2017.08.11(金)大会

【世界選手権】デイリーハイライト(Day7:8月10日)

サニブラウン、初のファイナルは7位でフィニッシュ!
女子5000mの鈴木・鍋島、男子やり投の新井は決勝進出ならず


 大会7日目の8月10日も、イブニングセッションのみの開催です。ロンドンは、前日までの悪天候から回復し、晴れ間の見える天候となりました。
 この日、行われた決勝種目は3種目。男子三段跳、女子400mH、そして日本のサニブラウン・アブデルハキーム選手(東京陸協)の出場する男子200mが行われるタイムテーブル。このほか、予選4種目と準決勝1種目が行われました。
 男子200m決勝は、この日の最終種目として実施され、サニブラウン選手が上位入賞、メダルを狙って挑みました。8レーンに入ったサニブラウン選手は、スタートするとぐんぐん飛ばし、レース序盤は上位争いしながらコーナーを抜けていく好走を見せました。しかし、右ハムストリングスに違和感を持っていたこともあり、ホームストレートに出たところで上位陣に突き放されてしまい、20秒63(-0.1)・7位でのフィニッシュとなりました。
 この種目を制したのは、アゼルバイジャン出身のラミル・グリエフ選手(トルコ)。400mとの2冠を狙ったウェイド・バンニーキルク選手(南アフリカ)の猛追を押さえ20秒09で優勝しました。2位のバンニーキルク選手は20秒11でフィニッシュ。また、感染性胃腸炎にかかった影響で、救済措置(単独でのタイムトライアル)により準決勝に進み、決勝進出を果たしていたアイザック・マクワラ選手(ボツワナ)は20秒44で6位でした。
 日本勢は、サニブラウン選手のほかに、それぞれ予選が行われた女子5000mと男子やり投に登場しました。まず2組5着+5の条件で女子5000m予選が行われ、鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)が1組に、鍋島莉奈選手(日本郵政グループ)が2組に出場。鈴木選手は、序盤から中盤は先頭集団を引っ張る展開も見せましたが、エチオピア勢が3000m以降で前に出てからは徐々に引き離され、15分24秒86・14着でのフィニッシュ。2組を走った鍋島選手は、15分11秒83の自己新記録をマークしたものの9着と、ともに予選を突破することができませんでした。
 男子やり投の予選A組には、国際陸連からのインビテーションにより、出場を果たした新井涼平選手(スズキ浜松AC)が出場しましたが、1回目ファウル、2回目77m38、3回目74m77というシリーズで、予選通過記録83m00には及ばず競技を終えました。

【選手コメント】
◎鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)
女子5000m予選 1組14着 15分24秒86
「思っていたよりも自分の力が及ばなかったなというのと、考えていたよりも世界の選手たちはスピードもタフさも勝っていたな、高いところにいたんだなということを思い知らされた。
(強い選手が揃っていたが)まあ、そこはプラスに捉えて、強い選手と一緒に、そこでどこまで戦えるかということを考え、わくわくした気持ちで臨んだ。
 本当は(1周=400m)72~73秒で余裕を持って行きたかったが、けっこうきつくて…。厳しいなと思ったし、“ああ、これだといいペースメーカーにされてしまうな”とも思ったが、着順じゃなくてタイムで拾われることを初めから狙っていたので、そこはもう行くしかなかった。で、自分の力が足りなかったということだと思う。
(初日の10000mの)疲労は、自分では抜けていると思っていたし、逆に10000mがいい刺激になったかと思っていたのだが、試合になったら“あれっ”という感じ。自分の力というのを把握できていなかったかもしれない。思ったよりも(身体が)重たかったというのが走ってみての感想である。
(10000mと5000mのレースを終えて)今回しっかり練習はできていたので、そこに悔いはないし、5000mに至ってはベストを尽くそうと思って臨んだ。やるべきことはやったが、世界の入賞の壁…今回は決勝にも進めなかったので…は、自分が考えていたよりも高いレベルにあったなということを改めて実感した。

 
◎鍋島莉奈選手(日本郵政グループ)
女子5000m予選 2組9着 15分11秒83 =自己新記録
「自分の課題が自己ベスト更新だった。そこを達成して、決勝に残れたらラッキーという思いで臨んでいた。自分はここいる人たちに比べたら平凡な選手。そういう人たちにまず挑戦できて、この舞台に立てたことが本当に幸せだった。
 イメージしたのは落ち着いてレースを展開し、ラストでしっかり上げて、15分ひと桁(の記録)で行くこと。で、“決勝(進出)、やったー!”みたいな(笑)。でも、そうトントンとは行かないと思った。
(反省としては)世界のトップ選手と走ることに対して、自分がちょっと弱気になってしまった部分があり、そのためにもったいないレース展開をしたところがあった。そこを埋めていければ、15分ひと桁は確実に出るなという手応えを感じた。
 初めてのこういった舞台で、自分の力はそれなりに出せたのかなと思う。来る前はどうなるかわからなくて、どうしようかなというところがあったが、自分の目標をしっかり見据えて走ることにこだわってのレースだったので、今回のレースに関して悔いはない。」


◎新井涼平選手(スズキ浜松AC)
男子やり投予選 A組12位 77m38
「こんなもんかな、という感じ。もちろん、身体は動くように仕上げていたので、力がないなりに動いていたのでよかったのだが、技術の部分が全然安定しないまま入ってしまっているので、立て直しも何も…という感じ。本当に、何もできなかった。
(原因は、春からの身体の左側に出た痺れで崩れた部分が立て直せなかったこと? との問いに)はい。もちろん良くはなっているが、その良くなっているレベルがとても低い状態。痛みなく動けるようになったというだけなので、前に(生じた技術の)のずれで、身体が勝手に、悪かった動きのままのほうに技術が引っ張られてしまっている。それが出てしまって全然飛ばない状態。スピードがつくと、特にそれが出てしまうので、そこが(記録が伸びなかった)原因だと思う。
(インビテーションがかかっての出場だったが)、テーマは単純に“ただ、思い切り投げる準備をする”しかない。それだけを考えてやってきた。85m以上投げないと海外では戦えないと、自分自身がずっと言ってきた。そのレベルに達していないので、まだまだ。まず、そこが投げられるようになってからの“次”だと思う。

 
◎サニブラウン・アブデルハキーム選手(東京陸協)
男子200m決勝 7位 20秒63(-0.1)
「ラスト100mは脚が痛くて全然動かなかった。前半はきれいに出られたが、コーナーの出口くらいで(痛みが)ちょっと来て、そこからも体勢を保っていこうと思ったが、脚を前にさばくのに(脚を)引きつけるとき、右ハムストリングスに(痛みが)きてしまって、思うように動かなかった。(右ハムストリングスの違和感は)上のほうが突っ張っている感じで、いやな感じがずっとしていた。うまく脚が運べなくて本当に悔しい。
 メンバー的に、前半は自分よりも速く100mを走る人はいないと思ったので、行けるだけ行った。そこから自分のリズムを保っていければ、もっと前で勝負できたと思うのだが、そこの部分で食らいつけなかった。そこが差になったのかなと思う。
 緊張は全然していなかった。むしろ、世界のファイナルだったので、とことん楽しんでやろうと思って臨んだ。
(フィニッシュ後、座り込んでいたときに何を考えていたか、との問いに)あそこで脚も痛くなく回せていればなあ、また違っていたんだろうなあ、と。でも、いくら速いPB(パーソナルベスト)を持っていたとしても、全ラウンドを走りきって1番にならないと全く意味がない。それを肌で感じた試合だった。
(この結果に対して)まだまだ満足できない。おそらくオリンピックに向けてレベルは上がってくると思うので、そこでしっかり決勝に出て、メダルを取れるように、今回の悔しさと反省点を生かして、これから練習していきたい。
(右ハムストリングスの状態は)大会前までも若干不安があったが、そんななかで戦うことができた。(練習拠点としているオランダの)チームのコーチ、トレーナー、そして、日本チームの方々にすごくお世話になったし、親にも感謝しなきゃなと思う。
(7日目の)最終種目だっただけに人はたくさんいたし、歓声も全然違った。登場の仕方も全然違ったし。そういうのをこの歳で経験できて、すごくよかったと感じることが多かった。それを100mでもファイナルを味わえたらよかったのだが…。今回は、悔しさのほうが大きい世界選手権だった。出場することにも意味はあるとは思うが、勝負できないと面白くないので悔しい。(200mで)決勝に行けたとはいえ、こんなので満足していたらダメ。またここから1歩、2歩と成長できたらなと思う。
 100mは、今大会のレベルでは(自分の力は)通用しているのかなと感じる部分があった。200mも最初の100mはおそらくトップの位置で通過していると思うので、そこからラスト100mでどんどん伸びていく選手たちに、しっかりついていけるような練習をしていきたい。」
 
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォートキシモト

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