2019.03.02(土)大会

【東京マラソン】事前会見レポート&コメント



3月3日に開催される東京マラソン2019の事前記者会見が、大会前々日となる3月1日に東京都内のホテルにおいて行われ、エリートの部に出場する競技者が登壇しました。
今年で13回目となるこの大会は、アボット・ワールドマラソンメジャーズシリーズXII(12)として開催。日本選手にとっては、2020年東京オリンピック代表選考に向けた「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)シリーズ2018-2019」男子第4戦でもあり、また、今年秋に開催されるドーハ世界選手権の日本代表選手選考競技会も兼ねています。
レースは、3月3日、午前9時10分にスタート。東京都庁前~飯田橋~神田~日本橋~浅草雷門~両国~門前仲町~銀座~高輪~日比谷を経由して東京駅前の御幸通りでフィニッシュします。この平坦なコースに変更されてからは3回目の開催となり、2017年には男子で2時間03分58秒(ウィルソン・キプサング、ケニア)、女子で2時間19分47秒(サラ・チェプチルチル、ケニア)と、ともにハイレベルの大会記録が誕生。前回には、設楽悠太選手(Honda)が2時間06分11秒の日本新記録を樹立するなど、すっかり“高速コース”として認知された感があります。
今回、日本勢では、昨年10月のシカゴマラソンで2時間05分50秒をマークして、前回の東京マラソンで設楽選手が出した日本記録を塗り替えた大迫傑選手(Nike)が出場することで、「再びの日本記録更新なるか」にも期待が寄せられています。さらに、その大迫選手を含めて男子は6名、女子は2名のMGCファイナリストがエントリー。本年9月15日に行われるMGCに似たコース設定であることから、これらの選手にとっては、「MGC本番を見据えてのレース」という要素も濃くなりそうです。
もう1つ見逃せないのが、「新たなMGCファイナリストが、何人誕生するのか」という点。MGCシリーズ対象レースとなる男子では「2時間11分00秒以内で日本人1~3位、あるいは2時間10分00秒以内で日本人4~6位」をクリアすることが、まずその条件となります。また、男女ともにワイルドカードでの出場権獲得(①男子2時間08分30秒以内、女子2時間24分00秒以内をマークした場合、②期間内の上位2つの記録の平均が男子2時間11分00秒以内、女子2時間28分00秒以内となった場合)を達成する選手が出てくることも期待できそうです。


 会見には、男子がディクソン・チュンバ選手(ケニア)、エルハサン・エルアバシ選手(バーレーン)、大迫選手、木滑良選手(MHPS)、中村匠吾選手(富士通)、佐藤悠基選手(日清食品グループ)の6名が、女子はルティ・アガ選手(エチオピア)、フローレンス・キプラガト選手(ケニア)、前田穂南選手(天満屋)、高島由香選手(資生堂)、野上恵子選手(十八銀行)、一山麻緒選手(ワコール)の6名が、それぞれ出席。女子、男子の順に、早野忠昭東京マラソンレースディレクターが聞き役を務めてのトークショー形式で行われました。
会見中には、最大で30kmまでつくペースメーカーの設定として、「最終的には明日のテクニカルミーティングで決定して正式に発表する」としながらも、女子は①2時間18分を切るペース、②2時間21分を切るかどうかのペース、③2時間23~24分台のペースの3段階、男子は、①1km2分57~58秒で刻み、2時間04分30秒~2時間05分10秒くらいでフィニッシュするペース、②1km3分00秒で刻み、2時間06分35秒あたりでフィニッシュするペースを、それぞれ計画していることが早野レースディレクターから提示。選手たちは、そうした状況を踏まえながら、当日にイメージしているレース展開について、質問に答えていきました。
各選手のコメント(要旨)は、以下の通り。なお、記載されている「目標タイム」は、各選手が会見中に配布されたボードに書き込んだ記録です。

 


【女子】

◎ルティ・アガ(エチオピア)
目標タイム:2時間18分30秒
もちろん優勝を狙いたい。自己記録(2時間18分34秒、2018年)を更新できればと思う。
この大会のために、しっかりと準備してきた。自分の強みとしては、少しスピードという点にいいところがあると思っている。

◎フローレンス・キプラガト(ケニア)
目標タイム:2時間24分00秒
東京は初めて。来ることができて嬉しい。コンディションは良いのでたメジャー(タイトル)はとれると思う。記録は2時間24分くらいを狙っていく。自分の強みは、10年以上(競技を)やってきたことだと思う。日曜日は、天気が良ければいいなと思う。頑張りたい。

◎前田穂南(天満屋) ※MGCファイナリスト
目標タイム:2時間21分00秒
練習は継続して順調にやってくることができた。この大会では、2時間21分を目標に頑張りたい。自分の強みは、最後まであきらめずに粘り続けることができるところ。30km以降、ペースメーカーが外れてからが勝負所になると思うので、そこでしっかり自分の持ち味が発揮できたらいいなと思っている。

◎高島由香(資生堂)
目標タイム:2時間21分00秒
この大会では2時間21分台を目標に頑張りたいと思っている。東京マラソンは高速レースになるので、MGC(出場権を獲得するためのタイム)にこだわっていたら記録は出てこないと思った。また、記録に挑戦したいという気持ちがあったので、この記録を目指した。最初から積極的に2時間21分台を狙うペースで行きたいと考えている。レースでは、30kmからの脚に疲労が来てからの粘りが大切。そこから(ペースが)落ちないようにしっかり走っていきたい。

◎野上恵子(十八銀行) ※MGCファイナリスト
目標タイム:2時間25分00秒
自分の記録(2時間26分33秒)を更新したいと思っているので、まずはそこを目指して、今、出せる力を出しきりたい。(東京マラソンのコースは)MGCのコースと似ている部分があるので、9月に行われるレースを想定しながら走れたらなと思い、今回臨むことにした。レースは、(2時間23~24分想定のペースで進む予定の)第3グループで行きたいと思っている。序盤はペースメーカーのリズムに合わせて、後半を粘って走りたい。30km過ぎてきつくなったあたりから、自分の力をどれだけ発揮できるかがポイントになってくると思う。

◎一山麻緒(ワコール) ※初マラソン
目標タイム:2時間21分00秒
初マラソンで東京マラソンを走れることを嬉しく思う。マラソンは初めてだが、監督の“鬼メニュー”は、しっかりこなしてきているので、あとは本番で今までやってきたことを出すだけ。思いきって走りたい。レースでは、(2時間)21分のペースについていきたいと思っている。練習はしっかりしてきているので、怖がらずに行けるところまで行こうという気持ち。ペースメーカーが外れてから、自分たちで走るときにそのペースに自分もついていき、「ここだ」と思ったところでスパートをかけられたらと思う。



【男子】

◎ディクソン・チュンバ(ケニア) ※前回優勝者
目標タイム:2時間03分57秒
東京に2019年も参加することができて嬉しい。目標としているのは、“東京でよく走る”ということ。(コースレコードの)2時間03分58秒くらいは、気象条件さえ揃えばいけると思う。(本番では)ペースメーカーがよく走ってくれれば、私も走れる。(勝負所は34~35kmではないかと、レースディレクターの発言があったが)コースは熟知しているから、30~35kmまでは自分は仕掛けないと思う。コースもわかっているし、自分の調子がいいこともわかっている。だからパーソナルベスト(自己記録2時間04分32秒、2014年)は狙えると思う。

◎エルハサン・エルアバシ(バーレーン) ※アジア記録(2時間04分43秒)保持者
目標タイム:2時間04分00秒
(井上大仁選手との競り合いで敗れた昨年の)アジア大会は、本当にワクワクした。優勝できればよかったけれど、スポーツというのはそういうもの。彼(優勝した井上選手)を祝福する。(アジア記録を出すことができた)バレンシアマラソンの結果については、よかったと思う。10月末に(同じバレンシアで行われた)ハーフマラソンに出場してコースを把握して、その後、12月にフルマラソンに臨んでの結果だった。(東京に向けては)そのときと同じトレーニングをやってきた。途中で小さなケガで痛みが出て、10日間ほど練習できなかった日はあったが、明後日はベストを尽くしたい。(提示されたペースメーカーの)ペースはいいと思うが、いいタイムが出せるかどうかは、天候次第だと思う。理想的な気候になってくれれば、ベストは出せると思う。

◎大迫 傑(Nike) ※MGCファイナリスト
目標タイム:?時間?分?秒
トレーニングは順調なので、明後日は精一杯頑張っていきたい。
(東京マラソン出場を決めたのは)10月のシカゴマラソンから半年ということで時期的によかったということと、あとは9月にMGCが東京で行われるので、コースは全く同じというわけではないが、雰囲気とかメディアの感じとか、緊張感も含めて準備をしておきたいという思いがあって選んだ。レース展開については、走り始めてみないとなんともいえないが、(自分の)状態が良ければ前に出ていくし、良くなければ後半からゆっくりいく。そのあたりは毎度のことだが、自分の身体としっかりと対話をして、そのときに決めていきたい。また、今まで3回マラソンを走ってきたなかで、勝負所は毎回違っているので、明後日も「どこ」と今から決めずにいたい。その状況において、自分の身体をしっかりとコントロールできるように走りたい。
(目標タイムを具体的に挙げなかったのは)今までも、タイムを気にしては走ってはいなかったので。もちろん、タイムがいいに越したことはないが、気象条件やペースによって変わってくる。あまりそこにこだわりすぎると、自分自身に響いてしまうと思うので、こう書かせていただいた。

◎木滑 良(MHPS) ※MGCファイナリスト
目標タイム:2時間07分59秒
ニューイヤー駅伝では、ちょっと上がりきれなかったところもあったが、(井上大仁選手等)チームメイトのいい走りも刺激になっているし、この東京マラソンに向けて、しっかり準備はできてきた。大会当日に、自分の力をしっかり発揮したい。今回も(1km3分ペースが見込まれている)第2集団でいこうと思っている。余力を残して(前半を走り)、しっかりと後半を上げていければ、結果もついてくると思うので、そういった走りを心がけていきたい。これまでの大会もそうなのだが、(自分の場合は)勝負所を決めるというよりは、大切なのは「自分の体力の残り」をしっかり把握することを大切にして、行けるところから行きたいと思っている。目標タイムについては、2時間6分台と言いたいところだが、(2時間)7分台とした。(2時間08分08秒で7位となった)去年ともう1回同じことができれば、この先のマラソンにもつながると思っている。

◎中村匠吾(富士通) ※MGCファイナリスト
目標タイム:2時間06分30秒
東京マラソンに向けて、4カ月間しっかり準備してきた。結果を残せるように頑張りたい。トレーニングはしっかり積むことができている。明後日は万全の状態で戦えると思う。タイムはもちろんだが、まずは先頭集団でしっかり勝負することを目標にしたい。この大会に向けては、(1km)2分57~58秒の設定タイムを意識してトレーニングしてきた。前半でしっかりと(そのペースの)流れに乗り、後半勝負することが大切だと思っている。自分の体調を見極めながらレースを進めていきたい。
目標タイムとして記入した2時間06分30秒は(2時間08分16秒で4位となった昨年の)ベルリンマラソンに向けたトレーニングのときよりも上乗せすることができたと思うので書いた。タイムも大事だが、勝負も大事なので、まずは(2時間)6分台でゴールすることを目標に頑張りたい。こうしたメジャー大会でいい順位を取るということも、(MGCに向けての)アピールになるとは思うが、どうしても持ちタイムで評価される面がある。今回はマラソン3戦目。タイムを出して、いい形でMGCに向けて頑張っていければと思っている。

◎佐藤悠基(日清食品グループ) ※MGCファイナリスト
目標タイム:2時間06分30秒
いろいろな若い選手が記録を出していて、(自分も)ベテランの域に入ってきたが、そのなかで結果を出したいという気持ちがある。マラソン選手としては、自分はまだこれからだと思っているので、そうしたほかの選手からの刺激を受けて頑張りたい。
今回のレースのテーマは、「攻めの走りでチャレンジする」。速い(記録の)選手がせっかくいるので、少しでも長く食らいついていければいいなと思っている。(勝負所というのは)レースの流れや天候次第で大きく変わると思うので、特に決めることなく、冷静に走りたい。ただ、どこかしら苦しくなるところは必ずあると思うので、そこでしっかり我慢することが重要かなと思っている。
(目標タイムとして2時間06分30秒と記入したのは)この大会に向けたトレーニングを組み立てる過程で、目安にした記録だから。ただ、レースでは、特にタイムは意識せず、流れや勝負にこだわりながら走りたい。また、ここで勝ったか負けたかは、MGC本番での余裕度に表れてくると思うので、ライバル選手との勝負という意味では、「ここで勝っておきたい」という気持ちもある。


文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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