2017.07.23(日)選手

第16回世界陸上競技選手権大会 壮行会日本代表選手コメント

7月21日(金)、駐日英国大使館で実施した第16回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)日本代表選手団 壮行会の選手コメントの一部をご紹介します。

◎多田修平選手(関西学院大学、短距離)
オフィシャルスーツに着て壮行会に出席して、やっと世界選手権が始まるなという実感がわいてきた。合宿明けということもあり、今は疲労がたまっている状態だが、世界選手権に照準を合わせているので、しっかり調整して、ロンドンでベストな走りができるようにしたい。(世界選手権へ臨むに当たっては)プレッシャーもあるが、今は楽しみのほうが大きい。今回は、ウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)が現役としてラストランとなるので、予選から一緒に走れたらいいなと思う。

(個人種目の)100mでは最低でも準決勝に進出したい。記録としては、最低でも自己ベストは更新したい。もちろん9秒台は自分の目標ではあるが、そこに気を取られてしまうのではなく、(自己ベストを目指してラウンドを重ねるなかで)自然と出せたらいいなと思っている。また、4×100mRでは、走ることになったら、たぶん1走が濃厚だろうと思うので、いいポジションでバトンを渡して、金メダルを目指して頑張りたい。合宿ではリレーの練習でタイム測定も行ったが、そこそこのタイムが出ている。ロンドンでもいい走りができるのではないかと思う。

僕の持ち味は、スタートから中盤にかけての加速力。ぜひ、その部分を見てもらえたら嬉しい。(ロンドンと日本で)時差はあるが、テレビの前で応援してくださったら、とても力になる。応援してくださる方々の期待に添えるような走りをしたい。


◎ケンブリッジ飛鳥選手(Nike、短距離)
「いよいよ始まるな」という感じ。いつものように楽しみな気持ち、ワクワクした気持ちがどんどん高まってきている。去年(のリオ五輪)同様、リラックスしてロンドンに行けるのではないかと思う。(日本選手権で、脚に違和感が出たが)大会後は安静にして過ごす期間を経たあと、無事に練習も再開している。ロンドンでは問題なく走れる。

この大会が、ボルト選手のラストレース。一緒に走る機会は今回で最後になってしまう。リレーもそうだが、100mでも決勝に進めば一緒に走ることができる。100mではそれが実現できるよう確実に駒を進めていきたい。

個人種目(100m)の目標としては、去年(のリオ五輪で)目標にして達成できなかったファイナル出場を達成したいという気持ちがすごく強い。そのためには9秒台を出さないと…というところはあるが、今回はタイムよりも勝ちにこだわりたいと思っている。しっかり順位を取ることができればタイムもついてくる。着順で(次のラウンドに)駒を進められるようにやっていきたい。また、リレーについては、まだどこを走るかは決まっていないが、去年(のリオ五輪で)銀メダルを取ったことで、今年は金メダルを目指してもいいのかなと思う。去年同様にメダルを取って、いい形で終われるようにしたい。

僕は、後半の走りが強み。ぜひ、そこを見ていただきたい。個人種目でもリレーでも、去年と同じように、応援してくださる皆さんに、ワクワクしてもらえるような、楽しんでもらえるような、そんな走りがしたい。


◎飯塚翔太選手(ミズノ、短距離)
昨日(7月20日)までリレー合宿があり、みんなでいい練習ができた。リレーについては、誰がどこを走るかまだわからないが、全員が(1走から4走までの)どこをやっても行けるような気持ちでいると思うし、チームの雰囲気もすごくいい。そのことは個人種目にも生きてくると思っている。自分自身は日本選手権後、少し体調を崩したが、そこから調子が上がってきている。今シーズン前半は(記録が伴わず)苦しいレースが続いたが、日本選手権後に行ったスペイン遠征(7月12~16日)でも手応えがあったので、状態はよくなっていると思う。

200mでは決勝に行きたい。世界選手権で決勝の舞台を走れたらいいなと思う。(実現させるためには)タイム的には20秒2前後くらいが必要。ベスト(20秒11、2016年)に近づくくらいの記録が出れば、決勝進出の確率はかなり高まる。まずは予選を上の着順で通過して、準決勝でいいレーンを確保したい。そこで勝負ができれば、可能性はあると思う。

リレーについては、皆さんがメダルを期待していると思う。そこで変に自分でプレッシャーをかけないようにしたい。自分の仕事ができるように、そして、プレッシャーを楽しむような感じで会場の盛り上がりと緊張感をプラスに考えることができれば、チャンスはあると思っている。僕自身、本当に楽しみにしている。

短距離の場合、(世界大会では)後半で抜かれてしまうことが多いのだが、今回は、そこで逆に抜き返すような、今までにないレース展開をして、「日本人の走る強さ」を皆さんにお見せしたい。


◎川内優輝選手(埼玉県庁、マラソン)※男子主将
レースまであと2週間くらい。いよいよ「やらなきゃ」と、気持ち的にはロンドンに向かっている。世界選手権約1カ月前のタイミングで出場したゴールドコーストマラソン(7月5日)は、“サブテン(2時間10分を切るタイム)で3番以内”と、当初の目標を、タイム(2時間09分18秒)も順位(3位)も達成できた。そうした意味では順調に来ていると思う。世界選手権本番は、タイムは関係なく、あくまでは順位狙い。できればメダルを狙っていきたいし、そうでなくても限りなくメダルに近い順位を狙っていきたいと思っている。タイムよりも順位。順位だけにこだわって頑張っていきたい。

(初出場した)2011年テグ世界選手権から6年。2015年の北京大会には出ていないが、世界選手権はこれで3回目の出場となる。過去の2回がどちらも2桁順位(ともに18位)に終わり、自分自身が力を出し切れなかったという思いがあった。出場した過去の2大会に比べると、暑さ対策や調整時期のレース出場数、さらにマラソンコース視察など、事前準備や調整段階において今までの経験を生かし、集大成として取り組むことができている。ロンドンでは、少なくとも「自分の力をすべて出し切った」と胸を張って日本に帰ってこられるような走りをしたいと思う。

 今回のマラソンは周回コース。テムズ川沿いはフラットでスピードが出るし、その他は石畳があったり直角カーブがあったりとテクニカルなコースになっている。テクニカルなコースでリズムを崩さないようにしつつ、かつ、スピードが出る区間でスピードが上がったときにいかに対応できるか。そういう意味では、常に気を張っていなければならないコースという印象がある。

 そして、今回は男子主将に選ばれた。私よりも年齢が上の選手も、実績が上の選手もいるなかで、自分に何ができるかという面はあるのだが、少なくとも「日本代表として全部やりきった」といえる走りをすることがチーム全体にもつながってくると考えている。今回、マラソンは比較的早い段階(大会3日目の8月6日)でレースがあるので、私だけでなくマラソンチーム全員で、「チームジャパン」として良い結果を残したい。あとに続く日本選手団にいい刺激を与えられるような、そうした走りができればと思う。


◎海老原有希選手(スズキ浜松AC、やり投)※女子主将
女子主将として大会に臨むが、今回は出場する女子選手が少なく、少し寂しいという思いはある。だが、「私は私」という思いで戦いたい。私が頑張れば、この先、続いてくれる選手が必ず出てくるはず。今回は、私が「次」につなげたい。

今年は、7月の南部記念まで(標準記録突破を)引っ張ってしまった。シーズン前半は(調子が)悪いとは思っていなかったのだが、振り返ってみると、(出すべき記録を)投げきれないところがあった。南部記念で投げられたことで、ちょっと吹っ切れた面がある。その後も順調に練習ができており、今のこの状態を続けていくことができれば、世界選手権でも投げることができると思っている。

今季は、ゴールデングランプリ川崎(5月21日)以降、私にしては珍しく2週間に1度の頻度で試合に出て、(調子を)つくってきている。これは痛みや故障が生じればできないこと。そういう意味では、ケガなくここまで来られているということが一番だなと思う点である。こうした経緯もあり、明後日(7月23日)にはトワイライトゲームスへの出場を予定している。練習で投げるのと試合で投げるのとでは発揮力が違う。トワイライトゲームスでもいいイメージで投げて、ロンドンに向かうようにしたい。

世界選手権は、いつもなら標準記録前後の記録を投げれば決勝に進出できるのだが、昨年のリオ五輪の結果を見る限り、今回は、難しいのではないか。62m台とか、もしかしたら、それよりももっと高いところが決勝進出のラインになるかもしれない。予選の試技は3投しかなく、自分は最近1投目の記録が悪いので、本番では1投目に失敗しないようにしたいと考えている。1投目から60(m)前後を狙って、しっかり投げていけるようにしたい。「投げたい」とはやる気持ちをうまく抑えながら、いかに自分が大事にしている形を崩さないように投げられるか。それができたら、皆さんが期待してくれるような投てきと記録が出るのではないかと思う。

 決勝では、日本記録というか自己新記録(63m80、2015年=日本記録)を投げたい。決勝で自己新が投げられれば、(順位も)かなりいいところが狙えると思うが、正直に言うなら、投げられるのなら決勝でも予選でもいいという気持ち。61mとか62mとか言わずに、世界選手権の舞台で自己ベストを投げたい。


◎伊東浩司強化委員長(日本選手団監督)
今日の壮行会は、代表選手がすべて揃っているわけではない。海外を拠点としているサニブラウン選手(アブデル・ハキーム、東京陸協)をはじめ、女子長距離・マラソンの選手、男子競歩の一部選手などが、それぞれに合宿地等でトレーニングを積んでいる。

また、規定のランキング16位までが参加できる男子4×400mRのメンバーは、現在16位にランクする状況のなかで、明日、出場権を狙って、ベルギーで競技会に出場する。彼らが出場権を獲得し、さらにボリュームのある選手団となることを願っている。

 これまでは、日本選手団として目標とするメダルや入賞の数を掲げてきていたが、今回は、具体的な明示はせずに、「自己ベストにいかに近づけるか」ということを大きなテーマとして臨むこととした。選手たちには、壮行会の前に実施したミーティングで、「希望的観測で(進出できる)ラウンドを考えるな」ということを話した。「自分のタイムがこれくらいだから、これくらい(のラウンドまで)行けるだろう」と考えるのではなく、最も大事なのは、「いかに冷静に自分のパフォーマンスを出せるか」ということ。(持ち記録に対して)自信を持つのはよいのだが、記録だけで自分のポジションを決めないように、ということを認識してもらいたいと思っている。「国内で走った記録、イコール海外での記録」ではない。国内で出した記録を、海外、それも世界選手権で出せるということになれば、その選手は、さらに次のステージに上がることができる。それは、跳躍や投てきでも同じことがいえる。

こうした土台を今回の世界選手権でつくって、来年、レベルが高くなっているアジア大会で戦い、そして2019年ドーハ世界選手権へ、さらには2020年東京五輪へとつなげていくことを期して、今回は敢えて目標としてメダルの個数などを掲げないことにした。もうすぐ水泳の世界選手権が開幕し、「水・陸」はいつも比較の対象となるが、水泳の頑張りに刺激をもらいつつも、我々は、いかに自己記録が出たか、シーズンベストで上(のラウンド)に行けたかを取り上げてもらえるように頑張っていきたい。特に、今回の強化体制において、「トップ8」のカテゴリーにある110mHや三段跳などの種目については、出場する選手は、標準記録を破ったばかりの位置にいる。高いパフォーマンスを、世界選手権本番で出すのはとても大変なこと。それが実現できるよう、我々スタッフも全力でサポートしたい。

 こうした取り組み方は、すべて2020年東京五輪を目指した強化の一環として考えている。(従来よりも標準記録が上がって)より参加の基準が厳しくなってきている状況のなかで、この世界選手権によって個々が着実に力をつけることで、日本選手団としてさらに厚みを増すような機会としたい。

(取材・構成:児玉育美/JAAFメディアチーム)

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