2017.05.05(金)大会

日本グランプリシリーズ第3戦! 静岡国際陸上大会レポート

2016年日本グランプリシリーズ第4戦の静岡国際陸上が5月3日、ロンドン世界選手権代表選考会を兼ねて、静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアムで開催されました。13(男子6種目、女子7種目)のグランプリ種目のほか、特別種目として男子パラ100mが、また、サブイベントとして、小学生・中学生の招待リレー、小学生男子1500m、同女子800mなどの11種目が行われました。

男子砲丸投では、中村太地選手(チームミズノ)が日本歴代3位となる18m55で優勝、17m91で2位となった宮内育大選手(桜門陸友会)までが大会記録を更新しましたが、風の条件に恵まれなかったこともあり、世界選手権参加標準記録を突破するパフォーマンスは見ることができませんでした。


■男女200m、飯塚選手は20秒50、福島選手は23秒91



トラック種目には好条件の風が吹くことが多いエコパスタジアムですが、今年は、競技開始直後から風が回るコンディションに。このため、予選およびA・B2つの決勝が行われた男女200mでも、多くのレースが向かい風のなかで行われることになってしまいました。

男子200mでは、リオデジャネイロオリンピック4×100mR銀メダリストで、昨年この種目で日本歴代2位となる20秒11をマークしている飯塚翔太選手(ミズノ)が出場。今年も国内初戦を地元静岡で開催されるこの大会で迎えた飯塚選手は、向かい風1.1mのなかで行われた予選を21秒02(1着)で通過し、優勝とロンドン世界選手権参加標準記録(20秒44)突破を狙って決勝に臨みました。決勝では、コーナーをトップで抜けたものの、ラストでショーン・マクリーン選手(アメリカ)との競り合いになり0秒01差で2位に。記録は20秒50(+0.2)で、標準記録にもわずかに届きませんでした。

レース後には、「標準記録を切りたかったし、勝ちたかった」と、ちょっぴり悔しそうな表情も見せた飯塚選手ですが、その一方で、走り自体については「内容としては、まずまず」と振り返りました。「前半で、スピードをもう一段階ギアを上げて走り、貯金をつくることと、力を使わずもうちょっと楽に走ること」を反省点として上げつつ、「でも、それは気温が上がってきて、(レースや練習で)身体に刺激が入ってくれば、今と同じ意識でもっと速く走れるようになる。そういう予定で練習してきているので、次が楽しみ」と、不安は全くない様子。「自分が日本記録を出したり20秒を切ったりすれば、200mに対しても興味を持ってもらえると思う。僕がぜひそれを引っ張っていけるように頑張りたい」と、日本人初となる19秒台突入に向けても意欲を見せました。次は、ゴールデングランプリの200mに出場します。

なお、この種目には、4月29日の織田記念100mを10秒04で制した桐生祥秀選手(東洋大)もエントリー。予選はラストを流して2着で通過(21秒01、-0.3)しましたが、体調不良により決勝を棄権しました。大会前日に発熱し、回復したので出場に踏み切ったものの、レース後に頭痛などの症状が出たため、大事をとっての決断だった様子。土江寛裕コーチは「走り自体に問題はない。全神経を集中させるレースが続いたので、疲れが出たのかもしれない」と説明しました。

女子200mには、4月29日の織田記念100mの予選を両ふくらはぎのケイレンにより途中棄権していた福島千里選手(札幌陸協)が出場しました。福島選手は、予選を1着(24秒01、ー0.3m)で通過すると、向かい風0.5mのなか行われた決勝では、序盤からリードを奪って、そのままフィニッシュ。23秒91で優勝しました。



予選は、「恐る恐る走った」そうですが、24秒台という記録に、「なかなか出せない(悪い)タイムなので、“うわっ”と思った」と苦笑い。ただ、無事に予選を走り切れたことで、決勝は、怖がらずに臨むことができたと振り返りました。その一方で、「23秒9(台)じゃ、“走り切れてよかった”とは手放しで喜べない」と反省も。次戦となるゴールデングランプリの100mに向けて、「良くも悪くも、こういうふうに始まる(シーズンの)始まり方は、初めてではない。いい意味で受け止めて、しっかり布石としていきたい」と話していました。


■男子走高跳の衛藤選手、再度の2m30越えならずも快勝
2m25で、優勝争いが5人から2人に絞られた男子走高跳。バーの高さは、2m28をパスしてロンドン世界選手権参加標準記録でもある2m30に上げられ、衛藤昂選手(味の素ゼネラルフーヅ)とナウラジ・シン・ランダワ選手(マレーシア)が、この高さに挑みました。しかし、両者ともにクリアすることはできず、2m25までのすべての試技を1回でクリアしていた衛藤選手の優勝となりました。

競技後、「今日は、(世界選手権派遣設定記録Aとなる)2m32を跳びに来ていた。調子もぴったり合わせられていたのだが、それを技術にうまくかみ合わせることができなかった。まだ助走とかに(良い動きの)再現性が低かったと思う。(3回の跳躍ともに)いいところもあったが、足りないところもあって、バーが落ちてしまった。風もやんでチャンスだったので、そこを生かせなかったことが反省点」と振り返った衛藤選手ですが、実は、すでに4月16日に三重県国体第一次選考会で2m30をクリア済み(このときは、その後、バーを日本新記録の2m34にも上げています)。「ノータッチでクリアできた」というそのジャンプは自らも満足できる跳躍だったそうで、単に標準記録の突破というだけでなく、大きな自信となっているようです。
昨年は、日本選手権で、オリンピック参加標準記録で自己新記録でもあった2m29を跳んで優勝する勝負強さを見せ、リオ五輪に出場を果たしました。冬場は、「(遠征した海外での)室内大会の成績はめちゃくちゃ悪かったけれど、それ以外はいいトレーニングができた」と振り返り、筋力・体力ともに大幅なベースアップができていると言います。
「今年は、東京オリンピックまで一番遠い年なので、いろいろ試してみたい」と考えている衛藤選手は、この大会後は、世界選手権の予選と決勝を想定して、2日後の水戸招待に出場し、過ごし方や体調などをチェックする予定で、その後は、ゴールデングランプリに挑むスケジュール。「まだ、試合モードには切り替えていない状態。世界選手権に続くよう最初の山は日本選手権に持っていきたい」と、これからさらに調子を上げていくつもりです。



なお、この大会には、2014年に日本歴代3位の2m31を跳んでいる戸邉直人選手(つくばツインピークス)も出場しました。2m15から競技を始め、この高さと次の2m20を1回で越えましたが、「行ける感触はあったが、25に上がってから、助走がうまく行かなくなってしまった」と振り返ったように2m25を跳ぶことができず、2m20で3位となりました。
昨シーズンは、2015年の段階で五輪参加標準記録を突破していながらも、春先に左ふくらはぎを痛めたことが響いて代表入りならず。「(オリンピック出場を逃して)すごく悔しかったけれど、でも、いざ出たとしても結果は予選落ちだろうなという思いもあったので、気持ちは割と早く切り替えることができた」と言います。
ここ数年、安藤財団グローバルチャレンジプロジェクトの支援を受け、エストニアを拠点として、定期的に海外でのトレーニングや転戦を積んできており、この冬もヨーロッパの室内大会を転戦。2月4日にはカールスルーエ(ドイツ)の室内大会で、2014年にマークした室内自己記録に並ぶ2m26をクリアし、好感触をもって屋外シーズンに移行してきています。今季は、「東京オリンピックという視点で見たら4年サイクルの1年目。あんまり結果ばかりにこだわらず、ベースづくりを念頭において、技術もしっかり上げていければ…」と考えているそうですが、それでも「決勝進出や入賞を目指すのであれば、(2m)30は跳んで当然。余裕を持って早めに跳んでおきたい」ときっぱり。「最低目標を(2m)30にしていきたい」と、次戦のゴールデングランプリを展望していました。


■男子400mHは岸本選手が3年ぶりにV
昨年のリオデジャネイロオリンピック予選で2016年日本リスト1位となる48秒62をマークして準決勝進出を果たした野澤啓佑選手(ミズノ)が欠場した男子400mHは、4組タイムレースで行われました。優勝したのは、第3組で1着となった岸本鷹幸選手(富士通)。序盤から積極に飛ばして唯一50秒を切る49秒93でフィニッシュし、この大会を3年ぶりに制しました。

岸本選手のベスト記録は日本歴代5位となる48秒41(2012年)。法政大時代からトップハードラーとして活躍し、大学4年時の2012年ロンドンオリンピック出場をはじめ、2011年ユニバーシアードは銀メダル、世界選手権には2011年テグ大会・2013年モスクワ大会・2015年北京大会と3大会連続で出場(うち、2011年・2013年は準決勝進出)するなどの実績を持っていますが、一方で、直前の肉離れによりがっちりテーピングを施して出場したロンドン五輪(最下位でフィニッシュするも失格)のように、ケガで悔しい思いをすることが多い競技生活を送ってきました。右アキレス腱痛、右半膜様筋の肉離れと故障が続いた昨年は、日本選手権で予選途中棄権に終わり、参加標準記録を突破していながら2大会連続のオリンピック出場はかないませんでした。
「練習量は全盛期に比べると全然少ない」とは言うものの、この冬は、「ケアはもちろん、“行きたいな”というところを抑える引き際を覚えた」という細心の配慮でケガを封じ込め、トレーニングを継続。4月16日に臨んだ初戦を49秒79で走り、「痛いところのない状態」で、この大会に迎えていました。
レース後は、「標準記録(49秒35)を突破するつもりで積極的に走ったが、最後で疲れてしまった。コンディションや状況を考えると(記録は)もうちょっと出てもいい気がする」と反省していましたが、その表情はとても明るく、「今年は、(2012年五輪で)悔しい思い出のあるロンドンで走りたい」「日本選手権では、去年の野澤くんを上回るような記録を出していきたい」と意欲を見せていました。次戦のゴールデングランプリでは、標準記録突破、さらには自身5年ぶりとなる48秒台突入に挑むレースが見られそうです。


■中村選手、男子砲丸投で日本歴代3位の18m55



フィールド正面スタンド側のフィニッシュライン付近で行われた男子砲丸投では、中村太地選手(チームミズノ)が日本歴代3位となる18m55の大会新記録を樹立して優勝しました。1回目の試技は16m91でスタートした中村選手ですが、2回目に自身初の18m台となる18m10をプットし、3回目には18m55と記録を伸ばしました。後半に入って4回目に再び18m10をマーク、5回目はファイルながら砲丸は18m50付近に落下しました。最終投てきでは、砲丸は日本記録(18m78)のラインを越える地点に達したものの、5回目同様、投げたあとにサークル内で踏みとどまることができずファウル。3回目の試技が優勝記録となりました。

「ずっと調子がよくて、練習でも18mを越えるか越えないかくらいまで来ていたので、今日は18(m)を越えるかなと思っていた。いつもならガチガチになるのだが、力まずに臨めていたこともよかったと思う」という中村選手は、回転投法を採用している選手。18m55の投てきには手応えがあったそうで、「(ターンの)入りを落ち着いて回ることができた。最後の突き出しのときに身体が浮く感じで高く投げられたので、“行ったかな”と思った」と振り返りました。

昨年、17m90の自己記録をマークしていますが、この投てきは、「ほんと、たまたま」と自身も評価するように、実感が伴わないものだったと言います。しかし、「今回は、ちゃんと投げられたなという感じで飛んでいた。技術は上がってきていると思う」と好感触を体感できた様子。その要因として、例年よりも多かった冬場の投げ込みがよかったのではないかと分析しています。
「今日が初めての18m台。でも、19mは行ける感じがした」と声を弾ませた中村選手は、「今シーズンは、まず日本記録を更新し、そして19mにトライしたい。19mを狙っていかないと、アジアでも戦えない。しっかり投げられるように練習していきたい」と、力強い言葉を聞かせてくれました。

この大会では、2位の宮内育大選手(桜門陸友会)も17m91の自己新記録をマークして、歴代リストでは日本歴代8位タイまで浮上しています。また、日本記録保持者の畑瀨聡選手(群馬総合ガード)はアジアグランプリ3連戦からの帰国直後ということもあり今回は4位(17m39)にとどまっていますが、砲丸投界を長く牽引してきた畑瀨選手を追う若手の成長で、複数選手による記録更新の可能性も。活況が楽しみになってきました。


■男子800mの川元選手は、不満の残る1分47秒36
男子800mは、昨年のリオ五輪に出場して、準決勝進出に100分の1秒差まで迫った川元奨選手(スズキ浜松AC)がエントリー。ペースメーカー2名が用意され、1分45秒90の世界選手権標準記録突破を記してのレースとなりました。しかし、優勝は果たしたものの記録は1分47秒36。「100点満点でいうなら0点。(レーンが)オープンになったところで身体が固まってしまい立て直せなかった。記録を意識しすぎてしまった」と自身も不満を残す結果に終わりました。
しかし、高地トレーニングをはじめケガなく充実した練習を積むことができた冬場を経て、今季はすでに4月16日にはマウントサック(アメリカ)で1分46秒25の好記録をマークする快調な滑り出しを見せており、標準記録突破はもちろんのこと、2014年に樹立した自身の日本記録(1分45秒75)更新に向けても、「出てもおかしくない。そういう気持ちでいる」という状態に仕上がっているといいます。次戦のゴールデングランプリに向けて、「先頭でゴールするつもりで走りたい。自分より速い海外選手が出るので、そのなかで勝ってタイムが出れば…」と力強く話していました。
また、男子800mでは、2位に食い込んだ村島匠選手(順天堂大)の健闘も目を引きました。学生歴代5位(日本歴代10位)となる1分47秒46をマーク。ラストのホームストレートで川元選手に迫る走りを見せており、今季、さらなる飛躍が期待できそうです。


■男女400mは、北川選手と青山選手が僅差の勝負を制す



男子400mは、リオデジャネイロオリンピック男子4×400mR代表の北川貴理選手(順天堂大)が46秒55で優勝。2位・3位は、同記録となりましたが、リオ五輪の4×400mR代表で、この春から社会人となった佐藤拳太郎選手(富士通)が、佐藤風雅選手(作新学院大)に先着しました。また、女子400mは、200mにも出場した(A決勝7位)した青山聖佳選手(大阪成蹊大)が、2位の岩田優奈選手(中央大)に0秒03差で抑え、54秒50で優勝しています。
このほかのグランプリ種目では、女子800mを北村夢選手(日本体育大)が2分05秒71で、女子400mHを青木沙弥佳選手(東邦銀行)が57秒53でそれぞれ制し、女子三段跳は宮坂楓選手(ニッパツ)が13m29(+0.9)で優勝しました。また、女子砲丸投では太田亜矢選手(福岡大)が自己記録に2cmと迫る16m10をマークして昨年に続くV。女子ハンマー投は、今春から社会人となった勝山眸美選手(オリコ)が63m01で優勝しています。

文/児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト

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