2017.10.11(水)大会

【レポート】えひめ国体。各年代トップ選手が、多数出場!



 第72回国民体育大会(2017愛顔つなぐえひめ国体)の陸上競技が10月6~10日、愛媛県総合運動公園陸上競技場において開催されました。全47都道府県によって男女総合成績および女子総合成績が競われるこの大会。成年(ただし、一部種目については少年A年代の出場も可能)、少年A(高校2・3年生)、少年B(高校1年生・中学3年生)、少年共通(高校生および中学3年生)、成年少年共通と、年代別に区分され、全56種目(男子29種目、女子27種目)が実施されます。8月に行われたロンドン世界選手権や台北ユニバーシアード日本代表選手はじめとする各年代のトップ選手が、各都道府県代表のユニフォームを身にまとい、多数出場しました。


◎10月6日/1日目
 昼前から雨模様となった大会初日は、9種目で決勝が行われました。成年男子円盤投は、降雨の影響でサークルが滑り、さらに競技の途中で雨が激しく降る悪コンディション下での競技となりましたが、1回目に57m75を投げてトップに立った湯上剛輝選手(トヨタ自動車・愛知)が3回目で59m09の自己新記録をマーク。最終投てきではさらに記録を伸ばす59m24(日本歴代4位)を投げて、初優勝を果たしました。夏以降、日本記録を連発していた堤雄司選手(群馬綜合ガード・群馬)は、雨で滑るサークルに苦労してうまく記録を伸ばすことができず、55m32で2位にとどまりました。
 少年Aの男女100mは、ともにインターハイチャンピオンが快勝しました。1.1mという強い向かい風のなか行われた女子は、兒玉芽生選手(大分雄城台高・大分)が11秒82で優勝。逆に、4.2mという強い追い風に見舞われた男子は、宮本大輔選手(洛南高・京都)が、日本記録保持者(9秒98、2017年)の桐生祥秀選手(現東洋大)が京都・洛南高時代にマークした大会記録10秒21を100分の1秒上回る10秒20でフィニッシュしたものの追い風参考記録となりました。

◎10月7日/2日目
 大会2日目は16種目で決勝が行われ、成年種目では世界大会の日本代表選手も多数出場しました。成年男子100mでは、9月初旬の全日本実業団で10秒00をマークした山縣亮太選手(セイコー・広島)は故障により欠場しましたが、ロンドン世界選手権男子4×100mR銅メダリストの多田修平選手(関西学院大・大阪)が出場。右膝裏に痛みが出てしまったという多田選手は、膝から足首にかけてテーピングを施してのレースとなりましたが、10秒22(-0.0)で国体初優勝を果たしました。
 成年男子400mHは、2012年ロンドン五輪代表で、世界選手権には2011年から3大会連続で出場している岸本鷹幸選手(富士通・青森)が49秒39で昨年に続き優勝。成年男子走高跳はロンドン世界選手権代表の衛藤昂選手(味の素AGF・三重)が2m22で3連覇を果たしました。
 女子で活躍が目を引いたのは、少年女子B100m準決勝で高校歴代7位タイ、高1歴代2位となる11秒66(+0.7)をマークした御家瀬緑選手(恵庭北高・北海道)。1.0mの向かい風となった決勝でも圧倒的な強さを見せて11秒83で優勝し、前日に行われた少年女子B走幅跳(6m00、-0.8)に続き2冠を獲得しました。また、少年女子A走幅跳は、今季、日本選手権(6m14、+1.1)とインターハイ(6m17、+2.8)を制している高良彩花選手(園田学園高・兵庫)が、優勝を決めて臨んだ6回目の試技でさらに記録を伸ばし、高校歴代7位タイ、高2歴代2位となる6m26(+1.0)の好記録をマーク。今季3つめの全国タイトルを手に入れました。

◎10月8日/3日目
 13種目で決勝が行われた大会3日目。成年男子10000m競歩は、ロンドン世界選手権50km競歩銅メダリストの小林快選手(ビックカメラ・秋田)、20km競歩でリオデジャネイロ五輪とロンドン世界選手権に出場している松永大介選手(富士通・神奈川、リオ五輪7位)、髙橋英輝(富士通・岩手)、藤澤勇(ALSOK・長野)の3選手、台北ユニバーシアード20km競歩金メダリストの山西利和選手(京都大・京都)、銅メダリストの及川文隆選手(東洋大・愛知)が顔を揃える豪華なものとなりました。厳しい暑さのなか行われたレースは、この種目の日本記録保持者(38分01秒49、2015年)でもある髙橋選手が2200m手前でトップに立ち、そのまま一人旅。唯一人40分を切る39分19秒53でフィニッシュし、地元開催だった昨年の岩手大会に続き連覇を果たしました。2位は小林選手で40分18秒81、3位には山西選手が40分58秒20で続いています。
 成年女子400mでは、前日の同800mを2分03秒79で制した北村夢選手(日本体育大・東京)が予選でマークした自己記録(54秒56、大会前の自己記録は55秒04・2017年)を大幅に更新する53秒71で快勝。成年女子やり投では、ダイヤモンドアスリートの北口榛花選手(日本大・北海道)が5回目にセカンドベストの61m07を投げて、9月上旬の日本インカレに続く優勝を果たしました。2位は3回目の試技で日本歴代6位、学生歴代3位となる59m94の投てきを見せた山下実花子選手(九州共立大・京都)。台北ユニバーシアードで62m37の学生新記録を樹立して銀メダルを獲得した斉藤真理菜選手(国士舘大・茨城)は56m98で3位でした。
 なお、成年女子やり投では、競技終了後に日本記録保持者(63m80、2015年)の海老原有希選手(スズキ浜松AC・栃木、今大会7位=55m26)が今季限りで第一線を退くことを明らかにしました。海老原選手の最後の試合は、11月5日の国士舘大競技会となる見込みです。
 少年種目では、男女のハードルで好記録が誕生しています。ジュニア規格(ハードルの高さ0.991m、ハードル間9.14m)で行われた少年男子共通110mHでは、予選、準決勝と大会新記録が続出。0.1mの向かい風になった決勝では、前回覇者の樋口陸人選手(奈良育英高・奈良)が13秒40の高校最高記録、U20歴代3位でV2を達成。2位の平賀健太郎選手(洛南高・京都)は13秒48(高校歴代2位、U20歴代4位)、3位の泉谷駿介選手(武相高・神奈川、インターハイ八種競技優勝)も13秒51(高校歴代3位、U20歴代5位)の好記録をマークしました。また、ユース規格(ハードルの高さ0.762m、ハードル間8.50m)で行われる少年女子B100mHでは、山西桃子選手(白梅学園高・東京)が高校歴代2位となる13秒52(+0.1)の大会新記録で優勝しています。
 また、“国体名物”ともいえる成年少年共通4×100mRが始まり、この日は予選が行われました。男子4×100mRでリオ五輪とロンドン世界選手権でメダルを獲得している飯塚翔太選手(ミズノ・静岡)と桐生祥秀選手(東洋大・滋賀)が、静岡と滋賀のアンカーとして、予選3組(静岡)と4組(滋賀)に登場。どちらも豪快な走りを披露して、満員となったスタンドのファンを大いにどよめかせました。静岡は2着(40秒21)で、滋賀は1着(40秒32)で翌日の準決勝へ駒を進めました。

◎10月9日/4日目
 大会4日目は、中学・高校生が次々に好記録をマークしました。成年女子5000m競歩では、高校生の藤井菜々子選手(北九州市立高・福岡)がスタート直後から飛び出し、終始一人でペースをつくるレース展開で21分33秒44のU20日本新記録、高校新記録をマークして圧勝。4kgで行われる少年女子B砲丸投では、中学生の日夏涼香選手(三稜中・大阪)が2回目に、この重さの中学最高記録となる13m32をプット。4回目には13m60と、さらに大きく記録を伸ばし、高校生を抑えて優勝しました。
 また、少年女子A3000mは、上位5選手が8分台、9位までが9分10秒を切るハイレベルな結果に。レースを制したのは田中希実選手(西脇工業高・兵庫)。ラスト1周でマータ・モカヤ選手(大分東明高・大分)をかわして高校歴代2位(日本人選手のみ)となる8分54秒27でフィニッシュしました。なお、このレースでは3位の小笠原朱里選手(山梨学院高・山梨)も高校歴代3位(日本人選手のみ)の8分54秒88をマークしています。このほか、少年男子A400mでは井本佳伸選手(洛南高・京都)が46秒38、少年女子A400mは川田朱夏選手(東大阪大敬愛高・大阪)が53秒56と、ともに高校歴代7位の好記録で制しました。
 成年種目では男女スプリントハードルで好レースが展開されました。ロンドン世界選手権代表3選手および台北ユニバーシアード入賞の2選手が決勝で顔を揃えた成年男子110mHは、世界選手権で準決勝進出を果たした増野元太選手(ヤマダ電機・群馬)が追い風参考(+2.2)ながら13秒47で貫禄勝ち。2位には台北ユニバーシアード4位の金井大旺選手(法政大・北海道)が13秒58で、3位には同5位で地元愛媛の野本周成選手(早稲田大)が13秒63でフィニッシュしました。また、成年女子100mHは、青木益未選手(七十七銀行・宮城)が日本歴代8位となる13秒18(+0.5)をマーク。全日本実業団に続き、ロンドン世界選手権代表の紫村仁美選手(東邦銀行、2位・13秒37)を抑えて優勝しています。
 準決勝が行われた成年少年共通男子4×100mRでは、飯塚選手を擁する静岡と、準決勝から多田選手をアンカーに起用した大阪は、それぞれ1着(静岡39秒67、大阪39秒57)で最終日に行われる決勝進出を決めました。一方、桐生選手をアンカーに据えた滋賀は、第3組に出場して5着(39秒87)でフィニッシュ。プラスで拾われた4着の岐阜と、わずか100分の1秒差で準決勝敗退となりました。 

◎10月10日/5日目
 午後から総合閉会式が行われるため、午前9時30分の競技開始からわずか1時間15分で4種目の決勝を実施するタイムテーブルの最終日は、28℃を超える暑さのなか4種目の決勝が行われました。暑さのためにスローな展開となった男子3000mは、昨年のこの大会で8分19秒14の中学記録を樹立した林田洋翔選手(当時 桜が原中、現瓊浦高・長崎)が8分33秒72で優勝。続いて行われた成年男子800mは日本記録保持者(1分45秒75、2014年)の川元奨選手(スズキ浜松AC・長野)が1分48秒00の大会新記録で制しました。
 成年少年女子4×100mRは、田路遥香選手、福田真衣選手、広沢優美選手、藤森安奈選手のオーダーで臨んだ東京が45秒44で昨年に続きV。東京は、佐々木桜輝選手、大嶋健太選手、猶木雅文選手、酒井由吾選手(少年男子A走幅跳優勝者)でつないだ成年少年男子4×100mRでも、多田選手を擁する大阪(2位・39秒76)、飯塚選手を擁する静岡(3位・39秒79)を振り切り、39秒60で優勝。男女アベック優勝を飾りました。
 総合成績では、大阪が天皇杯(男女総合、132点)、皇后杯(女子総合、87点)ともに獲得。2位以下に大差をつけての優勝となりました。
 

文:児玉育美/JAAFメディアチーム
写真提供:フォート・キシモト

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