レースは練習の成果を発表する場
もっと上を目指したい
――まだ帰国したばかりだというのに、聞いてしまうのも申し訳ないのですが、先のことをお聞かせください。このメダルを取って、次はどうしたいと思っていますか?
荒井:もっと上を目指したいです。4年後(の東京五輪)もそうですけれど、それまでに世界選手権も2回(2017年ロンドン大会、2019年ドーハ大会)あるので、そこでも、もっといい色のメダルを目指してやっていきたいな、と。
――それを実現するために、もっと必要だなと思ったことはありますか? 五輪でレースをしていて。
荒井:レースのなかで、ですか?
――金メダルを争うために、ここがまだ足りないなと感じたことはありましたか?
荒井:僕は、レースはもう、やってきた練習の成果を発表する場というか、そういうものだとしか思っていないので、それまでの準備をしっかりやっていかないといけないと思っています。今まで以上に練習の質とか・・・、今回は歩型がちょっと乱れて警告が1枚出ちゃったので、歩型の改善もしっかりしていかなければと思いましたし、あとは、練習・栄養・休養、このバランスを・・・今までも高めてきたつもりですけど・・・、もっともっとその質を高めたいですね。あとは、いいと思うことをどんどん取り入れて、現状のやり方に満足せずに、なんでも吸収するって貪欲さを大切にしたいです。いろいろなことを試しながら、日々模索していくことが大切かなと思います。今のままでやっていたら、記録は伸びなくなってしまうと思うので。
――4年度の東京五輪ということを考えると、さらに加えて暑さ対策が必要になってきます。
荒井:そうです。暑いですもんね。リオも暑かったけれど、東京ほどは湿度がなかったですから。リオ以上に暑さ対策も重要になってくると思います。やり方は、いろいろあると思いますが、この4年間で、東京の暑さでもベストパフォーマンスが出せるような状態にしていきたいですね。
競歩でメダルを量産できる時代が必ず来る
――荒井選手の今回のメダル獲得は、日本競歩界にとっては、長年の地道な強化の成果ともいえるように思います。
荒井:はい、本当にそう思います。競歩では、(現競歩部長の)今村(文男)さんとか、(前競歩部長)小坂(忠広)先生たちの代がパイオニア的な存在だといわれています。今村さんたちが現役のときは、単身でメキシコやスペインに行ったりして力をつけていきました。そういった今村さんたちの現役時代の蓄積や海外での経験があって、そのノウハウが今、僕たちに注ぎ込まれています。それがなければメダルに手は届いてはなかったと思うので、本当に感謝しています。また、トレーナーさんであったり、マネージャーであったり、ほかにも本当にたくさんの方に支えてもらって、ようやくメダルが取れたので・・・。今回は僕1人だけでしたけど、今後はおそらく中国みたいに、メダルが量産できる時代が、おそらく来ると思っているんです。1種目で2人が取ったり、種目も20kmと50kmがあるので、それぞれ・・・。
――2種目とも、それぞれにメダルを獲得したり?
荒井:はい。それも夢じゃないと思っています。今回、20kmだって、世界ランキングは1、2、3位を占めているわけですから。今、まだ20kmは本番で力を出し切ることに課題が残っていますが、そういう時代は必ず来ると思います。中国ができているんだから、日本にできないはずはありません。
――ぜひ、日本の競歩がそういうチームになるよう、大きく成長してほしいです。さらなる活躍を楽しみにしています。
(2016年8月24日収録)
>>リオ五輪帰国後インタビュー 第2回 男子50km競歩[荒井選手](その1)はこちら
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◎写真/競技写真:フォート・キシモト、インタビュー写真:高橋将志
◎取材・構成/児玉育美(JAAFメディアチーム)