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トピックス

マラソン日本代表記者発表会詳細

第1部 代表選手発表

*写真提供:フォートキシモト

[登壇者]
尾縣 貢(専務理事)
麻場一徳(強化委員長)
酒井勝充(強化副委員長)

【選考の手順について】

■尾縣貢専務理事:

代表選手は、昨年6月29日に理事会にて決定した選考要項に則り、4つのプロセスを踏んで決定した。1つめは強化推進本部会議。ここではすべてのレースを振り返り、それぞれのレースを評価した。そして強化委員会、原案策定委員会を行い、理事会での決議を経て、今、ここに報告するに至っている。


配付資料(第31回オリンピック競技大会選考の流れ )を用いて、(経過を)説明する。まず2013年6月10日の理事会にて代表選考方針の承認をいただいた。この方針に関しては、資料にも記載の通り何回か(4回)の専任コーチ会議において共有した。そして、2015年6月29日の理事会で、オリンピック代表選手要項の承認をいただいた。その後、9月25日の全日本実業団対抗選手権大会において長距離マラソン関係者へ選考要項の説明を行った。そして3月16日・17日は、前述したプロセス(16日:強化推進本部会議、強化委員会、17日:原案策定会議、理事会)である。


ここで原案策定委員会のメンバーを公表したい。委員長は私・尾縣、強化委員会からは麻場一徳委員長、伊東浩司・酒井勝充・山崎一彦・木内敏夫・植田恭史の各副委員長、理事からは、副会長である八木雅夫理事、いろいろなスポーツの選考等を熟知し、スポーツに関して深い知識を持っているということで山本浩理事、そして法制委員長で現役の弁護士でもある清水真理事に参加いただいた。また、専門的な立場からは、瀬古利彦理事と高橋尚子理事に、科学委員会から杉田正明委員長にも同席していただいた。
外部有識者としては、これまでに多くのマラソンの選手を指導し、(2004年アテネ五輪女子マラソン金メダリストの)野口みずき選手を育てた藤田信之氏に同席いただいたほか、いつも他の競技団体から参加していただいている外部有識者として、今回は、福井烈日本オリンピック委員会常務理事・日本テニス協会常務理事に参加いただいた。これに風間明日本陸連事務局長の全16名である。


本日選出された選手たちは、オリンピック出場にトライしたすべてのランナーの代表である。これからオリンピックに向けてしっかりとした準備をして、本番では持てる力を100%発揮くれるものと期待している。また、この場をお借りして、リオデジャネイロオリンピックに向け、駅伝などとの両立の厳しいスケジュールのなかご努力をいただいた選手、指導者、そしてチーム関係者に心から感謝申し上げる。
私たちは、選手の権利を最大限尊重し、選考を進めてきたことをここに誓います。

【選考要項説明、代表選手発表】

■麻場一徳強化委員長:


今回、リオデジャネイロオリンピック代表選手選考に際して、多くの選手、指導者、関係者の方々が本当にひたむきにチャレンジしてくださった。どの選考レースも見応えのある素晴らしいレースが展開された。すべての選手、関係者の方々に、ここで改めて敬意を表したい。


代表選手発表の前に、選考要項 についての説明から行いたい。
今回のマラソン代表選手の編成方針は、「本大会でのメダル獲得を含めた複数入賞を目指す選手団編成とする」である。選考競技会については、男女それぞれ4大会(男子:①2015年北京世界選手権、②福岡国際マラソン、③東京マラソン、④びわ湖毎日マラソン、女子:①2015年北京世界選手権、②さいたま国際マラソン、③大阪国際女子マラソン、④名古屋ウィメンズマラソン)とし、これらの選考競技会において、先ほど申し上げた編成方針に基づき、本大会への参加標準記録(男子:2時間18分00秒、女子:2時間44分00秒)を有効期間内に満たした競技者の中から、日本代表選手を選考することとした。


その選考の手順として、内定条件と選考条件の2つがあり、まず内定条件として、「選考競技会①、つまり世界選手権の男女マラソン8位以内の入賞者で、日本選手最上位者各1名を内定する」となっている。これについては、女子の伊藤舞選手(大塚製薬)が世界選手権で7位入賞という実績を上げ、1番目の要件として内定した。


加えて、次の選考条件のなかで選考をさせていただいた。選考条件は、「男女選考競技会②~④において日本人3位以内の競技者から、下記の1)から2)の優先順位で選考する」となっている。したがって、男女3大会3位までの競技者それぞれ9名が、選考の俎上に登ったということになる。(ここでの)優先順位は、1番目に日本陸連設定記録(男子:2時間06分30秒、女子:2時間22分30秒)を有効期限内に満たした競技者(各最大1名)、続く2番目として各選考競技会での記録、順位、レース展開、タイム差、気象条件等を総合的に勘案し、本大会で活躍が期待されると評価された競技者である。
これらの選考基準に基づき、先ほど尾縣専務から報告のあった手順を踏んで、今回の代表選手の発表に至った。


それでは、第31回オリンピック競技大会マラソン日本代表選手 を発表する。選考の詳細な理由については、発表後、担当の酒井副委員長から説明させていただく。


男子マラソン代表は、佐々木悟(旭化成)、北島寿典(安川電機)、石川末廣(Honda)の3名、女子マラソン代表は、伊藤舞(大塚製薬)、福士加代子(ワコール)、田中智美(第一生命)の3名である。

【選考理由について】


尾縣:それでは2つの観点から選考の理由について、酒井副委員長が説明する。1つめの観点は選ばれた選手の際立った点や優れた点などの評価、もう1つの観点は、(選考に際して)3番目の選手と4番目に該当すると思われる選手の比較を通して、選ばれた選手の優位な点の評価である。

■酒井勝充強化副委員長:


・代表選手の評価ポイント
まず、男子から。佐々木選手は選考競技会のトップの記録であったこと。次に選考した北島選手は、記録およびレース展開に対して評価した。(対象レースとなったびわ湖毎日は)気温、湿度が高く、マラソンとしてはきつい条件のなかでのタイムであった。石川選手は、北島選手と遜色のないレースであったということで評価させていただいた。
女子の伊藤選手は、優先順位の高い内定条件での選考であり、内容的にもケニア、エチオピア、東アフリカ勢の一角を崩しての世界選手権入賞は評価に値する。また、国内の選考会を経て出場した(世界選手権代表)3名のなかでトップであったということで高く評価した。福士選手は、記録面で、「世界で戦える記録」として我々が示した日本陸連の設定記録を突破した唯一の選手である。田中選手は、設定記録には及ばなかったが、(名古屋ウィメンズで)昨年の世界選手権銅メダリストのキルワ選手が抜け出したあと、すぐに反応して積極的なレースをした。また、最後まで小原怜選手(天満屋)とデッドヒートし、勝負強さもあったということで評価した。


・3番目の選手と4番目の選手との比較
男子については、強化推進本部会議、強化委員会、原案策定会議でも論議を重ねて、石川選手と高宮祐樹選手(ヤクルト)の評価をさせていただいた。高宮選手は、東京マラソン日本人1位という点では、我々は評価している。ただ、比較対象であった石川選手の記録やレース展開等々を見て、2番目に選ばれた北島選手と遜色のない内容だったということで、石川選手を選んだ。


■麻場:なお、ナショナルチームに関しては、今回は早い段階で「その優位性を設けない」という方針で現場の選手、指導者にも了解を得てきた。ただし、ナショナルチームのもう1つの目的である暑熱対策等のサポートについては、これまでの活動で蓄積したものがある。今後は、それを生かしながら、この6名の選手の選手がリオでベストパフォーマンスを達成できるように引き続き進めていきたいと考えている。

【質疑応答】


――理事会の雰囲気はどうであったか。 すんなり決まったのか、難航したのか?
尾縣:理事会は満場一致で決まった。いろいろなご意見をうかがったが、今回、現状のベストメンバーであろうというのが一致した意見だった。


――酒井副委員長に、6人それぞれ走りの特徴、期待することを。
酒井:男子からいうと、みんな積極性を持ってレースに臨んでいることがいえる。北島選手についてはマラソンの適正があること、佐々木選手は福岡で後半の落ち込みが少なかった、石川選手はしっかりとした準備をして素晴らしいレースをしたということで、リオで活躍してくれるのではないかと思っている。
女子については、伊藤選手は世界選手権で7位に入賞した。暑い中でのレースに強い。粘り強いレースをするのではないかと思っている。福士選手については、速いペースでレースをしていける選手で、持ちタイム(2時間22分17秒)も世界トップレベルである。田中選手については、先日のレース(名古屋ウィメンズ)のなかで30km以降の急激なペースアップに対応できた。いい結果を出してくれるのではないかと考えている。


――チームジャパンとしての目標を
麻場:具体的に、メダルの数とか入賞とかは、もう少し先になってから皆さんにお示ししようと思っている。ただ、マラソンチームは編成方針にもあるように、6人ともメダルあるいは入賞を目指してこれから準備をしていく。我々強化委員会としては、全力でサポートしていきたいと思っている。


――リオは、冬とはいえ気温がおそらく20℃以上になるのではないかといわれているが、その対策は?
麻場:ナショナルチームの活動として、特に暑熱環境に関するサポートを大きな課題として取り組んできた。これには陸連の医事委員会、科学委員会などの、さらにマルチサポートといったスタッフが、合宿や個々の練習の拠点に赴き、さまざまなデータを取っている。その蓄積がこの3年間でできているので、それらを生かしながら、今度は6人それぞれの特徴に合った展開をしていく。


――酒井副委員長、「こういうメンバーが揃ったぞ」というような特徴的なところを。
酒井:「個性派である」といえるのではないかと思う。男子も女子も、幅広い中で選手が選べた。


――質問ではないが(発言する)。わかりやすい説明、ありがとうございました。まさかの結果が出たら、吠えようかと思っていたが、今日は文句なし。順当な結果だと思う。また、今回の“永山騒動”に対して、尾縣さんが名古屋ウィメンズ後の記者会見で、“リオが終わったあとに、選考基準に関しても、反省も踏まえて見直したい”と発言したが、あれはあれで問題があったように思う。そのへんもしっかりやって、次につなげていただけたらと思う。
尾縣:お褒めの言葉、ありがとうございます。選考基準に関しては、今の時点で我々はこれが最高のものだと思って、選考する尺度としている。今後、皆さんからいただいたご意見を参考にしながら、そして結果も勘案しながら、最高の選考基準・選考要項を検討していきたい。


――2つ伺いたい。男子の場合は、設定記録を突破していないし、優勝者も出ていないし、世界陸上の内定者も出なかったが3人が確保された。そもそも前回(ロンドン五輪の選考)、前々回(北京五輪の選考)と比べて大変記録が落ちていることに関して、プロの皆さんから見てどのような原因があると見ているか? また、昨日、柔道が選考過程を公開すると発表したが、(陸連でも)今後、選考のプロセスをオープンにする考えはあるか?


尾縣:3人を選んだことについては、各国3名制のランキングを見ると、すべての選手が20位以内に入っている。(20位以内を高く評価する)他種目との整合性からすると、当然マラソンも評価できるものである。これまでの男女マラソンが非常に高いレベルにあったので、それに比べると不満なところはあるかもしれないが、十分に戦えるレベルだと思っている。前回(ロンドン五輪6位)の中本選手(健太郎、安川電機)も20位以内というところで(出場して)、暑いなかいい走りをしたので、(今回も)3名ともに期待したい。


酒井:(選考会のタイムが過去2回と比べて悪かった原因については)びわ湖については湿度・温度が高かったことが(原因と)いえると思う。


尾縣:(選考過程の公開について)我々は、選考に際して満たさなければならない2つの柱があると思っている。1つは公平性の担保、もう1つは強い選手をいかに選ぶかということ。100%相容れるものではないその2つを、なるべく実現していきたいと考えている。そのなかで、この先意見は変わるかもしれないが、今の時点では非公開でやっている。というのも、かなり突っ込んだ議論を行っているため、それを公開するかどうか今のところ判断できないので。ただし、その代わりに外部有識者として、福井JOC常務理事に見ていただき、本当に公平にやっているか評価いただいた。また、今回は、段階を1つ増やして、4段階での選考を進めた。(これらの理由から)私は公開しなくても公平性は担保できている自信がある。


――メダル獲得を含めた複数入賞を目指す編成方針で、設定記録をつくっての選考レース。しかし、ペースメーカーのタイム設定が遅すぎたように思えるが、どう考えているか?


酒井:今回は、日本陸連として、各選考大会のディレクターに、我々の設定記録になるようなペース設定をお願いした。ただ、すべてのコースが同じではないので、大会の(コース)特性によって前半速かったり遅かったりという形になったのではないか。基本的には我々としては、設定記録を目標にペース設定することをお願いしている。


――暑熱対策について、北島選手はナショナルチームに入っていないのでデータがなく、また、佐々木選手、石川選手も初年度は入っているが途中で抜けている。これからどんな感じで(ナショナルチームで得た)蓄積を生かすことを考えているのか? また、リオは治安等を考えるとロードの選手には準備や調整が難しいように思うが、これまでのオリンピックにない事前の準備をやっていく計画はあるか?


麻場:まず、暑熱対策について。北島選手のデータは、これから測定していくことになる。ただ、これまでいろいろな選手をサポートしている実績や、科学委員会で持っているさまざまな情報を、北島選手にあてはめていくことはできると考えている。次に、事前の準備に関しては、治安や時差の問題などがあるので、これまでのオリンピックに比べると早めに時差調整を含めた事前合宿を組み、そこからリオに入っていくことを計画している。


――酒井さんに。リオの気象やコースを踏まえ、実際にはどんなレースが展開され、どんなことが求められると考えているか?


酒井:私は2年前にリオへ(視察に)行った。雨が降ると15℃、晴れると30℃近くという気象条件なので、そういうものを勘案して事前に準備をしておくしかない。コースは平坦なので、速いレースになると思う。そうした条件がメリットになる選手や優勝候補といわれる選手がどう動くかということの情報を十分に入れながら準備するしかないと考えている。


――尾縣さんに伺いたい。選考の基準はわかりやすかったと感じているが、今回の福士選手の騒動の原因をどこに感じているか。また、酒井さんには、今回さいたま国際マラソンが第1回ということで、なかなか難しかったと思うのだが、コースの印象を。


尾縣:皆様にはご迷惑をおかけしたと思っている。我々サイドとしては、決めた選考要項に則って進めていった。あの時点で内定を出すことは、残された名古屋ウィメンズを狙っている選手たちに与える精神的なダメージが非常に大きいと考えた。また、福士選手の記録を上回る可能性が本当に少なくても、選手たちはそれを目指して走るのだから、あそこで内定らしきことは言えないと判断した。しかし、選手・指導者側にも(レースに)出る権利はある。疲労が大きくなるという点で(名古屋出場を)勧められないという思いを我々が持っていても、それも選手側の権利である。(そういう意味で)麻場委員長から出た「出場を見合わせてほしい」という意見は切実な気持ちだった。我々としては活躍してほしい、次の準備をしていただきたいということを言った。


酒井:埼玉国際については初めての大会ということで、コースの攻略方法が難しかった。また、最初の5㎞が平坦なので、ペースメーカーも速いペースで行くと思っていた。ただ、レース後、選手に聞くと「思ったよりはきつくない」ということだった。アップダウンが多いと頭にあったので抑えたのだと思う。1回レースをやったので、これからはコースのどこを攻めれば記録が出るという(戦略が立てられる)ことになってくると思う。


――編成方針にある複数選手の入賞に向けて、現在の世界のマラソンの現状をどう分析している?
酒井:手元にある記録では、ランキングでは男子は20位以内に、女子は14位以内に入っている。ただ、これはタイムだけの話。オリンピックではペースのアップダウンや作戦があるのでなんともいえないが、かなり勝負できるところにいるのではないかと分析している。


尾縣:本日は、まずマラソンの選手が決定した。これからこの選手たちは、本番に向かって努力をしていく。どうか後押しをする報道をぜひお願いしたい。また、これからトラックシーズンが始まる。日本選手権が実質上の最後の選考とされるが、それに向けて選手たちはこれから努力を続けるので、こちらも併せて素晴らしい報道をお願いしたい。

第2部 代表選手 記者会見


[登壇者]
伊藤 舞(大塚製薬)
佐々木 悟(旭化成)


――まず、1人ずつメッセージ、決意を。
伊藤:私は昨年の世界陸上で7位に入賞して、今回、最初に内定をもらった。早く内定をもらったことを最大限に生かして、試合当日に力一杯走れるように準備したい。今日で女子マラソンまで150日になった。課題であるスピードをしっかり強化していきたい。私のほかに代表になった福士さんや田中さんとは、2年前のナショナルチームで同じ部屋で、合宿を共にした。その合宿には、野口みずきさん(シスメックス)もいて、とてもモチベーションが高くなり、いい練習ができた。そういったことが今回代表になった要因だと思う。


佐々木:まだ実感は正直湧いていないが、これから自分の課題をしっかり克服して、目標に向かって、自分は少しずつ積み上げていくのが合っていると思う。今、それを実行しているところなので、しっかりと積み上げていき、本番、いい状態でいいパフォーマンスができるよう頑張っていきたい。


――伊藤選手、正式決定となったが、世界選手権で内定を得てから長かったか?
伊藤:オリンピックでメダル争いをするには、日本陸連が定めた2時間22分30秒というのが目標だと思っている。8月30日に内定をもらったので、それから、そのタイムに少しでも自分が近づけるように準備をしていきたいと思っている。


――すでに試走をしてきたそうだが、リオの印象を。
伊藤:リオは、平坦でほとんどアップダウンがないコースだった。海岸線を走るので、そこで風が吹く可能性がある。私は跳んでしまう部分があるので、地に足を着けて、風に強い身体をつくっていきたい。


――佐々木選手、福岡から4カ月経ったが、この間は長かったか?
佐々木:終わったあとにニューイヤー駅伝があったし、実業団ハーフマラソンにも出た。その間にトレーニングをして、自分の弱点とか課題をいかに克服しようかと考えてやってきたので、そこまで長くは感じなかった。


――オリンピックのマラソンというと、どんなシーンが思い浮かぶか?
伊藤:野口みずきさんや高橋尚子さんがゴールしたシーンが一番印象に残っている。
佐々木:中学3年のときのシドニーオリンピック。その時、ちょうど中学の駅伝大会があって、高橋尚子さんがゴールをしたと聞いて、そのあと走り始めたので、オリンピックということはそこが一番記憶に残っている。


――オリンピックとはどういう存在?
伊藤:自分が一番目標にしていた最高の舞台だと思っている。自分が競技を始めたころは、オリンピックに出ることを目標にするところまではなかなか行かなかったのだが、マラソンを始めて、年々強い思いを持ってやってきた。
佐々木:社会人になってから、トラックでは勝負できないと思っていたので、マラソンで勝負するということを決めて、そこで自分の力を発揮できて、その延長上にオリンピックがあったので、そこでしっかり力を出せたらいいなと思っている。


――ブラジルのイメージは?
伊藤:カーニバルのイメージがある。
佐々木:同じです。(カーニバルのイメージ)しかないです。


――オリンピックまでにどんなところを強化したい?
伊藤:走りのバランスやスピードの強化をしていきたいと思っている。私は今まで少しずつ積み上げてきたことで成長してきた。そういうことを大切にしながら、地道にやっていきたい。
佐々木:後半、急激にペースアップすると思うので、そこに対応できる身体づくり。まずそこが課題かなと思っている。そこを意識して練習していきたい。


――伊藤選手は「レースまで150日」と話していたが、壁に貼ったりしているのか?
伊藤:携帯のアプリで、女子マラソンが8月14日9時半スタートというのを入力するとカウントダウンが始まるものがある。それを監督とともに入れている。


――佐々木選手は、旭化成から久しぶりの代表となるが?
佐々木:(代表になったことは)嬉しいが、そこはあまり特別意識していなかった。


――リオでどんな走りをしたい?
伊藤:私の強みは粘り強さ。悔いのない準備をしていきたい。
佐々木:どういうレース展開になるかわからないが、そのなかで自分のいいパフォーマンスができるよう、今、その取り組みをしている。しっかり合わせたい。いいコンディションづくりをしていきたい。


――佐々木選手へ。先ほどそんなに長く感じなかったとのことだったが、とはいえ(福岡で)2時間8分台の記録を出しながらも、東京では若手が出たり、すごいペースになるといわれたりした。待っている間の怖さはあったか? どんな気持ちだったか?
佐々木:東京マラソンのことは、(高速レースになると)周りからも言われていたし、そういうレースになるのかなと思っていた。しかし、自分の選考会は福岡。そこで出し切って、あとは次の試合に向けて準備するだけと思っていたので、あまり長くは感じなかったというのが正直なところである。


――伊藤選手へ。世界選手権で学んだことは? リオに生かしていきたいことはあった?
伊藤:今までマラソンで最初のハーフよりも後半のハーフが落ちてしまっていたのだが、世界陸上だけは後半のハーフのほうが速かったので、そういう点では自分の力はついたのかなと思っている。しかし、(世界選手権の)33kmでレースが動いたときにすぐに反応できなかったことは課題となった。その課題を少しでも埋められるよう、今、トレーニングをしている。


――佐々木選手へ。代表に決まって、今は嬉しい気持ちか、身の引き締まる思いか? また、家族への報告は?
佐々木:家族にはまだ連絡していない。このあと軽く挨拶しておくくらいだと思う。(今の気持ちは)身の引き締まる思い。これからいろいろあると思うが、足元を見ながらしっかりと練習していきたい。


――お二人とも五輪は初出場だが、競技歴は長い。競技を続けてきたなかで、夢を追い続けられた支えとなったものは?
伊藤:自分が強くなりたいという思いを持って取り組んできた。今までケガを何度も繰り返したり体調不良もあったりと、うまく行かない時期もあったのだが、今回、代表になって、諦めずにやってきてよかったなと改めて思っている。
佐々木:社会人になって旭化成というチームに入り、練習などでも勝てない選手もたくさんいるが、そのなかで自分の持ち味を生かせるのはマラソンだと思って練習してきた。最初は結果が出なくて、「まずは自分が納得できる結果を出したい」と思ってやってきたことが、今まで続けてこられた理由だと思う。


構成・文責/児玉育美(JAAFメディアチーム)
※本稿は、3月17日に行われた代表選手記者発表で行われた説明、質疑応答を元に構成しました。文章として読んだ場合により理解しやすくなることを目的として、若干の編集を加えています。