2016.09.13(火)選手

【リオ五輪帰国後インタビュー】 第4回 男子棒高跳[澤野選手](その2)

自分らしく思いきり戦えた
嬉しくて、嬉しくて、とにかく幸せだった

――豪雨による約1時間の中断のあと競技が再開され、最初の高さの5m50を1回でクリアしました。あそこでちゃんと跳んだのが(入賞の)決め手になりました。
澤野:あれだけ待ったら、きつい選手もいたでしょうね。(再開した際に)焦って足合わせをしている選手もいっぱいいて、“なんで(焦っているの)だろう”と思いながら見ていました。私は、助走合わせがちゃんとできていたので。あのまま普段通りできたら問題なく跳べるだろうなという思いで、1本目を行きました。

――次の高さの5m65、3回目は惜しかったですね。
澤野:そうですね。1本目と2本目は変な感じだったけれど、3本目は修正できたし、(感触としても)自分では完全に“跳べた”と思っていたんです。予選の(5m)60の当たり方(注:クリアしたものの胸や大腿部がバーに触れていた)よりも、もっと当たったか当たっていないかがわからないくらいだったので。

――終わったあとは、どんな心境でした?
澤野:“8番以内には入っているな”と思ったので、(入賞できて)ホッとした気持ちのほうが大きかったですね。

――競技中断など、想定外の事態も起きたなかでの勝負でした。
澤野:もう、なんか、記録じゃなくて、私はあそこで本当に思いきり戦えたことが・・・、予選も、予選から決勝の中1日も、そして決勝もちゃんとウォーミングアップから、雨で中断したり、スタンドが壊れたり(注:5m65の1回目の試技の際、スタンドのバーをかける自動昇降機能にトラブルが発生した)、いろいろなことがありながらも、なんか自分の試合ができたなってすごく思って・・・。とにかく幸せだったんですよ。

――幸せ・・・。
澤野:予選のときも、試合が始まる前からすごく嬉しくて・・・。実は、予選の前に、日大記録会で(5m)70を跳んだときの映像(注:澤野選手は、日本選手権に優勝したあと、1週間後の日大記録会で五輪標準記録の5m70をクリア、さらに日本陸連が決めていた五輪派遣設定記録5m75も跳び、五輪代表入りを果たした)を見ていたんです。そうしたら、そのときの光景や感情が甦ってきて、すごく嬉しくて涙が出てきて、“よし、これで頑張れる”と思って試合に臨んでいました。決勝も、同じ流れで行こうと思っていたのですが、そうしたら試合前どころか、そのもっともっと前の段階・・・決勝の日に1人で昼食をとっていたときに(笑)・・・なんか急にいろいろな人の顔が浮かんできて、嬉しくて嬉しくて、幸せで幸せでしょうがなくなって。“ああ、本当にいろんな人に支えられてここまで来ることができて、決勝の舞台に臨めるんだ”って本当に幸せな気持ちで、涙が出てきそうになったので、“ダメだ、これ”って思ってサングラスかけて、気を紛らわせようとイヤホン越しの音楽を大音量にして・・・(笑)。

――試合前のテンションにしては、ちょっと・・・(笑)。
澤野:そう(笑)、おかしいですよね? でも、なんかそれが自分のなかですごいパワーになるなと思っていたので、我慢する必要もないと思っていたし、実際にそれを力に変えることができたんですよね。で、また、予選と同じような流れで、おにぎりをつくりに行き、サブトラックに着いてからおにぎりを食べながら、(日大記録会の)70の映像を見てまた泣いて・・・(笑)というような時間の過ごし方をしました。

――今、“もっとこうだったら”って思いはありますか?
澤野:もう、それを言ったらきりがないです。上を見れば、そりゃね・・・例えば、自己ベスト(5m83)を出していたらとか、いろいろな思いはありますけど、でも、何よりもやっぱり私は、いろいろな人に・・・世界中の人に応援していただいて、支えられて、あそこに立てて、あの場で思いきって戦えたことが(・・・瞳を潤ませつつ・・・)、こんなに人生で幸せなことはなかったなって思って・・・。そして、いろいろな人が喜んでくれて・・・。本当によかったです。

もうちょっと今の跳躍を突き詰めたい
続けられるなら、続けられるだけ続けたい

――現地のミックスゾーンでは、“まだやれるという気持ちを持てた”と話していたそうですね。今後も、競技は続けていく?
澤野:そうですね。今、この年で、痛いところがなくて、そして、走り方とか技術的なところとか無理やりもっていくという感じが全くなく、自然に走って、うまく力を使って簡単に跳べるようになっているので、もうちょっとこれを突き詰めたいなという思いがあります。また、(指導している)日大の学生も強くなっているし、高校生も強いし、その子たちともうちょっと一緒に跳んでいたいなという思いがあるのと、自分自身、今シーズンまだ日本人に負けていなくて、もうちょっと負けたくないなという思いもあるし。そういう気持ちに正直にいたいな、と。続けられるのであれば、続けられるだけ続けたいなって思って。

――自己新も跳ばないといけないですしね。
澤野:そうなんですよ。自己新が跳べる状態なだけに、ね・・・。本当に早くしないと、40(歳)になっちゃうので・・・(笑)。

>>リオ五輪帰国後インタビュー 第4回 男子棒高跳[澤野選手](その1)はこちら
>>リオ五輪帰国後インタビュー 第4回 男子棒高跳[澤野選手](その3)はこちら

>>日本陸連リオデジャネイロオリンピック大会特設ページはこちら
>>澤野大地選手の選手名鑑はこちら

◎写真/競技写真:フォート・キシモト、インタビュー写真:高橋将志
◎取材・構成/児玉育美(JAAFメディアチーム)

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