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大会の見どころ
世界中のアスリートが一堂に会する真夏の祭典が目前に迫ってきた。8月25日から9月2日まで大阪・長居陸上競技場で開催される世界選手権大阪大会。1991年東京大会以来、国内で2度目の開催となる今回の世界選手権は、子供のころに東京大会でのトップアスリートの素晴らしい活躍を見て心を躍らせ、自分もその舞台に立とうと夢見てきた選手たちが主役となる。
「小学5年生の時、東京大会で高野先生(高野 進・日本陸連理事・強化委員長、男子400m日本記録保持者)が走るのを見て、私もあのようになりたいと思った」。
そう振り返るのは、女子走幅跳の日本記録を持つ池田久美子(スズキ)。2004年アテネ五輪男子ハンマー投で世界の頂点に立った室伏広治(ミズノ)の脳裏にも、東京大会の思い出が深く刻み込まれている。
「(競技場に)毎日行っていたが、非常に成功した大会だったと思う。大阪では僕たちがそういう(トップ選手の)立場にあるので、今後の選手のためにも強い日本選手の姿を見せられればいい」。
それだけの衝撃を子供たちに与える大会は、未来のトップアスリートを生み出す最高のきっかけと言っても、言い過ぎではないだろう。子供たちの熱い視線を浴びて、走り、跳び、投げる。今回の日本選手権は、その大舞台に立つ日本の代表を決める最も重要な選考会。世界選手権の参加標準記録Aを突破した選手が優勝すれば、代表権を得ることができる。知恵を絞り、心身を鍛えてきた選手たちが持てる力をぶつける瞬間が、やってきたのだ。 室伏広治は、今シーズンの初戦をこの大会で迎える。世界中の陸上ファンと競技会でライバルとなる選手らが、フィールドに戻ってきた32歳のチャンピオンがどんな投てきを見せてくれるのかに注目している。昨シーズンは国内外で8戦(オープン参加を含む)に出場して8連勝と、圧倒的な強さを見せており、前回のこの大会では、同じハンマー投で父の重信氏が持つ最多優勝回数の12回に並ぶ12連覇を達成している。13連覇と最多優勝回数更新がかかる今大会の1投1投を、じっくりと堪能したい。
世界選手権に向けて、海外で転戦してきた選手がどれほど完成度を高めているのかも興味深い。
男子400mハードルの為末 大(APF)は、5月の国際グランプリ大阪大会(大阪GP)で、2005年世界選手権ヘルシンキ大会の決勝以来、約1年9カ月ぶりにハードル種目に出場。その後、台湾、ポーランド、チェコの大会を経て、この大会が400mハードルに出場する今季5戦目となる。
ハードルを封印して磨いたスピードに手応えをつかんだ為末は、そのスピードと持ち味であるハードリングの高い技術をどうかみ合わせるかをテーマに転戦してきた。世界選手権で01年、05年に続く3個目のメダル獲得に挑む29歳は、この大会で2年ぶり6度目の優勝を目指す。
この種目の前回覇者は、成迫健児(ミズノ)だ。筑波大3年だった05年の大阪GPで為末に勝ち、昨年は為末の持つ日本記録にあと0秒04まで迫る47秒93をマークした。 今年5月の大阪GPでは為末が3位に入り、7台目のハードルで足を引っかけた成迫は4位。終盤に強さを見せる後半型の成迫が、大阪GPでは6台目までにこれまでにないスピードを見せていたのは、前半から飛ばしてライバルにプレッシャーをかける為末にも脅威に違いない。
「メダルは手の届く所にきている。(世界選手権では為末と)2人で決勝に残りたい」。 6月に入り、成迫はそんな頼もしい言葉を口にしている。世界レベルにある2人の激突は、この大会で最も目が離せないレースの一つとなるだろう。
昨年12月のドーハ・アジア大会の女子走幅跳で、日本人として36年ぶりに優勝した池田久美子は、5月に海外で2大会に出場。ドーハでのスーパーグランプリでは6m70をマークし、昨シーズンの世界ランク1位のタチアナ・コトワ(ロシア)を抑えて優勝した。 「世界を相手にしても動じなくなった。本当に強くなったなと自分でも思った」。 8日後のスペインでの大会は2位。「昨年の欧州遠征に比べれば、格段に成長している自分がいた。海外の大会でも2位では満足できなくなった」。 昨年の大阪GPで6m86をマークし、初めて日本記録保持者となった池田は、今や6m70をコンスタントに出せる力がある。スピードがついた分、修正を迫られた助走の技術に磨きをかけて、今大会に挑む。
「日本選手権ではビシッと7m、いきたいな」。
夢の大台突破の瞬間を、この大会で見ることができるかもしれない。
男子棒高跳の澤野大地(ニシ・スポーツ)は、4月の静岡国際で、昨シーズン自己最高の5m75をマーク。5〜6月のオランダ、米国遠征では振るわなかったが、海外のライバルとの競り合いで得た経験は、大きな財産だ。日本のファンの前で、再び世界レベルの跳躍を見せてくれるはずだ。
為末や池田らとは対照的に、海外遠征を控え、じっくりと国内で調整してきたのが、男子短距離の末續慎吾(ミズノ)と、男子走高跳の醍醐直幸(富士通)。 末續は世界選手権での個人種目の出場を、過去3大会と同じ200mに絞った。2003年パリ大会では銅メダル獲得の快挙を成し遂げた得意種目。「大阪では感動してもらえる走りをしたい」と言う短距離のエースが、今シーズン初の200mのレースでどんな記録を出すのか楽しみだ。
醍醐は、前回の日本選手権で日本記録を13年ぶりに塗り替える2m33をマークし、大会に華を添えた。今シーズンも、大阪GPを2m30で制するなど好調を維持しており、3連覇を目指す今回、再び日本記録を更新する姿が見られるかもしれない。 日本陸上界は、ドーハ・アジア大会で金メダル5個、銀メダル9個、銅メダル13個を獲得する好成績を残した。池田、末續、澤野、成迫や、今大会の10000mで6連覇を狙う女子長距離の福士加代子(ワコール)が期待通りに金メダルに輝き、アジア王者として世界選手権に挑む。 これほどメダル獲得や8位入賞が有望な選手がそろい、大きな期待を抱かせてくれる世界選手権は、過去に例がないだろう。その代表の座を勝ち取るため、日本が誇るアスリートたちは本番と同じ大阪の舞台でどんなドラマを演じてくれるだろうか。
(読売新聞東京本社運動部 大野展誠)
大阪大会展望
東京大会以来、16年ぶりに日本で開催される世界選手権大阪大会は、日本選手権と同じ、大阪・長居陸上競技場を舞台に8月25日に開幕する。200を越える国と地域からトップ選手が参加。世界最高レベルのパフォーマンス、ニューヒーロー誕生の瞬間、そして地元日本勢の躍進と、一瞬も目が離せないシーンの連続になりそうだ。
過去10度の世界選手権では、数々のスーパースターが生まれてきた。
1983年の第1回大会では、男子100mのカール・ルイス(アメリカ)と男子棒高跳のセルゲイ・ブブカ(当時ソ連)が、期待通りに金メダルを獲得。その後ルイスは3連覇、ブブカもV6を達成するなど、主役の座をほしいままにしてきた。
女子では短・中距離種目で好成績を収めた旧東欧勢のほか、第2回大会で走幅跳と七種競技の2冠を成し遂げたジャッキー・ジョイナー・カーシー(アメリカ)が印象に残る。最近では2年前のヘルシンキ大会女子棒高跳のエレーナ・イシンバエワ(ロシア)が、豪雨の悪条件の中、5m01の世界新で金メダルを獲得したのは記憶に新しい。第1回大会女子200m銀メダルのマーリーン・オッティ(当時ジャマイカ)は、スロベニアに国籍を移し24年後の大阪大会出場も目指す「鉄の女」だ。
数多い種目にあって、やはり今大会最大の注目は、陸上の華・男子100m。前回覇者のジャスティン・ガトリン(アメリカ)がその後、ドーピング(禁止薬物使用)で表舞台から去ったが、新たな猛者たちが主役に名乗りを上げている。
優勝候補の筆頭は9秒77の世界記録を持つアサファ・パウエル(ジャマイカ)。ひざを痛めた影響で、今季は慎重なレースが続いているが、本番までにはきっちり仕上げてくるだろう。同僚で世界選手権ヘルシンキ大会銀の、マイケル・フラーターも侮れない存在。 世界選手権男子100m過去7度優勝のアメリカも、短距離王国の威信にかけて精鋭を送り込んでくる。今年6月、追い風参考記録ながら9秒76を記録したタイソン・ゲイは、昨年のワールド・カップ(ギリシャ)を9秒88の圧倒的な強さで制した。短距離選手層の厚いアメリカだけに、誰が代表になっても金メダル争いに加わってくるのは確実だ。
もちろん、全種目で高いレベルの争いを繰り広げられるのが、世界選手権という特別な舞台だ。特に今大会は、同じアジアで行われる来年の北京五輪の「前哨戦」でもあり、白熱した戦いが予想される。
男子200mで昨年、世界歴代2位の19秒63をマークした新星・ゼイビアー・カーター(アメリカ)や男子400mで無敵を誇るジェレミー・ワリナー(アメリカ)、アテネ五輪男子110mハードル金のアジアの昇り龍・劉 翔(中国)、男子10000mでV3を狙う新皇帝、ケネニサ・ベケレ(エチオピア)。
女子では400mの女王、サニヤ・リチャーズ(アメリカ)や長距離種目の完全制覇を狙うエチオピア勢や跳躍種目に強いロシア勢ら。そして日本勢では、アテネ五輪男子ハンマー投金の室伏広治(ミズノ)が世界選手権では初の金メダルを目指す。ともに、世界選手権銅メダリストの男子200m末續慎吾(ミズノ)、男子400mハードルの為末 大(APF)の活躍も期待される。
名前を挙げるときりがないが、どの種目にも数多くの有力選手が出場する大阪大会が、五輪をもしのぐ高いレベルの戦いになるのは間違いない。真夏の長居陸上競技場で、「ニューワールド・レコード」のアナウンスを何度、聞くことが出来るだろうか。
(読売新聞大阪本社運動部 新宮広万)
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