2018.10.25(木)大会

【GPシリーズ最終戦「北九州大会」のみどころ】第3回 男子砲丸投、新旧日本記録保持者が激突

『【GPシリーズ最終戦「北九州大会」のみどころ】第2回 戸邊、日本新記録で山縣を上回りシリーズチャンピオンなるか!?』から

【男子砲丸投=グランプリ種目/新旧日本記録保持者が激突】

2015年6月から18年5月まで18m78の日本記録を持っていた畑瀬聡(綜合ガードシステム)とその記録を今年5月20日に18m85を投げて更新した中村太地(チームミズノ)が対決する。




6月の日本選手権では、旧記録保持者が現記録保持者を3cm差(18m36と18m33)で退けて7連連続12回目の「日本一」に輝いた。

2018年の両者の直接対決は4回で、下記の通り畑瀬の3勝1敗。

月日競技会名畑瀬聡  中村太地 
4.22東京コンバインドイベント2)17.571)18.22
6.24日本選手権1)18.362)18.33
9.23全日本実業団2)17.276)16.92
10.07国体4)17.138)16.85

記録では、中村が上回ったが、「勝負」では、畑瀬に軍配が上がっている。今シーズン最後の直接対決となるであろう今大会での軍配はどちらに上がり、「種目別チャンピオン」は???である。ただ、両者ともに秋のシーズンには本来の力を発揮できていないところが気がかりではあるが……。

「グランプリシリーズポイント」では、中村がトップの「2105ポイント(1075+1030)」で、1試合(東京大会=プレミア大会)にしか出場していない畑瀬が「1026ポイント」で3位。グランプリの「シリーズポイント」で2位(1971ポイント/1010+961)の山元隼(フクビ化学。2018年ベスト17.74=室内の記録)が出場しないので、「種目別チャンピオン」の行方はトップにいる中村と3位の畑瀬の対決にかかることになった。

今回の出場者の顔ぶれからして、最低でも17m以上を投げるであろうこの2人の対決に割って入りそうな可能性がありそうな選手は残念ながら見当たらず、何らかのアクシデントでもない限りは2人で1・2位を占める可能性が濃厚だ。

ということで、中村が勝てば文句なしの「種目別チャンピオン」となる。畑瀬が逆転するには、優勝して現時点でのポイント差「1079」をひっくり返す必要がある。

畑瀬が勝って「順位ポイント(30)」を獲得すると、その差は「1049」。逆転に必要な「記録ポイント」の「1050ポイント」は、「18m81」。畑瀬の自己ベストである旧日本記録の18m78を上回らなければならない計算だ。畑瀬がこの「18m81」を投げたとしても、中村が2位で「順位ポイント」の「25」を獲得すると、中村がトータルで首位を守るには「記録ポイント」で「1006ポイント以上」を投げれば逃げ切りとなる。記録に直すと「18m07以上」だ。

ただ、畑瀬が中村の日本記録(18m85)を上回るような投てきをすると「特別ポイント」が加算されるので、中村も「日本新」をプットしなければ、逆転されてしまう。

いずれにしても、両者ともに秋以降の不調から脱して、「19mオーバー」の投げ合いを披露してくれれば、「言うことなし」のシーズンの締めくくりとなる。

「シリーズポイント」の上位には関わらないが、インターハイで高校記録にあと7cmと迫る高校歴代2位の18m14(6㎏の砲丸)を投げてチャンピオンとなった稲福颯(市岐阜商高)が16ポンドで15m63の自己記録(高校歴代5位)をどこまで伸ばせるかにも注目だ(高校最高記録は、16m64)。




【男子110mH=ノングランプリ種目/石川周平が優勝候補】

国体で13秒74(+1.2)をマークして4位になった石川周平(筑波大大学院1年)が優勝候補。国体の予選では、追風2.4mながら13秒70で走っている。

2018年は、織田幹雄記念国際7位(13秒85/+2.6)、水戸招待2位(14秒35/-4.0)、日本学生個人選手権3位(13秒91/+0.9)、日本選手権6位(13秒81/+0.7)、ブリュッセル国際4位(13秒85/0.0)、アントワープ国際4位(14秒26/-2.2)、オールスターナイト5位(13秒98/+0.2)、トワイライトゲームス4位(14秒32/+0.2)、日本インカレ4位(13秒94/-1.1)と全国的に目立つような華々しい活躍こそないが、主要な競技会でコンスタントに入賞し「いぶし銀」の輝きを放っている。

「グランプリシリーズポイント」の種目別でも「2209.4ポイント(1102.4+1107.0)」で6位にランクインしている。


【男子走幅跳=ノングランプリ種目/2018年日本10傑内の6人が集結】

2018年日本リストの4位・5位・6位・7位・9位・10位・14位の選手が出場する。

日本リストの順位とは異なるが、この種目の「グランプリシリーズポイント」の順では、2位・3位・4位・5位・6位・8位・10位でもある。

うち、自己ベスト8m台は4人で、記録順に下野伸一郎(九電工。8m11=2015年)、山川夏輝(東武トップツアーズ。8m06=2017年)、小田大樹(ヤマダ電機。8m04=2017年)、城山正太郎(ゼンリン。8m01=2016年)。






「シリーズポイント」の「種目別チャンピオン」を狙える可能性があるのは、
2位・小田(2240.0=1148.0+1092.0)
3位・山川(2231.2=1133.0+1098.2)
4位・城山(2189.0=1110.0+1079.0)
5位・嶺村鴻汰(富士通。自己ベスト7m95=2016年。2172.8=1046.2+1126.6)
6位・下野(2170.0=1085.0+1085.0)
の5人。



現在のポイントのトップは、川島鶴槙(順大4年)で、2290.6ポイント(1105.8+1184.8)。

「ノングランプリ種目」なので、「記録ポイント」と「特別ポイント」のみが有効となるが、上記の5人が川島を上回るための条件は、風力が「無風~追風2.0m」であるとして、
小田は「1143ポイント以上」で「8m03以上」
山川は「1158ポイント以上」で「8m10以上」
城山は「1181ポイント以上」で「8m20以上」
嶺村が「1245ポイント以上」で「特別ポイント」も加算して「8m25(日本タイ)以上」
下野が「1206ポイント以上」でこれまた「特別ポイント」を加えて「8m25(日本タイ)以上」
となる。

日本記録を超えるような大ジャンプが見られればそれこそ万々歳ではあるが、小田以外の4人が川島を抜いて「種目別チャンピオン」になるのは、かなり厳しそうな状況ではある。


【男子やり投=ノングランプリ種目/新井の「種目別チャンピオン」が確実】

日本選手権で5連勝中の新井涼平(スズキ浜松AC)が出場。



「グランプリシリーズポイント」でも「2323ポイント(1158+1165)」を獲得していて、2位に156ポイントの大差をつけ断トツ。これを逆転するには、今回出場している選手の中で最上位の坂本達哉(大体大4年)が、87m60の日本記録くらいを投げなければならず、新井の「種目別チャンピオン」は間違いない。

今大会は「ノングランプリ種目」で「順位ポイント」が付加されないため、新井自身も現在の「グランプリポイント」の「1165」を上回るには、「84m52以上(自己の5位相当)」のアーチをかける必要がある。

新井は2018年は6試合に出場し、日本人選手には負け知らず。今季のベストは、80m83で2018年世界40位、同アジア8位。

自己ベストの86m83(日本歴代2位)をマークしたのが23歳だった4年前の2014年10月21日で、同年の世界6位、同アジア2位。2014年末時点での世界歴代45位だった。が、4年の歳月を経て、世界歴代の順位は58位にダウン。アジア歴代でも4位から6位に後退している。

1991年6月23年生まれで27歳。やり投の選手としては、最も脂が乗ってくる年齢なので、「ドカーンと一発」を期待したい。

また、2012年の早大3年時に当時の日本歴代2位(現在は歴代4位)の84m28を投げたディーン元気(ミズノ)も出場。新井と同じ1991年の生まれ(12月30日)。2010年11月3日に現在も破られていない「U20日本記録」の78m57をマークしたのが、今回の会場である本城競技場から直線距離で10㎞あまりのところに位置する同じ北九州市内の鞘ケ谷競技場だった。こちらも「ドカーンと一発」に期待である。



このほか、今季75m以上を投げている大学生の中西啄真(大体大大学院2年)、坂本達哉(大体大4年)、河野充志(九州共立大4年)、花田研聖(福岡大4年)らによる、「80mライン」を目指しての投げ合いにも注目だ。




『【GPシリーズ最終戦「北九州大会」のみどころ】第4回 女子砲丸投で種目別チャンピオンをかけた戦い』


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト

1日目:10/27(土)8:30~ライブ配信(予定)

※不具合で、先に告知しておりましたライブ配信のURLからは現在視聴いただけません。大変申し訳ありませんが、以下からご覧ください。復旧次第ご報告いたします。
▼ライブ配信はこちらから▼
https://www.youtube.com/watch?v=M0vbwOfLIvU

 


2日目:10/28(日)8:30~ライブ配信(予定)

 

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