2018.07.26(木)選手

【男子短距離欧州遠征レポート】選手インタビュー② ケンブリッジ飛鳥(Nike)

ロンドンダイヤモンドリーグ(以下、ロンドンDL)男子4×100mRへの出場をメインとして、その前後で各選手がヨーロッパを転戦した男子短距離欧州遠征。期間中に実施した特別インタビューの第2弾としてお届けするのは、ケンブリッジ飛鳥選手(Nike)です。



今回は、当初の予定を変更して、7月22日のロンドンDLに合わせて現地入りし、その後、7月25日にカールスタッド(ノルウェー)で行われるレースへ出場することに。ロンドンDLのレース後、その経緯も含めて、話を伺いました。

予定を変更して、ロンドンから参加
みんなの「楽しかったよ」に、「いいなあ」と思う

―――今回は、当初の予定を変更して、ロンドンDLに合わせての現地入りとなりました。

ケンブリッジ:はい。本当は僕も、みんなと同じような流れで、ロンドンの前にイタリアのレース(7月11日:Meeting Int. di Atletica Leggera Sport Solidarieta、リニャーノ・サッビアドーロ)と、ベルギーのレース(7月14日: Guldensporenmeeting 、ベルギー・コルトレイク)のレースへの出場(ともに男子100m)を考えていたのですが、脚に不安があったために、それをキャンセルし、ロンドンのリレーを走って、スウェーデンのレースに向かうという形に流れを変えての出場でした。まあ、不安もあるなかで走って、思っていたよりも走れましたし、脚の状態も悪くはなかったので、ひと安心です。

―――不安が出たのは、どのタイミングで?

ケンブリッジ:日本選手権が終わって1週間くらい経ったあたりです。練習していて、違和感を覚えて。走れないというほどではなかったのですが、常に「張る感じ」が消えてくれないという状態が続いていたので、レースに出られる状態ではないなということで、コーチと相談して、イタリアとベルギーをキャンセルして、逆に、ロンドンのあとにスウェーデンのレースに出ることにしました。

―――実際に、その判断は正解だったようですね。

ケンブリッジ:そうですね。キャンセルしたレースにも出たかった気持ちはありましたが、今はまだ無理する必要のある段階でもありませんから。極力脚に負担をかけないようにできたので、結果的にはよかったと思います。

―――今回、多くの皆さんはマドリッドを拠点にして、そこから試合に出ていくという方法採用しました。情報は入っていましたか?

ケンブリッジ:みんなからですか?

―――はい。

ケンブリッジ:選手間で特別にやりとりをしていたわけではありませんが、ツイッターなどを見れば、出場していたレースの結果はわかります。そういうのを見ながら、「みんないい記録で走っているな」などと思っていました。

―――また、拠点にしていたマドリッドが、なかなかよい練習環境だったわけですが。

ケンブリッジ:あ、その話は、こっち(ロンドン)に来て聞きましたよ。みんなから「(スペインに)来たら楽しかったよ」というのを聞いて、「いいなあ」と思いながら(笑)。

―――次に機会があったら…。

ケンブリッジ:そうですね、ぜひ、次の機会に参加できれば。きっとこれからも、いくらでもそういう機会はあると思うので。

思っていたよりも前にいたイギリス
今の段階で、一番手強い相手

―――ロンドンDLは、38秒09で、イギリスに次いで2位。若干の不安も抱えてのレースとなったようですが、実際にレースを終えて、どんな感想をお持ちですか?

ケンブリッジ:(ウォーミング)アップの段階では、「それなりに走れているな」という感じでした。脚の不安もあって、このところ全力で走るということをほとんどしていなかったので、そういう意味ではキレなどの部分が、トップスピードを出したときにどうなるか、わからなくて…。しっかりと自分の走りができるかなという思いは頭のなかにありました。ただ、アップでの感触としては、「意外と動いているな」という感じだったので、そういう意味では、ロンドンに来る前までのような不安は持たずに、レースに挑めていたと思います。

―――不安だったのは、具体的にどこが? 

ケンブリッジ:右のハムストリングです。春先にちょっと痛めたところが、今回も出てきて。

―――そのために、十分な状態でなく、遠征を迎えていた?

ケンブリッジ:うまく全力で走れない期間中もトレーニングはしていたのですが、その練習のなかでも、身体の調子自体はすごくいいと感じていたんですよ。なので、そこまで深刻な状態だったわけではありませんでした。

―――実際に走ってみて、どうでしたか?

ケンブリッジ:走り自体は悪くなかったと思いますね。

―――アンカーでバトンを受けたときには、イギリスが前にいる状態でした。どんな心境でした?

ケンブリッジ:正直、自分が思っていたより、相手のほうが前にいました。イギリスは去年、37秒4(※37秒47をマークして世界選手権で優勝)で走っていたので、向こうのほうが前にいるか同じくらい、うまくいけば勝てるかなというように、いくつかパターンを自分のなかでイメージはしていたのですが、実際には、そのイメージ以上に離れていました。

―――「ああ、差があるな」と?

ケンブリッジ:はい。まあ、それでもやはり、できるだけ差は縮めてゴールしたいなという思いで走りました。

―――イギリス、強かったですね。

ケンブリッジ:そうですね、速かったです。前回の世界選手権もそうでしたし、今回もそうですが、やはり、東京オリンピックで金メダルを狙ううえで、今の段階で一番手強い相手なのはイギリスになるのかなと感じますね。メンバー全員が9秒台で走りますし、走力という意味では僕らよりも上なので。まあ、でも、チャンスはあると思っています。

―――そんなイギリスに対して、レース後、みんなで、負けて悔しいという話をしていたそうですね。

ケンブリッジ:はい。勝ちたかったという思いがあります。終わってからみんなで一緒に、「悔しいな」という話もしました。37秒台を出せなかったことも含めて、誰も今回の結果は満足していないと思うんです。「負けて悔しい」と思うのは、まあ当たり前のことなのかもしれないけれど、でも、みんながそう思えているということが、すごく大事だと思っています。

あとはしっかりトレーニングを積むだけ
アジア大会では、個人、リレーともにしっかりとメダルを

―――ご自身の走り自体は、不安も完全に解消されて、次はカールスタッドでのレースです。

ケンブリッジ:はい。レースを1本走れば、キレも戻ってきます。今回のレースを走ったことで、次のレースはさらにいい状態で走れるのかな、と思いますね。今回よりも走れそうだなというのは感じています。

―――そのレースを終えれば、あとはアジア大会に向けて、まっしぐらというスケジュールになってきます。アジア大会に向けては、どんな思いを持っていますか?

ケンブリッジ:はい。あとはもうしっかりトレーニングを積むだけになります。アジア大会は、中国をはじめとして、強い選手がたくさんいますから、そう簡単にはいかないでしょうし、メダルを取ることも難しいとは思います。でも、そのなかでしっかり結果を残せれば、来年の世界選手権にもつながっていくと思うんです。それこそ中国の蘇炳添選手に勝ったら、来年のドーハ世界選手権のファイナルというところも見えてくると思うので、そういう意味で本当に大事な大会だな、と。「勝たなきゃいけない」「勝ちたいな」と思う大会です。

―――彼に勝つことは、ダイレクトに世界のファイナルにつながりますからね。

ケンブリッジ:そうですね。蘇選手はダイヤモンドリーグでも勝っていますし、今シーズンでいえば、世界のトップ3に入るくらいの安定感を維持していますから。

―――世界選手権やオリンピックで戦っていこうと思ったら、あのアベレージを目指していかないと…。

ケンブリッジ:はい、その通りです。しっかり勝負していきたいなと思いますね。

―――じゃあ、今回の転戦を次に生かして、アジア大会では、個人とリレーの両方で…。

ケンブリッジ:しっかりメダルを取りたいですね。リレーはもちろん金メダルを目指すことになりますし、個人でももちろん金メダルを目指したい。少なくとも、メダルというのは絶対に取りたいなと思うので。

―――それが実現すれば、記録もついてきそうですね。

ケンブリッジ:そうですね。

―――まずは、いい流れとなるように、カールスタッドからの朗報を楽しみにしています。お疲れのところ、ありがとうございました。

(2018年7月22日収録)

構成・文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:日本陸連男子短距離スタッフ、児玉育美

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