも言われます。「全然。だから伸びしろもある」と。
――コーチから見ると、まだまだ眠っている才能がいっぱいあって、もったいないと思うような身体の使い方をしているということなのでしょうね。
サニブラウン:はい(笑)。
――トレーニングは、オフシーズンの内容を?
サニブラウン:今ですか? いえ、もう1月から室内の試合が始まりますから…。自分は(試合に向けた)調整系のものはあんまりやっていなくて、ちょっとスピード練習を始めたくらいの状態です。
――室内競技会には出ていく予定? 種目は?
サニブラウン:一応、出る予定でいます。60mと200mに。どの大会に出るのかはまだわかりませんが、1月、2月に出ていきます。
 
2018年シーズンの展望は?

写真提供:フォート・キシモト 

――2018年シーズンは、どういう展開を考えていますか?
サニブラウン:そうですね。「様子見」みたいな年になるのかなと思っています。大学のシーズンをこなして、国際的な大きな大会にいかにつなげていけるのかを知る意味で。再来年(2019年)の世界陸上(カタール・ドーハ)は10月ですし、2020年の東京オリンピックは8月ですから。まず、インドアシーズン自体が初経験なので、どういう流れになるのかなというのもわかりません。1月からシーズンが始まるなんて思ってもいなかったので、身体がどう反応するのかな、と。要所要所でコーチと相談しながらやっていくという感じですね。
――室内シーズンからスタートするうえに、欧米型のカレンダーでの競技日程となると、今までよりもずっと前倒しになりますからね。屋外シーズンになっても、試合は基本的にはアメリカの競技会に出ていくのですか?
サニブラウン:日本の試合には、ほとんど出ないと思います。
――かなり絞っていくことになる?
サニブラウン:出ても日本選手権くらいになるのかな、と思います。
――2018年だと、8月末にアジア大会もありますが…。
サニブラウン:8月末だと学校も始まっていますし、「うーん」って感じですね。
――そして、サニブラウン選手は早生まれなので、タンペレ(フィンランド)で開催されるU20世界選手権にも出場することができます。
サニブラウン: ああ、そうですね。U20世界選手権のほうは、選考していただけるのなら、2冠を狙って頑張れたらいいなと思っています。
――記録的にはいかがでしょう? 100m、200mと、具体的な目標タイムは掲げている?
サニブラウン:とりあえず、ベストは出せればなとは思っています。特に200mでは、しっかりベストを出していきたいな、と。
――100m・200m、どちらかに比重を置くのではなく両方で?
サニブラウン:はい、両方を、しっかりやっていければと思っています。
――日本で拝見する機会が減ってしまいそうなのは寂しいのですが、来シーズン、世界を舞台に、ひと回り大きく成長した走りが見られることを楽しみにしています。今日はありがとうございました。

(2017年12月19日収録)

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