2017.08.12(土)大会

【世界選手権】デイリーハイライト(Day8)

女子100mH、木村が準決勝に進出!
男子十種競技スタート

 大会8日目の8月11日、この日から男子十種競技がスタート。このほか、女子走幅跳、男子ハンマー投、女子3000mSC、女子200mの決勝が行われました。
 日本勢は、3種目に5選手が登場。まず、モーニングセッションで行われた女子100mH予選には、木村文子選手(エディオン)と紫村仁美選手(東邦銀行)の2名が出場しました。2人は国際陸連からのインビテーションにより、直前に代表入りした選手。予選は5組4着+4の条件で行われ、2組に入った木村選手が13秒15(-0.9)をマークして4着となり、日本選手のこの種目で初のセミファイナリストに。同日の夜に行われる準決勝へ駒を進めました。また、4組に入った紫村選手は、13秒29(-0.6)・6着でフィニッシュ。予選敗退となりました。
 男子走高跳予選はA・Bの2組に分かれて行われ、衛藤昂選手(味の素AGF)はB組で予選通過記録(2m31)の突破に挑みました。最初の高さの2m17を1回目に、2m22を2回目に成功したものの、次の2m26をクリアすることができずに競技を終了しました。
 イブニングセッション最初のトラック種目として行われた女子100mH準決勝は、3組2着+2の条件で行われました。2組目に入った木村選手は、第1ハードルからスムーズな入りを見せて序盤を好走しましたが、終盤で徐々に遅れて8着でフィニッシュ。タイムは13秒29(+0.5)でした。
 十種競技に出場した中村明彦選手(スズキ浜松AC)と右代啓祐選手(スズキ浜松AC)は、中村選手が26位(3925点)、右代選手は27位(3685点)で、1日目を折り返しています。

 【選手コメント】
◎木村文子選手(エディオン)
女子100mH 予選 2組4着 13秒15(-0.9)=準決勝へ
「(予選のメンバーは)厳しい顔触れだと思っていて、最後は競り合いになるかなどと考えていたのだが、コーチは、“楽しめ”と言ってくれた。“やることはやったから”という形だったので、すっきりした形でレースに臨むことができたと思う。
 フィニッシュした瞬間は着順がわからず、“えっ、何番何番何番?”(笑)という感じだった。
 前半は、右の選手(メーガン・シモンズ、ジャマイカ)が絶対に出ると思っていたので、前に出られても落ち着いていこうということと、ずっと課題にしてきたラスト3台で追いつかれているなと感じたので、そこで冷静に自分の動きに集中することを意識して走った。ラスト3台は粘りきったと思う。
 課題に対して気をつけてきたのは、ラスト3台で脚が流れたり押しすぎたりしないよう、(脚を)前でさばいていくのを身体全部を使ってやっていくこと。ここへ来る前から練習でも試合でも取り組んでいたのだが、今日はそれができたと思う。
(インビテーションによる直前の代表入りだったが)準決勝には行きたいな、走ってみたいなと思っていたので、予選を通過できてよかった。
 こういう舞台でも落ち着いてできるかどうかでタイムや順位がついてくるのかなと思うので、準決勝も、予選と同じように課題に取り組んで自分のレースをしたい。」 

◎紫村仁美選手(東邦銀行)
女子100mH 予選 4組6着 13秒29(-0.6)
「とても悔しい。体調は悪くなく、むしろ“いいな、楽しみだな”と思う状態で臨めていた。予選は4着に入るつもりでレースに臨んだが、中盤(のハードルクリアランス)で身体が浮いてしまったところがあったので、もうちょっとだったなと思う。
 レース途中で、踏み切りが近くなった部分があって、立て直すことはできたのだが、もう一歩、インターバルの走りにつながらなかった。浮いたぶん、タイミングがずれて、走りに影響した。それがなければもっと走れたと思う。
(インビテーションでの出場となったが)声がかかる可能性が1%でもあるのなら…と、それを頭に入れて生活していた。気持ちを切らさずにやれたと思うし、準備は十分にできていた。
 12秒台に到達するために、後半は安定して行けるのだが前半で踏み切りが近くなるなど、(前半と後半に)ばらつきがあるので、そこを安定させたい。根底の走りの部分はしっかり上がってきている。ハードルに合った走り…接地を短めにして、そのなかでインターバルを速く刻んで走っていくことが必要かなと思う。」

◎衛藤昂選手(味の素AGF)
男子走高跳 予選 B組9位 
「出るだけの試合は今日で終わりにしようと思っていたのだが、3年連続で世界大会に出るだけで終わってしまった。成長しているのかしていないのかよくわからない感じである。跳躍は、やりづらさというか、最後攻めきれなかったというか、身体が目覚めていなかったというか、つかみどころのない感じだった。そこから修正していけばいいかなと思っていたところで終わってしまった。客観的にどうだったかをつかみきれなかったところが結果に表れたかもしれない。
 公式練習の2m15で2本チャレンジして、2本とも落としていて“なんか足りないな”と思っていたのだが、試合になれば気合いも入って跳べるかなと思っていて、2m17をなんとか跳んだ。その後は、身体が動いていないところは動かして、しっかり踏み切れていないところは踏み切るドリルで修正して…と、抜けている部分を1つ1つつぶしていったのだが、最終的に核心となるところが修正しきれなかったのかなという気がする。
 今回、日本のやりやすい試合で2m20後半(の記録)を安定させても、あまり意味がないなということを感じた。今日みたいに試合で(高い自己)記録を持っている選手も苦戦しているのを見ると、自己ベストを2m34とか2m35とかに引き上げないと、予選を通るのは難しいのかなと感じた。日本の試合で安定感が出てきたことは、去年に比べると1つ成長したところだと思うが、もっと高いレベルで、広い目で、レベルを上げられればよかったのかなと思う。」

◎木村文子選手(エディオン)
女子100mH 準決勝 2組8着 13秒29(+0.5)
「何が起きるかわからないと思っていたので、とにかく落ち着いて、自分のレースをすることだけに集中していこうという気持ちで臨んだ。前半から置いていかれることはしたくないと思っていたので、しっかりスタートして、そこからどれだけついていけるかというところにフォーカスして走った。そこはまずできたかな、と。ただ、そこからの加速と、スピードを維持して最後まで走るというのが…。周りはどんどんリズムアップしていった。そのあたりはコーチからも言われていたが、まだ自分にはできていないところだなと思った。
 2台目に浮いてしまった部分があったのと、(隣の選手と)手をぶつけて右に寄ってしまった部分があったので、そういうところがなく、もうちょっと自分のレースができたら、予選よりもいいタイムが出たかもしれない。でも、何が起きるかわからないのが勝負だし、そのなかで自分がどうやって戦うかと向かっていくことは、最後の最後までできたと思う。
 レース前はもっと緊張するかと思ったが、幸せで嬉しかった。ここまで順調だったわけでなく、いろいろなことがあったなかで来ることができた感じているので、(レース前は)“ドキドキする”とか、“自分の動きできなかったらどうしよう”とかじゃなくて、なんか嬉しくて、“速く走りたいなあ”という気持ちだった。
 今、思うと、(2012年に出場した)ロンドン五輪のときは、地に足が着いていないような選手だったな、と。そのなかで走らせてもらえて、その経験があったから、ここまで続けてこられたのかなと思う。少しは成長した姿でまたここに立てたことを、嬉しく思う。」

◎中村明彦選手(スズキ浜松AC)
男子十種競技(1日目) 3925点(26位)
「うーん、うまく行っていないなという感じ。出だし(の100m)がつまずいた。調子自体は今年一番いい状態まで持っていけていると思うし、直前の練習でもベストが出たりしている種目もあったので、“今年は(行ける)”と思っているのだが…。
 ここで力を発揮しようと思って来ているのに、どうしても縮こまってしまうというか、変なところを気にしてしまう自分がいて、小さくまとまってしまうというか、崩れていっているような感じになっている。
 今のままだと、2年前(2015年北京選手権16位)と変わらないので、明日、なんとか(挽回して)、少しでも変わったところを見せられるようにしたい。 

◎右代啓祐選手(スズキ浜松AC)
男子十種競技(1日目) 3685点(27位)
「記録的には少々物足りない結果。どこかで切り替えたいなという思いを持ちながら、走高跳では、観客を巻き込んで応援を力に代えるような、そんな一面を見せることができた。名前と顔を覚えてもらったと思うので、そういった流れを2日目につないで、観客をすべて味方にして、スカッとした結果で終われるように頑張りたい。
 大会に向けての準備は、種目を問わず100%できた。今回は、(抱えている)膝の痛みをそこまで感じないでできているので、そこは久しぶりに気持ちいいなという感覚はある。走幅跳でうまくスピードに乗れなかったところはちょっと反省だが、(まだ競技途中の)今、反省してもしょうがない。明日が勝負だと思う。」


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォートキシモト

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