夏期の競技会運営に関する暑熱対策チェックリストを策定 (こちら
2026.07.17(金)選手

~さらなる進化に向けて~男子4×100mリレー日本代表強化合宿 公開練習レポート&コメント



男子4×100mリレー日本代表チームは、来年開催される北京2027世界陸上競技選手権大会(以下、北京世界選手権)の出場権獲得を目指して、7月18日に開催されるダイヤモンドリーグ・ロンドン大会に出場します。代表選手たちは、7月10日に味の素ナショナルトレーニングセンターに集合して強化合宿を実施。渡航前日となる7月11日には、現地に赴く桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)、多田修平(住友電工)、小室歩久斗(中央大学)、林明良(慶応義塾大学)の5選手が、メディアに向けて練習を公開しました。



北京世界選手権における男子4×100mリレーの出場枠は全部で16。参加資格は、すでに5月に開催されたボツワナ2026世界リレー(以下、世界リレー)における上位12チームに与えられており、残る4枠は、資格獲得有効期間終了時点(2027年8月22日)で、前述の12チームを除く記録上位4チームに与えられることになっています。

日本チームは、世界リレーにおいて、予選で38秒01のシーズンベストをマークしたものの、0.01秒差で決勝進出に届かず、2組で実施されて各組2着までが出場権を得られる敗者復活レースに挑みましたが、ここでバトンミスがあり、出場権獲得を逃していました。このため、確実に残り4枠内に入ることを期して、まずはロンドンダイヤモンドリーグでタイムに挑戦。そのうえで、同じく出場権獲得の条件が揃う9月のアジア大会に臨むことを計画しています。

ロンドンダイヤモンドリーグには、アジア大会男子100m代表に内定している多田選手と小池選手、同じく4×100mリレー(男子、男女混合)で代表に内定している小室選手と桐生選手の4名でオーダーを組み、サポートメンバーとして招集された林選手(日本選手権男子200m2位、PB:20秒36)の5人態勢で臨みます。練習が公開されたこの日は、午前9時過ぎから全員でミーティングを行ったのちに、トレーニングが開始されました。



この日の練習で、見学していたメディア関係者を驚かせたのが、オーバーハンドでのバトンパスが行われたことです。4×100mリレーのバトンパスの方法は、両走者がともに腕を伸ばして高い位置でバトンを渡すオーバーハンドパスと、両走者が接近して低い位置に下向きに構えた次走者の手のひらに、前走者が下からバトンを渡すアンダーハンドパスの2種類に大きく分けることができます。日本チームは、2001年からアンダーハンドパスを採用し、バトンパスに要するタイムを分析するなかでパスワークの精度を高めてきました。そして、2004年アテネオリンピックでメダルにあと一歩となる4位入賞を果たすと、2008年北京オリンピックでは初めてのメダルを獲得(大会時点では3位だったが、上位国のドーピングにより、その後、2位に繰り上げ)。2016年リオオリンピックでは銀メダル、2017年ロンドン世界選手権でも銅メダルを獲得する成果を残しています。

一方で、世界の強豪国もそれぞれにバトンパスのスキルを高めるようになり、競争がより激化するなか、近年では、日本チームのバトンがうまくつながらないケースも生じるなどの問題も出てきていました。また、昨年には、2028年ロサンゼルスオリンピックで新種目として男女混合4×100mリレーの採用が決定し、今年9月のアジア大会でも実施されることに。強化では、男女間のバトンパス方法についても検討を進めていました。こうした背景があるなか、長年アンダーハンドパスを採用してきた日本の男子4×100mリレーチームには、オーバーハンドパスでのデータがないために、最善のバトンパスを探っていくうえでの根拠に欠ける点が課題になっていたこともあり、北京世界選手権、そしてロスオリンピックを見据えて、今年、オーバーハンドパスでのレースに挑戦し、さらなる進化の可能性を探っていくことに踏みだしたのです。



今回の公開練習では、オーバーハンドパスでのバトンジョグを行ったあと、各自でウォーミングアップを行い、バトンパスをしながらの流しで感覚を確かめたうえで、メイン練習となるバトンパス練習へと移っていきました。



まず、ロンドンダイヤモンドリーグで3走・4走を務める桐生選手から小池選手のパスを行ったうえで、1走・2走を務める多田選手から小室選手のパスを実施。続いて、小室選手から桐生選手につなぐ2走・3走のパスを行ったうえで、1回目のパス練習でうまくつながらなかった多田選手から小室選手のパスワークが行われました。



小池選手・小室選手は初のオーバーハンドパスとのこと。また、多田選手と桐生選手は高校で経験しているそうですが、「やったことはあっても、日本代表クラスになると、自チームではスピードが違いすぎて全力でパスできることはまずないはず。そういう意味では、みんな初めてと言っていいくらいだと思う」と桐生選手。実際にパス練習が進んでいくなかで、バトンを渡す側は、「次走者がスタートした直後の自身との距離がすごく遠く感じる」「バトンを渡す際の声掛けのタイミングが難しい」などの点に、バトンを受ける側は、「スタートマークの足長を決めるのが難しい」「前走者の“ハイ”の掛け声が遠く感じる」「バトンをもらう手が自分で思っているほど高く上がっていない」「上げる手の高さや位置が安定しない」などの点に、アンダーハンドでのパスワークとの違いを実感。1本ごとに映像を見ながら、それぞれの感触や気づいた点を共有するとともに、コーチングスタッフからフィードバックを受けるなど、自身の感覚と実際を丁寧にすり合わせていくことに取り組んでいました。

トレーニング終了後には、桐生、小池、多田、小室の4選手(林選手は競技会出場のため、途中で退出)のほか、ショートスプリントヘッドコーチの信岡沙希重氏および同強化スタッフの大前祐介氏が取材に応じました。各氏のコメント(要旨)は、以下の通りです。


【選手コメント】※五十音順

◎桐生祥秀(日本生命)



Q:代表チームの雰囲気を、どう感じているか?
小室くんとは今回が初めてだが、1・3・4(走)に入る3人は5年前の東京オリンピックと同じで、バトンパスをやったことのあるメンバー。練習は、みんなでいろいろ話しながら取り組むことができた。小室くんとは、話したことが一度もなかったのだが、明日から一緒にロンドンにも行くので、これからの1週間で、どれだけ距離を近くすることができるかというところ。いろいろなことを言えるような感じになればいいなと思っている。

Q:オーバーハンドパスの導入について
オーバーは、選手のなかでも一回やってみたいという声はあった。アンダーのいいところもあれば、オーバーのいいところもある。タイミング的には、アジア大会は、世界大会以外で(オーバーハンドパスを)試すことができる良い機会といえる。もちろん慣れない面も多いけれど、一度やってみたいなとは僕自身も思っていたので、試合をちょっと楽しみにしている。

Q:オーバーハンドパスを試すメリットはどこにあると思うか?
オーバーのほうが、やはり利得距離が大きいということ。また、10年前と今では、スパイクシューズも(厚底に)変わっていて、スタートの(加速)部分で薄底だったときは回しやすかった足が、厚底になって回しにくくなる選手が出てきている。僕の場合は、カーブを走るときは薄底(スパイクシューズ)を使うので変わらないのだが、走順が変わ(って直線を走ることにな)れば、使うスパイクも変わってくる。「オーバーのほうがいい」「アンダーのほうがいい」というのは、そういう意味でも選手によっても違うのではないかと思っている。

Q:自身のオーバーハンドパスの経験は?
中学と高校ではやっていたが、例えば、高校のとき、僕のベストは10秒0だがバトンを持ってくる走者は10秒8とスピードの差が大きく、いつも後ろを向いてバトンをもらっている感じだったので、そういう意味でオーバーをちゃんとやるのは、人生で初めてとなる。たぶん、それはほかのメンバーも同じ。高校や大学でやったことがあっても、同じスピードレベルでやるという経験はまずないと思うので、慣れない部分もあるのではないかと思う。

Q:実際にオーバーハンドパスに取り組んでの感触は?
「ハイ」(の掛け声)から手を上げたときの(両走者の)距離感とか、上げる手の高さとかは、「ここから慣れていかないと…」という感じ。アンダーに慣れているぶん、特に距離感の部分はちょっと難しい。また、手の高さは、アンダーであればジョグやテンポ走も全力でも同じにできるのだが、オーバーだと高さが違っている状態。そのあたりも、これから(ダイヤモンドリーグまで)の1週間でなんとかしていきたい。

Q:他国のオーバーハンドパスよりも手を上げていない印象だが…?
それはたぶん慣れていないからだと思う。僕も含めてみんなアンダーのときより、すごく(手を)上げているつもりなのだが、実際に映像を見たら「あまり上がっていないね」という話になった。そこは、自分の感覚とのずれの部分なので、ロンドンに行って、これからみんなで細かく詰めていくところだと考えている。

Q:ロンドンダイヤモンドリーグに向けて、チーム内でどんな話を?
今回は、タイムを狙いにいくことが目的。37秒6~7台のタイムを出せないと、世界では戦えないと思っている。また、僕らは世界リレーで(北京世界選手権の)出場権を得られなかったので、それを獲得するためにも残り4つとなった枠を獲りにいくという気持ちで臨む。

Q:そのあとに続くアジア大会に向けては?
アジア大会で「金(メダル)を獲りに行こう」という話は、みんなでしている。メンバーがどうなるかはまだわからないが、4継(男子4×100mリレー)はおそらく3走を務めることになると思う。また、ミックス(混合4×100mリレー)のほうも、メンバーに選ばれたらしっかり走りたい。


◎小池祐貴(住友電工)



Q:今回の合宿の雰囲気は?
(代表チームに)慣れている3人(小池・桐生・多田)がいるのもあって、過度に緊張する感じはなかった。また、オーバーでやることは、僕らも今日聞いてやることになったということもあり、「こうやったほうが渡しやすいよね、受けやすいよね」みたいなやりとりをして、みんなで試行錯誤しながら取り組んだので、ガチガチに気合を入れて「タイム、出すぞ!」みたいな感じというよりは、わりとカジュアルな感じの雰囲気であったと思う。

Q:オーバーハンドパスに取り組んでの感想を。
僕は、高校も大学も(日本)代表も、すべてアンダー。これまでの陸上人生でオーバーというのを1回もやったことがないので、「できるのかな」と思った。しかし、日本代表のアンダーは、最初のころにやっていた低いところで受け渡すやり方から、最近では腕を伸ばした状態でやるようになっている。自分自身も含めて、少し手のひらを渡し手のほうに向けるくらいの感覚を意識すれば、「できないよ、ついついアンダー(の動きを)出しちゃうよ」みたいな状態にはならない感触だったのではないかと思う。

Q:アンダーハンドパスとの違い、オーバーハンドパスの利点は?
(受け渡しで両者が)手を伸ばすために声をかける位置が遠くなることや、(スタートの目安にする)テープ(を貼る位置)の距離が遠くなるオーバーでは、(バトン渡しを)空振るとマイナスが大きいところはあるのだが、そのぶん利得距離をしっかりと取ることができることが利点。あとはスパイクの変化(厚底スパイクが増えている)などもあって、(加速していく)前半部分は、ある程度大きなリズムで大きく走るほうが最大速度を出しやすくなってきているところもあるので、そういった道具とか時代の変化もあわせて考えると、個人的には、余裕を持って前半を助走できるというところでの利点が大きいかなと思っている。

Q:ロンドンダイヤモンドリーグで目指しているところは?
まずは、(北京世界選手権出場権を獲得できる)上位4カ国に入らなければいけないので、もちろんタイムということになる。例年でいうと、37秒7台を出せば(大丈夫)というところであると思う。ただ、メンバーや走順が変わる可能性はあるものの、その後にアジア大会で走ることも考えると、まずはオーバーで思いきりやってみて、「どのくらいつながるのか」「多少のミスがあってもこのタイムで行ける」ということを知る段階。自分の区間をどれだけ全力で走れるかが大事と考えている点はみんな共通しているので、オーバーに変えたからバトンを大事に行くというのではなく、まずは、どのくらいの最高速度が出たかを考えていくことになるのかなと思う。

Q:シーズン最後に控えるアジア大会に向けてのチームの目標は?
アジア大会の目標は、もちろん優勝することもあるが、そのもう1つ上のところでタイムというところも意識したい。今回(のロンドンダイヤモンドリーグで)ある程度のタイムが出たとしても、アジア大会でも「もう一丁、タイム、狙いましょう」ということになると思う。(シーズンの最大目標となる)代表戦で、どんなコンディションでもしっかりとタイムを残せないようでは、世界大会でメダルを狙うのはしんどいレベルに今なってきていると思うので…。日本記録(37秒43、2019年)に近いタイム…、37秒50くらいのタイムを、アジアのなかでも単独で出せるようであることを目指したい。


◎多田修平(住友電工)



Q:久々のリレー代表について
リレーの代表入りは東京オリンピック(2021年開催)以来で、「やっと帰ってきたな」という感じ。嬉しい気持ちもありつつ、気を引き締めてやっていかなければという気持ちになった。顔ぶれは、ほぼほぼ(東京)オリンピックメンバーで、(桐生・小池選手は)信頼できる先輩方だし、小室くんもすごく速い選手。ダイヤモンドリーグでは、自信を持ってリレーに挑めるのかなと思っている。

Q:オーバーハンドパス導入について
オーバーは高校でやっていたが、大学はアンダー。国体のリレーは、オーバーを使っているので、おそらく2023年の国体(※大阪チームで4走)以来だと思う。オーバーのメリットとしては、利得距離が広がって、そのぶんタイムを縮められるという点がある。僕自身は、走っているときに上体が立ってしまう癖があり、アンダーで渡すときは1回下を見なければならないので渡しづらさがあるのだが、オーバーでやると(下を見ることなく)そのまま渡すことができるので、個人的にはオーバーのほうがやりやすいなと感じている。

Q:実際に取り組んでみて感じたことやチーム内で話したことは?
今日は、渡すほうしかやっていないが、相手がマークからスタートしたときの距離感が、アンダーとは違ってすごく遠く感じて、1本目は(その距離感に)ちょっと焦ってしまったが、2本目は、それがわかった状態でやることができたので、そこはもう「回数を重ねてやっていかないとダメだね」という話をした。あとは手の位置。アンダーであれば、低く出せばいいが、オーバーの場合は高く上げなければならないので、その位置にぶれが出ないようにすることが、すごく大切になってくる。みんなとは、「上げたときの手の高さを、頑張って固定していかなければいけないね」という話をした。

Q:ロンドンダイヤモンドリーグに向けて、どういう思いでいるか?
北京世界選手権の出場権を獲得するために、今回、ロンドンに行くわけだが、チームとしては、37秒7台を最低限の目標としている。まずは、このタイムを確実に出すこと。そして、そのなかでしっかりと勝ちきるというところも目指して頑張っていきたい。また、個人としては、1走を務めることになると思うので、自分のところでしっかりリードをつくり、トップで2走にバトンを渡すようにしたい。自分の役目は、チームにいい流れをつくること。4走までしっかりつながるような流れをつくれるよう頑張りたい。

Q:アジア大会に向けては?
自国開催だったオリンピックは、ミスして終わってしまった部分があるので、そのリベンジという意味でも、名古屋ではしっかり走りたい。このままでいけば、おそらく1走になると思うので、1走でぶっちぎってトップに立てるように、そして、日本記録とか優勝というところを目指して頑張りたいと思っている。

Q:アジア大会では2018年ジャカルタ大会で金メダル(2走)を獲得したが?
あのころは、金メダルを獲得できたことがすごく嬉しかった。しかし、タイム的には38秒台(38秒16)。今、38秒かかってしまうと、おそらく優勝は難しくなってくるし、また、日本記録に近いタイムを出せるくらいでないと、世界では戦えないと思っている。アジア大会では、そのあたりを確実に目指してやっていきたい。


◎小室歩久斗(中央大学)



Q:初めて経験する代表チームの雰囲気、どう感じている?
去年の自分からだと、想像もできないような選手たちと、こうやってバトン練習をしている状態。今年、自分がタイムを出すことができて、こういう舞台に来られたことを、すごく嬉しく思っている。

Q:今季の躍進は想像できていたか?
去年の段階から考えると、(10秒07まで記録を伸ばした自身の現状は)全然想像していなかった。今年は、まずは黒木(海翔)さんが持っていた中大記録(10秒17、2025年)を更新できたらいいなと考えていたが、アメリカで迎えたシーズン初戦で自己ベストを更新(10秒29)してから感覚の良い状態がずっと続いていて、「自分が思っていたこと、練習してきたことが間違ってなかったのだな」と感じていた。そうした自分の思っていることを、ちゃんとイメージしながら練習でき、試合でも慌てずに(発揮)できていることが、結果につながっているのではないかと思う。

Q:ダイヤモンドリーグを経てアジア大会に臨むチームのなかでの自身の役割は?
今回、2走という「エース区間」とも言われる区間を任された。ほかの国の選手も、2走となると速い選手がたくさんいると思うが、そこに負けずに、しっかりと桐生さんに良い形で(バトンを)渡せたらいいなと思っている。

Q:オーバーハンドパスを導入したなかでの代表入り。チーム内でどんな話をした?
自分自身、オーバーをやるのは初めて。また、2走を務めることも初めてで、わからないところがたくさんあったのだが、桐生さん、多田さん、小池さんが、声をかけてくださって、「バトンのところは、そんなに気にしなくていいから、とりあえず速く走ってくれればいいよ」というふうに言っていただけている。今はまず、自分の走りを発揮できたらいいなと考えている。

Q:1・2走のパス練習では苦戦する場面もあったが、どう対応した?
2走も、オーバーハンドパスも初めてということもあり、(1走の)多田さんと足長を合わせるところにけっこう難しさがあったので、1回目がつながらなかったあとは、しっかりと動画を見返して、自分の思うことや多田さんの思うことを共有した。(具体的には)足長が少し遠かったことと、自分としてはいつも通りの感覚で出たつもりで、多田さんも走り自体は良かったと仰ってくださったのだが、コーチ陣からは「出た瞬間から(タイミングが)早いと思った」と言われたので、(2回目は)最初の足長から1足分詰めて行った。2回目はうまくつながったと思う。

Q:ロンドンダイヤモンドリーグで、どういう走りをしたいか?
ベテランの方々がたくさんいるので、迷惑をかけないというところが第一になってくるが、自分の走りをちゃんと体現できれば、他のチームよりも速い走りを見せられるのではないかとは思っている。ダイヤモンドリーグでも、楽しむこと(に意識)をおいて頑張れたらいいなと考えている。

Q:その先に控えるアジア大会については?
アジア大会は、自国開催というところがあるので、日本の皆さんの声援をもらって頑張りたい。ダイヤモンドリーグがどういう結果になるかはまだわからないけれど、ダイヤモンドリーグよりもさらにいい結果をアジア大会で残せたらいいなと思っている。


【コーチングスタッフコメント】

◎信岡沙希重(強化委員会 ヘッドコーチ(ショートスプリント))



Q:本日の練習で多く見られたコミュニケーションで意識していた点は?
初代表になる選手も入っていたので、そうした選手とベテランとの雰囲気づくりが大切なポイントになると考えていた。また、今回は、バトンパスについても今までは違うことにトライしているので、選手の感覚を一つ一つ確認しながら進めることを心がけた。

Q:オーバーハンドパスを採用することにした経緯は?
オーバーハンドパスでのデータは、海外チームのデータはあるのだが、ずっとアンダーでやってきたことで日本チームのデータはなく、「果たしてこれが最善なのか?」を考えていこうとしたときに、その根拠がないところが課題になっていた。このため、ロスに向けて何が最善であるかを、もう一度、しっかり検証していこうとするためにトライすることにした。選手たちにも伝えたことだが、「オーバーハンドでロス(オリンピック)を目指していく」という方向転換ではない。あくまでもアンダーでここまでやってきて、そのアンダーの財産があるからこその取り組みであり、ロスでは最終的にアンダーハンドパスということもあり得る。ロスに向けて、選手たちの個々の100mのタイムを上げることと並行して、海外各国の技術が向上してきているバトンパスについても、さらに良くなる方法がないかを探っていこうとしている。

Q:このタイミングでの導入は、いつ決めた?
「探りたい」という思いは前々からあり、そうした議論は以前から行っていた。そんななかで、昨年、ミックス4継(混合4×100mリレー)が入ってくることが決まり、女子選手と男子選手でのバトンパスは、オーバーハンドで行うのがベストということが想定として挙がってきた。そのときに、男子4継でもオーバーハンドの可能性を検討していくこととなり、前述したデータで検証するためにも、一度、トライしてみてはどうかということになった。なので、「いつ決めた」というよりは、徐々に話が進んだという形である。

Q:実際に取り組んだ今、どう感じているか?
実際にやってみるのは、本当に今日が初めてなので、「手応えがあるかどうか」とかは一切申し上げられない状況だが、言えるのは「今だからできるタイミング」だったということ。(5月の)世界リレーで北京世界選手権の出場権を獲得できなかったことは残念だったし、もちろんいい結果だったとも言えない。しかし、それによって、「バトンパスをもっとやっていこう」ということになり、今度のロンドンダイヤモンドリーグ、そしてアジア大会と、挑戦していく機会が増えた。選手たちとも「ロスオリンピックに向けて今からできること」として、前向きにやっていこうという話ができている。

Q:改めてオーバーハンドパスのメリットは何か?
オーバーとアンダーのメリット・デメリットは、どちらもそれぞれいろいろあり、オーバーのメリットとしては、一般的には利得距離がまず挙がってくる。しかし、それ自体も、先ほど申し上げたように、今現在、日本代表チームのオーバーのデータがないので、実際にそうであるかという点は、簡単には申し上げることができない。

Q:実際にやってみての選手たちの声や信岡コーチの印象は?
ご覧になったメディアの皆さんも、おそらく(両走者の)距離感が、今までとは全然違うと感じられたのではないか。実際に、選手たちからも、(次走者が)出た瞬間の(両者の)距離感について、「これで行けるんだ」とか、「あとは慣れていくだけだ」とかいう声が挙がっていた。1本目がうまくいかなかったケースもあったけれど、私としては「初日にしては、きれいに流れたな」という感想を持った。

Q:新たな挑戦の第一歩となるロンドンダイヤモンドリーグ。チームとしての狙いは?
北京世界選手権にタイムで出場できる4枠に入るためには、37秒7台を出すことが目安になってくることは、今日のミーティングでも選手たちに話した。ただ、まずは、世界リレー(の予選)で出した38秒01を確実に上げていくこと、そして、今年はアジア大会でもトライできるので、(アジア大会に向けて)このチームの精度を上げていくこと、の両方で捉えていくことができれば…と考えている。

Q:主要国際大会となるアジア大会に向けては、チームとしてどう考えているか?
世界リレーでは、ああいう形(予選において0.01秒差で決勝進出を逃し、敗者復活レースではバトンミスが出て出場権獲得を逃す)になっているので、アジア大会では金メダルを選手たちとともに目指していきたい。


◎大前祐介(強化委員会 オリンピック強化スタッフ)



Q:今日のパス練習を見て、どう感じているか?
今日は、あくまで「どんな感じなのだろう?」ということを見たかったというのが第一にあった。今後、(オーバーハンドバトンパスを)武器として使えるのかという可能性を探ることが我々スタッフの狙いであったし、また、実際に選手がやってみてどういう感覚だったかを聞いてみたいという思いもあった。なので、今日の練習を見ただけでは、「オーバーハンドがよかった、悪かった」とは特に考えていない。

Q:選手たちの声には、どういうものがあったか?
選手たちも、そんなに違和感を持つことなく、やってくれていたのではないかと思っている。(バトンを渡す)次の走者への声掛けの部分で、「なんか、すごく遠く感じる」ということは言っていたけれど、これも「慣れ」なのかなと思うので、これからも継続していきたい。これから先に「“どちらがいい”論争」にはなるかもしれないが(笑)、その論争よりも、我々としては、あくまで武器の一つとして捉えられるかどうかという点で、その可能性が出てくればいいなという考えでいる。

Q:大前さんの考えるオーバーハンドパスのメリットは?
利得距離を得やすいというところは、やはりあると思う。あと、選手目線からすると、おそらく(次走者との)距離が多少遠くても、(バトンを)渡しに行けるという安心感といったものがあるのでないか。その点は、選手たちの間からもコメントとして出ていて、「届かない距離じゃないな」ということを選手同士で話していた。そのあたりはポジティブに捉えられると思う。ただ、かといって、じゃあすぐにそれを実戦で投入できるかといったらそうではないと思うし、オーバーハンドだけがいいというわけではなく、アンダーハンドにはアンダーハンドの良いところ…加速のしやすさとか…もある。それらをうまく融合していくとか、引き出しの一つにするというところがポイントになると考えている。

Q:出す手の高さは、これからチェックして、適正な高さの基準を決めていく?
そこは個々の身長が違うので、まずは個人の中で手の出せる範囲内で出してみること…、体勢を崩しすぎない高さで出していくことがポイントになる。

Q:ロンドンダイヤモンドリーグで、チームとして目指すところは?
来年の世界選手権の出場権を獲得できるタイムを出すという目標は、バトンパスに関係なく変わっていない。そこを遠征に行く選手たちで、しっかりとクリアしてこようと思っている。

※コメントは、共同取材における各氏の発言をまとめました。より明確に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施しています。

文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

JAAF Official Top Partner

  • アシックス

JAAF Official Major Partner

  • 大塚製薬
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • 積水化学工業株式会社

JAAF Official Supporting companies

  • 株式会社シミズオクト
  • 株式会社セレスポ
  • 近畿日本ツーリスト株式会社
  • JTB
  • 東武トップツアーズ株式会社
  • 長谷川体育施設株式会社
  • 日東電工株式会社
  • 伊藤超短波株式会社

JAAF Official Supplier

  • サプティー株式会社

JAAF Ticketing Partner

  • ぴあ株式会社

PR Partner

  • 株式会社 PR TIMES
  • ハイパフォーマンススポーツセンター
  • JAPAN SPORT COUNCIL 日本スポーツ振興センター
  • スポーツ応援サイトGROWING by スポーツくじ(toto・BIG)
  • 公益財団法人 日本体育協会
  • フェアプレイで日本を元気に|日本体育協会
  • 日本アンチ・ドーピング機構
  • JSCとの個人情報の共同利用について