2018.06.18(月)大会

【第102回日本陸上競技選手権大会混成競技】大会2日目!女子七種競技は山﨑選手が今季日本最高、日本歴代3位の5836点で初優勝



ジャカルタ・アジア大会の代表選考会を兼ねて開催された第102回日本選手権混成競技の第2日が6月17日、長野市営陸上競技場において行われました。


■男子十種競技は、右代選手が棒高跳で逆転。3年ぶり7回目の優勝を果たす


 初日で若手学生選手2名がリードを奪っていた男子十種競技ですが、2日目は、日本の“2トップ”である右代啓祐選手(国士舘クラブ)と中村明彦選手(スズキ浜松AC)が、地力と経験の差を見せつける展開となりました。

 まず、2日目の第1種目の110mHで、丸山優真選手(日本大)がこの種目のトップタイムとなる14秒08(+0.2)をマークしてトップに立つと、続く円盤投は38m71を投げて首位をキープし、出場してきた至近2大会で記録なしに終わっている棒高跳を迎えました。最初の高さの3m80を2回失敗してひやりとさせたものの3回目を無事にクリアすると、4m00を1回で、4m20を2回目でクリア。しかし、4m40の跳躍でグリップを滑らせたことが原因でポールをしっかり握れなくなり、この高さを失敗。4m20にとどまりました。

 ここでトップに躍り出たのが日本記録保持者の右代選手。2日目は4位からのスタートで、110mH(15秒05、+0.5)終了後は5位に後退しましたが、円盤投(45m43)で3位に浮上すると、棒高跳は十種競技内でのベストとなる5m00をクリアして910点を獲得。丸山選手、そして棒高跳で丸山選手に並んだ大会2連覇中の中村選手(ともに6389点)の2人に対して、115点のリードを奪いました。右代選手は、第9種目のやり投でもこの種目トップの67m04をマーク。59m93を投げて追いすがった丸山選手との点差を広げ、この段階でほぼ優勝を確実に。最終種目の1500mは、8000点突破を果たすべく693点が獲得できる4分38秒00を狙って挑みましたが、さすがにラストで動きが止まって4分47秒08でフィニッシュ。それでも2日目で4000点越えとなる4009点を獲得し、7944点をマークしました。100m・走幅跳・110mHの風の平均値が2.0mを上回ったために追い風参考になりましたが、今季自己2番目の記録で、3年ぶり7回目の優勝を果たしました。

 2位となったのは中村明彦選手。苦手としていた円盤投でセカンドベストの37m39をマーク。棒高跳が4m70に終わる誤算はありましたが、ここで丸山選手にいったん追いつきます。やり投では再び丸山選手にリードされたものの、ここで自己ベストの54m52をマークしたことで、得意の1500mで逆転可能な差にとどめて最終種目を迎えました。1500mは2位に8秒近い差をつける独走を見せ、4分21秒16でフィニッシュ。丸山選手を97点逆転する7849点で競技を終了しました。3位の丸山選手は、学生歴代3位となる7752点をマークして、実に自己記録を686点も更新。初日トップの奥田啓祐選手(東海大)は、自身が話していた通り、課題を残す種目が多い2日目の点数は3298点(12位)にとどまりましたが、合計で7472点を獲得。関東インカレ(優勝)でマークした7415点の自己記録を更新し、4位に食い込みました。


■女子七種競技は山﨑選手が今季日本最高、日本歴代3位の5836点で初優勝



 七種競技は、初日に3364点を獲得してトップで折り返した山﨑有紀選手(スズキ浜松AC)が、日本歴代3位の5836点をマークし、日本選手権初優勝を果たしました。山﨑選手は、2日目第1種目の走幅跳は5m71(+2.1)で、ここで6m16(+1.6)を跳んだヘンプヒル恵選手(中央大)にリードを奪われましたが、第6種目のやり投で自己新記録となる48m56をマークし、42m79を投げたヘンプヒル選手を再逆転。ヘンプヒル選手と5点差、800mのタイムに換算すると0秒35差分リードする形で最終種目を迎えました。

800mでは、この種目を得意とする宇都宮絵莉選手(長谷川体育施設)、伊藤明子選手(筑波大)がリードを奪い、これに逆転4連覇を期すヘンプヒル選手、山﨑選手がつく展開に。残り1周を切ったところで山﨑選手がヘンプヒル選手をかわして3番手に上がると、600m手前辺りからヘンプヒル選手が遅れ始め、ここで勝負が決する形となりました。山﨑選手はこの種目もベストとなる2分16秒03でフィニッシュ。今季日本最高で、日本歴代3位となる5836点の自己新記録で、日本選手権初優勝を果たしました。

2位は、5766点を獲得したヘンプヒル選手。昨年の夏に左膝を痛め、手術とリハビリを経て今季から競技に復帰していました。完全復活という状況ではありませんでしたが4連覇が達成できなかったことは悔しさが大きかった様子。競技終了後は「悔しい」という言葉を何度も繰り返していました。

3位には、この大会で3回の優勝経験を持つ桐山智衣選手(ヤマダ電機)がサードベストタイとなる5536点で続きました。5月の東京コンバインドで、日本選手権前の今季日本リストトップとなる5821点(当時、日本歴代3位)をマークしていた宇都宮選手は5495点で4位。初日の砲丸投に加えて、2日目もやり投が36m69と投てき種目の不振が響く結果となりました。

このほか、同時開催されていたU20日本選手権十種競技は、初日トップの市川翔太選手(福岡大)が、第8種目まで2位に後退したものの、やり投で再び首位に立ち、そのまま逃げ切って7040点(追い風参考記録)で優勝。同女子七種競技は、首位で前半を折り返していた堀内美沙樹選手(東京女子体育大学)がトップを譲らず4861点(追い風参考記録)で制しました。


【優勝者コメント】


男子十種競技
右代啓祐(国士舘クラブ) 7944点 ※追い風参考記録

1日目は4位というなかで気持ちを切らさずに最後まで頑張りぬいた結果が、3年ぶりの優勝となった。アジア大会に向けて、いい弾みになったと思う。

去年は実力差で(中村選手に)完全に負けた試合だったので、それがどうしても悔しくて、死に物狂いで練習に取り組んできた。その結果が優勝という形で現れたのを嬉しく思う。(自分は)日本で優勝するのは当たり前という位置にいるし、今年は、アジア大会2連覇を目標に掲げているので、達成できるようにさらに頑張りたい。

記録のほうは、8000点を最低限と掲げていたので、それに届かなかったのは悔しい。取りこぼしは前半の種目にあったので、そこは一からやり直していきたい。一方で、(2日目の)勝負したいという場面の棒高跳、やり投で、最低限の記録、あるいはそれ以上の記録をマークすることができたことは、ものすごく自信になった。1日目が悪くても、ずるずると(悪いままで)行かずに行けたところは、十種競技を長年やってきた力が、そこで発揮されたのかなと思う。

(初日は学生選手たちにリードされたが)学生2人に上に立たれることは今までなかったので、2日目は「負けられない」という気持ちで挑んだ。2日間を終えて、奥田選手も、丸山選手も驚異的な存在だったなと感じた。彼らには、世界に出てもらうために、もうひと回りもふた回りも大きくなってもらいたいし、僕もそれに負けないようにしたい。最近自己ベスト(8300点=日本記録、2014年)が更新できていないので、なんとか今年中には更新して、「ベテラン」といわれるなかでも成長している姿を後輩たちに見せたい。


女子七種競技
山﨑有紀(スズキ浜松AC) 5836点

混成競技は、高校(長崎南高校)のときに練習もあまりせずに試合に出場したのが最初。まず、日本選手権という場に立つこと自体も当時は考えていなかったが、初めて日本選手権に出場して入賞したとき(2015年、7位)に、「もっと上に行きたいな」という気持ちが出てきた。それから1年ごとに順位を上げてこられたこと(2016年5位、2017年2位)が、今日の結果につながったと思う。

(1日目を首位で折り返したので)優勝はしたかったが、2日目は合計得点は全く計算も意識もせず、「1種目、1種目をしっかりやるんだ」という気持ちで臨んでいた。決め手となったのはやり投(48m56)。2週間前に(母校の九州共立)大学の記録会で47m74を投げていたので、手応えは感じていたが「まぐれで飛んでいたのかな」という思いもあったので、ここでもう一回40m台後半を投げられたことはとても自信になったし、50mを目指して頑張りたいなと思った。

(5点リードして迎えた最終種目の)800mは、あまり順位のことは考えずに800mの自己ベストを出すことを目標に走った。宇都宮選手や伊藤選手が1周目から引っ張ってくれるだろうと思っていたのでそこについていき、最後まで粘っていい走りができればと考えていたが、(2位の)ヘンプヒル選手も自分の前で2人についていたので、タイミングのいいところでヘンプヒル選手の前に出た。

今回、ヘンプヒル選手はまだまだ完全復活ではない。その完全じゃない状態でこの点数(5766点)まで来ているので、来年はもっと上がってくると思う。私もこの記録に満足するのではなく、今回の課題や苦手な部分をなくして長所を伸ばしていき、まずは日本記録を目指したい。日本記録が出たら、またその先が見えてくると思う。十種競技に負けないように、七種競技も世界で戦えることを目指して頑張っていきたい。


U20男子十種競技
市川翔太(福岡大) 7040点 ※追い風参考記録

今回は7000点を目標にしていた。追い風参考ではあるけれど、とりあえず上回ることができたのでよかった。また、勝ちたいという気持ちは持っていた。

初日を1位(3746点)で折り返したが、右肘を痛めていることもあり、やり投は初めから1本だけ投げようと決めていた。そこで55m(24)を投げることができたのは大きかったと思う。しかし、円盤投では練習投てきで35m弱は飛んでいたのに実際は30m(79)。ここで100点くらい取り損ねてしまったことが惜しまれる。

(全国)タイトルの獲得は、去年の高校選抜(八種競技:5630点)に続いて2回目。今回は接戦だったので、(最終種目の)1500mは、タイムより勝負だと思ってついていったのだが、そうしたら自己記録を10秒更新することができた。この1500mのほかでは、追い風参考ながら100mでベストを上回ったほか、走幅跳、走幅跳、棒高跳で自己新記録を出せている。

今後は、とりあえず右肘を完治させたい。また、サブ種目で三段跳をやっているので、そちらでもU20日本選手権で上位を狙っていきたい。
 

U20女子七種競技
堀内美沙樹(東京女子体育大) 4861点 ※追い風参考記録

追い風参考記録ではあるけれど、自己記録を上回ることができて嬉しい。ただ、1つ1つの種目のなかで惜しいところが多かったことが反省点。この大会では、5000点を目標にしていたが、得意とする走高跳はもっと跳びたかったし、走幅跳も1回目からもっといい記録を出しておきたかった。また、投てき種目が苦手なので、まだまだだなと思った。

でも、この大会に出られたことで、「もっと練習しなくては」と実感することができたし、シニアの七種競技の記録を見ると、私の記録ではまだまだだと思った。今後の目標は、秋の日本インカレ。標準記録B(4800点)は切っているが、Aの5000点はまだ突破していないので、まずは5000点を出すことを目指したい。

 
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)


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