2018.12.20(木)委員会

【競技者育成指針】説明レポート・コメント その1



日本陸上競技連盟では、公益財団法人へと移行した2011年から、その目的を「わが国における陸上競技界を統轄し、代表する団体として、陸上競技を通じスポーツ文化の普及および振興を図り、もって国民の心身の健全な発達に寄与し、豊かな人間性を涵養する」ことを掲げています。「涵養(かんよう)」とは、水が染み込むように、自然に養い育てること。陸上競技を普及・発展させていくことで、国民のスポーツへの参画を促し、心身ともに健全な生活を送れる環境をつくっていこうとすることを謳っています。

この目的の達成に向けて、さまざまな活動に取り組む一方で、2017年5月に、日本の陸上競技界を統括する団体としてのミッションを明確化させるべく取りまとめた「JAAFビジョン」を発表。さらに、本年11月に、並行して策定を進めていた「競技者育成指針(JADM:JAAF Athlete Development Model)」を完成させ、公表ししました。この「競技者育成指針」は、一人でも多くの人が陸上競技を楽しみ、そして、かかわり続けていけるようにするために、「陸上競技の普及」と「競技者の育成・強化」の両面を見据え、日本における陸上競技者育成の方向性を具体的に示したものです。

12月3日に行われた2018年度全国強化責任者会議では、出席した都道府県陸上競技協会や協力団体の強化責任者関係者に向けた概要説明が行われ、全国に向けた周知も進めています。ここでは、その模様をご報告しつつ、「競技者育成指針」の概要を紹介します。

 

このたび策定・公表となった「競技者育成指針」に関する内容は、12月3日に、東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで開催された2018年全国強化責任者会議における題目の1つとして、出席した都道府県陸上競技協会および協力団体の強化責任者に向けて、指針の概要とそれに基づく強化戦略の説明が行われました。会議には、尾縣貢専務理事、麻場一徳強化委員長、山崎一彦トラック&フィールドディレクターが出席。まず、尾縣専務理事が登壇し、指針の概要を述べました。

 

 

【競技者育成指針の策定・公表に際して】
尾縣貢(日本陸連専務理事)


これは、この(全国強化責任者)会議の中でも重要な案件。その重要度について話したい。
 
この育成指針は11月に公表した。簡単にいえば、私たちは陸上競技を始めた子どもたち、そして、アスリートに幸せになってもらいたい。その手助けをしたいという意味で、この指針をつくった。

陸上競技を楽しみながら続けていく。そして、そのなかで、自分のなしうる最高の記録を出す。そして、その活動を通じて、陸上競技の価値を心から感じ、そののちのそれぞれの人生のステージにおいて、いろいろな陸上競技の楽しみ方を味わってもらいたいという、そういった願いを込めている。

そもそも策定のきっかけに至った背景には、昨年、公表した「JAAFビジョン」がある( http://www.jaaf.or.jp/about/ にてダウンロード可能)。ここでは「国際競技力の向上」と「ウェルネス陸上の実現」という2つのミッションを掲げ、これらのミッションを果たすために、国際競技力の向上については「2040年に世界3位(アジアのNo.1)となる」ことを、ウェルネス陸上の実現については「2040年に陸上競技・ランニングを楽しむ人口を2000万人にする。そのために、アスレティックスファミリー(競技会参加者、審判、指導者)を300万人に拡大させる」ことを、それぞれのビジョンとして掲げている。どちらも高い目標といえるが、これを実現していくために策定したのが、今回公表した、競技者育成指針である。

リーフレット( http://www.jaaf.or.jp/development/model/ にてダウンロード可能)を見ていただければ、納得してもらえると思うが、競技者の育成にあたり、年代に応じて1~6のステージに分けていて、それぞれの段階で、陸上競技のあり方や、やるべきことを示している。

これを読むと、「難しいな」と思う方や、“身体リテラシー”(注1)や“タレントトランスファー”(注2)など、耳慣れないキーワードに戸惑う方もいるかもしれない。また、これらを実現させるためには、大きな変革も必要となる。すでに、小学生陸上では、来年あたりから、かなり大きな変革を行っていく計画を進めているし、また、2013年から開始した全国高校選抜陸上という競技会では、タレント発掘や自分の本当の適性を知ることを意識した種目設定で実施している。

私たちは、この指針をきっかけに、より多くの子どもたちが陸上競技を愛して、それを競技力向上につなげていけるようにすること、そののちに陸上競技の愛好者を増やすという、そういったつながりを展開するつもりでいる。

これを実現するためには、さまざまな変革も必要であり、かなりの覚悟が必要であると思っている。強化、そして陸連としても、その覚悟ができたから、11月にこの指針を発表した。おそらく、皆さんがこれから戸惑われることもあると思う。しかし、これは2020年東京オリンピック後、「ポスト東京」の陸上競技のあり方を決めるものであり、また、今、陸上を志している子どもたちを幸せにする手立てだと確信している。改革には痛みは伴うが、ぜひ、全員で歩んでいきたい。ぜひとも、ご協力をいただきたい。

注1)身体リテラシー:さまざまな身体活動、リズム活動(ダンス)、スポーツ活動などを、自信を持って行うことができる基礎的な運動スキルおよび基礎的なスポーツスキルのこと。運動を楽しく、有能感を持って、意欲的に行えるといった心理的な側面、仲間と協調したりコミュニケートしたりできる社会的側面も含まれる。

注2)タレントトランスファー:さまざまな競技や種目を経験しながら、最終的に自分の最適な種目を探し出すプロセスのこと。


(文・構成、写真:児玉育美/JAAFメディアチーム)


「【競技者育成指針】説明レポート・コメント その2」に続く

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